著者
中谷 智広 吉岡 拓也 木下 慶介 三好 正人
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. A, 基礎・境界 (ISSN:09135707)
巻号頁・発行日
vol.92, no.5, pp.294-304, 2009-05-01
被引用文献数
3

残響を伴って収音された音響信号に対する残響除去法の一つとして,音源信号の時変性に基づく方法を紹介し,その性質を数理的に分析する.このアプローチでは,音源信号を時変ガウス過程でモデル化するとともに室内伝達特性を多チャネル自己回帰過程でモデル化し,それらに基づき定まるゆう度関数を最大にするモデルパラメータを求めることで残響除去を実現する.本アプローチにより,比較的短い観測信号だけからでも良好な残響除去結果が得られることが,実験により確認されている.本論文では,特に,ゆう度関数を最大化する解の振舞いについて分析する.まず,解のあいまい性が適切に排除されている条件のもとで,ゆう度関数の期待値を最大化する解は厳密に正しい解に一致することを示す.また,観測信号の実現値に基づきゆう度関数を最大化する解は,観測信号が長くなるにつれて正しい解に近づくと予想されることを示す.更に,比較的短い観測信号に対しても,観測信号のレベルの時変性を考慮して最適化を行うことで,推定誤差の影響を緩和できることを考察する.
著者
野林 大起 中村 豊 池永 全志
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. IA, インターネットアーキテクチャ (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.106, no.62, pp.7-12, 2006-05-17
被引用文献数
6

インターネットの幅広い普及により,WWW, FTP,遠隔ログインをはじめ,様々なサービスがインターネットを利用して提供されている.このようなサービスの多様化に伴い,ユーザがサービスを利用するために必要なIDとパスワードのペア,もしくは鍵や証明書などの認証に必要な情報は増大しており,ユーザ自身がこれらの情報全てを管理するのは非常に困難になっている.この問題を解決するため,一度の認証によって全てのサービスを利用可能とするシングルサインオン環境の構築が進められている.しかし,これまでに提案されている手法は,サービス提供側でシングルサインオンに対応した認証機構を導入する必要があること等,インターネット上で提供される多様なサービスのSSO化を想定したものではなかった.そこで本稿では,多様なサービスに適応可能な柔軟性と高い安全性を兼ね備えたシングルサインオンシステムを実現する手法としてハードウェアトークンと鍵管理サーバを使用したシステムを提案する.さらに提案方式を実装し,複数のアプリケーションを用いて動作検証を行うことにより,その有効性を確認する.
著者
山中 秀昭 小崎 成治 横谷 哲也
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. CS, 通信方式 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.109, no.266, pp.29-32, 2009-10-29
参考文献数
7
被引用文献数
1

2000年代初頭から始まった光アクセスネットワークによるブロードバンドサービスは、概ね全国に行き渡りインターネットサービスの高速化が達成されたと言える。インターネットアクセスと電話サービスに加えてIP技術により映像配信を加えた「トリプルプレイサービス」の導入が積極的に進められている。現在、更なる高速化及び高機能化を目指した次世代光アクセスシステムの研究開発及び標準化の議論が始まった。次世代光アクセスシステムでは、経済的な高速化と宅内における新サービスの創造が課題と言える。本稿では、次世代光アクセスシステムを目指した技術動向と標準化動向を俯瞰し、これらの課題に対する解決策を論じる。
著者
秦東寺 久美 石橋 聡 小林 直樹
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-パターン処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.82, no.6, pp.1018-1030, 1999-06-25
被引用文献数
20

次世代動画像圧縮の標準であるMPEG-4では, 新たにVOP (Video Object Plane)という概念を取り入れ, 背景や物体等のビデオオブジェクトごとに符号化することが可能である. 特に動画像中の各々のフレームに共通な領域の動きが一組の平面の動きモデルで表されるとき, スプライトと呼ばれる平面オブジェクトを生成することが可能である. すなわち, 背景画像に代表されるような動画像中の複数フレームにわたる領域を1枚の静止画であるスプライトから再構成できる. スプライトを使用すると符号化効率の大幅な改善が期待できるため, スプライト生成技術に関する期待は大きい. 本論文では, ビデオクリップを撮影したときのカメラモーションに着目し, (1)7種類のカメラモーションと平行移動動きベクトルの関係を定式化し, (2)カメラモーションを反映した大局的な動きを算出するアルゴリズムを提案, (3)大局的な動きを用いてスプライトを自動生成するアルゴリズムを提案した. また, 複数の実画像を用いて実験を行った結果, 撮影時のカメラモーションを良好に抽出でき, これを用いてスプライトを自動生成することができた.
著者
横山 幸生 島田 尊正 竹村 淳 椎名 毅 斉藤 陽一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. A, 基礎・境界 (ISSN:09135707)
巻号頁・発行日
vol.76, no.8, pp.1050-1058, 1993-08-25
被引用文献数
11

睡眠の深度やその時間変化の異常は,精神疾患や脳の基質的障害を反映しているため,その状態を把握することは臨床上極めて重要となる.睡眠時の脳波には睡眠深度に応じて瘤波や紡鍾波などの特徴波が現れるので,医師はその特徴波を認識して睡眠深度を判定する.しかし,この判読には熟練を要するだけでなく,1回の計測で千ページ以上にもなる膨大な脳波データを見るため,医師の労力と多くの時間を必要とする.本論文では,計算機により睡眠脳波の短区間スペクトルの特徴を抽出し,それにより睡眠脳波中の特徴波を自動的に検出する新たな手法を提案している.手法手は,(a)脳波の短区間スペクトルについてその形状の主成分分析により数次元の特徴ベクトルを抽出する処理と,(b)瘤波,紡鍾波,徐波などの睡眠脳波中の特徴波の特徴ベクトルを教師データとして学習させたニューラルネットワークを用いて,被検査用脳波の特徴波検出を行う部分よりなる.本手法により脳波データを処理した結果,教師データと同一被験者において80%以上の高い判定率が得られ,多少の波形ひずみにも対応できることが示された.
著者
成田 長人 金澤 勝
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. IE, 画像工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.99, no.401, pp.29-36, 1999-10-29
被引用文献数
5

高臨場感放送サービスの研究として,広視野・超高精細映像が観視者の心理に及ぼす影響をスライドプロジェクターを使用して検討した.まず,画面サイズ,観視距離,絵柄を変化させたとき,観視者が静止映像及びパンニング映像から受ける印象をSD法を用いて評価し,因子分析法により心理因子「力量感」,「快適感」,「大小・遠近感」を抽出した.次に,静止映像を対象に,画面サイズ,観視画角,絵柄の幾つかのパラメータについて,「力量感」と「快適感」を7段階尺度で評価し,観視者の"好ましい観視距離"が「力量感」と「快適感」の効果を最大限に引き出せる場所に相当することを示した.最後に,撮影画角の影響を検討し,広画角で撮影した映像の方が,近距離で観視する傾向が強いことを示した.
著者
小栗 章洋 若原 俊彦
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. LOIS, ライフインテリジェンスとオフィス情報システム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.111, no.383, pp.85-89, 2012-01-12

近年,学生が就職活動を行う際,インターネットのWebサービスであるマイナビやリクナビなどの就職支援サイトを利用するのが一般的である.これらのサイトでは,自分の興味のある職種や業種に該当する企業を検索し,簡単に求人関連の情報を得ることが出来る.しかし,現状のインターネットでは企業側が提示した情報を中心に掲載されているため表向きの公式の情報がほとんどであり,ユーザにとって知りたい詳細な情報や実態は不明であったり分かりにくいのが実情である.一方,"2ちゃんねる"や各種ブログなどの掲示板サイトやブログには第三者の評判情報,口コミ情報などが公表されているが,これらの情報の真偽があいまいで分り難い.また,提示された情報に関しても自分の解釈が本当に正しいのかなどの判断がつき難いといった問題点もある.本研究では,上記の問題点を解決するため,Web上の掲示板サイトなどの非公式情報を収集しこれらの信憑性を評価する方法として,賛成意見・反対意見をとりまとめ,非公式情報の真偽・解釈の妥当性を評価し,情報の信頼性・正確性および正答性の3つの基準を考慮する信憑性評価アルゴリズムを提案する.また,信憑性を定義し,この算出式を導出し,ユーザの評価実験を行って信憑性評価手法の有効性を検証する.
著者
岡田 昌也 長谷川 忍
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ET, 教育工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.112, no.269, pp.77-82, 2012-10-20

本研究の目的は,近年社会問題となっている"就職活動"の中でも,「数ある企業の中で,どの企業をなぜ選んだのか」を考える"企業研究"を対象としたWeb情報検索において,就職活動中の大学院生が検索を行う目的や興味,検索結果の関連性を,企業研究の「観点」として検索活動に反映させる手法を提案することである.これを実現するために本稿では,学生が設定した希望や優先度に基づいて検索クエリとなりうる企業の候補を提示することに加えて,学生が選択した企業に関する企業研究のための情報検索を支援し,その検索結果をグルーピングして提示するシステムを開発した.また,本学大学院生によるケーススタディを通じて,その有効性について検討した.
著者
進藤 佳明 真田 博文 竹沢 恵 松崎 博季 上野 建治
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ET, 教育工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.112, no.300, pp.19-24, 2012-11-10

大学などの高等教育機関において,様々な学生情報をデータベース上に保存し,学生指導に活用する試みが行われている.更に,近年,タブレットやスマートフォン等のモバイル端末が普及してきたことにより,いつでも・どこでも情報にアクセスし,利用できる環境が整い始め,ますますその重要性は高まっている.このような背景の下,本研究では,学生の就職活動支援を主たる目的とし,PCのみならずタブレットやスマートフォンからの利用も念頭に置いた,就職活動支援のための情報共有システムの開発を進めている.本稿では,本システムの全体像,並びに,既存の同種システムにおける問題点を改善するために実装した機能について述べる.
著者
田中 美佐 吉開 範章
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SITE, 技術と社会・倫理 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.113, no.355, pp.151-156, 2013-12-07

日本大学・理工学部・数学科のキャリア支援活動における取り組みと,平成25年度の企業就職活動状況について,アンケート分析結果を基に特徴を述べる.また数学科就職事務室で学生から求められる最も多い業務は,エントリーシート添削作業である.今回,その作業のための支援システムに関するコンセプトを検討したので報告する.
著者
箕浦 大祐 山名 岳志 正木 茂樹 一之瀬 進
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-情報処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.81, no.5, pp.962-971, 1998-05-25
被引用文献数
15

ネットワークを介して接続されている各端末にコンピュータグラフィックスを用いて表示される利用者参加型の3次元仮想空間において, 大規模な人数が参加することによって生じるシステムのネットワーク負荷を軽減し, かつそれだけの人数の分身を仮想空間内に見えるようにするためのシステムの設計方法について述べる.仮想空間に利用者の分身を登場させるためにはその分身の仮想空間における位置情報をはじめとする利用者情報をサーバで管理して各利用者の端末に送信する必要がある.そのため通信回線容量と利用者端末の計算機能力の制限から実際にシステム上で有効なサービスを展開するためにはシステムへの利用者の参加者数には限界がある.本論文では, 仮想空間をいくつかの部分領域に分割して利用者の位置情報を管理し, 領域内に存在する利用者は従来どおりサーバから位置情報をもらって分身モデルを表示し, 領域外の利用者は画像によって表示することによってサーバと利用者端末間の通信量を抑える3次元仮想空間における多人数表示方法を提案する.本手法を用いて構築したシステムにおいてサーバと利用者端末の間の通信量および利用者端末の描画時間を計測し, 本提案手法の有効性を確認した.
著者
岩佐 絵里子 入江 道生 金子 雅志 福元 健 飯尾 政美 上田 清志
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NS, ネットワークシステム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.111, no.408, pp.65-70, 2012-01-19

N-Active型を採用したスケールアウト型セッション制御サーバでは,クラスタを構成するメンバ数を増減することで,多様なトラヒック処理にも柔軟に対応することが可能である.増設されたクラスタメンバでは,既存セッションに関するメッセージ処理を実施する際に,セッションデータを格納しているクラスタメンバを特定し,セッションデータを取得した後に処理を継続する.このように,増設メンバでは通常のメッセージ処理に加えて既存セッションデータを取得する処理が加わり負荷が高くなるため,既存セッションの切断や新規セッションの不成立に繋がりサービス品質を担保することができない恐れがある.本稿では,クラスタメンバの増設に伴う増設メンバへの負荷軽減方式を提案し,実機検証により提案方式の負荷軽減効果を検証する.
著者
中島 康之 陸 洋 菅野 勝 柳原 広昌 米山 暁夫
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-パターン処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.83, no.5, pp.1361-1371, 2000-05-20
被引用文献数
23

キーワードスポッティングやコンテンツベースのオーディオビジュアル検索システムにおいては動画像のショット切換り点の検出やオーディオ情報の自動分類が非常に重要な課題になる.本論文では, MPEG符号化データからオーディオ情報をサブバンド上で高速に分類する手法を提案する.まず無音区間をサブバンドエネルギーの分散を用いて検出し, 次に有音区間に対してサブバンドデータの時間的エネルギーの疎密度, 平均サブバンド数とサブバンド重心を用いて音楽, 音声, 歓声雑音の3種類のクラスに分類した.識別法としてはクラス数や識別条件が増加するに従い複雑になるしきい値法に代わってBayes決定における正規分布に対する最適識別関数を用いた.分類実験では, MPEGオーディオデータを1秒単位に分類し, 90%以上の精度で無音や音声区間を検出することができ, 検出処理はMPEGオーディオ復号処理時間の1/6以下で検出が可能になった.
著者
田中 圭介 岡本 龍明
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会誌 (ISSN:09135693)
巻号頁・発行日
vol.85, no.8, pp.613-617, 2002-08-01
参考文献数
9

量子計算機が実現された場合においても安全な公開鍵暗号(秘匿,ディジタル署名)を構築するために,暗号の新しいパラダイムである量子公開鍵暗号を提案する.このパラダイムにおいては,通信者は多項式時間量子チューリング機械であるとし,通信路は古典的であるとする.また,部分和問題(ナップサック問題)を基礎とした公開鍵暗号(秘匿)の具体的な実現方式を示す.更に,量子公開鍵暗号のパラダイムを一般化することにより,量子計算暗号という新しいパラダイムが構築されることを示す.
著者
曽田 圭一 横谷 哲也 市橋 立機
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. IN, 情報ネットワーク
巻号頁・発行日
vol.96, no.313, pp.41-46, 1996-10-18
被引用文献数
5

ATMネットワークにおいて, 端末は, 一度パケットの先頭セルを受信すると, そのパケットの最後尾セルを受信するまで, ATMセルからパケットを組み立てるためのバッファを解放しない. 最大パケット長が長くなるに従い, この先頭セルと最後尾セルの到着間隔の平均が増し, 端末において, 同時に組み立てるパケット数が多くなる. その結果, 端末は, 多量のバッファを必要とする. このバッファ量を削減するために, 本稿はATM交換機に適用するセルスケジューリング方式を提案する. 提案方式に従う交換機は, 1つのパケット内のセルをできるだけ連続して送信する, 本稿は, 提案方式の性能を評価し, その効果を示す.
著者
中西 功 西口 直登 伊藤 良生 副井 裕
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. A, 基礎・境界 (ISSN:09135707)
巻号頁・発行日
vol.87, no.6, pp.805-815, 2004-06-01
被引用文献数
17

オンライン署名照合において,筆順(位置情報)の時間的変化を離散ウェーブレット変換(DWT)に基づくサブバンド分解により多重レベルに分解した信号を用いることを提案する.時間領域の信号では本人と詐称者の違いが明確でない場合でも,サブバンド分解した高周波成分では個人ごとの違いがより顕著となることを利用する.ただし,本人であっても署名ごとにストローク数が変動することがあり,それが照合結果に影響を与えることから,DPマッチング法を導入することにより,ストローク数の変動を考慮した柔軟な照合方法を実現する.一方,照合アルゴリズムとしては適応信号処理技術を応用する.適応信号処理は出力と所望信号との誤差が小さくなるようにシステム内の係数を更新するもので,入力が所望信号に近ければ係数は1に収束することを利用して照合を行う.特に,正規化ステップサイズアルゴリズムを導入することにより安定した収束特性を実現する.署名照合実験の結果,本人には自筆署名の参照を許さず,詐称者には本人署名をなぞることを許した条件下において,識別率約95%が得られた.時間領域で照合する場合に比べて識別率が10%向上した.
著者
渡辺 貴文 森戸 貴 南 正輝 森川 博之
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MoMuC, モバイルマルチメディア通信 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.107, no.39, pp.113-118, 2007-05-10
被引用文献数
4

数千台単位で広範囲にセンサノードを分散配置する無線センサネットワークにおいて,電源の確保は1つの大きな課題である.既存の無線センサネットワークのノードは一次電池による駆動を前提としているが,電池交換の手間や費用などを考えると各ノードはバッテリレスで駆動されることが望ましい.そこで,当研究室では太陽電池等の発電素子をエネルギー源として用いることで,1次電池使用時よりも長期間稼働させること目標としたセンサネットワークシステムである"Solar Biscuit"(以下SBと省略)の開発を進めてきた.しかしながら,太陽電池より得られる電力が微少かつ不安定なSBのノードでは消費電力の徹底した削減が必要となる.本稿では既存のMACプロトコルのうち最も省電力であるスケジュールベースの通信に電波時計による時刻同期を組み合わせ,SBにおいてより省電力な通信を実現する方法について報告する.
著者
片山 圭巳
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SP, 音声 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.116, pp.93-98, 2008-06-20

本研究は英語母語話者と日本語母語話者がどのように音響的差異を使って音声語彙認識をするか、またアクセント知覚をするかを調査した。まず、音声作成プログラム(Sensyn)を使って、日本語の「雨」と「飴」の音声を作成し、二つの音声の基本周波数の差を開始点と終点で8分割し、9段階の音声刺激を作成した。日本語母語話者には日本語「雨」か「飴」を、英語母語話者には英語でアクセントが第一音節にあるか第二音節にあるかを弁別するように指示をした。米国出身の英語母語話者3名と東京地方出身の日本語母語話者3名が、無作為に提示された9段階の刺激音を10回ずつ聞いて弁別をした。
著者
丘 維禮 細谷 睦 山田 宏治 小南 信也
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SCE, 超伝導エレクトロニクス
巻号頁・発行日
vol.93, no.279, pp.13-18, 1993-10-20

磁束量子パラメトロン(QFP)多数決論理回路の回路規模の拡大について検討した。従来、歩留まり30%を得るには、1つの回路に含まれるQFP数は300以下に制限されていたが、現状の素子特性ばらつき維持しつつ、配線数を減らすことで信号レベルを大きくすれば、回路規模は指数関数的に増大できることが分った。信号レベルがQFPの全出力電流の1, 5の場合(従来:1/8)、10^4個のQFPからなる回路の歩留まりは90%になる。一方、回路遅延は多少大きくなり配線の困難さは増す。本検討結果を基に実用的回路である32ビットの加算器(パイプライン・ピッチ32ps、全遅延176ps)が3200個のQFPで設計できることを示した。