著者
関口 高志 三浦 龍 唐沢 好男
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. B-II, 通信II-無線通信・無線応用 (ISSN:09151885)
巻号頁・発行日
vol.80, no.2, pp.171-181, 1997-02-25
被引用文献数
8

比帯域幅の広い広帯域信号に対応したビームスペース形構成のアダプティブアレーアンテナを提案する. マルチビームフォーマ部は, それを構成する各ディジタルビームフォーミング回路にタップ付遅延線回路を用いて, 広帯域信号を通過できるように構成した. タップ付遅延線回路の荷重係数は, 各ディジタルビームフォーミング回路の位相特性が同一となり, かつ指向特性が周波数にほとんど依存しないように決める. マルチビームフォーマに続くビームセレクタでビームを選択し, それらのビームの線形結合により干渉信号を抑圧する. これらの線形結合係数は適当な適応アルゴリズムで制御する. 提案する構成は, タップ付遅延線回路を用いたエレメントスペース構成のアダプティブアレーに比べて, 制御すべき荷重の数は著しく少ない特徴をもつ. 適応アルゴリズムにCMA(Constant Modulus Algorithm)を用いた計算機シミュレーションにより, エレメントスペース構成に比べて収束が早く, 干渉波抑圧能力も遜色ないことを示す.
著者
佐藤 真琴 田中 博志 津野田 賢伸 高田 雅士 秋田 庸平 伊藤 雅樹
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. RECONF, リコンフィギャラブルシステム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.105, no.451, pp.55-60, 2005-11-24
被引用文献数
10

無線LANや音声・画像処理等, 規格が次々に生まれ, 高い処理性能が要求される分野において動的再構成可能プロセッサが注目を集めている.我々は同プロセッサとして, 性能面積比の向上を狙ったFE-GAの研究開発を進めている.本論文では, Fast Fourier Transform (FFT)のFE-GA向けアルゴリズムの考案, FE-GAへのマッピング, 主演算器利用率と呼ぶ性能評価指標の提案, 及び性能評価を行った.その結果, 2048点FFTに対して乗算器に対する主演算器利用率は96%となり, 本アーキテクチャはFFTに対して性能面積比が高いことがわかった.
著者
半田 拓也 坂井 忠裕 清水 俊宏 篠田 裕之
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. HIP, ヒューマン情報処理 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.112, no.483, pp.13-16, 2013-03-06

筆者らは,3次元形状を視覚障害者にも触覚で伝えられる手法の開発を目指している.従来の点接触型力覚提示装置では,3次元形状の認知に重要な稜線や頂点の触察が困難であるという課題があった.そこで,稜線や頂点の認知のしやすさの向上を目指し,1本の指の腹に5点の刺激点を配置し,それぞれに3自由度の独立した力覚提示が可能な装置を試作した.本装置を用いて,力覚提示する刺激点(力覚刺激点)の数による物体の稜線と頂点のわかりやすさに関し,視覚障害者4名による主観評価を実施した.結果から,従来の1点による場合と比較して,力覚刺激点の数が2点以上で稜線と頂点のわかりやすさに有意な向上がみられ,今回の条件では,力覚刺激点の数が4点のときに稜線と頂点が最もわかりやすくなることが示唆された.
著者
山内 仁 尾崎 公一 佐藤 洋一郎 福田 忠生 小武内 清貴
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. IE, 画像工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.113, no.20, pp.29-34, 2013-04-19
被引用文献数
1

画像の拡大・高解像化のために様々な画素補間手法が提案・利用されているが,より高精度な拡大画像を得る手法についての要求はいまだ根強い.本稿では,画素値をその局所領域のエネルギーとみなし,それを保存する新しい画素補間手法を提案する.まず,画素値が定義されている座標に対して,画像原点とその座標で決まる領域の画素値の積分を定義する.この積分値は,その座標における画素値とその近傍の3つの座標における積分値から決定できる.そして,各局所領域における積分値の分布を,その領域を規定する4座標における積分値を制御点として,B-Spline曲面で補間する.これにより,画素値は完全に保存され,局所領域内の任意の座標における画素値は,その補間曲面の偏微分として得られる.検証実験の結果,従来広く用いられている画素補間手法に比べて良好な画質の拡大画像が得られることを確認した.
著者
山内 仁 尾崎 公一 佐藤 洋一郎 福田 忠生 小武内 清貴
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告 : 信学技報 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.113, no.20, pp.29-34, 2013-04-26
被引用文献数
1

画像の拡大・高解像化のために様々な画素補間手法が提案・利用されているが,より高精度な拡大画像を得る手法についての要求はいまだ根強い.本稿では,画素値をその局所領域のエネルギーとみなし,それを保存する新しい画素補間手法を提案する.まず,画素値が定義されている座標に対して,画像原点とその座標で決まる領域の画素値の積分を定義する.この積分値は,その座標における画素値とその近傍の3つの座標における積分値から決定できる.そして,各局所領域における積分値の分布を,その領域を規定する4座標における積分値を制御点として,B-Spline曲面で補間する.これにより,画素値は完全に保存され,局所領域内の任意の座標における画素値は,その補間曲面の偏微分として得られる.検証実験の結果,従来広く用いられている画素補間手法に比べて良好な画質の拡大画像が得られることを確認した.
著者
佐藤 雄隆 金子 俊一 五十嵐 悟 阿刀田 央一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. PRMU, パターン認識・メディア理解
巻号頁・発行日
vol.97, no.387, pp.137-144, 1997-11-21

基本的な画像処理プリミティブをカスケードに接続した画像処理モジュールのパラメータ最適化および構造(順序)の最適化を同時に行う手法を提案する。探索空間を狭めることなく、しかも処理時間を増大させないために、独自のMF交差法を導入した遣伝アルゴリズムに基づく手法である。また、外的構造を保持したまま内部構造を変化させる周期構造モジュールを提案し、パタメータと構造(順序)の最適化を同時に進行させることを可能にしている。実画像による実験も併せて示す。
著者
中村 勝則 和田 慎二郎 対馬 勝英 山崎 敏範
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ET, 教育工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.93, no.60, pp.45-49, 1993-05-22

外国人の日本語教育(漢字の筆順の教育)を行うために少数のルールより筆順を学べる個別学習システムの構築を目的とした.図形としての漢字を入力すると与えられたルールを用いて筆順を決定するモジュール開発した.このモジュールを用いて予め構築した筆順データベースに登録した漢字に関して筆順の同定率の高いルールを対話的に登録する支援システムを開発した.知識処理技法を有効に利用するためにルールと漢字の筆順の情報構造の設計が重要である.
著者
金田 重郎
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. KBSE, 知能ソフトウェア工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.110, no.61, pp.1-8, 2010-05-20
被引用文献数
3

要求分析におけるモデリングは,対象世界を認識する行為である.従って,モデリング手法の背後には,その手法を開発した民族の認識哲学が反映されている可能性がある.そこで,本稿では,MASPアソシエーションが提唱する「概念データモデリング(CDM)」及び,それを支える米国発の技術「オブジェクト指向」と,米国の哲学「プラグマティズム」との関係を分析する.具体的には,1)「オブジェクト指向」は,パースの「科学の方法」「可謬主義」そのものであり,2)動的モデルによるエンティティの粒度制御は,パースの新カテゴリー論との類似性が示唆される.更に,3)モデル間を行き来するアプローチは,クワイン・デュエムテーゼにより説明される.プラグマティズムへの理解と対比は,オブジェクト指向とCDMを日本人が理解するための一助となるものと考える.
著者
唐沢 好男 篠澤 政宏
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. B, 通信 (ISSN:13444697)
巻号頁・発行日
vol.85, no.1, pp.90-96, 2002-01-01
参考文献数
8
被引用文献数
12

サブバンド信号処理型アダプティブアレー(SBAA)のメリットは分割したサブバンドことに並列信号処理ができることであり, トータルとしての計算量も大幅に軽減できることである.一方, その代償として遅延波の取込み能力などの性能面での低下が免れず, その問題解決が必要である.そこで, 本論文では, OFDM方式のなかで取り入れられているガードインターバル(サイクリックプレフィックス)付加の仕組みを, 通常のデータ伝送に取り入れ, 上記SBAAの性能を極限にまで引き出す方法を提案する.また, その性能を計算機シミュレーションによって評価する.
著者
梅森 佳子
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NLC, 言語理解とコミュニケーション (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.106, no.517, pp.79-84, 2007-01-23

モンタギューの体系化した内包論理(intensional logic)には,その根本に重大な問題が指摘されている.その一つは,可能世界の概念による弱い内包性で,もう一つは,その依拠するタイプ理論である.前者は,命題態度の問題を扱えないという帰結を,後者は無限にして不十分なタイプを,その回帰的手法により生成してしまいうという帰結を生むことになる.本発表では,これら問題点を根本的に解決する意味論の枠組の試みを,名詞表現(固有名詞,一般名詞,名詞句)の分析を通して紹介する.結果として,本枠組は上記の問題点を解消するだけではなく,一般名詞の指示の問題や固有名詞のタイプの問題もうまく扱うことが示される.
著者
斉藤 貞夫 今岡 啓治 藤井 秀幸
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SANE, 宇宙・航行エレクトロニクス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.100, pp.87-90, 2008-06-19

改良型高性能マイクロ波放射計AMSR-Eは、地球観測衛星Aquaに搭載されたマイクロ波放射計である。AquaおよびAMSR-Eは2002年5月4日に打ち上げられた。満6周年を迎えた現在も、致命的なトラブルはなく順調に観測を続けている。ここでは、AMSR-E運用および利用の現状を紹介し、AMSR-Eの観測した地球環境のイベントの一部を紹介する。
著者
栗野 俊一 伊藤 和美 池田 由季 吉開 範章
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告 : 信学技報 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.111, no.363, pp.29-34, 2011-12-17
被引用文献数
2

DDoS攻撃に対する新しい情報セキュリティ対策を具体化するために,コンピュータウィルス感染時のヒトの意識に関する研究を行っている.ウイルス感染時における心理状況は,一種のパニック状態と見なせるが,現在までに報告された例はない.今回,その対策を検討するための基礎データを収集する目的で,ウィルスに擬似感染させる実験を行い,ヒトの心理と行動の特徴を分析したので報告する.
著者
高田 肖往 金井 敦
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ICSS, 情報通信システムセキュリティ : IEICE technical report (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.111, no.495, pp.11-16, 2012-03-09
参考文献数
4
被引用文献数
1

近年,個人情報頬に対する意識が高まり,企業や大学などでは個人情報漏洩防止の対策が行われている.その一方で,ブログやソーシャルネットワークサービス(SNS),なとの普及により個人が手軽に情報を発信する機会が増えたことで,無意識のうちに氏名や所属先などの個人情報が漏れているケースが多く見られるようになった.また,スマートフォンの普及により,ネット上には多くの日常写真が掲載され,位置情報付きの写真から住所が特定される危険性がある.ネットリテラシーの不足や不注意による個人情報漏洩を防止するために,住所が特定される写真を自動的に識別する手法研究の予備的な調査として,ブログ上に掲載されている写真の状況の実態調査を行い,位置情報付き写真から30%以上住所を特定できることを明らかにした。
著者
福添 孝明 伊藤 雅人 水戸 大輔 渡邊 睦
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D, 情報・システム (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.91, no.5, pp.1369-1379, 2008-05-01
被引用文献数
3

生体情報を利用して人物同定を行う手法,例えば指紋や顔画像パターンを情報源とする手法では,拘束状態にて人物同定を行うものが一般的である.こうした拘束型の手法は,高いセキュリティ性能を必要とする場を主に想定して開発されてきた.しかし人物の同定が必要となるのはセキュリティ応用のみならず,例えば講義における出欠管理など様々な応用の場が考えられる.そこで我々は,物理的かつ心理的に拘束する必要がない人物同定手法について提案する.人物同定の手掛りとなる体型や習慣的な挙動を確率分布の形で学習しておき,ベイズの定理に基づく計算式で各時点における各人物の事後確率を算出する.更に時間方向におけるベイズ統合計算結果に基づいて,当該人物の同定を行う.大学院講義を模擬した有用性評価実験を行った結果,被験者15名に対して平均96.7%の人物同定成功率が得られた.
著者
石川 友哉 Wang Yu 加藤 ジェーン
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. HIP, ヒューマン情報処理 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.109, no.471, pp.389-394, 2010-03-08

現在,幼稚園に通う子供たちは非常に多く,1日の大半をそこで過ごしている.幼稚園は家庭とは全く異なる環境であるため,多くの保護者が幼稚園での子供の様子を気にかけている.そこで,幼稚園の日常生活を記録し特定園児の1日ダイジェストを自動生成する手法を提案し,検討する.複数台の監視カメラにより日常生活を記録し,無線タグを併用することで園児の位置情報を得た.そして,幼稚園の日常生活をいくつかのイベントに分け各断片映像がどのイベントを映したものかを識別し,各イベントから均等にダイジェストに加えた.イベントの識別は画像特徴と時間的依存性を利用した.本手法によるダイジェストと一定時間間隔の映像を取り出した単調なダイジェストを比較しイベント識別の有効性を確認した.また,これら2つのダイジェストを保護者に閲覧してもらい,アンケート調査により評価を得た.
著者
日高 睦夫 橋本 義仁 蔡 兆申 田原 修一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会ソサイエティ大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.1995, no.2, 1995-09-05

我々は高温超伝導体のエレクトロニクス応用としてサンプラー回路を提案している。高温超伝導SNS接合はオーバーダンプ接合であるため、我々の提案しているサンプラーはノンラッチング夕イプである。ノンラッチングサンプラーはラッチングタイプに比べて時間分解能が高いことが期待されている。しかし、従来のジョセフン接合を用いたサンプラー回路はほとんどがラッチングタイプであり、ノンラッチンダサンプラー回路の動作確認は未だなされていない。そこで、Nb系の集積回路技術を用いて我々の設計したノンラッチサンプラーの試作、測定を行い回路が正常動作することを確認した。
著者
大木 誠 中嶋 亮輔 岸田 悟
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D, 情報・システム (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.97, no.1, pp.192-203, 2014-01-01

本研究では,大規模ホームセンタにおける短時間労働者勤務表の自動作成及び最適化に関する手法を提案する.短時間労働者の勤務表は,現在人の手により作成されている.勤務表には,勤務時間だけでなく休憩時間や勤務配置場所を明記する必要がある.更に,勤務表を作成するに当たって,考慮する条件が多いことから,勤務表作成には多大な時間と労力を必要とする.そこで本研究では,短時間労働者勤務表の作成者の負担を低減することを目的として,勤務表の自動作成及び最適化の手法を提案する.短時間労働者勤務表の自動作成には,遺伝的アルゴリズムの一種である共存型遺伝的アルゴリズムを用いる.本研究において,特定の休憩時間帯に勤務者が集中する問題が明らかになった.この問題は評価関数を新たに定義することでは解決できなかった.そこで,勤務者の休憩時間帯を調整する手法を提案する.また,共存型遺伝的アルゴリズムではあまり考慮されてこなかった突然変異を導入することにより,最適化の進行を向上させる.
著者
若杉 充 北見 徳廣
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SSE, 交換システム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.95, no.266, pp.13-18, 1995-09-28
参考文献数
6
被引用文献数
5

バックプレッシャアルゴリズム(BPアルゴリズム)を入出力バッファ間に適用した内部高速型ATMスイッチでは、HOLブロッキングによりセルバッファサイズが増大してしまう欠点がある。そこで3つのしきい値を用いて入出力バッファ間を制御してセルロス特性の向上を目的としたアルゴリズムを提案する。本制御方式は従来のバックプレッシャ制御方式と比較して、遅延特性を劣化させることなく、廃棄率特性を改善できることをシミュレーションにより明らかにした。特にバーストトラヒック入力時には、大幅にセルバッファサイズを削減できることを明らかにした。また、本方式の3つのしきい値がそれぞれどのようにセルロス特性に影響を与えるかを明らかにした。