著者
伊藤 昭 松田 健治 石垣 誠 小嶋 秀樹 矢野 博之
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. HCS, ヒューマンコミュニケーション基礎
巻号頁・発行日
vol.98, no.503, pp.15-21, 1999-01-18
被引用文献数
2

自然な対話においては, アイ・コンタクトは不可欠な要素である.しかしながら, これまでその役割はあまり良く調べられてこなかった.そこで我々は, アイ・コンタクトのとれる遠隔対話(TV電話)装置を開発し, 人がどのくらいの精度で視線方向を検出できるのかを本装置を用いて調べてみた.その結果, 人は約4度の精度で視線方向を検出可能であり, これまでのTV電話(会議)システムでは視線が一致しないという印象を裏付た.次に, アイ・コンタクトの効果を調べるため, 様々な条件下で睨めっこ実験を行なってみた.その結果は, 人は視線方向は検出できても, アイ・コンタクトが成立しているかどうかは判断できない, という意外なものであった.
著者
島田 佳門 山田 哲靖 中村 亮一 須永 聡
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SSE, 交換システム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.96, no.61, pp.7-12, 1996-05-24
被引用文献数
1

本稿では、ソフトウェアの再利用と効果的なファイル作成を支援するソフトウエア開発環境について述べる この開発環境は、我々のノンストップサービス拡張型プラットフォームの開発の中で提案されたものである ソフトウェアの再利用性を向上するため、我々のプラットフォームは、基本電話、ISDN、ATM、IN等の種々の通信システムに適用できる。プラットフォーム内のソフトウェア部品も、オブジェクト指向設計手法に基づいて開発されており、簡易に再利用可能である。また、ファイル作成のターンアラウンドタイムを短縮するために、種々のファイル化手法を提案している。これらの部分的ファイル変更手法は、定性的かつ定量的に比較評価する。その結果より、我々のプラットフォームおよびソフトウェア開発環境が有用であることが示される。
著者
石津 健太郎 村上 誉 宮本 剛 フィリン スタニスラヴ チャン ハグエン スン チェン アレムスグド ヨハネス 原田 博司
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SR, ソフトウェア無線 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.109, no.155, pp.43-50, 2009-07-22
被引用文献数
5

本稿では,NICTが開発したヘテロジニアス型コグニティブ無線システムについて述べる.本システムはIEEE1900.4仕様が規定するシステムアーキテクチャに従って構成されており,コグニティブ無線基地局とネットワーク再構築マネージャの機器から構成される.コグニティブ無線基地局は,設定されたユーザプリファレンスとネットワーク再構築マネージャからの指示に基づいて,具備している複数の無線データ通信デバイスの中から,最適なものを選択して接続する.利用者端末はコグニティブ無線基地局を介して,最適な無線アクセス技術(Radio Access Technology),および,最適な無線アクセスネットワーク(Radio Access Network)により,インターネットに接続することが可能になる.本システムは,2009年3月に開催された電子情報通信学会の移動通信ワークショップにおいて実証実験により動作検証を行い,基本機能について確認を行った.
著者
西本 昌彦 戸村 公亮
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SANE, 宇宙・航行エレクトロニクス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.109, no.219, pp.1-5, 2009-10-01
被引用文献数
6

地中レーダを用いて浅い埋設物の同定/識別を行う場合,レーダ応答に含まれているターゲットの特徴を精度よく抽出することが必要となる.パルスレーダでは波形の変化が重要な特徴となるが,使用する送受信アンテナの特性により,計測した波形には歪みが生じる.本研究では,金属板による反射応答を用いて構成した逆フィルタにより波形の校正を行い,計測した応答波形から所望の入射波形に対する応答を再構成する.
著者
桑田 修平 上田 修功 山田 武士
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. PRMU, パターン認識・メディア理解 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.107, no.115, pp.81-86, 2007-06-21
被引用文献数
3

本稿では,ノンパラメトリックベイズモデルに基づくグラフクラスタリング手法を提案する.近年Newmanらは,混合多項分布モデルに基づき,リンク先が類似するノードを同一クラスに分類する,という一般的な仮定のみを用いた,クラスタ構造に関する事前情報を必要としない,汎用的かつ効率的なクラスタリング手法を提案した.しかし,予めクラス数を与える必要があるという問題があった.提案手法は,Newmanらのモデルを発展させ,ノンパラメトリックベイズの枠組でクラスの生成過程をデータの生成過程に含めることにより,クラス数を動的に推定しながらより柔軟なクラスタリングを行うことができる.人工データと実データを用いた実験により提案法の有効性を示す.
著者
三科 正樹 杉浦 彰彦
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. RCS, 無線通信システム
巻号頁・発行日
vol.96, no.530, pp.7-14, 1997-02-20

本研究では、普遍同期方式の微弱電波スペクトル拡散通信方式を用いて、混信の少ない空きTVチャネル帯域の有効利用を検討する。ここでは、放送波中のカラーバースト信号を用いた普遍同期方式を提案し、試作装置により2チャネル帯域を用いた双方向通信を実現する。初めにCATV等の有線系を想定して実験を行い、つぎに無線系において室内電波通信について評価を行う。試作装置を用いて微弱電波データ通信を評価した結果、基準信号送信方式と比較した場合で、約12dB妨害余裕度が向上した。
著者
山口 一太郎 斎藤 建夫 塚田 章 川原田 淳 佐々木 和男
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MBE, MEとバイオサイバネティックス
巻号頁・発行日
vol.97, no.46, pp.33-40, 1997-05-17
参考文献数
7

レーザ組織血流計は無侵襲で簡便に末梢循環状態を連続モニタする機器として広く使用されている.しかし,体動の影響を受け易く,測定範囲・深度が局所に限定され,定量性の面においても問題を残している.本研究では,近赤外レーザ光を用いて局所的な組織血流量を定量的に測定する方法に関する基礎的検討として,まず生体組織に対するモデルとして血液,肝臓,ミルクに近赤外レーザ光を照射しモデル内で散乱したレーザ光の光量分布について検討を行った.次に静脈圧迫等により測定部の血液量を変化させたときに生じる生体内の吸光度変化から組織中のヘモグロビン量を求める装置を試作し,これに定量的組織血流計測に利用されているラバーストレインゲージプレチスモグラフィーや水素クリアランス組織血流計を組み合わせて,簡便に実効光路長を求める方法の可能性について検討した.
著者
漁淵 弘樹 軽部 紘典 鈴木 篤人 小森谷 哲哉 森田 登 上野 貴博
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. EMD, 機構デバイス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.466, pp.57-60, 2009-02-27

電気摺動接触機構は,静止物体から移動物体(回転物体)への電流通電を行なう機構である.そこには機械的に接触する真実接触面が存在し,例えば,モーターの整流子とブラシ間に存在している.しかし,現在においても接触点の解明はされていないのが現状である.そこで本研究では,接触面の発熱および応力による変形に着目し静止状態における実験と解析を行なうことで接触現象解明のアプローチを目的とした.
著者
久保田 将史 斎藤 利通
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NLP, 非線形問題 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.110, no.335, pp.15-19, 2010-12-06

基本的な離散型粒子群最適化アルゴリズム(DPSO)を提案する。同アルゴリズムでは、連続値探索空間を格子点によって離散化し、目的関数を標本化する。そして、離散探索空間に候補解基準を設ける。候補解が見つかった場合は、各候補解の近傍に新たな離散探索空間を生成し、それを細分化して、近似解を探索する。複数の最適解を探索する基本的な問題に対する数値実験を行い、アルゴリズムの有効性を検証する。
著者
石井 啓之
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. OCS, 光通信システム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.111, no.36, pp.29-32, 2011-05-06

2011年3月6日〜10日にロサンゼルス・コンベンション・センターにおいて開催されたOFC/NFOEC2011におけるアクティブモジュール/デバイス関連の発表について報告する。
著者
山口 聖二 伊地知 孝仁 谷本 匡亮 中田 明夫 東野 輝夫
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. VLD, VLSI設計技術 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.104, no.477, pp.1-6, 2004-11-24

本稿では,主に車内通信などに利用されているシリアルバスプロトコルであるCAN(Control Area Network)プロトコルについて,実時間制約検証を効率よく行うことができるよう仕様を抽象化したモデルを提案する.提案モデルでは,メッセージ送信時のバス使用権の取得や通信におけるエラー発生時の処理,クロックサイクル消費の扱いなどの点で抽象化を行う.その結果,実際のシステムでバス上を流れる波形を考慮する必要がなくなるため,検証の高速化を実現できる.`また,静的解析と異なり,具体的なバス通信動作および通信エラー処理をシミュレート可能である.提案する抽象化モデルに基づいて,ユニット毎の動作記述,バスクロック単位での動作確認が可能なシミュレータを試作する.試作したシミュレータを文献[5]の例題に適用し,シミュレーション結果を比較することにより-,提案モデルの有効性を示す.
著者
SHIGESADA Yukihiko KOSHIZUKA Noboru SAKUMURA Ken
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
IEICE transactions on information and systems (ISSN:09168532)
巻号頁・発行日
vol.85, no.3, 2002-03-01

Recently, public computer terminals called "kiosk terminal" become popular in museums. Kiosk terminals explain the exhibitions of the museum by displaying digital contents constructed on the WWW. Generally, existing WWW browsers are used for the browser application for kiosk terminals. However, because existing WWW browsers are designed for the personal usage, there are not suitable for the public usage such as the kiosk terminal in the museum. In this paper, we propose a new browser named "BTRON Kiosk Browser" which can browse digital contents on the WWW and provides suitable user interfaces for the public kiosk terminal. We explain technical problems which are necessary to give suitable user interfaces for the public kiosk WWW browser, and propose our BKB user interface techniques to overcome these problems.
著者
カワン スタント 陳 民 奥島 基良
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. US, 超音波
巻号頁・発行日
vol.95, no.339, pp.1-6, 1995-10-26
被引用文献数
6

超音波診断において、異常生体組織の診断画像の強調や血流診断を目的とした超音波造影剤の研究が注目されている。マイクロバブルの寿命は分散液体中のバブルの浮上及び気体の溶出に依存する。バブルの浮上速度及び気体の溶出によるバブルの消滅過程を検討し、また、マイクロバプルの膜による超音波減衰の周波数特性に関する検討を行った。界面活性剤を材料としたマイクロバブルの作製方法を提案し、マイクロバプルの粒径分布を考慮した上で、実験結果と計算結果の比較によりマイクロバプルの膜のシェル弾性パラメータの値を計算した。ラウリン酸ナトリウムの膜のシェルパラメータは6〜12N/mとなった。
著者
榎本 誠 高野 晃 大谷 淳
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MVE, マルチメディア・仮想環境基礎 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.111, no.479, pp.19-24, 2012-03-05

似顔絵画家(研究者)自身が似顔絵を制作する過程を内観的に考察し、それを論理化してプログラミングすることで「自動似顔絵ソフト」を開発した。入力画像をトレースすることなく、特徴を解析して顔の分類ができることで、文字やイラストなど様々な変換が可能となった。本システムは入力画像とのアナロジーに束縛されないので、画家の意図する大胆なデフォルメが可能である。また、必要な特徴抽出点をわずか25ポイントに抑えた。
著者
緒方 正人 梶原 景範 藤野 勝
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. CPSY, コンピュータシステム
巻号頁・発行日
vol.93, no.436, pp.9-16, 1994-01-25
被引用文献数
2

従来から,航空機の離着陸訓練を行うフライトシミュレータの視界発生にビジュアルシステムが用いられていた.近年、離着陸等定形的な訓練以外に,軍用システムにおいて、実際の作戦を予行する機能(ミッションハーサル)が要求されるようなった.この用途に用いるビジュアルシステムは従来の機能に加えて,実在する地域の地形及び模様GST(Geo-specific texture)をリアルに表現する機能が必要である.GST機能の実現においては,広い覆域(Gaming Area)を高分解能で表示可能なH, Wを,いかに小さく実現できるかが問題であった.GST機能を持つビジュアルシステムのビデオプロセッサ(VP)の試作を行ったので、このVPのアーキテクチャ(主に並列処理、パイプライン処理)に関して述べる.また,VPが小規模のH/W規模で実現できたことを示す.
著者
長谷川 浩史 張 貽とう 高橋 秀也 重田 和夫 志水 英二
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会ソサイエティ大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.1995, 1995-09-05

我々は,先に濃淡画像のテンプレートマッチングを用いた顔画像識別について検討を行い報告を行ってきた.その結果,識別のミスマッチの大きな要因は,照明環境を一定とした場合に,顔の傾き,髪型や化粧などによるパターンの変化にあることを明らかにした.これらの要因に対処するために,顔を補助器を用いて固定する.髪型などの変化を許容しない,又は,髪を手でかき分けてチェックを受けるなどの手法が用いられているが,あまり適切なものとは考えられない.筆者らは,パターンの変化には,変化したパターンをも学習しておくことが識別などのシステムでは,まず重要であると考え,多様に変化した顔画像を学習させた識別を検討することにした.本稿では,適応的ファジィクラスタリングネットワークを用いて髪型を変えた顔画像と変えない画像を学習させ,識別する手法について述べる.
著者
堀本 浩 猪股 俊光
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. CST, コンカレント工学
巻号頁・発行日
vol.97, no.507, pp.21-28, 1998-01-23

本研究ではペトリネットと線形論理の対応関係について考察し, ペトリネットの解析・設計を行うための直観主義的線形論理ILL^*ならびに両者の間の変換規則を定めた. その結果, ペトリネットにおける可達問題が, ILL^*のもとではある論理式が証明可能性の問題と同値であることが示された. また, 対象とする並列システムの仕様をILL^*の論理式で与えたとき, それに基づきながらペトリネットを構成する方法を考案した.
著者
石原 啓子 平石 邦彦
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. COMP, コンピュテーション
巻号頁・発行日
vol.96, no.585, pp.41-50, 1997-03-17

最近、線形論理とペトリネットとの間の関係を調べる研究がされており、種々の結果が得られている。線形論理はresource consciousな論理であるということより、むしろ並行性を表すのに非常に有効な論理であると考えられている。線形論理において、ペトリネットのplaceとtransitionはそれぞれ論理式と証明可能性に関係づけられる。EngbergとWinskelは、直観主義線形論理のモデルとして、直接ペトリネットからquantaleを生成することにより双方の関係を調べた。彼らは、このペトリネットより生成されたquantaleに対する、直観主義線形論理の健全性を示したが、完全性の証明は示していなかった。ここで我々は、ペトリネットよりquantaleを生成する新たな方法を示し、直観主義線形論理の完全性を証明した。
著者
黒田 航 井佐原 均
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NLC, 言語理解とコミュニケーション (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.105, no.204, pp.47-54, 2005-07-16
被引用文献数
4

現行の多くの概念分類体系には不備がある.その一つが意味型の概念と意味役割の概念の区別の不在である.意味型は自然類をコードするが, 意味役割はそうではない.意味役割は典型的には(利用者にとっての)機能類をコードする.非自然類が疑似的に自然類として分類されると, 分類に欠損や歪みが生じる.例えば日本語語彙大系では「番犬」と「番人」の共通性[番をする者]が表現されていない.この種の表現力の不足を補うための枠組みを, 私たちは意味役割の一般理論の観点から素描する.