著者
島崎 誠彦
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会総合大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.1997, pp.464-465, 1997-03-06
被引用文献数
1

情報通信倫理研究専門委員会のご活動については、その全貌現況を記述した資料[1]が昨夏の1996年基礎・境界ソサイティ大会講演録の中にも発表されている。又、最近、米国べースの同分野の学会 IEEE の1997年会員証と一緒に同学会の同類資料[2]が配布されてきた。[1]にはその他の情報処理領域の学会の動きも報告されている。他方、情報/メディア関連の法律規定・行政的規制についても、国際的、国内的に色々な議論・検討がなされているが、これらは倫理的規定と整合/補完関係にあるべきものであろう。
著者
柴田 里程
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. A, 基礎・境界 (ISSN:09135707)
巻号頁・発行日
vol.83, no.6, pp.605-611, 2000-06-25
被引用文献数
4

Kullback-Leibler情報量に基づく様々な統計的モデル選択基準についてその特徴を比較するとともに, 目的によって使い分けることの重要さを指摘する.また, 漸近近似に依存する基準に関しては, その近似の有効性が重要であることを例示し, 特に離散値に対するモデルに関しては, 漸近近似に頼らない方法, 例えばブートストラップ法を用いてKullback-Leibler情報量を推定する必要があることを示す.
著者
柏 大 藤木 直人 谷本 茂明
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. CS, 通信方式 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.99, no.13, pp.1-6, 1999-04-19
参考文献数
9

無線ネットワークの発達や携帯端末の小型化により、モバイルコンピューティング環境が整備される一方で、広域バックボーンネットワークの高速化、広帯域化も進んでいる。今後、様々なリソースがネットワーク上から利用できるようになることを考えると、リソースの持ち運びを制限されたモバイルコンピューティング環境下では、広域ネットワーク上のリソース利用によって快適性が更に向上すると考えられる。本稿では広域ネットワーク上のリソースを利用するために必要な、所望リソースを発見し、利用するためのリソースナビゲーション手法を提案する。更に、プロトタイプシステムの構築により提案手法の具現化イメージを示すとともに、実際の利用場面を想定したシミュレーションを行うことにより、ナビゲーションの的確性に関する有効性を示す。
著者
大澤 隆 東 知輝 藤田 勝之 池橋 民雄 梶山 健 福住 嘉晃 篠 智彰 山田 浩玲 中島 博臣 南 良博 山田 敬 井納 和美 浜本 毅司
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SDM, シリコン材料・デバイス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.103, no.260, pp.23-28, 2003-08-15

Floating body transistor cell(FBC)と名づけたセルサイズ0.21μm^2のSOI上の1トランジスタゲインセルを使った288Kbitメモリ設計について紹介すると同時に、セルの基本特性とこのメモリチップの性能に関する評価結果を述べる。メモリアレー内の"1"データセル及び"0"データセルの閾値電圧をdirect access test circuitにより測定した。また、96Kbitアレーのフェイルビットマップも取得することが出来た。センス方式はプロセスや温度の変動によるセル特性のばらつきをcommon mode noiseとして補償しキャンセルするように設計されている。このセンスアンプの動作が確認出来、100ns以内のアクセス時間を達成することが示された。データ保持時間の測定から将来の混載DRAMのメモリセル候補として有望であることが実証された。
著者
久野友 貴人 山本 圭一 上野 修平 山田 雅也 山崎 敏正
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MBE, MEとバイオサイバネティックス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.112, no.479, pp.75-78, 2013-03-06

本研究のサイレントスピーチBCIは、Learning phase とDecoding phase で構成される。 Learning phase では、被験者(健常者10名)は画面上に提示された「グー」「チョキ」「パー」の線画を手掛かりに「グー」「チョキ」「パー」のいずれかを発話した。その際、計測された脳波データに対してICAとダイポール推定を行い、ダイポールが運動野、運動前野、補足運動野あるいはブローカ野に推定された脳波データを抽出した。同時に計測された音声データと抽出された脳波データからKalman Filterモデルを構築した。Decoding phaseでは、同様のタスクをサイレントスピーチで行い、その時の脳波を測定した。その後、Decoding phase時に測定された脳波を、Learning phaseで構築された「グー」「チョキ」「パー」それぞれのKalman Filterに入力することで、サイレントスピーチ時の音声データを予測した。予測された音声データの第一および第二ホルマント周波数から母音の予測をし、サイレントジャンケンの予測および識別を試みた。サイレントジャンケン分類器の性能はconfusion matrix によって評価された。
著者
小田 哲 中山 心太 上西 康太 木下 真吾
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. IN, 情報ネットワーク (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.111, no.409, pp.35-40, 2012-01-19
被引用文献数
1

Hadoopの登場により、安価なハードウェアを用いて大規模なデータに対する高度な分析手段が普及しつつあり、その分析の精度および速度がビジネスの成否を分けるようになってきた。すなわち、大規模かつ高度な分析をリアルタイム化することが重要となる。そこで我々は大規模かつ高度なリアルタイム分析のための分散機械学習フレームワークJubatusをPFI社と共同開発した。Jubatusのゴールは、(a)オンライン機械学習アルゴリズムなどの分析処理をスケールアウトするように分散処理できること、(b)これらの分散処理をアルゴリズム間で共通化すること、(c)これらの分析処理を容易に試行錯誤しながら利用できるようにすること、の3点である。我々は(a)に関してJubatusに高度な分析をスケールアウトさせるための仕組みとして一貫性要件を緩和したmixというデータの同期機構を組み込み、そのスケールアウト性を確認した。本稿ではmixの特徴について解説し、一貫性要件の緩和の程度について検証する。
著者
相葉 孝充 若林 知敬 古川 眞一 小山田 弥平
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. OFT, 光ファイバ応用技術 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.109, no.255, pp.11-16, 2009-10-22
参考文献数
9

屈曲性と耐熱性を考慮したSI-HPCFコードを用いた高速伝送の可能性を検証する為に伝送特性の評価を行った.伝送帯域評価では複数の励振状態における伝送帯域の距離依存性を評価し、併せて曲げ特性と温度特性も評価した.また伝送帯域はシミュレーションモデルと実測値の比較を行い一致することを確認した.更に限定モード励振で1Gbpsにおける伝送実験を行い、ファイバ長20mにおいて良好なアイパターンとパワーペナルティ0.4dB以下という結果が得られ、SI-HPCFコードを用いた1Gbps伝送が可能であることを確認した.
著者
今井 繁 長尾 智晴
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. AI, 人工知能と知識処理
巻号頁・発行日
vol.98, no.58, pp.59-66, 1998-05-21
被引用文献数
3

自動作曲を人間が作曲を行うための補助的なものと考えると, 作曲のための素材として, バラエティに富む多様な曲を人間に対して提供することが必要となると考えられる.以上の考えに基づき, ランダムな音符列を遺伝的アルゴリズム(GA)により一般的な音楽理論に適合させていくという手法を用いて作曲を行った.その際, コード進行とメロディを決定する双方のプロセスに対してGAを適用した.また, 生成された曲に対する人間の主観評価実験を行ったところ, 本手法により定めた適応度関数は人間の評価を的確に反映していることを確認した.
著者
黒河 昌起 山本 健
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. US, 超音波 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.113, no.412, pp.5-7, 2014-01-20

超音波が微生物の破壊に用いられることはよく知られているが,その機構は未解明な点が多い.本研究では,微細生物であるChaetoceros calcitrans, Chaetoceros gracilis及びNannochloropsis sp.の懸濁液に,周波数が20kHz,400kHz,1.0MHz,2.2MHz,3.3MHz及び4.3MHzの超音波を照射することにより,破壊効率が周波数に依存することが分かった.Chaetoceros calcitrans, Chaetoceros gracilis及びNannochloropsis sp.の超音波処理で,最も高効率を示した周波数はそれぞれ3.3MHz,2.2MHz及び4.3MHzであった.微生物破壊の周波数依存性は,微生物細胞と超音波によるキャビテーション気泡の物理的な相互作用に起因すると考える.
著者
宮森 恒 粕谷 英司 富永 英義
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-情報処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.80, no.6, pp.1590-1599, 1997-06-25
被引用文献数
32

本論文では, 動作語を用いた問合せを受け付ける映像検索方式を提案する. 提案方式は,「だれだれが〜するシーンを検索せよ」といった動作に関連した問合せと, それが暗示する物体の位置関係とその時間変化に着目し, これを動き関連の言葉と階層的に対応づけ, 照合することによって映像の内容検索を実現するものである. 本方式は, 物体の近似手法により種々の映像へ適用可能と考えられ, 単純なキーワード検索ではカバーしきれない映像の内容にまで踏み込んだ内容検索機能をユーザに提供できる点が特徴である. ここでは, テニス2試合90ポイント分の中継映像を例とし, 映像インデキシングの自動化・半自動化が比較的容易に行えること, テニスの動作判定に不可欠なボールのインパクト時刻の検出に, 前/後方選択型の速度ベクトルが効果的であることを実験的に示した. また, テニスの中継映像を用いた検索実験によって, 定義した10の動作語について全体として4.8%の検出誤り, 1.9%の検出もれといった結果が得られ, 提案手法によって映像の内容検索が有効に実現できることを示した.
著者
蟹沢 直樹 岩井 俊哉
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NLP, 非線形問題 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.442, pp.89-94, 2009-02-21
被引用文献数
1

ダイナミカルノイズを付加した自己想起型カオスニューラルネットワークの想起の動的性質を数値的に調べ、次の結果を得た。パラメータ空間が記憶パターンを非周期的に想起して巡る遷移状態とホップフィールドモデルのような静的な想起の状態に分かれる。ノイズのない場合にその境界で見られる記憶パターンの想起頻度の乱れが、ノイズを付加することにより消える。この現象のノイズ強度依存性を調べたところ、適度のノイズで乱れが最も小さくなる確率共鳴的な性質が見られた。また、記憶パターンを想起したときの位相空間での点の集合の広がりは静的な想起のスケーリングパラメータの値の増大にともない減少することがわかった。これは、そのパラメータが大きくなるとホップフィールド的な静的な想起の状態へ近づくため、位相空間上での軌道の乱れが減少するためと推測できる。また、この効果はノイズ強度が大きいほど強いことがわかった。
著者
堅田 尚郁 西村 治彦 合原 一幸
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NLP, 非線形問題 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.100, no.381, pp.45-52, 2000-10-13

弱い信号に対する非線形システムの応答性がノイズの存在下で増強される現象として, 確率共鳴(Stochastic Resonance:SR)が知られている.我々は, これまで, ニューロン集団系が自己連想記憶型のネットワークを構成し記憶パターンを有する場合のSR的現象について考察してきた.本研究では, 白色ノイズをともなうニューロンによる場合の確率共鳴現象について, ニューロン数が3個と156個の場合の記憶モデルを取り上げ, そのシミュレーション実験の結果を報告する.
著者
佐川 浩彦 酒匂 裕 大平 栄二 崎山 朝子 阿部 正博
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-情報処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.77, no.4, pp.753-763, 1994-04-25
被引用文献数
58

聴覚障害者と健聴者のコミュニケーション支援を目的として,手話通訳システムの開発を行っている.手話通訳システムでは手話から日本語への変換を行うために,手振りの情報からその中に表現されている手話単語を認識する必要がある.本システムでは,データグローブから入力した手話パターンと,あらかじめ登録してある手話単語パターンを音声認識で一般的な連続DP照合を用いて照合することにより,手話単語を認識する.しかし,データグローブからの入力データ量が多いため,通常の連続DP照合ではリアルタイムな認識が困難になる.そのため,手話パターンの動的な特徴に基づいたパターン圧縮を行い,圧縮パターン同士を直接照合する圧縮連続DP照合を開発した.本方式の有効性を検証するため,単語数17語の連続手話認識実験と単語数620語を用いた大語い手話単語認識実験を行った.この結果,従来の連続DP照合の認識率と比較して精度の低下がなく,認識時間としては実測で約1/16に短縮できることが確認できた.更に,大語い認識実験においても98.7%の認識率が得られ,本方式の有効性を確認できた.
著者
林田 尚子 石田 亨
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-I, 情報・システム, I-情報処理 (ISSN:09151915)
巻号頁・発行日
vol.88, no.9, pp.1459-1466, 2005-09-01
被引用文献数
18

従来の機械翻訳システムは, トランスペアレント(透明)であるべきだという考えに基づいて, 翻訳精度を尺度として技術開発が行われてきた. しかしながら, 翻訳誤りは今日に至っても無視できないほど大きく, 機械翻訳システムをトランスペアレントな伝送路とみなすことはできない. 本研究では, 機械翻訳システムをエージェントとして陽に意識し, インタラクティビティ(相互作用性)という新たな評価尺度を提案する. また, その第一歩として利用者のリペア(翻訳に適した文章への修正)支援機能を取り上げ, 実現された場合の性能予測を行った. 具体的には, 折返し翻訳, 強調表示, 修正教示機能を提案し, 各機能の効果の上限を調べるための実験を行い, 以下を明らかにした. (1)折返し翻訳結果と英語翻訳結果と同時に提示することが有効である. (2)強調表示機能は, ユーザが修正個所を特定するのに有効である. (3)修正教示は強調表示と同時に与えることで, リペアに大きな効果をもたらす. また, 現状の自然言語処理技術を適用し上記機能を実現するための方向性を示した.
著者
中島 慶人
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. IE, 画像工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.105, no.285, pp.55-60, 2005-09-08
被引用文献数
2

電気所構内の充電部への不用意な接近は, 人身事故につながるため監視が重要である.しかし, 目視による監視は, コストなどの制約から作業時などの特別な場合に限られる.既に電気所構内には多数の監視カメラが設置されているが, 電気所の無人化などに伴いその数が増える傾向にある.そこで, 既存監視カメラの有効活用の一つとして, 充電部等への人物の接近を実時間で監視する画像処理方式を提案する.機械学習による人物判定を取入れた人物検知は, 一般に画像全体を検索するため高速な処理が困難である.本論文では, 充電部等の監視領域が既知であることに着目し, 処理する画素を限定することで高速に人物検知を実現する方式を示し, 実験結果によりその有効性を示す.
著者
一村 信吾 中村 健 黒河 明 野中 秀彦 村上 寛
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. CPM, 電子部品・材料
巻号頁・発行日
vol.97, no.220, pp.13-18, 1997-08-04

高純度のオゾンを供給できるオゾンビーム発生装置を用いて、極薄シリコン酸化膜の形成におけるオゾンの効果を検討した。加熱清浄化によって得たSi(111)及びSi(100)面をスタート表面として、高純度オゾンによるシリコンの酸化を酸素分子による酸化と比較した。酸化に伴うシリコン表面の変化は、X線光電子分光法(XPS)によるOls強度変化、Si2pの形状変化、ならびに2倍高調波発声法(SHG)の強度変化で調べた。これから、オゾンがシリコン表面で解離して生成する原子状酸素が、高い反応確率でシリコンのバックボンドに挿入し完全性の高いSi-O-Siネットワークを形成するというオゾン酸化の特長を明らかにした。
著者
クレイセル ベルネル 瀬崎 薫
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. IN, 情報ネットワーク (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.104, no.564, pp.13-18, 2005-01-13

ユーザが保持する端末群によって自律分散的に構築される無線マルチホップネットワーク(モバイルアドホックネットワーク)では, 各端末の移動によりネットワークトポロジの変化が頻繁に発生する. そのため, 各端末が自律分散的に経路制御を行うことが困難となり, 現在まで経路制御手法に関して多くの研究が行われている. そのような背景の下, 近年, 各端末及びその隣接端末の位置情報に基づいてパケットの転送先を決定する, いわゆる地理情報を用いた経路制御手法に注目が集まっている. 従来提案されている多くの地理情報を用いた経路制御手法では各隣接端末の現在地情報を用いるが, 本稿では新たに隣接端末の将来位置を用いた経路制御手法を提案する. 移動軌跡の実データに基づいた予測アルゴリズムによって算出された将来位置を経路制御に利用することにより, 従来に比してさらに信頼性の高い経路制御手法が可能となる. 本稿では, さらに計算機シミュレーションによって, これらの優位性について検証を行う.
著者
田口 誠 濱住 啓之 伊藤 泰宏 渋谷 一彦
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. EMCJ, 環境電磁工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.106, no.579, pp.29-32, 2007-03-02
被引用文献数
3

緊急警報放送とは、これに対応した受信機を自動的に起動し、地震や津波などの災害情報をお知らせする放送システムである。この仕組みは、地上デジタル放送におけるワンセグサービスにも備わっている。緊急警報放送によってワンセグの受信端末を自動的に起動するためには、TMCC(Transmission and Multiplexing Configuration Control)信号に含まれる緊急警報放送用起動フラグを常時監視する必要があるため、そのための回路の付加によるワンセグ端末のバッテリの消耗を低減することが課題となっていた。今回、従来からOFDM信号の復調に使用されている高速フーリエ変換を使わずに、緊急警報放送用起動フラグが含まれるTMCC信号を簡易な回路で復調およびダイバーシティ合成することで良好な受信特性が得られることを確認した。また、ワンセグのチューナ部を起動フラグの受信タイミングに合わせて間欠的に動作させることで消費電力を低減できる見通しを得た。
著者
安永 守利 吉原 郁夫
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-I, 情報・システム, I-情報処理 (ISSN:09151915)
巻号頁・発行日
vol.88, no.5, pp.915-929, 2005-05-01
被引用文献数
17

VLSI実装基板において, 配線上を伝搬する超高速信号の信号品質を向上することが重要な課題となっている.特に, クロック信号はディジタル電子機器の基本同期信号であり, 高い信号品質が望まれる.本論文では, 信号品質を向上させるための新たな伝送線構造である「セグメント分割伝送線」を提案する.セグメント分割伝送線は, 独立した特性インピーダンスをもつ複数のセグメントからなる伝送線である.複数セグメントの特性インピーダンスの不整合により発生する反射ノイズを重畳することにより, 伝送線上の注目点における信号を整形し, 信号品質を向上することが特徴である.セグメント分割伝送線の設計では, 複数セグメントの特性インピーダンスの最適な組合せを求める必要がある.この設計のために, 遺伝的アルゴリズムを適用する.また, その効率的な進化を実現するための新たな交差方法である「部分空間交差法」を提案する.更に, この新たな交差法に基づく遺伝操作を用いたセグメント分割伝送線の設計支援システムを開発する.開発した設計支援システムを用いて実際の実装基板上のメモリモジュール配線を設計し, 従来手法との比較評価を行い, その有効性を示す.
著者
杉本 雅則 楠 房子 稲垣 成哲 高時 邦宜 吉川 厚
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-I, 情報・システム, I-情報処理 (ISSN:09151915)
巻号頁・発行日
vol.85, no.12, pp.1152-1163, 2002-12-01
被引用文献数
8

筆者らはこれまで,RFID技術を用いたセンシングボードを用い,物理世界と仮想世界とを融合することによるface-to-faceでのグループ学習支援システムを構築してきた.このシステムを用いた実践から,コンピュータの使用が苦手な学習者でも容易に学習に参加できる,教科書等を通して得た知識を物理世界で試せる,などの点で有効であることを示せた.しかし,発言の場においてリーダーへの依存が強くなる点や,より本物性の高い設定での学習支援ができないか,などの点も指摘されていた.そこで,本論文で提案するシステムでは,学習者のグループが互いにface-to-faceで話し合えないよう,複数のセンシングボードを別の場所に配置した.そして,各ボード上での操作が互いに影響を及ぼし合うよう,それらをネットワークでつないだ.グループ内の学習者はボードを囲みながらface-to-faceで問題を解決するとともに,別のグループの学習者とは,チャットシステムを介して交渉を行う.小学校の授業の中で,都市設計と環境問題の学習を学習者に行ってもらい,提案システムの有効性を検証した.