著者
デロワ オリビエ 金子 正秀 原島 博
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. A, 基礎・境界 (ISSN:09135707)
巻号頁・発行日
vol.80, no.8, pp.1332-1336, 1997-08-25
被引用文献数
10

「顔空間」は, 顔の形状情報と濃淡情報の各々に対する主成分分析によって得られた固有ベクトルで構成される多次元空間である. 人間のひとりひとりの顔は, 顔空間中の1点によって表現される. 本論文では, 顔空間の考え方を用いて, あるひとりの人物の顔を, 特定の属性をもった顔画像群に基づいて構成された部分空間へ射影することにより, その人物の顔に最も近い, 当該属性をもった顔画像を生成する方法について述べる. これにより, 人種, 性別, 年齢などの顔特徴を変更することが可能になる.
著者
小林 弘一 本郷 廣平 田中 五輪男
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. B-II, 通信II-無線通信・無線応用 (ISSN:09151885)
巻号頁・発行日
vol.81, no.9, pp.863-871, 1998-09-25
参考文献数
7
被引用文献数
6

複雑な形状物体からの散乱界あるいは散乱断面積を効率的に行う計算法は, レーダ等の電波システムを利用する分野では必要不可欠な評価ツールとなる.本論文では, 物体の表面を表す方法として2次曲面近似を利用し, この2次曲面を四角形又は三角形の区分で物体を分割表示して, 物理光学法による平面波入射の遠方散乱界を求めている.この計算法によれば, 曲率を考慮しつつFresnel積分の漸化式で放射積分を解析的に解くことが可能であり, 波長に比べて大きな物体に対して効率的で機械的な計算が期待できる.だ円体等の3次元モデルに適用した結果, 物理光学積分を直接数値積分した結果とよく一致していることが確認された.
著者
嶋田 邦昭 松本 安英
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ICM, 情報通信マネジメント (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.110, no.119, pp.79-84, 2010-07-01

IT投資全体の7割もの費用が投入されているといわれるアプリケーション/運用保守コストを削減するためには,時間を要しているインシデント管理の障害原因の迅速な特定が重要である.従来の重要語抽出と決定木の機械学習を用いた障害原因推定手法では,エラーメッセージが過去事例に記述されていない場合には特定率や特定精度が低いという課題がある.そこで,障害原因切り分けの証拠情報を正規化して入力し事例にタグとして付加することにより,障害原因の特定率と特定精度を高める手法を提案する.実際にアプリケーションの保守を行う現場のインシデントで評価した結果,特定率が63%に向上した.
著者
藤田 昌彦 雨海 明博
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NC, ニューロコンピューティング (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.100, no.191, pp.1-5, 2000-07-11
被引用文献数
8

視覚的に提示された刺激は一定時間, 瞬時記憶に蓄積されると考えられている.100msを超えると急速に減衰し, 約200msで消失する.減衰前に提示された刺激は空間的に構造をもつ刺激と知覚されることが知られている.そこで我々は眼球運動の最中に縦一列の発光ダイオードを適時点灯させて網膜上にドットパターンを描いてその識別を問うた.問題は, サッカード抑制といわれるような視覚抑制機構が働くのか, 場所知覚が歪むのか, 眼球静止時と異なる統合時間帯を持つのかという諸点である.暫定的な結果では, 視覚抑制はないこと, 知覚場所に歪みはなくパターンが正しく知覚できることを示した.統合の時間が眼球運動最中は長い傾向を見出したが, これは用いたパターンが部分から容易に全体が推定できるものであったことによると思われる
著者
坂口 浩章 川端 勉
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. A, 基礎・境界 (ISSN:09135707)
巻号頁・発行日
vol.80, no.12, pp.2155-2163, 1997-12-25
被引用文献数
16

Willems らにより提案された文脈木重みづけ(CTW)法は, データ圧縮の標準的モデルである木情報源を計算効率良く, パラメータ未知モデル未知の条件下において2次の意味で最適に圧縮する確率推定法である. 本論文では CTW 法をこれまで未考察であった非定常情報源へ適用することを目的とし有限窓を用いた忘却機構を有する圧縮アルゴリズム(FWCTW 法)を提案する. まずCTW 法一般についてその多様な実現問題への鍵となる劣確率性の保存に関する一補題を与え, それを用いて FWCTW 法の実現の正当性を示す. 次に, 定常無記憶情報源の場合について, 冗長度は窓の長さに関し漸近最適性をもつことを示す.ー般の区分一定な非定常木情報源への適用に対する有効性を実験により示す.
著者
井坂 史人 藤掛 英夫 村重 毅 佐藤 弘人 菊池 宏 栗田 泰市郎 池畑 誠一郎
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. C, エレクトロニクス (ISSN:13452827)
巻号頁・発行日
vol.86, no.8, pp.962-965, 2003-08-01
被引用文献数
4

大きなチルト角をもつ強誘電性液晶に,異方性化した微細なポリマを分散することにより,液晶分子を配向膜のラビング方向に単安定化させることができた.光重合相分離法により10wt%のポリマを液晶中に分散し,ポリマのアンカリング効果を発現させることにより,高コントラストな階調表示を可能とする単安定性の分子配向挙動が認められた.
著者
櫨山 寛章 金海 好彦 三宅 喬 山本 成一 長谷部 克幸 河合 栄治 小林 和真
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. IA, インターネットアーキテクチャ (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.109, no.208, pp.29-36, 2009-09-18

現在,情報通信研究機構テストベッド推進グループ(SPARC)では,超高速・高機能研究開発テストベッドネットワーク(JGN2plus)の物理ICTインフラストラクチャを構成する資源を仮想化し,仮想ICTインフラストラクチャとして実験利用者に提供するJGN2plus仮想化技術テストベッド(JGN2plus IaaS)の構築を進めている.平成20年度に実施したJGN2plus IaaSのテスト構築及び札幌雪まつりなどでのテスト実験を通し,JGN2までで実施してきた従来型の物理ICTインフラストラクチャスライス(Physical ICT Infrastructure Slice:PIIS)提供とその運用管理に比べ,仮想インフラストラクチャスライス(Virtual ICT Infrastructure Slice:VIIS)提供と運用管理は運用面での負荷が高いことが浮き彫りとなった.そこで,本稿ではJGN2plus IaaSでのVIISの資源割り当ての負荷を下げることに着目し,仮想資源割り当てメタシステムの設計に関し議論を行う.
著者
島 研介 酒井 哲弥 和田 朗 山内 良三
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. OPE, 光エレクトロニクス
巻号頁・発行日
vol.98, no.472, pp.13-18, 1998-12-15
被引用文献数
22

長周期ファイバグレーティングにおいて, グレーティング中の任意の位置に任意の位相シフトを導入した位相シフト型長周期ファイバグレーティングの損失波長依存性について理論的に検討を行なった.続いてグレーティング中の一箇所においてグレーティングの間隔を変化させる方法で位相シフト型長周期ファイバグレーティングを試作し, その損失波長依存性について実験的にも確認した.位相シフト型長周期ファイバグレーティングをエルビウムドープファイバ増幅器の利得等化器に応用し, 単一の部品で波長24nmの広帯域において利得平坦度0.2dB以下を実現した.
著者
渡辺 哲也 渡辺 文治 藤沼 輝好 大杉 成喜 澤田 真弓 鎌田 一雄
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-I, 情報・システム, I-情報処理 (ISSN:09151915)
巻号頁・発行日
vol.88, no.4, pp.891-899, 2005-04-01
被引用文献数
15

重度視覚障害者のコンピュータ利用を支援するスクリーンリーダには「詳細読み」という読み方が装備されている.これは, コンピュータで取り扱う文字を音声で一意に特定させるため, 各文字にそれぞれ異なる説明的な表現を割り当てたもので, 特に同音の漢字の区別に必須である.この詳細読みの一部にもとの漢字を想起しづらいものがあるという問題が提起されてきた.そこで, まず既存のスクリーンリーダ4種類から教育漢字1006字の詳細読みをテキストに書き起こし, その構成と語彙の観点から, もとの漢字の想起を困難にする要因を考察した.次に, スクリーンリーダを児童が利用した場合の問題を探るため, 詳細読みを聞いて想起した漢字を書き起こさせる実験を小学校で行った.その結果, 8割以上の詳細読みは50%以上の正答率を得た.他方で50%未満の正答率となった詳細読みを, 同じ漢字で正答率の高かった読みと比較・検討したところ, 児童の語彙範ちゅうにない説明語の使用が最も大きな要因であることが分かった.誤答の要因として次に多かったのは, 同音異字のある説明語の使用であった.
著者
山元 敬之 二宮 洋 浅井 秀樹
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NLP, 非線形問題
巻号頁・発行日
vol.96, no.434, pp.131-137, 1996-12-19

本研究では,立体パズルをニューラルネットワークを用いて解くアルゴリズムを提案する.ここで,立体パズルとは,形の異なる複数のブロックをあらかじめ定められた直方体に組み合わせる問題である.本報告では,平面パズルを解く手法として提案されたタイリングアルゴリズムを拡張,応用する事を考える.タイリング問題とは,有限の升目上に隙間なくポリオミノを敷き詰めていく問題である.はじめに従来のタイリングアルゴリズムについて検討する.次に我々は,これまでのタイリングアルゴリズムで使用されたエネルギー関数を,立体パズルを形成する個々の立体ブロックの重複度や接触度を定式化したエネルギー関数に修正する.最終的に,このエネルギー関数を用いたアナログニューラルネットワークに基づく立体パズルの解法を提案する.
著者
窪田 悟 澤 裕記 山川 正樹 中村 芳知 城戸 恵美子
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. IE, 画像工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.105, no.610, pp.65-70, 2006-02-13
被引用文献数
1 12

テレビの観視条件の実態調査結果に基づいて観視条件を設定し,テレビ映像に要求される黒レベルの輝度(黒輝度)と,まぶしさ感から見たピークの白レベルの輝度(白輝度)の上限値について,主観評価実験により検討した.テレビ映像に要求される黒輝度Lb(cd/m^2)は,画面照度Ei(1x)の関数として,Lb=0.112×Ei^<0.42>で表されることを示した.まぶしさ感から見た白輝度の上限値については,まぶしさを感じ始める輝度をLw(cd/m^2),順応輝度をLa(cd/m^2)とすると,Lw=k×La^α(kは定数)というべき関数で表現できることを示した.そして,べき数αを65歳以上の高齢者に対して0.26〜0.35,20歳前後の若齢者に対して0.35〜0.43に設定すると,それぞれの年齢層の視覚特性に応じた明るさ制御が可能であるとした.
著者
荻野 雅敏 瀧 剛志 北島 章雄 尾倉 芳昌 宮崎 慎也 長谷川 純一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MVE, マルチメディア・仮想環境基礎 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.104, no.390, pp.31-35, 2004-10-21
被引用文献数
1

ボブスレーは滑走コースを利用できる期間が冬季に限定されるため、シミュレーターを利用したトレーニングの実現に大きな期待が寄せられている。そこで、本研究では6軸電動アクチュエータ式の動揺装置(モーションベース)と4面構成の大型スクリーンを併用したVR装置を用いて、長野市にある実在のコースを模擬して作成したコースデータ上において、ボブスレーの滑走シミュレーションを実現した。動的物理シミュレーションと空間制約条件を併用することにより円筒状の氷上コースでの高速滑走の運動を生成する。動揺装置の運動制御は、ボブスレーの運動生成結果に基づいて決定される。
著者
ヴァルディヴィエルソ アレックス 宮本 俊幸 熊谷 貞俊
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. CST, コンカレント工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.107, no.471, pp.7-12, 2008-01-21
被引用文献数
1

MCEシステムにはかご同士の衝突を回避する必要性など,さまざまな制約があるため,従来のエレベーターの群管理制御法を単純にMCEに適用することができない.従って,MCE特有の制約を考慮しつつ効率的な乗り場呼びの割り当てを実現する群管理制御手法の開発が必要である.本研究では,MCEの最適な乗り場呼びの割当を実現するために,スケジュール完了時間の最適化手法とパーキング戦略から構成されるアルゴリズムを提案する.提案するアロゴリズムの性能は主にスケジュール完了時間の最適化,衝突可能性の評価,及びパーキング戦略の3つの要因に依存する.シミュレーション結果により,最大の影響を与えるのは衝突可能性の評価であるとわかった.さらに,ゾーニングアルゴリズムとの比較を行い,アップピーク,ダウンピーク,及び特定集中階の交通パターンには提案するアルゴリズムの性能の方が良いと確認できた.
著者
稲永 潔文 伊福部 達
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. EA, 応用音響 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.111, no.402, pp.55-60, 2012-01-19

ヘッドホン・イヤホンの測定には,実使用状態に近くかつ測定結果の再現性の良い測定プラットフォームが求められ,その一つとしてIEC60318-7(60959)準拠のHATSにIEC60268-7準拠の耳介モデル(Pinna simulator)を組み合わせたものが推奨されている.しかし既存のHATSをベースとして,別規格の頭部と耳介モデルを機械的および音響的に満足させる測定プラットフォームの実現は容易ではなかった.そこでこれら規格を忠実に再現したHATS (SAMAR : Southern Acoustics Mannequin for Acoustic Research)を新たにPC上の3Dデータとして設計し,実際に作成してヘッドホン・イヤホンの測定用プラットフォームとしての検討と考察を行った.
著者
佐瀬 巧 中川 匡弘
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NLP, 非線形問題 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.110, no.465, pp.105-110, 2011-03-03

近年,脳波(EEG)を利用した脳機能研究が盛んに行われている.脳波の大部分を形成すると考えられているθ,α,β波の各帯域を観測・解析して脳機能を調査する研究が多々あるが,EEGの高周波成分の重要性を主張する研究報告もされている.我々は,EEGの高周波成分を捉えるフラクタル次元推定法を利用し,簡易な指タッピング実験により高周波成分の有用性を検証した.レスト時とタスク時のフラクタル次元を比較した結果,それぞれ約1.32,1.40と算出され,レスト時とタスク時でフラクタル次元が異なることが確認された.更に,フラクタル次元推定時におけるモーメント次数の高次化を行った結果,EEGの高周波成分がより顕著となることが示された.
著者
天野 敏之 玉木 徹
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D, 情報・システム (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.90, no.8, pp.2060-2069, 2007-08-01
被引用文献数
5

本論文では三次元物体の姿勢パラメータを二次元画像から高速に推定する方法として,EbC(Estimation-by-Completion)法を提案する.EbG法は,アピアランスベース姿勢推定を,画像に埋め込まれた情報トラックの復元という問題としてとらえ,固有空間法による学習結果をもとにBPLP法で画像補完することで情報トラックを復元し,パラメータ推定を実現する.また,画像補完とパラメータ推定の計算を2枚の画像(EbC画像対)に集約し,各パラメータの推定を画像の内積演算と簡単な三角関数のみで実現するため,パラメータ推定を高速に行うことができる.実験では,鉛直軸周りの回転と画像面での並進の3自由度の姿勢パラメータ推定結果を示し,EbC法の精度と計算コストについて述べる.
著者
小田 幸弘 廣瀬 信之 内田 誠一 森 周司
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. HIP, ヒューマン情報処理 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.111, no.60, pp.121-125, 2011-05-16

サッカーのペナルティキック時のゴールキーパーは,キッカーのボールを蹴る動作の違いに基づいて,シュートのコースを予測していると考えられている.本研究では,GKがPK動作中のどの時点,どの身体部位の情報をコースの予測に使用しているか調べるために,PKを想定したキッカーの動作をDPマッチングにより解析した.解析の結果,ボールを蹴る直前の軸足,腰などの動きがコースによって異なることが分かった.
著者
尾田 十八 酒井 忍 羽場 吉博
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NC, ニューロコンピューティング (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.101, no.94, pp.47-51, 2001-05-18

従来使用されているアーム式または, 2ローラ式のピッチングマシンでは投球の速度とコースを同時かつ即座に変更することはきわめて困難である. そこで本研究では, 3個のローラを用いそのローラの回転数を各々独立に制御することにより, 従来得ることのできなかった様々なコース, 速度を極めて正確に投げ分けることのできるピッチングマシンを試作した. なお, その制御法にはニューラルネットワークを用い, 的の各コースおよび速度を入力データ, 各ローラの回転数を出力データとして学習を行い, 使用者(バッター)が希望する投球をピッチングマシン自身が適応して投げ分けてくる. このような機械は知的機械と呼ばれており, ここでは, そのようなピッチングマシンのシステムとその性能について記述する.
著者
鈴木 克己 長谷川 典央 鈴木 武雄 榎本 陽一 田巻 明
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SCE, 超伝導エレクトロニクス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.100, no.274, pp.67-74, 2000-08-22
被引用文献数
3

携帯電話で代表される移動体通信は来年から次世代IMT-2000へと発展している。移動体通信基地局に使用されるフロントエンドの性能向上の中で冷却技術を取り込んだ高温超電導フィルタの利用も、この急激変革を遂げている市場で出番が期待されている。従来材料に比べ、低損失かつ急峻な周波数特性を高温超電導フィルタで実現できるからである。チェビシェフ型と比較し、段数が少なくても急峻なバンドパス特性を実現できる楕円関数型にて高温超電導フィルタを設計製作し、その特性を評価したのでここに報告する。中心周波数は10.5GHz、段数は6段であり、非対称のヘアピン形状であることが特徴である。その結果、対称ヘアピン形状と比較し設計の自由度が増大した。