著者
安部 素嗣 西口 正之
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. PRMU, パターン認識・メディア理解 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.101, no.569, pp.25-30, 2002-01-11
被引用文献数
5

本稿では, オーディオ検索のための自己最適化スペクトル相関法を提案する.これは未知の入力信号から既知の参照信号と一致する部分を同定する, いわゆる一致検索のための方法であるが, 入力信号に他の妨害音が強く混入していても, 背景で共通する信号間の類似性を評価し, 類似部分を同定する.例えば音声の背景にある音楽の同定などに用いられる.本手法は, まず参照信号を時間周波数領域で多数の小領域に分解し, 各小領域の成分と入力信号との間の類似度を計算する.続いて各小領域の類似度を投票法により統合し, 参照信号と入力信号が類似しているか否かを判定し, 類似している場合にはその位置を同定する.背景音楽の同定実験では, 音声に対するS/N比が-10dBの音楽で100%, -20dBの音楽でも90%が同定できることが確認された.
著者
黒沢 由明
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. PRMU, パターン認識・メディア理解 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.110, no.467, pp.93-98, 2011-03-03

文字認識や音声認識で良く用いられるLVQは確率降下法の考え方でも説明することができ,これによればLVQを最急降下法による最適解探索問題として定式化することができる.この考え方に立てば,LVQを構成する辞書ベクトル全体を認識パラメータと考え,LVQの学習時に,そのパラメータがパラメータ空間の中をどう動くのかを観察することができる.この手法を使って,ある手書数字認識のケースでたまたま見つかった誤読急減の部位において学習の観測を行なった.その結果,学習パラメータの系列がパラメータ空間内に複数存在する評価関数の渓流状の地形に捕まっていたこと,長い学習の後に渓流が無くなる位置で評価関数の坂を下り落ち始めた事が分かった.それが誤読急減少の原因だったのである.
著者
杉村 昌彦 飯国 洋二 足立 紀彦
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-情報処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.80, no.1, pp.101-108, 1997-01-25
被引用文献数
11

イメージマッチングとは, 異なる状況下で得られた2枚の画像間の対応点を探索し, 対応関係を表す写像を見つけることであり, 画像処理における基本的問題の一つである. 本論文では, ツェルニケモーメントを特徴量とする2次元動的計画法を使って, 2次元の変形を含んだ2枚の階調画像の対応点を探索する方法を示す. この動的計画法では, 画像を複数の円形領域で区切り, その円形領域を対応単位とする. そして, 直線上の領域を曲線上の領域に対応させることで, 画像の局所的な平行移動, 伸縮成分を吸収する. また, 各円形領域の特徴量として回転に不変なツェルニケモーメントを用いることで, 画像の局所的な回転成分を吸収する. 計算機実験により画素を対応単位とする従来法に比ベ, 計算量が削減できると共にマッチング精度が向上することを確認した.
著者
石川 悠司 Kang SeongWoon 李 蓮福 PARK GiLark 渡邊 翔太 瀬戸 謙修 小松 聡 浜村 博史 藤田 昌宏
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ICD, 集積回路 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.106, no.550, pp.43-48, 2007-02-28

電子機器設計の分野では、新製品を市場に早く投入するため設計期間の短縮が強く求められる。この要求に対して、既存の設計を再利用する設計手法は極めて有効である。設計再利用の中で既存設計データベースの果たす役割は大きく、既存設計の仕様を表現する方式は非常に重要である。本研究で提案する仕様表現手法は、XMLベースの表による情報の列挙とUMLベースの直感的な図示を組み合わせることで、設計者が回路ブロックの仕様を理解するのを助ける。さらに、ルールベースの検証手法を導入することで、仕様記述に誤りが入り込む可能性を減らす。また、ケーススタディとして、ロボットの制御回路から取り出した回路ブロックに対して仕様記述を作成した。
著者
石川 悠司 Kang SeongWoon 李 蓮福 PARK GiLark 渡邊 翔太 瀬戸 謙修 小松 聡 浜村 博史 藤田 昌宏
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. VLD, VLSI設計技術 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.106, no.547, pp.43-48, 2007-02-28
被引用文献数
3

電子機器設計の分野では、新製品を市場に早く投入するため設計期間の短縮が強く求められる。この要求に対して、既存の設計を再利用する設計手法は極めて有効である。設計再利用の中で既存設計データベースの果たす役割は大きく、既存設計の仕様を表現する方式は非常に重要である。本研究で提案する仕様表現手法は、XMLベースの表による情報の列挙とUMLベースの直感的な図示を組み合わせることで、設計者が回路ブロックの仕様を理解するのを助ける。さらに、ルールベースの検証手法を導入することで、仕様記述に誤りが入り込む可能性を減らす。また、ケーススタディとして、ロボットの制御回路から取り出した回路ブロックに対して仕様記述を作成した。
著者
原田 邦彦 山本 博資
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. IT, 情報理論 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.106, no.185, pp.31-36, 2006-07-21
被引用文献数
2

線形ネットワーク符号化において,有限体IF_q上のメッセージX^h=(X_1,X_2,...,X_h),(X_i ∈IF_q)が伝送されるとき,各辺にはh個のX_iの線形結合が伝送される.本稿では必ずしも安全とは限らない線形ネットワーク符号を用いて秘密情報S^r(r&le;h)を伝送するとき,これに乱数情報R^<h-r>を付加した入力メッセージX^h=(S^r,R^<h-r>)に線形変換を行うことで,任意のl本の辺の盗聴に対して,h-rをしきい値とする強いランプ型秘密保護特性を実現する手法を提案する.すなわち,l&le;h-rならば,S^rは完全に安全であり,h-r<l<hならば,の秘密情報S^rのうち,任意のh-l個のシンボルが完全に安全である.さらに,実現のために十分な有限体サイズqの評価を行う.
著者
岩井 儀雄 松村 朱里 伊藤 陽生 清水 敏之 不殿 健治 横地 裕次 山崎 隆一 山本 隆史 村山 健二 池田 聖
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. PRMU, パターン認識・メディア理解 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.101, no.525, pp.125-132, 2001-12-14
被引用文献数
6

本パターン知識・メディア理解(PRMU)研究専門委員会では、平成9年度から研究活動の一環として、若手研究者の発掘・育成と活性化を目的としたアルゴリズムコンテストを実施している。5回目の今年は、4月から公募を開始し、9月に情報・システムソサイエティ大会併催事業として、審査結果の発表と表彰、講演会を実施した。今回のテーマは、画像処理・パターン認識の基本的な問題としてCG画像の道路交通標識の認識、実画像の標識認識、実画像中からのセグメンテーションに挑戦するものである。問題の困難さに応じて3つの課題レベルを設定した。その実施報告を前半に行ない、後半には入賞したアルゴリズムについて入賞者らが詳細を紹介する。
著者
吉川 亮 中村 佐紀子 宮川 信一 北村 孝司
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. EID, 電子ディスプレイ (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.107, no.495, pp.23-26, 2008-02-20

近年,その登場が期待されている電子ペーパーの表示方式の有力候補である電気泳動ディスプレイ(EPD)の表示制御を可能にする薄膜トランジスタ(TFT)の作製を試みた.フレキシブル性は電子ペーパーが持つ理想の形態であるため,制御素子も同様にフレキシブル性が要求される.そこで本研究では絶縁膜にポリマー材料,半導体層には有機化合物の銅フタロシアニン(CuPc)を用いた.EPDの制御素子として機能する特性の獲得のためにCuPcの膜厚の最適化や絶縁層表面の平滑性の向上を図り,EPDセルの制御を成功させた.また,フレキシブルTFTの試作も行った.
著者
栗田 泰市郎
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. EID, 電子ディスプレイ (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.100, no.317, pp.13-18, 2000-09-15
被引用文献数
1

TFT-LCDなどのホールド型ディスプレイにおける動画の画質劣化とその改善方法について述べている。TFT-LCDでは、各フィールドの表示光は1フィールド間ほぼ一定の輝度に保たれるが、このホールド型の表示方式が原因で動画表示の際に動きぼけが観視され、画質が劣化する。液晶デバイスの応答時間だけを改善しても画質改善効果には限界があり、液晶ディスプレイで十分な動画質を得るには、この原理的な劣化に対する改善が必要である。これを改善する2つの方法について述べる。また、関連する最近の話題として、この劣化に対する改善研究の具体的な例と、この劣化を考慮したLCDの動画質客観評価法の例について紹介する
著者
浜尾 敦史 笠原 正雄
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. FACE, 情報通信倫理
巻号頁・発行日
vol.97, no.607, pp.21-26, 1998-03-16
被引用文献数
7

1997年12月11日, 12日に行われた『第一回京都コンピュータリテラシー教育シンポジウム「コンピュータ・リテラシー教育とその問題点-社会と技術の関わりを視野に入れて-」』の報告を通して, コンピュータリテラシー教育の現状あるいは問題点, そして今後の課題について述べる。
著者
安藤 剛寿 関谷 好之 上原 貴夫
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会ソサイエティ大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.1997, 1997-08-13
被引用文献数
1

ブリッジは不完全情報ゲームであり, 他人のハンドが見えないことがプレーを難しくしている. 他人のハンドを見て行うプレー (ダブルダミーとよばれる) は, 完全情報ゲームとなるので, 比較的扱いやすくなる. そこで, 見えない他人のハンドを (既知の制約条件のもとで) ランダムに生成し, それを見てダブルダミーでプレーする方法が提案されている. これは, 他人のハンドを覗いたわけではないのでフェアプレーである. 我々は, ゲームの進行中に観察した事実から, アブダクションと仮説推論により他人のハンドを推論す方法について別に報告した. ここでは, この推論によって得た制約条件のもとで, ハンドをランダムに生成する方法を提案する. このハンド生成プログラムは, 我々が開発中のコンピュータブリッジのプレーで繰返し使われる.
著者
西新 幹彦 滝澤 克則
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. A, 基礎・境界 (ISSN:09135707)
巻号頁・発行日
vol.92, no.12, pp.1009-1013, 2009-12-01
被引用文献数
2

ランプ型しきい値秘密分散法の構成法としてShamirの多項式補間法を拡張する方法が知られているが,よく知られている方法では強い秘密保護特性をもたない場合があることが指摘されている.本論文では,多項式補間法に基づきかつ強い秘密保護特性をもつ秘密分散法の構成方法を提案する.
著者
西川 敏夫
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MW, マイクロ波
巻号頁・発行日
vol.98, no.74, pp.67-76, 1998-05-22

1997年12月9日から11日までの3日間、パシフィコ横浜で開催された1997Microwave Workshops and Exhibition(MWE'97)の概要を報告する。MWEはAPMC国内委員会の活動の一環として、日本でAPMCが開催される年を除いて、毎年開催される。MWE'97のテクニカルプログラムは、基調講演、初学者を対象とした基礎講座(5セッション)先端技術を討論するワークショップ(一般セッション(10)、パネルセッション(5))、新製品技術情報を提供する出展企業セミナーから構成した。展示は、一般展示のほか、歴史展示および大学展示コーナーの充実を図った。MWE'97の参加登録者数は4, 590名であり、予想を上回る盛会の裡に終了した。
著者
西新 幹彦 滝澤 克則
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. IT, 情報理論 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.109, no.143, pp.127-129, 2009-07-16

ランプ型閾値秘密分散法の構成法としてShamirの多項式補間法を拡張する方法が知られているが,よく知られている方法では強い秘密保護特性を持たない場合があることが指摘されている.本稿では,強い秘密保護特性を持つようなShamirの多項式補間法の拡張方法を提案する.
著者
大脇 崇史 中坊 嘉宏 並木 明夫 石井 抱 石川 正俊
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-情報処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.81, no.5, pp.918-924, 1998-05-25
被引用文献数
18

実環境にある物体の視覚情報をリアルタイムに触覚情報に変換することにより, 物体に仮想的に触れることができるシステムを構築した.このシステムは, アクティブビジョンによって実環境にある対象物の局所的な視覚情報を得て, 高速並列画像処理システムで処理した後DSPシステムを介して視覚情報を対象物からの仮想的な反力に変換し, 触覚提示装置を用いて指先に反力を与えることで仮想的な接触を実現するものである.本システムでは, 独自に開発した高速画像処理システムを用いることにより, 視覚情報のセンシングから触覚提示までのループが約200Hzで動作する.本論文では, モダリティ変換の基本構造を述べた上で, システムの構成を示し, 最後にシステムの動作を確認するために4種類の2次元物体について行った形状をなぞる実験について, その結果を述べる.
著者
萩原 義裕 水澤 信忠 ファン・ティ・ホン・ザン 清水 昭伸 小畑 秀文 縄野 繁 武尾 英哉
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MI, 医用画像 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.102, no.425, pp.1-6, 2002-11-01
被引用文献数
4

本研究の目的は,マンモグラム上のコントラストが極めて淡い乳がん微小石灰化像の高精度な抽出方法を提案することである.提案方法は,ウェーブレット空間から求められる特徴量を用いてマハラノビスの距離比に基づいた分類器を用いたものである.特徴量は40種類の中からROCカーブの下面積Azを最大にするように選択される.本システムは,モルフォロジカルフィルタを基にした方法により抽出した候補領域を利用するため,背景組織の誤抽出を防ぎつつ,淡い微小石灰化像の高精度な抽出が実現される.提案システムを用いた実験の結果では,従来システムと比べ,微小石灰化像の抽出率を落とすことなしに,誤検出率を大幅に削減できた.これにより,提案システムの有効性が確認された.
著者
藤井 健作 大賀 寿郎
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. A, 基礎・境界 (ISSN:09135707)
巻号頁・発行日
vol.80, no.1, pp.27-35, 1997-01-25
被引用文献数
33

学習同定法では推定精度の向上に合わせてステップゲインを徐々に小さくする制御を加えることで収束時間が短縮されることが知られている. その実現に際して問題は, そのステップゲインの制御に必要な推定精度の瞬時値が外乱の混じる残差信号からは直接的には観測できないことである. 本論文では"加算正規化"LMS法においてその適用が可能となるブロック長の制御はステップゲインの制御と同様に推定精度の収束値を高めること, また, そのブロックの延長によって収束特性の飽和が繰り返し観測可能となることを利用して収束時間の短縮を実現する方法を提案している. また, 実際の適応システムでは参照信号や外乱のパワー変動, 非巡回形フィルタの係数として推定される未知システムのインパルス応答が変化することも十分に想定される. 収束特性の制御法の検討に際して, これらの変化の可能性を無視することは現実的ではない. 本論文では最後に, これらの変化に対しても本制御法によれば対応可能となることを示す.
著者
椿井 正義 伊東 正安
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-パターン処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.86, no.6, pp.895-907, 2003-06-01
被引用文献数
4

可変構造要素による適応的モフォロジーの境界強調機能について議論する.境界が強調される仕組みを定量的に説明し,超音波画像の境界強調とスペック低減のための有効な構造要素の定義域の設定と値の制御方法を提案する.構造要素の値を画像の境界部分で大きくして,境界以外の部分で小さくなるように制御するば,opening演算とclosing演算によって境界強調とスペックル除去を同時に行えることを示す.これを処理対象画像の情報を使って自動設定するために,超音波画像の空間分解能とスペックルの輝度値の統計的性質を利用する.本手法の有効性を,計算機シミュレーションによって作成した数値ファントムを用いた定量的評価と,実際の生体超音波画像からの境界抽出への応用によって明らかにする.スペックル低減と境界強調の性能が従来手法よりも高いことが示された.