著者
満保 正喜 深見 哲男 岡田 敏美 長野 勇 木村 磐根
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. B-II, 通信II-無線通信・無線応用 (ISSN:09151885)
巻号頁・発行日
vol.80, no.5, pp.416-423, 1997-05-25
被引用文献数
8

夜間, ロケットを用いて地上にあるVLF局と中波放送局のそれぞれの磁界強度を観測すると共にラングミュアプローブ(DCプローブ)電流を計測し, 合わせて中波のドップラー観測も行った. E層中にVLF波磁界強度の定在波分布や中波の正常波, 異常波成分が観測された. そしてDCプローブ電流を参照して, これらVLF波や中波の観測値とフルウェーブ計算による理論計算値が合うよう電子密度ならびに電子の衝突回数の高度分布を修正・推定した. このようにしてVLF波の磁界強度分布から電子密度をE層下部から上部にかけて推定し, 弱いEs層が数層あることがわかった. また, 中波のドップラー観測によりE層上部にわたる電子密度の推定に成功すると共に異常波の上昇波の強度成分から地上110 km前後における電子の実効衝突回数の値も推定できた.
著者
山村 清隆
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会誌 (ISSN:09135693)
巻号頁・発行日
vol.88, no.12, pp.981-988, 2005-12-01
被引用文献数
7

SPICE指向型数値解析法は「式を回路で記述する」という逆転的発想に基づく方法論である.すなわち, 一般に非線形システムの数値解析ではシステム(例えば回路)を方程式で記述し, それに数値解法を適用するが, この方法では数値解法の式を回路で記述し, それに回路シミュレータSPICEを適用する.本稿では, 非線形方程式の数値解法であるホモトピー法をSPICE上で実現する方法とその応用例を中心に, SPICE指向型数値解析法に関する最近の研究動向とその可能性について解説する.SPICEは様々な機能や効率化手法が集積されている非常に優れたソフトウェアであるため, この方法により「かなり高度なホモトピー法を」, 「ホモトピー法のことをよく知らなくても」, 「複雑なプログラミングを行うことなく」, 「手軽に」, 「無料で」, 「広範囲の問題に」適用することができる.
著者
森川 輝 村上 求 小篠 裕子 勝手 壮馬 伊沢 亮一 森井 昌克 中尾 康二
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ICSS, 情報通信システムセキュリティ (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.109, no.86, pp.109-114, 2009-06-11

インターネットの普及に伴い,不正アクセスやマルウェア感染による被害は増加傾向にある.マルウェア感染の被害を最小限にとどめるためには迅速な解析を行い,マルウェアに対して適切な対策を講じなければならない.本稿では類似度判定で得た類似度から未知のマルウェアが有する機能を推定するマルウェア解析システムを提案する.提案システムを用いることでマルウェアの詳細な解析を行うことなく機能を推定することが可能である.さらに提案システムは解析マシンの高速復元も可能である.
著者
安本 幸希 森井 昌克 中尾 康二
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. OIS, オフィスインフォメーションシステム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.107, no.347, pp.31-36, 2007-11-14
被引用文献数
1

一般にマルウェアのほとんどは,既知のマルウェアの亜種,もしくは既知のマルウェアと同一であるにもかかわらず,パッキングと呼ばれるコード変換をされたマルウェアである.解析対象となるマルウェアが,既知のマルウェアの亜種であることが判明すれば,新たに解析をする必要はほとんどなく,機能の大部分を推定することが可能となる.本稿では,未知のマルウェアに対して,既に解析されたマルウェアとの類似度を与える手法を示し,その類似度から未知のマルウェアが有する機能を推定するシステムを提案する.
著者
加藤 栄一 佐藤 吉信 堀籠 教夫
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. A, 基礎・境界 (ISSN:09135707)
巻号頁・発行日
vol.82, no.2, pp.247-255, 1999-02-25
参考文献数
11
被引用文献数
38

機能安全の国際規格であるIEC61508が作成されつつある. そのドラフトの基本的な方法論の一つは安全関連系(SRS)に対して目標機能失敗尺度, すなわち安全度水準(SIL)を設定することである. SILは, 電気/電子/プログラマブル電子(E/E/PE)技術を用いたSRSに割り当てるべき安全要求事項を規定するため, 四つの確率的水準から構成されている. 目標のSILを選定するために, この規格案はE/E/PE SRSを二つ作動モード「低頻度作動要求」及び「高頻度作動要求/連続」モードに区分している. これらの作動モードは作動要求頻度のみから定義されている. しかし, 作動要求状態の継続時間及び疑似作動要求を考慮するとE/E/PE SRSにどちらの作動モードを適用すべきか明確になっていない. 本論文は上述した論点について、規格案で行われている仮定とアルゴリズムの妥当性を検証し, 作動要求の継続時間及び疑似作動要求の考え方を含むSIL作動モード選定のためのフォールトツリーモデルと, そのモデルを定量化して, 平均危険事象頻度を推定するアリゴリズムを導入し, 新しい作動モードを提案する.
著者
河野 隆二 春山 真一郎
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. B, 通信 (ISSN:13444697)
巻号頁・発行日
vol.84, no.7, pp.1112-1119, 2001-07-01
参考文献数
26
被引用文献数
24

異なる技術標準や多様な応用の無線システムが混在する状況が今後も続くものと予想され, この状況の問題点を解決し, 究極の無線通信へ近づくブレイクスルーとして, ソフトウェア無線(Software Defined Radio, Software Reconfigurable Radio)が期待されている。本論文では, 環境や応用目的に応じてソフトウェアの変更により通信システム機能を適応できるソフトウェア無線の必要性, 有効性を明確にし, 最近の国内外における研究開発動向を取りまとめるとともに, 実現において克服すべき問題とそのための要素技術を紹介する。 無線通信工学, ソフトウェア工学などの広範な学術領域にまたがる技術の粋を結集して達成できる新たな融合領域であり, 学術的な意義とともに産業界における新システム, サービスの創出へ寄与することが期待される。
著者
前田 惟裕 佐藤 直樹 長谷川 義幸
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会誌 (ISSN:09135693)
巻号頁・発行日
vol.93, no.12, pp.1020-1026, 2010-12-01
参考文献数
18

国際宇宙ステーション(ISS)への有人輸送に関しては,米国ではスペースシャトル,ロシアではソユーズが使用され,中国では独自の神舟シリーズを成功させている.米国ではISSの運用延長とスペースシャトルの2010年の退役が決定された.日本では有人関連技術を習得するため,ISSに結合する有人宇宙実験施設JEM,宇宙ステーション補給機HTVの開発・運用が成功裏に行われ,各分野で大きな成果が得られている.米国では2010年4月にオバマ大統領から小惑星・火星への有人探査についての声明が発表された.宇宙用周波数調整会議(SFCG),国際電気通信連合無線通信部門(ITU-R)での検討に加え,我が国は将来有人技術の発展が必要と考えられるので関連事項について解説する.
著者
清水 収司 沖 理子
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SANE, 宇宙・航行エレクトロニクス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.109, no.101, pp.153-156, 2009-06-18
被引用文献数
4

全球降水観測(GPM)計画は、熱帯降雨観測衛星(TRMM)の後継となる衛星プロジェクトである。二周波降水レーダ(DPR)とマイクロ波放射計(GMI)を搭載し、2013年に打ち上げられる予定の主衛星に、マイクロ波放射計を搭載した衛星群を組み合わせて、全球の降水を高精度・高頻度で観測する。現在GPMプロジェクトでは、TRMMのときの経験を生かし、取得される降水プロダクトの検証計画を策定中である。GPMではプロダクトそのものの検証だけでなく、降水推定アルゴリズムそのものを検証し、アルゴリズム改良に反映することが重要である。
著者
平野 拓一 岡田 健一 広川 二郎 安藤 真
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. EST, エレクトロニクスシミュレーション (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.111, no.224, pp.15-20, 2011-09-29

チップ上に作成したアナログRF回路のオンウェーハ測定ではプローブをパッドに当てて励振する。このような構造の電磁界シミュレーションを行うためには、パッド部を含めた電磁界モデリングが必要となる。著者らは過去に対称性を有する被測定回路のパッド部の電磁界シミュレーション励振モデルについて検討を行い、実測との良好な一致を確認した。本稿では被測定回路が対極性を有しない一般の場合に拡張して、パッド部を含めたアナログRF回路の電磁界シミュレーション励振モデルについて検討した結果を報告する。
著者
西川 尚紀 岩井 啓輔 黒川 恭一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. VLD, VLSI設計技術 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.109, no.393, pp.107-112, 2010-01-19

並列計算プラットフォームとしてGPGPUが注目されてり,CUDAがその開発環境として大きなシェアを占めるに至っている.CUDAではスレッド数やスレッドブロック数等のパラメータ決定はプログラマに責任があり,反復実験により最適値を求めているのが現状である.このため,我々は暗号処理のCUDA実装に対してスレッド数等を自動で最適化するモデルの構築を試みている.本稿では,その第一段階として,AESのCUDA実装に対し平文のデータ型,メモリ配置方法,計算粒度を変化させ,これらの条件がパフォーマンスに与える影響について分析を行った結果を示す.その結果,条件の違いにより最大6.6倍の性能差が生じ,(1)上限に近いスレッド数の確保よりもメモリアクセスの最適化を優先する実装が有効(2)16Byte/Threadの計算粒度は4Byte/Thread, 1Byte/Threadに対しGPUのパフォーマンスを引き出しやすい傾向にある,(3)平文のデータ型の違い,平文のメモリ配置方法,計算粒度がパフォーマンスに影響を与える,という知見が得られた.また,unsigned character及びarray of structureとして共有メモリに格納された平文に対して4Byte/Threadの計算粒度でのAES暗号化を行った場合にCPUの最大性能を引き出し,このときCore i7-920 2.66GHz CPU上での通常実装に対して約47倍の高速化が確認された.
著者
佐藤 亮太 廣田 啓一 山本 太郎 谷本 茂明 塩野入 理 金井 敦
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ISEC, 情報セキュリティ (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.107, no.140, pp.87-94, 2007-07-12

インターネット社会における匿名性に関する問題の一解決策として,我々は分散アイデンティティエスクロー(DECIDE : DECentralized IDentity Escrow)を提案している.DECIDEは,ユーザの匿名性を担保する管理者が複数存在する仕組みで,一定数以上の管理者が合意するとユーザの匿名性がユーザ間や管理者に対して剥奪される特徴をもつ.本稿では,この仕組みの適用先として,匿名性に由来する誹謗中傷などの問題が多発している電子掲示板に着目し,掲示板上でのユーザの振る舞いについてモデル化を行い,シミュレーション実験やその検証,補足をする被験者実験の結果を示すことで,インターネット社会における匿名のあり方についての基礎的な検討を行う.
著者
渡邊 敏明
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. B-I, 通信I-情報通信システム・理論 (ISSN:09151877)
巻号頁・発行日
vol.77, no.4, pp.216-226, 1994-04-25
被引用文献数
8

B-spline曲面は各ポリゴン頂点値に画像処理を与えるだけで,発生曲面に処理を施したのと同様な結果を得ることが可能である.そこでB-spline曲面上の点の値を画像データに対応させ,この曲面を発生させるポリゴン頂点を符号化対象とする圧縮方式が確立できれば,原画像に対してではなく,圧縮されたデータつまりポリゴン頂点に対して直接画像処理が適用できることになるため,処理画像の蓄積,伝送,表示が一段と効率的になる.従来このような曲面の圧縮符号化への応用は検討されていなかったが,本論文では上述のようなメリットを有するB-spline曲面を画像の圧縮符号化に応用する場合の適用手法とその性能について考察する.シミュレーション検討の結果,曲面発生のためのパラメータとポリゴン頂点数を画像の絵柄に応じて適応的に設定することにより,従来のDCT方式と同等以上の性能が得られ,B-spline曲面が圧縮符号化にも十分応用できることがわかった.
著者
橋本 賢治 村井 克己
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. EID, 電子ディスプレイ
巻号頁・発行日
vol.95, no.114, pp.31-36, 1995-06-22

近年、計算機の情報入力デバイスとしてCCDが注目されている。カメラやスキャナーから画素単位で取り込まれる情報は加工や蓄積などの処理に適しておらず、応用が限られたものになっている。これに対して図形の表現では、スプライン曲線と呼ばれる区分的多項式で表現される自由曲線が様々な局面で利用されるようになってきており、図形の情報を簡潔に表現できる。本稿では、カメラ画像から得た図形の輪郭線への曲線の自動あてはめについて、円錐曲線による中心点統合手法と多項式2次スプライン曲線を人の視覚解像度を誤差基準としたあてはめ手法について検討し、比較的良好な結果を得ることができた。
著者
加藤 徳人 丹羽 伸二 安川 博 田口 亮
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. WBS, ワイドバンドシステム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.103, no.194, pp.77-81, 2003-07-10

近年、地上波ディジタル放送やテレビのデジタル化,デジタルカメラなど,映像資料をデジタルデータとして扱うことが一般化されている.このため,画像の幾何学的処理が頻繁に行なわれ,中でもデジタル画像は拡大変化に向いていない.研究がなされている画像拡大手法として,周波数解析による高周波数成分の推定を伴う拡大法が提案されているが,各階層の相関が弱い画像では効果が低いという問題点が生じてしまう.また, Bezier曲面を使用する画像拡大手法が従来方式として提案されている.この手法では各画素がエネルギーを持っていると仮定し,各画素間のエネルギを保存しながら画像拡大を行なう.本稿では、拡張性の高いBスプライン曲面を使用する方法を提案し,さらに、拡大画像の評価方法としてPSNRを用いて拡大画像を客観的に評価した.
著者
辻野 孝輔 鴫谷 篤人 小林 亙 泉 知論 尾上 孝雄 中村 行宏
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. CAS, 回路とシステム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.103, no.333, pp.55-60, 2003-09-22

近年、2チャンネル・ステレオを用いた三次元音響効果システムが研究、開発されている。こうしたシステムにおいては、頭部伝達関数(HRTF: Head Related Transfer Function)を用いて音源の立体感を表現することが一般的であるが、従来の手法には、演算量が大きくリアルタイム実装に適さないという問題点があった。これに対し、頭部伝達関数の特徴が周波数帯域によって異なることを利用した、組み込み実装に適した低演算量のアルゴリズムが提案されている。我々は、このアルゴリズムを利用した音像定位処理の高精度実装を行い、また、実装したシステム上で移動音を自然に表現するための音像位置の補間手法の検討および評価を行ったので、これを報告する。
著者
住ノ江 真悟 大原 圭織 多和田 昌弘 近藤 歩 下山 宏
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. OME, 有機エレクトロニクス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.105, no.576, pp.1-5, 2006-01-20
被引用文献数
2

植物は光環境の変化に対して様々な応答を示す. 最近の研究により, 数種の多肉植物において光と乾燥ストレスの二つの要因によって葉緑体が集合するという現象が見出されている. 多肉植物は乾燥地に多く生育していることから, この現象は乾燥ストレスに起因する光障害からの形態学的な防御機構であると考えられている. このような多肉植物の乾燥適応機構を明らかにすることは, 耐乾燥性植物を開発していく上で重要な知見となる. 本研究では, 光の波長の違いが葉緑体の集合運動に及ぼす影響について調査した. 観察手段として, 生物学や医学における生体解析に有用な共焦点レーザ走査型顕微鏡を用い, 蛍光観察を行った. その結果, 青色光および紫外光が葉緑体の集合運動に関与していることが示唆された.
著者
河辺 義信 真野 健 小暮 潔
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. AI, 人工知能と知識処理
巻号頁・発行日
vol.98, no.436, pp.21-28, 1998-11-30

本稿では, モバイルエージェントの形式化を行うため, プロセス代数π-計算に基づくネットワークプログラミング言語Nepi^2の言語仕様を拡張し処理系を実装する.この拡張は非決定和演算子に関するもので, モバイルエージェント処理系構築に要求するNepi^2言語の自己記述に必要である.Nepi^2を拡張した上で, 拡張言語の自己記述を与える.これによって, プロセス代数π-計算に基づくモバイルエージェントのための基礎づけを行う.
著者
鈴木 尚文 永井 靖浩 大谷 佳光 一ノ瀬 裕
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会総合大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.1996, no.1, 1996-03-11

近年、非接触でデータの読み出し/書き込みができるタグシステムが普及しつつあり、入退室管理やスキー場のリフト券などに積極的に導入されている。特に、電磁誘導を利用したタグは、必要な電力を読み取り器から供給するため、無保守で耐久性に優れたシステムの構築が可能である。しかしながら、金属はタグを設置する場所の電磁界やタグの性能に対して大きな影響を与え、その適用対象を制限している。多くの部品や設備等に金属は利用されており、タグを金属の近くで利用可能にする事の意義は大きい。そこで今回、マンホールの蓋に電磁誘導型ワイヤレスタグを設置することを想定し、金属板に開けた穴内部での磁界分布を有限要素法によって解析したので報告する。
著者
渡邊 敏明
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. B-I, 通信I-情報通信システム・理論 (ISSN:09151877)
巻号頁・発行日
vol.79, no.6, pp.445-453, 1996-06-25
被引用文献数
2

圧縮されたデータに直接画像処理が適用できる符号化方式として,筆者らはさきにB-spline曲面を用いた画素値変化の近似手法(B-spline符号化)を提案し,圧縮効率についても従来のDCT方式と同等以上の性能が得られることを示した.一方,画像データを扱う各種圧縮符号化システムのなかには, 1枚の画像に対してあらかじめ設定された符号量で符号化を終了することが要求される場合がある.しかしB-spline符号化に関しては,このような符号量制御問題はいまだ検討されていないのが現状である.本論文では,上記問題点に対する実現手段を提案し, B-spline曲面の圧縮ツールとしての性能を強化することを目的としている.ここでは符号化レートが設定されたときに,絵柄の細かさや実際の発生符号量に応じて,ブロック単位での適応的なフィードバック処理を行うことによって符号量を制御している.性能評価の結果,従来のDCT方式と同等以上の圧縮性能を保ったまま,実際の発生符号量と設定符号量とのずれが1%程度におさまることが示され, B-spline符号化においでも符号量制御が実現可能であることが確認できた.
著者
渡邊 敏明
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. B-I, 通信I-情報通信システム・理論 (ISSN:09151877)
巻号頁・発行日
vol.79, no.10, pp.694-703, 1996-10-25
被引用文献数
1

圧縮されたデータに直接画像処理が適用できる画像符号化方式として,我々は先にB-spline曲面を用いた画素値変化の近似手法について検討し,圧縮効率についても従来のDCTと同等以上の性能が得られることを示した.しかし今までは適用すべきポリゴン頂点数が固定されていたため,高い圧縮性能が得られる符号化レートの範囲が限定されるという問題点を有していた.本論文では上記問題点に対する解決手段を提案し,B-spline曲面の圧縮ツールとしての性能を強化することを目的としている.ここでは,絵柄の細かさに応じて曲面を発生させるポリゴン頂点の数を適応的かつ自動的に選択する手法を提案し,広い範囲の符号化レートにおいて安定して高い圧縮性能が実現できることを示す.更に,利用するポリゴン頂点数の種類そのものを増加させることによる性能改善手法についても検討すると同時に,ポリゴン頂点値を求める際に,ブロック境界部の符号化誤差を減少させるような重み付け処理を適用することによって,符号化レートが低いところで発生していた再生画像のブロックひずみを低減できることも示す.