著者
白石 靖 嶋脇 秀徳
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ED, 電子デバイス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.99, no.21, pp.45-51, 1999-04-22

p-GaAsへの新しいオーミックであるPdInについて検討し、pc〜1×10^-8Ωcm^2という良好なコンタクト抵抗を、低いアニール温度(≦400C)で実現した。この値はp-GaAsに対する合金系オーミック電極の既報告の中で最も低く、従来のPt系オーミック電極の値Pc≧5x1O^-7Ωcm^2)と比べて一桁以上低い。Pd/In/Pd積層構造で問題となる表面の凹凸は、Pd-In共蒸着により改善され、良好な表面モフォロジーが得られた。また、PdIn/GaAs界面は平滑で、合金層のシンターも浅く、熱的安定性も良好であることから、PdInオーミックはGaAs系高周波HBTのべース電極として非常に有望であると言える。
著者
守谷 健弘
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会誌 (ISSN:09135693)
巻号頁・発行日
vol.93, no.2, pp.133-138, 2010-02-01
被引用文献数
1

オーディオ信号の圧縮符号化技術は,CD(コンパクトディスク)のオーディオ信号の品質をほぼ維持したまま,およそ10分の1の情報量への情報圧縮を実現するものである.1990年代までの基礎研究の成果を結集して,ISO/IECのMPEGで国際標準化が行われ,このうち特にMP3やAACはフラッシュメモリを使った携帯オーディオプレーヤやディジタル放送に不可欠な技術として,日常生活の中に深く定着してきている.これらの技術の基本と最近の国際標準化の動向を中心に解説する.
著者
矢野 裕理 内田 由紀子 増田 貴彦
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. HCS, ヒューマンコミュニケーション基礎 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.111, no.464, pp.99-104, 2012-02-27

本研究では、表情認知への背景情報の影響とニート・ひきこもりリスクの関連を検討した。その結果、ニート・ひきこもりリスク高群は、中心にいるターゲット人物の表情と背景人物の表情が不一致な場合のターゲット人物の感情判断において、その判断がより背景情報に影響されており、その傾向はターゲット人物の表情がネガティブな場合に有意であった。この結果は、ニート・ひきこもりリスクの高い人々が、少なくとも複数人数でのコミュニケーション場面において、強い包括的認知傾向を持っている可能性を示唆するものである。
著者
上原 一浩 関 智弘 鹿子嶋 憲一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. B-II, 通信II-無線通信・無線応用 (ISSN:09151885)
巻号頁・発行日
vol.78, no.9, pp.593-601, 1995-09-25
被引用文献数
57

従来より,屋内伝搬遅延特性の解析に適用されている幾何光学的解析手法に,任意の送受信アンテナ指向性と偏波の効果を含めて計算するアルゴリズムを組み込んだ.直方体の部屋においてこれらを含めた計算を行う際に必要な角度情報等を,部屋の幾何学的性質から容易に求める手法を示した.本手法によりマルチパス伝搬環境における狭ビームアンテナの遅延波抑圧効果を定量的に示した.例えば,送受信アンテナが共に無指向性の場合に対し,半値角30°のペンシルビームを用いた場合には遅延スプレッドは1/10近くまで低減される.これらにより,屋内高速無線データ通信において高い伝送品質を実現するためのアンテナ半値角や偏波等の設計手法が示された.
著者
大川 茂樹 ウィントホイザー クリストフ バンボ フレデリック 白井 克彦
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SP, 音声
巻号頁・発行日
vol.93, no.427, pp.25-32, 1994-01-21

TDNNに基づくハイブリッド型単語音声認識システムにおいて,音韻の弁別特徴という新しい表現を導入する.この表現を利用することにより,一般的な音韻表記よりもコンパクトで学習の速いネットワークが構成できる.また,異なる性質を持ったネットワークを平等に評価するための尺度として,相互情報量を導入し,モジュラー型TDNNの構成の最適化を試みる.英語アルファベットデータベースを用いて,フレーム毎の弁別特徴認識実験と,DTWを組み合わせた単語認識実験を行った結果、相互情報量により最適化したネットワークを用いた場合にも最も良い性能が得られ,提案した手法の有効性が確認された.
著者
Rochanachirapar Wasu 村上 勝久 山崎 直紀 本多 友明 阿保 智 若家 冨士夫 高井 幹夫
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ED, 電子デバイス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.104, no.519, pp.7-10, 2004-12-09

スクリーン印刷によって成膜した力¬ボンナノチューブ(CNT:Carbon Naontube)冷陰極に照射エネルギー密度とストライプステップを変えながらXeClエキシマレーザーを照射し、CNT冷陰極のエミッション特性改良を試みた。180×0.4mmストライプでストライプステップが0.4mmのレーザーを照射することによって均一なエミッションサイトの分布が得られた。照射パワー密度6MW/cm^2のレーザーを照射を行った場合、同値電界は1.2V/μm以下になり、3.2V/μmの電界で電界放出電流密度は2.0 mA/cm^2以上になった。
著者
斉藤 瞳 白川 清美 橋浦 弘明 山下 公太郎 古宮 誠一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. KBSE, 知能ソフトウェア工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.107, no.429, pp.43-48, 2008-01-14

芝浦工業大学情報工学科の3年生は,ソフトウェア開発の知識や技術を習得するために,幾つかのチームに分かれ,チーム単位で演習を行う.しかし,学生のソフトウェア開発能力にバラツキがあるので,与えられた課題を期日までに達成できないチームがあるという問題が生じていた.そこで橋浦ら[1]は,ソフトウェア開発に必要な各役割を遂行する学生の能力に影響を及ぼす人的要因が既知である場合に,それを利用してチーム編成の最適案を自動生成するシステムEtUDE/GOを開発した.しかし,チーム編成に影響を及ぼす人的要因については未知のままであった.そこで著者らは,共分散構造分析などを導入して,チーム編成に直接影響を及ぼす真の要因と,間接的に影響を及ぼす代用特性との間の関係式を求め,求められた関係式をEtUDE/GOに適用してチーム編成の最適案を自動生成した.そして,各学生が行った作業のログ情報を利用して求めた,各学生の貢献度評価などにより,チーム編成の最適化が演習授業にもたらした影響を分析した.分析の結果,実際の演習授業では,これらの学生達が期待どおりに活躍した.その結果すべてのチームが演習課題を無事に達成できたことを確認している.
著者
大柴 小枝子 菅野 敦史 久武 信太郎
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. PN, フォトニックネットワーク (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.111, no.412, pp.115-120, 2012-01-19

2011年10月18日から21日の4日間,シンガポールのフラマリバーフロントホテルにおいて2011 International Topical Meeting on Microwave Photonics jointly held with 2011 Asia Pacific Microwave Photonics(MWP2011/APMP2011)が開催された.本稿では,MWP2011における各セッションでの発表内容の概要について報告する.
著者
赤塚 雅則 近江 雅人 山中 正宣 井澤 靖和 中井 貞雄 米澤 喜幸
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. OQE, 光・量子エレクトロニクス
巻号頁・発行日
vol.93, no.57, pp.37-42, 1993-05-21

LD励起固体レーザー材料中に生じる、熱的および機械的応力誘起複屈折の2次元分布を測定する方法を新たに開発した。プローブレーザー光は、偏光子、λ,4板によって円偏光にされて複屈折物質に入射する。さらにその後ろで検光子を回転させ、透過光強度の2次元分布を測定することによって、各点での複屈折の主軸の方向と、相対位相差を符号も含めて求めることができる。この測定系を用いてLD励起Nd:YAGロッドの熱および機械的応力誘起複屈析の2次元分布を測定し、さらに、YAGロッドがレーザー媒質とλ,4板の役割を兼ね備えたLD励起能動波長板を考案し、実現した。
著者
堀田 昌克 Tauber D.a. Holmes Jr.A.L. Miller B.I. Bowers J.E.
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ED, 電子デバイス
巻号頁・発行日
vol.96, no.192, pp.19-24, 1996-07-25

高出力、 広帯域な半導体レーザの実現を目指して、熱放散特性、高周波信号伝搬特性に優れたマイクロストリップレーザ(Microstrip laser: MSレーザ)という新たなレーザ構造を検討した。MS-レーザは下部クラッド層の直下に厚い金電極を有していることを特徴としている。本構造の作製工程を考案し、 試作した素子の諸特性を評価した。 ボンデイング工程及びその後のレーザプロセスが素子特性に悪影響を及ぼしていないことを、その閾値電流特性から確認した。また、CW発振特性、高周波信号伝搬実験から、本構造が従来の構造に比べて熱放散および高周波伝搬特性に関して優れていることを明らかにした。
著者
田北 啓洋 早崎 芳夫
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. PN, フォトニックネットワーク (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.106, no.513, pp.147-150, 2007-01-22
参考文献数
4

我々は,生体情報メディアへの情報の記録を目的として,記録メディアの動きを検出し,記録位置の補正を行うアダプティブレーザー加工システムの構築を行った.非点隔差を有するビームによる表面位置検出と記録メディア表面の反射照明像のパターンマッチングによる横方向の移動検出により,記録メディアの3次元の動きが検出された.許容誤差を5μmとすると,光軸方向で125μm/s,横方向で225μm/sの速度の移動が検出可能である.
著者
奥田 正浩
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会誌 = The journal of the Institute of Electronics, Information and Communication Engineers (ISSN:09135693)
巻号頁・発行日
vol.93, no.2, pp.139-144, 2010-02-01
参考文献数
5
被引用文献数
8

暗所視から明所視までの輝度順応を考慮した場合,人間の視覚特性のダイナミックレンジは200dBを大きく超え,単一のシーンでも暗所と明所の比が100dBから120dBになり得る.これに対して一般に市販されているカメラのダイナミックレンジは高性能なものであっても80dB程度であり,シーンすべての輝度情報を記録することはできない.高ダイナミックレンジ画像(High Dynamic Range画像,HDR画像)はシーンの可視範囲の輝度すべてを記録するために開発され,人間の視覚特性と同等のダイナミックレンジと色域をサポートする画像である.ここではHDR画像処理における重要なテーマである,取得法,符号化,トーンマッピングについて解説する.
著者
中野 允裕 大石 康智 亀岡 弘和 向井 良 柏野 邦夫
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. PRMU, パターン認識・メディア理解 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.112, no.111, pp.31-36, 2012-06-22
参考文献数
13

本稿では,隠れマルコフモデルの拡張として,隠れ状態のペアである状態遷移の中のクラスタを抽出する能力を有した新しいモデルについて議論する.提案するモデルでは,状態遷移確率の配列をモンドリアン模様に誘導することによって,複数の系列データから隠れ状態系列を推定すると同時に隠れ状態間のネットワークの中のクラスタを発見することが出来る.提案モデルの応用例として音楽信号に適用した実験を示す.
著者
TIAN Li KAMATA Sei-ichiro TSUNEYOSHI Kazuyuki TANG Haijiang
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
IEICE transactions on information and systems (ISSN:09168532)
巻号頁・発行日
vol.89, no.1, pp.290-297, 2006-01-01
参考文献数
13
被引用文献数
10

To find the best transformation between a "model" point set and an "image" point set is the main purpose of point pattern matching. The similarity measure plays a pivotal role and is used to determine the degree of resemblance between two objects. Although some well-known Hausdorff distance measures work well for this task, they are very computationally expensive and suffer from the noise points. In this paper, we propose a novel similarity measure using the Hilbert curve named Hilbert scanning distance (HSD) to resolve the problems. This method computes the distance measure in the one-dimensional (1-D) sequence instead of in the two-dimensional (2-D) space, which greatly reduces the computational complexity. By applying a threshold elimination function, large distance values caused by noise and position errors (e.g. those that occur with feature or edge extraction) are removed. The proposed algorithm has been applied to the task of matching edge maps with noise. The experimental results show that HSD can provide sufficient information for image matching within low computational complexity. We believe this sets a new direction for the research of point pattern recognition.
著者
井上 高宏
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. CAS, 回路とシステム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.101, no.632, pp.9-16, 2002-01-24
参考文献数
17

次世代アナログ回路のための回路技術として、自動チューニング技術、同相モードフィードバック(CMFB)法、同相モードフィードフォーワッド(CMFF)法といった回路自己補償技術、そして柔構造回路化技術として、フィールドプログラマブルアナログアレイ(FPAA)と学習形回路を取り上げ、それらの手法の原理と設計上の留意点を回路例を用いて解説し、併せてそれらに関した将来の展望についても簡単に述べている。
著者
嶌田 聡 大塚 作一 伴野 明 新井 雅信
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MBE, MEとバイオサイバネティックス
巻号頁・発行日
vol.96, no.581, pp.107-113, 1997-03-17
参考文献数
16
被引用文献数
7

圧力センサによる歩行運動分析装置を検討する。複数歩の歩行運動を計測対象とする場合には、足圧データから各足領域を切り出すことが必要である。本論文では、歩き方や歩行速度、さらに、履き物に依存しない歩行運動の特徴として、歩行運動時の足の動き方に着目して足領域の位置を推定し、推定位置の周辺の領域をグルーピングすることにより足領域を自動抽出する方法を提案する。健常者23人の104サンプル、歩行障害患者67人の764サンプルの合計868サンプルを本方法により約98%の精度で切り出せることを確認した。また、処理時間はWSで1秒以下であった。
著者
鵜野 将年 豊田 裕之
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SANE, 宇宙・航行エレクトロニクス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.100, pp.139-143, 2008-06-19

電気二重層キャパシタ(EDLC:Electric Double Layer Capacitor)は従来の二次電池と比較して長寿命,ハイレート充放電特性,良好な低温特性等の特徴を有している.EDLCを宇宙機に適用する際の主な課題として充放電に伴う大きな電圧変動が挙げられる.従来の二次電池と比較してEDLCのエネルギー密度が低いことを考慮すると,EDLCのエネルギーを最大限に活用するためには高効率かつEDLCを深く放電させることが可能な電力変換装置が求められる.本稿では中間タップセレクタと非安定型DC-DCコンバータを併用することにより,EDLCを高効率かつ深く放電することが可能な新しい宇宙機電源システムを提案する.
著者
橋本 遼 渡辺 昌洋 安部 伸治 浅野 陽子
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. HCS, ヒューマンコミュニケーション基礎 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.111, no.464, pp.113-118, 2012-02-27

インターネットは社会インフラとしての重要性を増し続けており,ICTサービス利用スキルの低い高齢者に対する支援は重要な課題である.本稿では,高齢の初心者がWeb利用方法を教え手と1対1で学習するとき,キーボード,マウスといった入力デバイスの操作の学習と,Webサイトの構造を把握して目的を達成するための探索手順などの概念的な内容の学習を同時に行っており,高い認知負荷が学習を阻害しているという仮説を立て,操作学習と概念的内容の学習を別々に行う分割学習手法を提案する.実験によって提案手法と既存の学習手法を検討した結果,操作学習と概念的内容の学習を別々に実施することで,概念的内容の定着が高まる傾向が見られた.また,副次的にWeb利用意欲の向上を促進する効果も示唆された.
著者
末田 敬一 辻岡 康則 高橋 大和 川戸 栄 小林 喬郎
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. LQE, レーザ・量子エレクトロニクス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.103, no.59, pp.17-20, 2003-05-09
参考文献数
8

準4準位系材料であるYb:YAGは、高い原子量子効率、長い蛍光寿命等の特性を有し、高効率、高出力のレーザ結晶として適しており、小型のLD励起高出力超短パルスレーザの実現が期待されている。結晶内の温度上昇を抑制し、かつ励起強度を高めることを目的として、スラブ状結晶を用いた新しいLD端面励起Yb:YAG薄型スラブレーザの発振実験を行った。結晶は寸法0.3mm×4mm×50mmで、両面からサファイアのディフィージョンボンディングを行う。出力特性として344WのCW励起で出力128W、光-光変換効率37%、スロープ効率47%のマルチモート゛発振出力が得られた。