著者
小杉 正昭 桧垣 博章
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NS, ネットワークシステム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.109, no.102, pp.67-72, 2009-06-18

アドホックネットワークでは、次ホップ無線ノードへのデータメッセージ転送に無線通信リンクを用いるが、一般に有線通信リンクよりも低信頼であると言われている。高信頼無線通信手法には、Ackメッセージの返信とデータメッセージの再送信によるBEC手法と、同一データメッセージを一定回数繰り返し送信するFEC手法がある。本論文では、同一のデータメッセージ転送成功率を得ることを前提として、隣接無線ノードのデータメッセージ受信機会の減少量を指標として、各中継無線ノードがBECとFECを選択的に使い分ける手法を提案する。ここでは、メッセージ紛失率、データメッセージ転送に対する要求成功率、送信無線ノードと受信無線ノードの隣接無線ノード数によって無線通信手法の選択を行なう。シミュレーション実験により、提案する選択手法がBEC固定手法およびFEC固定手法に対して6.20%および6.66%スループットを改善することを確かめた。
著者
青木 孝文 長谷川 晶一 佐藤 誠
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MVE, マルチメディア・仮想環境基礎 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.490, pp.53-56, 2009-03-17

本研究の目的は,プロジェクタによって投影された映像に対しハプティックインタラクションを可能にすることである.操作中の疲労感の低減や複数人の複数指での操作を考えると,両手のすべての指先にも装着可能な小型軽量な非接地型ハプティックインタフェースが必要となる.そこで本論文では,構造化光受光型位置センサと小型振動子も用いた指先装着型インタフェースを提案する.本手法の特徴として,力覚提示装置自体が即座に位置情報を取得できることが挙げられる.そのため,力覚提示の際に問題となる遅延の影響が少ない.また,高速な位置計測が可能なことからめり込み・すり抜けといった不具合を回避することが可能である.
著者
山口 竜一 鳥海 不二夫 石井 健一郎
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. AI, 人工知能と知識処理 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.456, pp.69-74, 2009-02-23
参考文献数
6

近年,SNSなどのネットワークコミュニケーションツールが急速に普及してきている.SNSの社会的広がりもあり,学内SNSや社内SNSや地域SNSなどのユーザを限定したSNSも多数開設されている.しかし,開設されたSNSが効果的に利用されていることは少ない.本研究では,SNSを活性化することを目的とし,その足がかりとしてアクティブネットワークの時系列変化に着目した分析手法を提案した.そして,提案手法を用いて二つのSNSのアクティブネットワークの違いを明らかにした.
著者
石川 彰夫 パナヒプル テヘラニ メヒルダド 内藤 整 酒澤 茂之 小池 淳
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D, 情報・システム (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.92, no.6, pp.854-867, 2009-06-01
被引用文献数
16

仮想視点が空間の中に入り物体群の間を通り抜ける(ウォークスルー),新たな画像ベースレンダリング方式を研究している.はじめに,筆者らは,被写体空間を取り囲み撮影した多視点映像を用いて"ウォークスルー"を実現するための技術的な要件を示す.従来の画像ベースレンダリング方式には,カメラ配置の制約と視点位置の制限があった.筆者らは,それらの課題を解決するために,空間を多数の小領域に分割し各々に局所的な光線空間を設定するという,新しいフレームワークを提案する.また,新フレームワークにおけるウォークスルーの中で必然的に生じるオクルージョンの新たな処理方法も提案する.計算機シミュレーションにより,提案手法がウォークスルーを実現しているとともに,正確な視差を生成し,オクルージョン問題も適切に解決していることが分かった.
著者
伊東 靖簡 猿田 和樹 寺田 裕樹 武田 和時
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. PRMU, パターン認識・メディア理解 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.484, pp.13-18, 2009-03-06

一般物体認識とは,実世界シーンの画像を一般名称で認識する技術である。本研究では,画像中からクラスに関係なく物体領域を抽出する手法を提案する。提案手法は,学習プロセスにおいて,物体のクラスを認識する識別器だけでなく,入力画像に対して物体領域と非物体領域を判定・検出する検出器を生成する。標準評価画像データセットを対象にした認識実験において,提案手法の検出精度と認識精度の性能評価を行い,従来手法と同等の認識精度を得ることで提案手法の有効性を確認した。
著者
野口 和人 氏原 慎弥 黄瀬 浩一 岩村 雅一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. PRMU, パターン認識・メディア理解 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.484, pp.205-210, 2009-03-06
被引用文献数
1

カメラ付き携帯電話を入力デバイスとした画像認識では,撮影した画像のぶれやぼけが認識精度低下の原因となる.そのため,ぶれやぼけに対処する手法が重要となる.本稿では,局所特徴量の近似最近傍探索による認識手法に対して,原画像に様々がぶれやぼけを与えた画像を生成し学習する生成型学習を導入することによって対処する.生成型学習を導入するにあたって問題となるのは,学習データの増加にともなって最近傍探索に必要なメモリ量と処理時間が増大することである.これは,特に大規模なデータベースを用いた場合に問題となる.提案手法では,多段階化とスカラー量子化によってこれを解決する.1万枚の画像データベースを用いた実験の結果,生成型学習を用いない手法と比べて認識率が12.3%向上することがわかった.
著者
上東 太一 柳井 啓司
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. PRMU, パターン認識・メディア理解 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.484, pp.83-90, 2009-03-06
被引用文献数
3

近年,食事に関する健康管理が注目され,より簡単に食事内容が記録できるシステムが望まれている.そこで,本研究では,画像認識技術を用いて食事内容を記録するシステムを提案する.画像認識手法として,最新の機械学習の手法であるMultiple Kernel Learning(MKL)を用いて,局所特徴,色特徴,テクスチャ特徴などの複数種類の画像特徴を統合して,高精度な認識を実現することを提案する.MKLを用いることにより,カテゴリ毎に認識に有効な画像特徴を自動的に推定し,各特徴に対して最適な重みを学習することが可能となる.それに加え,本研究では,提案した食事画像認識手法を組み込んだ食べ物画像認識システムのプロトタイプを実装した.実験では,50種類の食べ物画像データセットを構築し,提案手法の評価を行ない,平均分類率61.34%を達成した.50種類もの大規模な食事画像の分類は,実用的な精度で実現することが困難であったため報告例がないが,本研究ではMKLによる特徴統合を行なう提案手法によって,初めて大規模食事画像分類において高い認識精度を達成することができた.
著者
岸 遼 筧 康明 苗村 健
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MVE, マルチメディア・仮想環境基礎 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.490, pp.15-18, 2009-03-17
被引用文献数
1

点滅パターンをもった1次元光点列を高速移動させることによって残像を生成し,2次元情報の提示を行うことができることは一般的に知られている.しかし,この方法では,光点列の移動速度と点滅パターンの同期をとることが必要不可欠であった.本稿では,このような移動速度と点滅パターンの同期を必要とせず,ユーザーがより自由な操作を行うことができる残像ディスプレイの提案を行う.具体的には可視光通信プロジェクタを用いて空間内に情報を高密度に充填し,その情報を光点列の移動過程でリアルタイムに取得,出力することによって残像を生成するシステムのプロトタイプを製作した.
著者
ニック キャンベル
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SP, 音声
巻号頁・発行日
vol.98, no.423, pp.47-54, 1998-11-19

CHATRは音声コーパスを用いて音声合成を生成する手法である。本手法は信号処理を施すことなく、音声波形に音響的・韻律的影響を付与する「ゲシュタルト」ラベリングによって適切な音声セグメントを選択する。CHATRは音声コーパスに情報を付与することにより、モデル依存ではなく、自然発話データから直接情報を得る。また、この手法により基本アルゴリズムを変えずに、異なる話者や異なる言語に適用する汎用的な音声合成が実現可能となった。本報告では音声コーパスを7段階の処理(音声収録、ラベリングや分析、圧縮や情報符号化、自動学習、韻律予測、単位選択、波形接続)によって連続発話音声データから合成音声を生成する方式を紹介する。
著者
木村 学 斉藤 和巳 上田 修功
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. AI, 人工知能と知識処理 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.106, no.38, pp.51-56, 2006-05-11

本稿では、新聞記事のような文書ストリームを対象に、ホットトピック抽出法に関する検討結果を報告する。具体的には、文書出現のバースト性を土台にしたKleinbergの抽出法に村し、単語出現のバースト性を土台にした改良法を提案する。新聞記事一年間分を用いた評価実験では、人手抽出したベンチマークのホットトピック群に対し、Kleinbergのオリジナル抽出法と比較して、提案法が高い抽出性能を示したことを報告する。
著者
金子 豊 竹内 真也 南 浩樹 和泉 吉則
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NS, ネットワークシステム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.203, pp.57-62, 2008-09-04

DHT (Distributed Hash Tables)を使った構造型P2P (Peer-to-Peer)は,中央集権的な管理機構が無いためスケーラビリティがあり,障害耐性,拡張性にも優れるため,大規模な分散ストレージシステムの構築に有効な技術である.筆者らは放送局における番組素材ファイルの分散ストレージシステムへの利用を想定し,OneHop拡張方式を提案している.本稿ではこのOneHop拡張方式の実装方法について述べ,さらに,1,000から10,000ノード規模の実験による本実装による提案方式の性能評価結果について述べる.実験の結果,提案方式はサイト間ネットワークのパケット量の削減効果があること,公開するキー数に応じてキーの割り当て数を制御可能なことを確認した.また,提案方式はネットワーク障害による通知メッセージの輻輳を起こさず,スケーラビリティの点で有利であることが分かった.
著者
大崎 雅代 寺岡 照彦 中田 秀男
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SS, ソフトウェアサイエンス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.104, no.467, pp.19-24, 2004-11-19
被引用文献数
1

本稿では,Webアプリケーションを,UMLの状態マシンに基づいてモデル化する手法について提案する.本手法では,Webページ,ページの遷移,サーバ・サイドにおけるビジネスロジックを分離し,それぞれUMLの状態マシンにおける状態,状態遷移,アクションと捉えることにより,Webアプリケーションの振る舞いを状態マシンとしてモデル化する.提案モデルを,状態遷移図を用いて記述することにより,直感的にWebアプリケーションを開発することができる.本稿では,さらに,提案モデルに基づくWebアプリケーション構築環境について説明する.
著者
藤木 淳 赤穂 昭太郎
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. PRMU, パターン認識・メディア理解 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.105, no.119, pp.41-46, 2005-06-10
被引用文献数
3

複数の2次元画像からカメラ運動と対象物体の立体形状を同時に復元する問題はコンピュータビジョンにおいて基本的かつ重要な問題であり, その復元において複数の画像間に成立する幾何学, 特に2枚の画像の間に成立するエピポーラ幾何学を知ることは, コンピュータビジョンの理論を理解するために不可欠である.一方, 近年, 監視システムやロボットナビゲーション等への応用が期待される全方位カメラを用いたコンピュータビジョンが脚光を浴びており, 複数の全方位画像間に成立する幾何学の重要性が増している.本稿では, 全方位カメラの一つである球面カメラに着目し, 2枚の球面カメラ画像の間に成立するエピポーラ幾何の新しい計算法を提案する.そして提案手法の有効性をシミュレーションにより確認する.
著者
藤木 淳
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. PRMU, パターン認識・メディア理解 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.102, no.531, pp.55-60, 2002-12-12
被引用文献数
1

点対応を用いた複数のアフィン射影画像からの運動と形状の復元は基本的かつ重要な問題である.本稿では,この問題が球面3角形の復元問題であることをエピポーラ幾何学を通して示し,かつ新しい復元手法を提案する.
著者
下田 将之 吉沢 真吾 和田 直哉 宮永 喜一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. CS, 通信方式 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.101, no.670, pp.79-84, 2002-02-26

音声認識のVLSI化は高速演算により実時間処理を可能にし,トータルシステムの負担を大幅に軽減できることから,その実現が望まれている.本稿では,音声認識LSIを作成するためのシステム構成の概要を示す.また,FFTケプストラムとLPCケプストラムの2つの音声分析手法を用いてソフトウェアシステムを構築し,認識性能の評価を行う.FFTケプストラムは,演算が容易で並列処理が可能であり,LPCケプストラムは声道特性を良好に反映できる現在最も主流な分析方法である.認識手法には連続分布型の隠れマルコフモデル(Hidden Markov Model:HMM)を用いる.
著者
飯田 公司 板井 志郎 渡辺 貴文 三輪 敬之
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. HCS, ヒューマンコミュニケーション基礎 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.107, no.552, pp.25-30, 2008-03-15

即興劇のようなドラマ的なコミュニケーションにおいて,ストーリイが持続的に創出されていくためには観客の存在とその働きが重要な役割を果たすと考えられる.そこで本研究では遠隔地間でこれを可能とするため,共感的な観客のもとで演者が舞台としての場に位置づけられる劇場型の共存在空間の設計・開発を行うことを目的とした.その方法として先に著者らが開発した,身体の影によって遠隔地にいる相手との共存在感の創出が可能な影システム(WSCS)を適用することにした.すなわち,WSCS空間を透過型スクリーンと障子スクリーンで二つに分割し,演者と観客の影を個別に投影するとともに,両者の間で空間的な位置関係が整合的になるように表現することで演者,観客,舞台から構成される劇場型コミュニケーションシステムを考案,製作した.さらに,観客が劇場に自由に出入りできるための影表現手法についても検討し,これらをシステムに組み込んだ.以上の開発したシステムの詳細について報告する.
著者
渡辺 真吾 神谷 幸宏 梅林 健太 鈴木 康夫
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. RCS, 無線通信システム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.135, pp.79-84, 2008-07-10

基地局等の固定インフラを使用せず,端末のみで通信が実現されるアドホックネットワークが注目を集めている.このシステムでは,送信元から宛先までデータパケットを送信するために近隣端末を中継するマルチホップ通信が用いられる.MACプロトコルには無線LANの標準規格であるIEEE802.11DCFが広く用いられているが,この方式は元々シングルホップ通信用に考案されたものであるため,マルチホップ通信には適さないということが指摘されている.この問題を改善しようといくつかの手法が提案されているが,これらの多くはマルチパスフェージングのような現実の無線環境が考慮されていない.よって既存の手法ではマルチパスフェージング環境においてその性能を大きく損なってしまう恐れがある.本稿ではIEEE802.11DCFよりも高効率かつマルチパスフェージングへの耐性を持つMACプロトコルの提案を行なう.
著者
山崎 章市
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. EID, 電子ディスプレイ (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.101, no.438, pp.1-6, 2001-11-13
被引用文献数
3

MR(Mixed Reality)プロジェクトが約4年間に開発した4種のHMD《(1)自由曲面プリズムを使った広画角光学シースルーHMD(水平51度, 垂直37度), (2)HMDの表示系に撮像系の光軸を一致させたビデオシースルーHMD"COASTAR", (3)屋外用に開発した光学シースルーHMD, (4)光学シースルーHMDの表示系・光学シースルー系に撮像系の光軸を一致させた光学シースルーHMD》とそれらを用いた3Dアプリケーションシステムについて紹介する.
著者
小野田 崇
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-パターン処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.85, no.5, pp.776-784, 2002-05-01
被引用文献数
9

AdaBoostの有する高い汎化能力は,Support Vector Machineで導入されたmarginの概念を適用することで解明されている.しかしながら,この汎化能力の高さは,学習データ中に誤分類や非常に大きい雑音を含んだデータがない場合に限られるものである.誤分類や大きい雑音を含む場合,AdaBoostは高い汎化能力を実現できないことが実験的に示されている.また,これらの結果はmarginの改善という視点から,Schapireらの研究によって理論的な裏付けが行われている.本論文では,Schapireらの議論に基づき,AdaBoostの起こす過学習を避けるため,AdaBoostが最小化する目的関数に正則化項を導外した新たなアルゴリズムAdaBoost_<Reg>,ν-Arc,ν-Boostを提案する.