著者
小比田 涼介 宮本 エジソン正
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. TL, 思考と言語 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.113, no.440, pp.7-12, 2014-02-14

先行研究において、CMC (Computer-Mediated Communication)はその匿名性ゆえに、自己開示(本当の自分について話すこと)が行われやすく、シャイな特徴を持つ人において特にそのような傾向が見られると主張されている。本研究では、Twitter上での自己開示に対する匿名性とシャイネスの影響を調査した。結果、Twitter上での自己開示と対面状況での自己開示を比較の上で、以下の2つの知見を得ることができた。1. Twitterを匿名で利用しているユーザーのうち、シャイなユーザーはシャイでないユーザーと比べ、Twitterにおいて自己開示的である。2. Twitterの匿名性がユーザーの恣意的な操作によるものであることから、匿名利用のシャイなユーザーと非匿名利用のシャイなユーザーの間には、パーソナリティや利用動機など何らかの差異があり、その差異によってTwitterがシャイな人にとって自己開示機会となるかどうかが規定されている。
著者
定延 利之
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告 = IEICE technical report : 信学技報 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.113, no.354, pp.35-40, 2013-12-14

本発表では,知識と体験が推論利用可能性と染み込み速度に関して異なることを,現代日本語(共通語)の諸現象を通して示す.条件文を例にとると,タラ・バ・トと異なり体験を表さないナラだけが(例「そこに行っタラ/行けバ/行くト/??行くナラ,食事がもらえた」),条件だけでなく新規獲得知識をマークでき(例「&彼が来たナラ私は帰る」),新規獲得知識を条件(真偽不確定な情報)と同じように扱うことを示す。
著者
片岡 篤嗣 上條 賢一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. IT, 情報理論
巻号頁・発行日
vol.96, no.586, pp.139-144, 1997-03-18
参考文献数
10

一般に、通信経路における物理的故障による暗号文の破損、もしくは第三者による暗号文の改ざんによって暗号文が正常に復号出来なくなる可能性が指摘されている。本論文では、ISEC96-47で既に提案したフラクタル暗号に関するアルゴリズムを改良したものである。その中の最大の改良点は、文字変換表として差分値が重複しない新たな表を考案し、また算出されたフラクタル次元の有効数字の下位桁を使用することにより、暗号文の類似性を大幅に減少させた点にある。また、暗号文に自己変換を行うことにより、不当な攻撃に対する強度を高める方法を試みた。
著者
渡邉 実 堀内 靖雄 市川 熹
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SP, 音声
巻号頁・発行日
vol.97, no.338, pp.17-22, 1997-10-23
参考文献数
6
被引用文献数
3

数式の構造は欧米語に近く、日本語とは非常に異なるため、その日本語の音声表現は決まったものがない。視覚障碍者がインターネット等を通して電子化された情報を得る場合を想定し、HTMLやLATEXで記述されている表形式や数式を音声で表現するための基礎検討を進めている。
著者
細野 敏夫
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. C-1, エレクトロニクス 1-光・波動 (ISSN:09151893)
巻号頁・発行日
vol.81, no.4, pp.222-229, 1998-04-20
参考文献数
17
被引用文献数
1

EDHB理論の問題点として従来, エネルギー運動量テンソルの非対称性があり, Abraham-Minkowski論争として未解決である.本論文は誘電体に働く力の三つの問題に対して, EDHB理論とEB理論の考え方を比較検討した.この目的のために, 矛盾のない局所場の表現について考えた.EDHB理論の問題点を運動量保存則に結び付け, EDHB理論の運動量保存則が物理法則ではないことを結論した.従って, Abraham-Minkowski論争は物理的には無意味である, として解決される.
著者
粟国 恭子
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. HIP, ヒューマン情報処理 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.111, no.432, pp.19-22, 2012-02-02
参考文献数
5

奄美・沖縄の女性(婦人)には、古くから手に施す入墨・ハジチ(針突)の習慣があり、16世紀の文献に確認でき近代まで続いた。女性達の手の記憶<身体の記憶>のハジチについて施術法、口承伝承、文様(沖縄・宮古・八重山・奄美)を紹介する。1879(明治12)年に日本の一部にとなった沖縄では、ハジチ習慣は、日本の文化のあり様と対立し、否定されその文化が大きく変化をする。それは近代沖縄に生きた手の記憶ともいえる。
著者
杉山 将 Muller Klaus-Robert
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.104, no.760, pp.129-134, 2005-03-30

教師付き学習では, 訓練入力とテスト入力が同じ確率分布に従うと仮定することが多い.しかし, 内挿, 外挿, 能動学習などでは, この仮定が満たされない.このような状況下では, 交差確認法などの標準的な汎化誤差推定法はバイアスを持ってしまい, 適切にモデル選択を行うことができない.そこで本論文では, 訓練入力とテスト入力の分布が異なる場合にうまく対応できる汎化誤差推定法を提案する.提案する汎化誤差推定量は, 学習したい真の関数がモデルに含まれる場合には不偏性を持ち, 一般には漸近的不偏性を持つ.外挿問題の計算機実験により, 提案する汎化誤差推定量を用いたモデル選択は, 交差確認法によるモデル選択よりも優れていることを示す.
著者
竹田 仰 蒲原 新一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. A, 基礎・境界 (ISSN:09135707)
巻号頁・発行日
vol.79, no.2, pp.489-497, 1996-02-25
参考文献数
15
被引用文献数
12

力覚提示機能をもつ人工現実感技術の応用として, 仮想人物と腕相撲の対戦が行えるシステムを構築した. 対戦のための力覚ディスプレイには, 空気圧式のゴム人工筋を使用し, ヒトの筋力の強さと動きによく桔抗して応答できる機構設計を行った. また, 仮想人物との対戦をいかに人間同士の対戦のように見せるかということのために, 単に勝ち負けの2値的な評価手法ではなく, 知識が対戦ごとに獲得されていく分類システムと遺伝的アルゴリズムの手法を使用した. 従来, これらの手法は計算機内での生物の成長や行動の様子のシミュレーションとして使うことが一般的であった. しかし本論文では, 実際のヒ卜の腕相撲対戦中の刻々と変化する上肢の角速度や位置情報を計算機内に取り込み, それをもとに出力コードを選択して力覚ディスプレイに出力し, 対戦者の上肢の行動反応を再び入力するという外界とのインタラクティブな機能をもつ方式に応用展開している. このことにより, 対戦中にリアルタイムに戦略を学習しながら成長する腕相撲対戦システムを実現できている. また, 対戦中に仮想人物の顔の表情を変化させるなど臨場感の演出も試みている.
著者
和嶋 雄一郎 鷲田 祐一 植田 一博
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告 = IEICE technical report : 信学技報 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.114, no.67, pp.277-282, 2014-05-29

文系と理系という区別は,学業上の人工的な区別でしかなく,人間行動にとって特に重要な意味はないと考えられがちである.事実,日本以外の国々,特に欧米諸国では,広く受け入れられている概念とは言いにくい.しかしながら先行研究では,文系と理系の違いが社会行動に影響を及ぼす可能性がアンケート調査によって示唆されている.そこで本研究では学部4年生と大学院生を対象として,文系と理系の違いが「情報技術やサービスに関するアイデア生成」という創造的思考に影響しているのかどうかを実験的に調査した.その結果,理系からのアイデアを受けた文系がより創造的なアイデアを出すなど,文系・理系の違いと創造性との関係が示唆された.
著者
竹上 栄治 樋口 幸治 中野 和司 富岡 聡
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. EE, 電子通信エネルギー技術 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.105, no.391, pp.37-41, 2005-11-04

近年, スイッチング電源の分野で制御部のインテリジェンス化・ハードウェア共通化等の要求のために, 制御部をディジタル化する動きが進んでいる.様々なコンバータトポロジーの制御部のハードウェアを共通化するためには, 任意のタイミングでパルスが生成できるPWMジェネレータが必要であり, これはPWMジェネレータ部をディジタル化すれば容易に実現可能である.しかしながら, ディジタル回路によるPWMジェネレータは, キャリア波が階段波となり, クロック周期で刻み幅が決まるため, PWM出力パルスの分解能はクロック周期に依存する.この依存性は, スイッチング周波数が高くなるほど悪影響を及ぼすため, 制御部のディジタル化における重要な問題となっている.本論文では, パルスを合成する技術を用いて, ディジタルPWMの分解能を格段に改善できる方法を提案しており, またDSPを用いて試作機を製作し, 実験による検証をしている.
著者
得丸 公明
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. AI, 人工知能と知識処理 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.110, no.105, pp.1-6, 2010-06-18
被引用文献数
1

ヒトとヒト以外の動物は,ことばを離散的に発するかどうかが違うだけで,感情,感覚,判断,記憶などを持つ点は等しい.最近の遺伝子研究やパブロフの行なった条件反射実験,文明を逃れての砂漠の生活などがそれを明らかにする.そのことに気づき,人間だけが偉いとするヒトの思い込みを正すには,意識の論理回路に自然論理を実装する必要があり,最澄や道元の仏道修行あるいは荒川修作の天命反転が有用ではないだろうか.
著者
瀧澤 直樹 秋山 いわき
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. US, 超音波
巻号頁・発行日
vol.97, no.333, pp.45-50, 1997-10-23
参考文献数
7
被引用文献数
1

本研究では、フェーズドアレイ方式とRadon変換に基づくトモグラフィを組み合わせたパルスエコー方式の超音波トモグラフィについての3次元映像化への可能性を検討したものである。市販の超音波診断装置を利用した実験システムを構築して、鋼球と寒天ゲルによるファントムの3次元映像化を試みた。この超音波診断装置は3.5MHzの電子セクタによるプローブを用いており、スリットによってCT手法の適用を可能とする。また、RFエコーはA/D変換後、計算機に取り込まれ、直交検波によって複素振幅の投影データとした。その結果、従来のBモード画像と比べて分解能の高い良好な再構成画像を得ることができた。
著者
武藤 友和 板倉 直明 水戸 和幸
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MBE, MEとバイオサイバネティックス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.110, no.52, pp.25-29, 2010-05-14
参考文献数
8

本研究では、三次元動作分析装置と床反力計を使用してハイヒール使用時の階段降段動作への影響について検討した。ハイヒール熟練者は、階段降段時に安定性よりも速度を優先させる。結果として、膝関節・足関節の負担が増大していることが示唆された。
著者
牧野 憲一郎 三浦 秀敏
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SANE, 宇宙・航行エレクトロニクス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.105, no.363, pp.127-131, 2005-10-18

マンモスは1万年前に滅亡したという通説があり、絶滅の原因も自然環境の急変のためか、人類による乱獲の為かわかっていない。2004年8月にNTVの-ファインディング マンモス プロジェクト-調査隊にボランティアとして参加し、極北シベリアの永久凍土下のGPR(地下レーダ)およびMF-EM(多周波数-電磁探査法)を用いた冷凍マンモス探査を行った。探査は、まず、広大な領域をヘリコプターにより上空から地形観察を行い、有望地形を特定してから地表踏査を行い、地表から牙や骨片などの現れた周辺に限定して行われた。今回使用したGPRのアンテナ周波数は250MHzで、調査地点の地中媒質の電磁波速度は、0.095〜0.1m/nsで、透過深度は2.5〜3m程度であった。また、MF-EM(周波数: 0.33〜47KHz 5周波数)測定結果から得られた大地見かけ比抵抗は、40〜60Ω-mであった。
著者
長谷 良裕
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会誌 (ISSN:09135693)
巻号頁・発行日
vol.83, no.9, pp.699-706, 2000-09-25
被引用文献数
12

高度約20kmの定点に滞空する大型の飛行船を無線基地局に使おうとする夢のアイデアが成層圏プラットホームである.最近の技術の進展により, その夢が現実に近づこうとしている.本稿では, その夢の成層圏プラットホームがどのように現実に近づいてきたかの経緯を述べ, 無線通信や放送に使った場合の具体的なアプリケーション, 日本の研究開発計画とその進ちょく状況, 世界の研究開発動向, 実用段階での周波数分配の動向, 開発に関する問題点等について解説する.
著者
黒沢 由明
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. PRMU, パターン認識・メディア理解 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.106, no.428, pp.49-54, 2006-12-07
参考文献数
25
被引用文献数
2

本稿は,文字認識技術におけるMCE/GPDの応用について述べたものである.まず,文字認識分野で従来から用いられて来たLVQと,部分空間法の辞書作成手段として提案されたLSM.ALSMを紹介し,それら従来技術とMCE/GPDの関係について述べる.さらに,OCRの特徴抽出機構にMCE/GPDを適用したDFEについて紹介し,最後に再び,LSM,ALSMをMCE/GPDの立場から見た時た時の解釈を検討する.その結果,LSMについてはノルムの割算部分を除いてMCE/GPDで説明できること,ALSMについてはMCE/GPDの立場での説明が難しいことが分かった.
著者
西 師毅 小柳 理正 杉藤 芳雄
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会誌 (ISSN:09135693)
巻号頁・発行日
vol.82, no.11, pp.1116-1120, 1999-11-25
参考文献数
8
被引用文献数
2

電気試験所の組織の変遷を概観し,その中で最大の変化というべき1948年の試,験所分割以後の電気試験所(1970年に電子技術総合研究所と改称)において開発され,実用化された技術の中から,磁電デバイス,電子ビーム露光装置,DSA技術,チャネルホットエレクトロン注入型不揮発性半導体メモリ,トランジスタ式電子計算機,文字認識における複合類似度法,画像処理用ソフトウェアパッケージSPIDERの7件を紹介する.
著者
直江 宗紀 木村 敏幸 山肩 洋子 勝本 道哲
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. EA, 応用音響 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.20, pp.1-6, 2008-04-25
参考文献数
11
被引用文献数
1

三次元音場を作る方法として波面合成法がある。従来の波面合成法は空間上に多数のスピーカを配置することで実現していたが、この場合だとシステムを構築するコストも高く、また、スピーカが聴取者の視線に入ってしまうので、スクリーン等と組み合わせた視聴覚システムを構築するのが困難になる。本研究では、立方体の頂点位置に配置した8個のスピーカと波面合成法を用いた三次元音場再生システムを提案し、数の少ないスピーカアレイでも性能が十分出ているかどうかを評価する。頭部を中心とした17方向のスピーカによる定位方向と、8個のスピーカアレイによる定位方向を比較したところ、立方体面の法線方向以外では定位方向は同じであることが分かった。
著者
吉田 真紀 光成 滋生 藤原 融
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.104, no.527, pp.1-5, 2004-12-17
被引用文献数
1

タイムカプセル暗号とは,復号時刻が指定された暗号文を受け取った人(復号者)が,時報局が放送する署名付き時報を復号時刻に受け取ることで,その暗号文を復号できる方式である.著者らはこれまでに,楕円曲線上のペアリングを用いた署名方式を基に,タイムカプセル暗号を構成し,実装を行った.この方式の特長は,署名付き時報の放送と暗号文の送付以外に,通信を必要としないことである.ただし,復号者は,復号時刻の署名付き時報を逃すと,それ以降の署名付き時報を用いても暗号文を復号することができない.これに対する自明な対策として,放送された署名付き時報を全て保管し公開する機関を用意することが考えられるが,効率が悪い.本稿では,保管する署名付き時報の量を減らすことを目的とし,解除信号を導入する.解除信号は一定期間ごとに公開され,その直前の期間を復号時刻とする暗号文を全て復号可能とする.