著者
島田 洋一 山口 輝正 鈴木 良次
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MBE, MEとバイオサイバネティックス
巻号頁・発行日
vol.97, no.45, pp.39-44, 1997-05-16

等尺性収縮での親指と人差し指による把持力と関与する屈筋群の表面筋電図および指の関節角度を測定し、その実験データを用いて把持力を推定するための神経回路モデルを構築した。このモデルは入力層が8個、中間層が14個、出力層が1個の各ユニットで構成されており、中間層のユニットの入出力特性がシグモイド関数であり、他のユニットは線形の入出力特性である。学習に用いた教師データは異なる8種類の強度の把持力であり、モデルへの入力信号は4チャンネルの表面筋電図信号と4つの関節角度のデータを用いている。10万回の学習で得られた各ユニット間のウェイトを用いて別のテストデータで把持力を推定した結果、この神経回路モデルの有効性が確認され、それぞれの指関節におけるトルクも推定できた。
著者
大橋 宏正 北岡 教英 原 直 武田 一哉
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. PRMU, パターン認識・メディア理解 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.110, no.219, pp.59-64, 2010-10-01

音声を連続音声認識システムにより常時認識することによって得られる認識単語列からその場の雰囲気に適切な音楽・楽曲を提案し,再生するシステムを構築した.楽曲を説明するテキストより構築された文書ベクトル空間と,楽曲の音響特徴量を表現する音響ベクトル空間の対応付けを利用することで,大語彙音声認識によって得られた音声認識単語列を音響ベクトル空間へとマッピングする.また,大語彙音声認識ではカバーできない固有名詞などのキーワードをワードスポッティングで認識する.本稿ではシステムの概要と基本的な性能評価の結果と実際の雑談音声への応用に向けた予備実験結果を示す.楽曲のレビューを読み上げた音声を認識した結果による楽曲検索結果と,レビューのテキストを用いた結果との比較により,テキストではMRR値1で検索できたものが,音声認識性能はWER70.55%,ワードスポッティング性能はF値31.58%でもMRR値0.83と比較的良い結果を得た.また,今後の雑談認識の応用の予備的実験を行い,雑談書き起こしからの例を示した.
著者
加藤 充美 西村 明 安藤 由典
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SP, 音声 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.100, no.635, pp.43-50, 2001-02-15
参考文献数
6
被引用文献数
5

筆者らはフルート演奏音の倍音の微細な変動のフルート音の品質への影響を研究している。フルート音には、倍音の振幅や周波数の変動とともに息音に起因するノイズ成分が含まれている。このノイズ成分は倍音の変動にも影響を及ぼし、フルート音の品質へも影響している。それらの影響を研究するためには、倍音の振幅や周波数の変動とノイズ成分をまとめて分析し、変動の深さなどのパラメータを変化させて合成し試聴する手法が必要となる。このため、筆者らは解析信号を用いた分析・合成手法を採用し研究を進めている。本報告ではこの手法がフルート音のような倍音の変動のみならずノイズ成分をもつ楽音に対する分析・合成に適している手法であることを示し、その性質を明らかにする。
著者
神崎 雄一郎 門田 暁人 中村 匡秀 松本 健一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. A, 基礎・境界 (ISSN:09135707)
巻号頁・発行日
vol.87, no.6, pp.755-767, 2004-06-01
被引用文献数
9

本論文では,プログラムに含まれる多数の命令をカムフラージュ(偽装)することにより,悪意をもったユーザ(攻撃者)によるプログラムの解析を困難にする方法を提案する.提案方法では,プログラム中の任意の命令(ターゲット)を異なる命令で偽装し,プログラムの自己書換え機構を用いて,実行時のある期間においてのみ元来の命令に復元する.攻撃者がカムフラージュされた命令を含む範囲の解析を試みたとしても,ターゲットの書換えを行うルーチン(書換えルーチン)の存在に気づかない限り,プログラムの元来の動作を正しく理解することは不可能である.解析を成功させるためには,書換えルーチンを含む範囲についても解析する必要があり,結果として,攻撃者はより広範囲にわたるプログラムの解析を強いられることとなる.提案方法は自動化が容易であり,要求される保護の強さ,及び,許容される実行効率の低下の度合に応じて,ターゲットの個数を任意に決定できる.
著者
菅原 一秀
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会誌 (ISSN:09135693)
巻号頁・発行日
vol.84, no.5, pp.337-340, 2001-05-01
参考文献数
5

視覚障害者が独力で印刷文書を読むことができるシステムを紹介する.従来のこのようなシステムは印刷された文章の音声への置換え機能を提供するだけなので,先頭から順に音声を聞くことしかできず,ユーザが読みたいところに素早くアクセスすることができなかった.この問題は見出しや段落など文書の論理的な構造を利用することにより解決できる.ユーザインタフェースとしては論理構造-この場合はツリー構造-を渡り歩くためのコマンドが必要となる.我々はこの方式を雑誌を読む課題に適用した.表紙による雑誌の判別や,目次構造の利用,ページ番号の取得,構造化された文書の管理などの機能も含め,雑誌からの総合的な情報取得のためのシステムを作り上げた.
著者
澤田 優貴 平原 達也
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. EA, 応用音響 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.109, no.240, pp.25-29, 2009-10-15

本報告では誰もが不快に感じる絶対不快音を構成している要因を明らかにするために、16種類の不快音の音響分析と聴取実験を通じて不快感の原因となるスペクトル的特徴を明らかにする。その結果、音圧の高い音は不快度が高いこと、不快度の高い音は、5〜7kHzに強いスペクトル成分を持つこと、その強いスペクトル成分は、周波数的にも時間的にも不規則に出現していることがわかった。また、絶対不快音の強いスペクトル成分を逆フィルタで減衰させると、不快度は低くなることもわかった。
著者
尾田 政臣
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. HCS, ヒューマンコミュニケーション基礎 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.104, no.320, pp.1-6, 2004-09-19
参考文献数
11

これまでの多くの研究が,対称性と顔の魅力に正の相関があることを明らかにしている.しかし,その影響の度合いが他の要因と比較されて論じられことはなかった.一方,目の大きさが魅力に影響することが知られている.そこで,顔の魅力と美しさの手ががりとして何を用いているかを質問紙法で調査し,さらに対称性と目の大きさを統制した顔を評価させる実験によって各要因の影響を比較した.その結果,対称性が美しさや魅力の評価の手がかりとなることが少ないこと,目の大きさが対称性より大きな手がかりになっていることが明らかになった.両目が大きい対称顔は目の小さい対称顔より魅力や美しさが高く評価されるが,片目が大きい顔でも対称顔より魅力や美しさが高く評価された.この結果は非対称顔でも対称顔より魅力あるいは美しさが高く評価される可能性を示した.
著者
壁谷 彰慶
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SITE, 技術と社会・倫理 : IEICE technical report (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.244, pp.21-26, 2008-10-10

Googleが提供した高機能な検索エンジンは、インターネットの利用法を根本から変えるほど多大なインパクトを世間に与えている。しかし、この企業の情報の扱い方に対して、たびたび良識を欠いているとの非難がされることがある。Googleが非常に優れた技術集団であることは疑い得ないが、倫理的な問題についての配慮が欠如しているのも事実である。そこで、じっさいにGoogleが行った「検閲」の事例を参考に、「検索エンジンにおける検閲」のあり方について、「検索」と「検閲」の関係とともに考察する。結語として、この企業が作業ポリシーを確立し、それを明示することの必要性を述べる。
著者
新井 賢一 原山 卓久 砂田 哲 デイビス ピータ
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NLP, 非線形問題 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.112, no.117, pp.53-58, 2012-06-28

確率的挙動を生成する装置としてカルトンボードが古くから知られている.ここでは数理的カルトンボードモデルの出力結果の予測不可能性について報告する.カルトンボード中のボールの運動は決定論的な運動方程式に従うが,不可避な初期状態の不確かさが存在し,出力結果が予測不可能になる場合がある.出力状態の初期状態空間におけるベイスンの構造と初期状態不確定性の大きさから,予測不可能性をより精密に調べた.まず,このモデルはフラクタルなベイスン構造を持っており,任意の小さな不確定に関しても予測不可能性をもつことを示した.次に,予測不可能性の定量的な議論を初期条件鋭敏性,統計的偏りの観点から行った.さらに,これらの結果から予測不可能性についての基準を決めると,それを満たすためのボールの半径を決めることができることを示した.
著者
安藤 正遵 千崎 一義 上野 香代子 大川 茂樹
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SP, 音声 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.109, no.308, pp.19-24, 2009-11-19

本稿では,歯科における咬み合わせ治療により発声が改善されることを,実際の治療事例および治療前後の音声分析の結果により示す。一般にはあまり知られていないが,咬み合わせ治療を施すことにより,肩こりなどの不定愁訴などが改善されることや,発声が明瞭になる(たとえば滑舌がよくなる)ことが歯学界では知られている。本研究では,まず,模擬患者1名の通常の咬み合わせ時および異物を下顎臼歯に配置したときの舌運動をfMRI画像として記録した。次に,実際に発声改善を望んだ複数名の患者に対して治療を施し,術前・術後の音声を録音した。患者2名の治療事例の詳細を紹介すると共に,音声の変化に関する時間的・周波数的分析の結果を示す。
著者
谷治 隆史 関口 一樹 向井 信彦 小杉 信
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. IE, 画像工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.105, no.431, pp.29-34, 2005-11-17
被引用文献数
1

パソコンの高性能化, ハードディスクレコーダの普及, および, 通信回線の高速化などにより, 映像を効果的かつ効率的に要約・検索を行う技術の必要性が高まっている.我々は, 長時間の試合に対して重要なシーンの割合が限られている野球中継映像を対象とし, 映像解析により索引の自動付加, および, ユーザの嗜好を反映したダイジェスト映像の自動生成を行ってきた.本稿では, 放送局の判別方法, 詳細打席結果の推定方法, さらに, シーン重要度の算出方法について述べる.シーン重要度を用いることにより, ユーザが時間指定を行うだけでダイジェスト映像を作成することを可能とした.
著者
和田 真一 越田 圭治 園田 健人 峯岸 寛人 菊地 光男 久保田 洋彰 澤 孝一郎
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. EMCJ, 環境電磁工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.144, pp.37-42, 2008-07-11
被引用文献数
7

電気接点に実用的振動を与えうるハンマリング加振機構を開発し,微小振動が接触抵抗に与える影響を考察できる可能性を検討した.外部入力として,単位ステップ関数を導入し,本加振機構の数学的モデル化を実施しPCによるシミュレーションを行なった.このモデルを用いて変位・加速度・力学的エネルギーなどの基本的な力学量に関する考察を行なった.有限要素法(ジオメトリ要素法)により,加振動作をシミュレータとの比較により,基板を固定している固定端近傍の挙動や変位・加速度の絶対値において差異はみられたものの,波形の概形においてよい一致をみた.
著者
馬場 良二
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SP, 音声 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.104, no.148, pp.11-16, 2004-06-18

熊本方言は語のアクセントの型に意味を弁別する機能がなく,無アクセント方言だといわれている.しかし,音声言語であれば発話の切れ目を示す機能はあるはずで,引用を示す助詞「-て」を含む節において,韻律がどのように現れるかを調査した.イントネーション単位がテ節と一致しているとき,基本的には「て」の直前で音調の下降が見られること,テ節がより大きなイントネーション単位の一部となるとき,その下降は見られなくなること,プロミネンスがおかれた場合,おかれた要素の音調にピークが現われ,他の要素の音調は低くおさえられることなどがわかった.
著者
星野 哲 松本 弘之 松本 勉
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ISEC, 情報セキュリティ (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.101, no.311, pp.53-60, 2001-09-10
参考文献数
15
被引用文献数
2

我々は, 指紋照合システムの供給者ならびに利用者に対してセキュリティーの再考を促すことを目的に, ゼラチン製の人工指, いわゆる"グミ製人工指"が市販されている11機種の指紋照合装置に高い割合で受け入れられることを示してきた.これらの一連の実験において, 我々は元となる生体の指を直に押し当てて作製した型を用いてきた.本稿では, 生体の指を直に押し当てることなく, ガラスなどに残った指紋から採取した指紋画像を元に型を作製できるか否かについて検討する.まず, 指紋画像を利用した型の作製方法を説明する.さらに, その型から作製したグミ製人工指も市販の指紋照合装置に受け入れられたことを報告する.
著者
野村 若見 昇 近藤 信二 合原 一幸
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
信学技報
巻号頁・発行日
pp.NLP93-67, 1994
被引用文献数
2

食器洗い機における2リンクノズルの挙動を決定論的カオスの観点から解析した.2リンクノズルは自由に回転できる2つのノズルから構成されており,周期的でない複雑な動きを示す.この2リンクノズルの動きを画像処理により検出し,時系列データに基づく解析を行なった.具体的には,画像処理により得られた時系列データから2リンクノズルの力学系を表すアトラクタを再構成し,1)ポアンカレ断面2)サークルマップ3)リアプノフ指数4)フラクタル次元の計算を行なった.これらの計算の結果はすべて,2リンクノズルの挙動が決定論的カオスから生成されていることを示していると考える.また,実際の食器を用いた洗浄能力の評価実験では,周期的な挙動を示す従来のノズルよりもカオス的な挙動を示すノズルの方が洗浄能力が高くなるという結果が得られた.
著者
生井 みづき 瓜生 大輔 徳久 悟 柏樹 良 稲見 昌彦 奥出 直人
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MVE, マルチメディア・仮想環境基礎 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.109, no.281, pp.41-46, 2009-11-05
被引用文献数
3

"panavi"は、適切な温度調節と動作の誘導により、ユーザの料理スキルの習得を支援するシステムである。本システムは、センサ・アクチュエータ・無線通信機能を内蔵するフライパンと、オリジナルフォーマットのレシピ、ナビゲーションディスプレイを有するコンピュータの3つから構成されている。本システムは他の調理道具と同様に家庭のキッチンで使用可能であるため、毎日の食事作りの際に繰り返して使用することで、プロの料理人が身体能力として身につけている能力を、素人が獲得することの支援が可能である。本論文では、panaviのシステムの仕組みと、ユーザが経験するインタラクションについて述べる。
著者
繁田 聡一 岡本 秀輔 清水 謙多郎 曽和 将容
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SS, ソフトウェアサイエンス
巻号頁・発行日
vol.98, no.230, pp.17-24, 1998-07-31
参考文献数
6

64ビットアーキテクチャの登場によって広大なアドレス空間が使用できるようになり、単一アドレス空間方式のオペレーティングシステムが研究されている。全てのプロセスが単一の仮想アドレス空間を共有するこの方式には、プロセス間でのデータ共有が効率良く実現できるという大きな利点がある。しかし、逆に、プロセス固有のデータを不正な参照から互いに保護するためには、単一の仮想アドレス空間上で保護領域の設定とアクセス制御を実現する必要がある。本稿では、キー/ロック方式を拡張した方式を、単一仮想アドレス空間上でのアクセス制御機構に適用する。
著者
佐々木 整 森川 哲史 竹谷 誠
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-I, 情報・システム, I-情報処理 (ISSN:09151915)
巻号頁・発行日
vol.83, no.6, pp.635-643, 2000-06-25
被引用文献数
9 4

論理的思考能力の育成の重要性は, 以前より強く指摘されている.また, 入学試験や就職試験などでは論理適性検査が行われており, 論理的思考能力が入学や採用の判断基準の一つとして活用されている.そこで, この論理的思考能力の育成教育の教材として, 学習者が作成したプログラム同士を対戦させプログラムの解析を行い, その結果をもとにプログラムを改良することでこの能力の育成を支援する, ゲーム型学習システムである, 対戦型ゲームを利用した論理的思考能力育成教材を開発した.本論文では, この論理的思考能力育成教材を提案するとともに, 高校生を対象として実施した実験授業結果について報告する.
著者
斎藤 正男 多氣 昌生
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会誌 (ISSN:09135693)
巻号頁・発行日
vol.82, no.6, pp.572-579, 1999-06-25
参考文献数
20
被引用文献数
3

電波の健康影響に対する関心が高まり, それにこたえるために多くの研究が行われている. 近年, 電波と生体がどのように結合するかを調べるドシメトリーという技術が進歩し, 精度の高い定量的な研究が行われるようになったが, 新しい研究成果を踏まえても, 熱と刺激の影響を考えればよいという30年前の結論に大幅な修正は必要ない. それでも健康影響への不安という社会問題の面での解決は難しい. 科学の問題としての取組みだけでなく, 生活環境の他のリスクとの比較評価を含めた取組みが必要になってきている.
著者
根来 美貴 曽我 真人 瀧 寛和
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ET, 教育工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.111, no.39, pp.53-58, 2011-05-07

近年,マンガの描き方を記した書籍には『視線誘導』という技術が記載されている.『視線誘導』とは「ページのコマの絵を追っていく読者の視線の自然な流れを作る」技術である.この視線の流れを作者がコントロールすることで,マンガ内の時間感覚やリズムなどを希望した通りに読み進めてもらえる.しかしこれは著者の経験に基づいて記述されているものであり,実験により証明されたものではない.そこで本研究では書籍および参考資料に記載されている視線誘導の例からマンガを作成し,視線分析装置を用いた分析を行った.また印象の変化が発生するとされるものにはアンケートを実施した.そこから視線誘導の有用性を明らかにすることを目的とした.