著者
大久保 亮介 片上 大輔 新田 克己
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. KBSE, 知能ソフトウェア工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.104, no.587, pp.7-12, 2005-01-17

本研究の目的は, 電子掲示板を対象として, 現在注目されている話題を低コストで把握し, 近い将来流行する話題の予測することである.本研究では電子掲示板上の話題の伝搬を解析する手法として, リンク情報に基づくアプローチを提案する.投稿中に現れるリンク情報を抽出し, それがどのように伝搬していくかを調べる事によって, 伝搬のパターンの分類と流行度合いの測定を行う.未知の話題が流行するか否かの予測は, サポートベクターマシン(Support Vector Machine)によるクラス分類によって実現した.収集した既知の流行的話題に対して本手法の有効性を検証する実験を行った.
著者
中山 英樹 原田 達也 國吉 康夫 大津 展之
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. PRMU, パターン認識・メディア理解 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.107, no.384, pp.65-70, 2007-12-06
被引用文献数
5

画像アノテーション・リトリーバルは,インターネットにおける検索をはじめとする幅広い応用が期待できる技術である.しかし,対象とする画像や認識対象が一般的なものであるため,極めて難しい課題であり,既存技術は精度・速度の両面において難を抱える.本研究では,高次局所自己相関特徴と確率的正準相関分析の組み合わせにより,画像・単語間の概念を効率よく学習することで,従来の世界最高精度の手法とされるSML[1]に比し,精度・速度の両面で圧倒的な向上を実現した.特筆すべきは,認識速度において最高で約1万倍の向上を果たしている点であり,本手法は認識精度と同時に高い汎用性・実用性を有する.
著者
河村 洋子 横田 康成 亀谷 謙
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NC, ニューロコンピューティング (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.105, no.659, pp.85-90, 2006-03-10

性同一性障害(以下,GID)の診断では,診断精度向上と迅速な診断を実現するため,心理的性(gender)の客観的かつ定量的な評価法が必要とされる.本稿では,正常男女とGIDを有する被験者の頭部MRIを用いて,正中矢状断における脳梁形状の性差を調査した.まず,脳梁形状をフーリエ記述子で表現し,ソフトマージンをもつ線形サポートベクタマシンを用いて,フーリエ記述子によって張られるベクトル空間において,正常男女の標本群を最も良く分離する超平面を決定した.各被験者の脳梁形状を得られた超平面に直交する線形部分空間に正射影した座標を,正常男女の生物学的性(sex)差を最も顕著に表す特徴量として定義した.さらに,GID患者に対し,この特徴量の値を調べた結果,この特徴量は,生物学的性差ではなく心理的性差を反映することが示された.このことは,提案した特徴量を用いて心理的「性」の推定が可能,更には,GID診断の客観的尺度として利用できることを意味する.
著者
大足 恭平
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. AI, 人工知能と知識処理 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.208, pp.23-25, 2008-09-09

ウィキペディア日本語版は,日本語によるインターネット上の情報源としてはもとより,参考図書的な扱いによる「百科事典」としても無視できないものとなっている.「誰でも自由に書ける」「フリーな」百科事典として紹介され,社会に一定の影響力をもつに至っている.しかし,ウィキペディアがいかなる理念のもとに運営され,また形成されてきているのかについては,多く知られているわけではない.本稿ではウィキペディア日本語版における知の形成のあり方を,理念と現実の面から振り返り,そのうえで社会的知との関わりを論ずる.
著者
赤井田 健造
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SSS, 安全性 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.486, pp.9-12, 2009-03-16
被引用文献数
3

詐欺に対する社会の監視とターゲットを守る環境が必要だ.
著者
原 邦治 雨海 秀行
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. PE, 電子通信用電源技術
巻号頁・発行日
vol.94, no.150, pp.25-29, 1994-07-19

最近、クリーンなエネルギーを利用した発電システムとして、大陽光発電が注目を浴びている。この発電装置がインバータを介して商用電源と連系して運転する場合には、いくつか問題がある。特に、商用系統が停電したとき、太陽光発電装置のインバータの単独運転は、連系システムの保安上、危険であるため、商用の停電を検出して運転を停止する必要がある。しかし従来の停電検出法には不感帯が存在し、確実な停電検出が困難である。本論文ではインバータの出力電圧に高調波を重畳させ、単独運転時に顕著に現れる高調波電圧を検出し、インバータの単独運転を防止する方式を開発したのでこれを報告する.
著者
大竹 稔 齋藤 毅 三好 正人
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告 = IEICE technical report : 信学技報 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.113, no.349, pp.79-83, 2013-12-13

本稿では,愛知県三河地方から石川県への転居者,三河弁話者,石川方言話者を対象に,転居による方言の音響的変化を調査した.話者による意図的な制御が困難とされる母音(母音ホルマント周波数F1,F2とMFCC),鼻濁音(鼻音ホルマント周波数)の音響特徴を調査した.分析の結果,転居者の三河弁の母音ホルマント周波数F1,F2,MFCC,鼻音ホルマント周波数は,石川方言に近い傾向がみられた.これらは,転居者の三河弁の調音が石川方言の影響を受けて変化している可能性があることを示唆している.
著者
野田 篤司
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SANE, 宇宙・航行エレクトロニクス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.100, no.162, pp.73-77, 2000-06-23

小型研究衛星(μ-Lab Sat)は、2001年度の打ち上げを目指したH-IIAロケットの余剰能力を活用した50級の小型衛星である。衛星の目的とする実験は大別して以下の3つが行われる。(1)50kg級小型衛星バス実証(2)SELENE(SELenological and ENgineering Explorer)リレー衛星分離機構実証(3)遠隔検査技術先行実証本論文では、μ-Lab Satのシステム概要と共に50kg級の小型衛星を設計する上での特徴的な点を報告する。
著者
小比田 涼介 宮本 エジソン正
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告 = IEICE technical report : 信学技報 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.113, no.440, pp.7-12, 2014-02-21

先行研究において、CMC (Computer-Mediated Communication)はその匿名性ゆえに、自己開示(本当の自分について話すこと)が行われやすく、シャイな特徴を持つ人において特にそのような傾向が見られると主張されている。本研究では、Twitter上での自己開示に対する匿名性とシャイネスの影響を調査した。結果、Twitter上での自己開示と対面状況での自己開示を比較の上で、以下の2つの知見を得ることができた。1. Twitterを匿名で利用しているユーザーのうち、シャイなユーザーはシャイでないユーザーと比べ、Twitterにおいて自己開示的である。2. Twitterの匿名性がユーザーの恣意的な操作によるものであることから、匿名利用のシャイなユーザーと非匿名利用のシャイなユーザーの間には、パーソナリティや利用動機など何らかの差異があり、その差異によってTwitterがシャイな人にとって自己開示機会となるかどうかが規定されている。
著者
石井 カルロス寿憲 榊原 健一 石黒 浩 萩田 紀博
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D, 情報・システム = The IEICE transactions on information and systems (Japanese edition) (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.89, no.12, pp.2679-2687, 2006-12-01
参考文献数
20

Vocal fry(フライ)は,声帯振動の様式に起因する声質の一種であり,気分的にテンションが低くリラックスしている場合や,強い感情や態度の表現の際に喉頭を力んだ場合に生じ,バラ言語や非言語情報を伝達する役割をもっている.本論文は,音声信号からフライ区間を自動的に検出することを目的としている.フライは通常発声よりも低い基本周波数の範囲で生じやすい.ゆえに,典型的な固定フレーム長の短時間処理が問題となるが,その解決策として,本論文では声帯パルスに同期した手法を提案した.具体的には,フライの声帯パルスのインパルス的な特性とダンピング特性を考慮し,超短時間処理で求めたパワー軌道から声帯パルスの候補となるパワーピークを検出する.検出されたパワーピークにおいて,周期性とパルス間類似度を用いて,フライであるか,それともインパルス的な雑音であるかを判定する.評価実験として,パワーピーク検出・周期性・パルス間類似度に関連するしきい値パラメータを様々な条件で分析した.その結果,73%の高い検出率と4%の低い挿入誤り率により,自動的にフライ区間が検出可能であることが示された.
著者
西村俊介 有澤 誠
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ソフトウェアサイエンス
巻号頁・発行日
vol.94, pp.25-32, 1994
被引用文献数
1

ジュリアーマンデルブロ集合を題材として、四次元の像を計算機で画面で表示するシステムを試作した.従来,三次元や二次元の空間を可視化する技術は十二分に研究されてきているが,多次元にまつわる情報の可視化の研究はきわめて稀である.ここでは四次元を計算機のディスプレイという二次元の空間に表示するための比較的簡単な方法として,四次元立体の二次元平面による断面を表示する方法を採用する.そして,四次元空間における平面の位置を把握し,平面を移動する際に生じる種々の問題点に対して,解決策を提示する.
著者
高橋 有里 桐田 隆博
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. HCS, ヒューマンコミュニケーション基礎 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.110, no.383, pp.7-12, 2011-01-14

本研究では,育児中の20組の父親と母親の乳児の泣き声に対する心理生理的反応を測定し,性別および,乳幼児の泣き声に対する不快度の観点から比較検討した.具体的には,他人の乳児の泣き声を聴取中の父親,母親の心拍数,皮膚コンダクタンス変化を測定した.その結果,乳児の泣き声に対する父親と母親の生理的な反応には統計学的な差異は見られなかった.すなわち,どちらにおいても,泣き声聴取により心拍数は一過的に低下した後ベースラインに戻り,皮膚コンダクタンス変化は急激に上昇した.ただし,細かく見ると,母親と比較して父親の心拍のベースラインへの復帰はいくぶん早く,皮膚コンダクタンス変化は若干高いことが示された.このことから,父親は母親より泣き声を不快に感じる傾向があることが示唆された.また,乳幼児泣き声不快尺度における差に関しては,私的状況不快得点が低い父親では,心拍数に一過性の低下が見られず,心拍数に関する限り不快低群の父親は泣き声から受ける影響が少ないことが示された.
著者
平田 佐智子 山田 陽平 中川 岳 永井 聖剛
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. HCS, ヒューマンコミュニケーション基礎 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.113, no.283, pp.65-68, 2013-11-02

本研究では、従来概念との対応が主に検討されてきた音象徴に対し、動作の強度や速さといった反応出力との対応を検証した。音声または文字を刺激、動作の強度や大きさを反応とした刺激反応適合性課題を行った結果、有声子音と強い/大きい動作、無声子音と弱い/小さい動作の間に適合性が見られた。これらの結果は音象徴と身体動作の接点を示唆する新しい知見といえる。
著者
江田 英雄
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会誌 : The Journal of the Institute of Electronics, Information and Communication Engineers (ISSN:09135693)
巻号頁・発行日
vol.96, no.9, pp.694-698, 2013-09

近赤外分光法Near Infrared Spectroscopy (NIRS)は,波長800nm付近の近赤外光を生体に照射して数cm離れた場所で光を計測し,生体のヘモグロビンに関連した値を計算するシステムである.脳研究ではイメージングの装置が広く用いられているが,NIRS開発は日本が世界をリードしてきた.今回NIRS装置をIEC国際規格に申請し,日本人がプロジェクトリーダーとなった.現在コミッテイドラフト(CD)の投票待ちである.NIRS装置の概要と,IEC申請の経緯と現状を報告する.
著者
奥田 輔 安田 孝美 水野 政司
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SS, ソフトウェアサイエンス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.111, no.268, pp.1-6, 2011-10-20
参考文献数
12

近年,ソーシャルメディアの普及に伴い,ユーザが情報の発信,受信の双方を手軽に,かつリアルタイムな情報の共有ができるようになった.本研究ではそのようなソーシャルメディアのひとつとして,マイクロブログサービス「Twitter」を取り上げ,その中で特定の商品に対するつぶやき数の推移とその商品の売れ行きとの間にいかなる相関が見て取れるかを検証した.今回,つぶやきの集計期間は2011年1月1日から2011年3月19日までの78日間,集計対象とした商品はiTunes App Storeで有料にて販売されているiPhone・iPod touch・iPad対応のモバイルアプリ, 1235種類である.統計の結果, Twitterのつぶやき数ランキング, iTunes App Storeのランキングの双方が24時間以内に, 1時間あたり10位以上のランク上昇が見られる割合は,全体の49.79%となった.また,つぶやき数ランキングが上昇してからそれに追随してiTunes App Storeのランキングが上昇する割合は37.17%,その時間遅れは平均値で4.9時間後,中央値で6時間後にする傾向が見られた.
著者
牧野 奨平 坂野 秀樹 旭 健作
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告 = IEICE technical report : 信学技報 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.113, no.404, pp.61-66, 2014-01-23

音声分析合成による鼻声の声質改善を目的とし,鼻声発声の分析を行っている.なお,本研究において,鼻声発声をノーズクリップを装着した状態での発声とし,異なるノーズクリップの装着位置で鼻声発声1・2とした.発声継続時間長が長めの鼻子音を収録し,鼻子音の発声区間での長時間平均スペクトルと,帯域分割した長時間平均スペクトルのパワーの時系列を観察・比較した.その結果,鼻声発声における鼻子音の発声区間は,通常発声に比べ630Hz以上の帯域でパワーが減衰すること,その帯域において,時間経過に伴いパワーが減衰することがわかった.また,鼻声発声することによって,通常発声で見られる400Hz付近の山が100〜200Hzに移動することがわかった.これらの結果から,鼻声発声1の周波数特性の傾向が通常発声と鼻声発声2のものの間にあると考えられる.
著者
増田 真実 岡嶋 克典
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. HIP, ヒューマン情報処理 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.111, no.283, pp.57-62, 2011-11-03

食体験は味覚だけでなく,視聴覚を含む様々な感覚を動員して行われる.本研究では,咀嚼音が食感に与える影響について実験的に検討した.咀嚼タイミング検知システムを用いて,実験前にあらかじめ録音した咀嚼音を被験者の咀嚼タイミングに合わせて呈示した.カステラ,かまぼこ,キャラメルコーン,グミ,たくあん,パイの実,マシュマロの7種いずれかを咀嚼している際に,せんべいか団子かのどちらかの咀嚼音が呈示された.評価食感は硬さ,液分率(食品が含む液体分の割合)の2種で,呈示咀嚼音による変化の度合いを9段階尺度で被験者に評価してもらった.その結果,せんべいの咀嚼音は硬さ感を増して液分率を小さく知覚させるが,団子の咀嚼音は硬さ感を減少させて液分率を大きく知覚させる傾向があることが示された.また被験者は,咀嚼行動によって生じる快度も評価した.その結果,団子の咀嚼音呈示時に快度が減少する傾向があることが示された.