著者
小林 靖之
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. IBISML, 情報論的学習理論と機械学習 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.114, no.306, pp.17-24, 2014-11-10

標本マハラノビス距離(標本MD)を標本共分散行列の固有値・固有ベクトルで展開する際の主成分要素やその部分和の従う分布はF分布に従うとされるが,小さい学習サンプル数では成立しない.そこで標本MDの主成分要素やその部分和の分布について,数理統計学の手法であるデルタ法を用いてX^2分布やガンマ分布による近似モデルを提案し,数値実験で妥当性を検証しF分布よりも良好な結果を得た.
著者
山本 寛 近藤 喜芳 佐々木 力 阿野 茂浩 山崎 克之
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. B, 通信 (ISSN:13444697)
巻号頁・発行日
vol.96, no.10, pp.1226-1229, 2013-10

本研究では,大規模なイベントの安全確保や宣伝などのために,参加者がもつAndroid端末に向けてIPマルチキャストを利用して様々なコンテンツを配信する新しい情報配信システムを提案する.約40万人が参加する長岡花火祭りにおける提案システムの実証実験では,情報配信地点から250[m]離れた位置に対して音声情報を提供できることを確認した.
著者
尾崎 晃 草川 高志 西脇 由博 マルタ ルーカス 宮島 千代美 西野 隆典 北岡 教英 伊藤 克亘 武田 一哉
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D, 情報・システム (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.93, no.10, pp.2118-2128, 2010-10-01
被引用文献数
3

人間の行動を真に理解するためには,行動を記録すると同時に心的状態を知る術も同時に記録する必要がある.更にこのようなデータが大量に必要となる.そのような研究のための第一歩として,自動車実走行環境における自動車挙動を含む運転操作信号,生体信号などのデータを同期測定・記録する機器を作成した.様々な運転環境の負荷を調査するため,平静の運転をはじめ,標識や看板などを見る,イヤホンを通じて英数字を聞いて発音する,携帯電話でナビゲータと会話をする,そしてコンピュータと音声対話を行う4種類のタスクを自動車走行中に実施している.運転行動を測定するため,アクセルペダル踏力,ブレーキペダル踏力,ステアリング操作角,走行位置,車速,加速度,車間距離を収録する.また生体信号を測定するため,心拍数,皮膚電位,発汗量のセンサを搭載している.運転手と交通状況は,四つのビデオカメラと全方位カメラによって動画として記録する.運転手とナビゲータの声は,携帯電話と車内に配置されたマイクロホンで計12チャネル録音する.これらのマルチモーダルデータは同期して収録できる,2008年末までに,357名の被験者を募集して実験走行を行った.走行環境,運転行動,発話内容などに応じて詳細なラベルを定義し,実験後に運転データへ手作業で付与した.更に,このデータベースを用いた研究例を挙げ,データベース活用による今後の人間行動理解の可能性を示した.
著者
安達 由洋 小林 卓 中島 祐一 土田 賢省 夜久 竹夫
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. COMP, コンピュテーション
巻号頁・発行日
vol.98, no.442, pp.49-56, 1998-12-04

グラフ文法はパターン認識に関する研究を起源とし、その後VLSIレイアウト, ソフトウェア工学, その他様々な分野で幅広く応用されている。このような研究において, 多くのグラフ文法が提案されているが, 利用されているグラフ文法の多くは文脈自由グラフ文法であり, 文脈依存グラフ文法を利用しているものはあまり多くない.本研究では, Rozenberg[1]によるedNCEグラフ文法を拡張してedNCE文脈依存グラフ文法を定義する.さらに, edNCE文脈依存グラフ文法の部分集合となるdNCE文脈依存グラフを定義する.次に, この文脈依存グラフ文法の応用したブロック線図文法について述べる.最後に, この文脈依存グラフ文法に基づいた構文解析アルゴリズムについて説明する.
著者
沢田 篤史 多鹿 陽介 山崎 達也 美濃 導彦
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SS, ソフトウェアサイエンス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.104, no.242, pp.19-24, 2004-07-26
被引用文献数
4

本稿では,ホームネットワークにつながれた家電,センサ,ロボットなどが協調して生活支援サービスを提供するためのプラットフォーム「ゆかりコア」について紹介する.各種アプライアンスを単機能に分解し,機能を単位に接続・協調させ,家庭全体で最適なサービスの提供を可能とする点がゆかりコアの大きな特長である.本稿では,このゆかりコアの設計と実装について報告するとともに,ゆかりコアを家電サービス構築基盤としてより高機能なものとするために今後取り組まなければならない課題について概観する.
著者
池川 隆司 高橋 幸雄
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. CQ, コミュニケーションクオリティ (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.103, no.660, pp.11-16, 2004-02-12

ビット誤り率が極めて高い無線ネットワーク環境では、TCP、HDLCのような誤り回復機能を有する通信プロトコル(ここでは、信頼転送型ウインドウプロトコル:RWPと呼ぶ)によって、ビット誤りもしくは順序誤りにより廃棄されたフレーム(リンクレベルのデータ)の再送は頻繁に発生する。本論文では、Bernoulli無線リンクにより接続されたネットワーク環境において、RWPによるフレーム再送を考慮した平均フレーム長の解析手法を提案する。その解析手法を使って、実測値に基づきメッセージ長の分布を離散分布と一般化Erlang分布で近似した場合のビット誤り率に対する平均フレーム長の増加率を考察する。この数値例では、選択再送もしくはウインドウサイズが小さいgo-back-N再送において、ビット誤り率が高い場合、再送による平均フレーム長の増加率は無視できないことを示す。
著者
富田 貴之 太田 鉄也 村山 秀明 鶴岡 久
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会ソサイエティ大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.1995, 1995-09-05

遺伝的アルゴリズム(GA)は生物の進化過程に着想を得た確率的探索方法である。本研究では,熱気球のファジィ制御に遺伝的アルゴリズムを用いて,そのメンバーシップ関数の最適化を試みた。
著者
齊藤 壮馬 岩村 惠市
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ICM, 情報通信マネジメント (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.113, no.23, pp.83-90, 2013-05-02

ワイヤレスセンサネットワークを構成するセンサノードは小さい電池容量であり、リソースも少ないため効率的な利用が求められてくる.LEACH(Low Energy Adaptive Clustering Hierarchy)はクラスタヘッドを周期的に選択することで、各ノードの消費電力を平均化するプロトコルである.このプロトコルに対するセキュリティ対策はいくつか提案されているが、電力消費が大きく、クラスタヘッドと通信できない孤立ノードを発生される可能性がある.そこで、階層型鍵共有方式を適用することで消費電力が小さく孤立ノードが発生しない方式を提案し、消費電力などをシミュレーションにより評価する.
著者
青木 佑紀 前田 新一 石井 信
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NC, ニューロコンピューティング (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.480, pp.57-62, 2009-03-04
参考文献数
11

高次元データから特徴抽出を行って低次元データや二値化するなどコンパクトな表現に置き換えることがしばしば行われる。コンパクトな特徴表現は、データの圧縮や視覚化や学習を行う際の過学習の回避や、学習の高速化に有用である。HintonとSalakhutdinov[8]は、数百万のパラメータをもつ階層型restricted Boltzmann machine(RBM)の学習にcontrastive divergence(CD)に基づく初期学習を適用することで、主成分分析よりも優れた圧縮性能を実現する特徴抽出法を提案した。CDを用いた学習では、素早い学習を実現する一方、コスト関数が不明なため、パラメータ更新時に適当なステップサイズを使わざるを得ないという問題があり、改善の余地があると考えられる。本報告では、Helmholtz Machine(HM)に対して平均場近似を用いた学習アルゴリズムを導出し、コスト関数とそのパラメータ勾配の両方を評価可能な学習則を提案する。また、この学習則が特定の条件の下でRBMのCDによる学習則に一致することを示す。
著者
齋藤 瑞貴 井上 明也 土屋 洋平 岩下 基
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. IN, 情報ネットワーク (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.114, no.478, pp.67-72, 2015-02-23

現在,携帯電話市場は,モバイルインターネット・ユーザの増加やスマートフォン市場の急成長により活性化しているが,各キャリアが提供するサービスや端末に差がなくなり,携帯電話キャリア間でのシェア競争は激化している.本稿では,独自に実施した市場調査データに基づき,このような状況における携帯端末の購買行動や携帯電話キャリアの選択行動の分析結果を示す.また,これらの行動の変化を考慮した新たなキャリア選択行動をモデル化し,今後の市場の変化を考察する.
著者
佐藤 一輝 バルス バートルスレン 関根 優年
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. CPSY, コンピュータシステム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.413, pp.19-24, 2009-01-22
被引用文献数
4

近年,FPGAをHPC用途に使用する例が増加しつつある.我々は,大規模FPGAを搭載し,三次元方向にI/Oを装備した小型カードを大量に集積したものをFPGAアレイとして提案している.このFPGAアレイは,規模を任意に増減できるスケーラブルな設計であり,さらにホストPCから容易に制御を可能としたものである.本稿では,ポアソン方程式を浮動小数点数で差分法によって演算する回路をこのFPGAアレイに実装し,演算性能と消費電力について評価を行った.また,演算回路を多数並列に実装して大規模並列演算を行い,演算性能が1[TFlops]を達成するために必要なFPGAアレイの規模を示した.
著者
横田 正恵 横田 康成
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NC, ニューロコンピューティング (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.383, pp.61-66, 2009-01-12

視野周辺部に,その周辺とは異なる特性を持つ小領域を呈示すると,条件によっては,数秒の間に小領域が消滅し周辺テクスチャが充填されて知覚される現象がfilling-inである.Filling-in時間を計測する実験を行う際,被験者の固視を保つことは重要であり,眼球運動がfilling-inに影響することは知られているが,眼球運動とfilling-in時間との関係は,明らかにされていない.Filling-inの眼球運動への依存性を調べることは,filling-in発生過程の解明に不可欠であり,filling-inの各種特性を考察する上でも重要である.本研究では,filling-in時間を計測する実験を行い,そのときの眼球運動を記録した.その結果を解析したところ,眼球位置とfilling-in時間の間には,正の相関が認められた.また,眼球運動の低周波成分よりも高周波成分が,filling-in時間に強く影響することが分かり,filling-inの発生には眼球運動固視微動が大きく関与する能性が示唆された.
著者
濱野 貴文 鈴木 亮一 池川 隆司 市川 弘幸
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NS, ネットワークシステム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.103, no.689, pp.179-182, 2004-02-26

リソース消費型DOS/DDOS攻撃やワーム攻撃発生時,ネットワーク事業者は,通信品質低下を防ぐため,攻撃パケットを廃棄する必要がある.大規模網での攻撃防御では,攻撃破疑パケットを固定拠点にトラヒック集約して一元対処する方式が,攻撃防御機能をエッジ/ボーダルータに分散配備する従来方式よりも,必要な攻撃防御装置数が少ないため,運用面で優れる.本報告では,大規模網への適用の観点でトラヒック集約技術の比較を行う.イングレスエッジ/ボーダル一夕と集約型攻撃防御装置間にトンネルを設定し,該ルータヘのポリシールーチング設定により,攻撃対処時のみ攻撃ターゲット宛てパケットを集約型攻撃防御装置にリルーチングさせる方式を提.案する.提案方式が大規模網への適用に有効であることを示す.
著者
村井 信彰 加藤 聰彦 伊藤 秀一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NS, ネットワークシステム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.105, no.195, pp.33-36, 2005-07-14
被引用文献数
1

モバイルネットワークの普及に伴い, Mobile IPがその基本プロトコルとして注目されている.IETFでは, IPv6アドレスに対応するとともに, 経路最適化やイングレスフィルタリングを行うバックボーンルータへの対処などを考慮したMobile IPv6を標準化している.しかしMobile IPv6には経路最適化を行う際の制御メッセージ転送のオーバヘッドが大きいなどの問題点がある.そこで本論文ではこのような問題を解決するために, 移動した際に入手する気付アドレスをホームアドレスとして用いて発信し, 通信中にさらに移動した場合は, 気付アドレスを割り当てたアクセスルータにHA機能を実現することにより, そのアクセスルータ経由でIPパケットをフォワーディングするMobile IPv6方式について, 詳細設計を行った結果を述べる.
著者
西田 和広 水谷 浩之 津留 正臣 川上 憲司 檜枝 護重
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MW, マイクロ波 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.63, pp.83-86, 2008-05-22
被引用文献数
1

低位相雑音VCOの構成として,線路共振器に能動回路および同調回路をそれぞれタップ結合で接続したデュアルタップ結合型線路共振器を用いたVCOを提案する.共振器の解析式を導出し,数値計算により,外部Qと共振周波数の可変帯域幅とがタップ位置によって独立に設定可能であることを示している.能動回路にGaAs 2um HBTを用い,共振器にアルミナ基板を用いた12GHz帯における試作の結果,能動回路の接続位置により位相雑音が,同調回路の接続位置により発振周波数の可変帯域幅が,それぞれ独立に設定できることを確認している.また,可変帯域幅226MHz(1.88%)において,100kHz離順における位相雑音-117.6〜-114.4dBc/Hzを得,本構成の有効性を確認している.
著者
森 英雄 安部 圭祐 竹谷 哲也 依田 一朗 小谷 信司
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. HCS, ヒューマンコミュニケーション基礎 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.103, no.587, pp.1-6, 2004-01-16
被引用文献数
1

視覚障害者は通い慣れた駅のプラットホーム等でもしばしば勘違いから事故に遭う.本システムは帽子に着けたビデオカメラ・傾斜計,画像処理装置,位置検出装置,スピーカ,バイブレータ,バッテリから構成する.このシステムは駅プラットホームを認識し,視覚障害者にバイブレータでどの方向に歩けば良いかを伝え,スピーカから音声でランドマークや分岐点等のより複雑な情報を伝える.本システムは単なる道案内システムではなく,利用者を交通事故などから守るシステムである.本稿では4つのサブシステム,すなわち画像処理システム,位置推測システム,経路ベース誘導システム,ヒューマンインタフェースを開発し,駅プラットホームで実験した.
著者
田中 宏宜 板井 陽俊 安川 博
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SIS, スマートインフォメディアシステム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.113, no.467, pp.7-10, 2014-02-27

人間の足音には固有の特徴があり,我々は足音を聞くことで個人を認識することがある.近年,歩行足音による個人識別が可能であることが示され,足音の解析や識別率の向上に関する研究が進められるとともに,足音から様々な情報を抽出するシステムへの応用が期待されている.足音を用いた個人の自動判別が可能となればセキュリティシステムの一環として防犯対策,早期犯人逮捕などに貢献できるシステムを実現できる.本研究では従来研究では適用されていないHMMを用いた歩行足音の識別を試みる.
著者
猪村 元 田中 譲
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D, 情報・システム (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.92, no.11, pp.2022-2032, 2009-11-01
被引用文献数
1

近年,電子図書館やディジタルアーカイブと呼ばれる電子的な文書管理において歴史的文書をはじめとした手書き文書の電子化が重要視されている.これらの文書に対して,文字列検索の手法を提供することは,文書の活用という観点から意義が大きい.本論文では,毛筆の手書き文書画像を対象に,文字の図形としての形状特徴をもとに生成した,擬似的な文字コードを文書の内部表現として用いることで高速な全文検索を実現する手法について述べる.この手法は統計的な画像特徴量による画像検索の手法を応用したものであるため,特定のフォントや言語に依存せずに統一的な手法で適用可能である.提案手法ではまず,文書画像を文字領域を含んだ等しい大きさの方形領域に分割し,各領域から文字の形状特徴量を抽出する.更に,この特徴量に基づいた擬似コードを各領域に付加することによって通常のテキスト文書と同等の文字列検索を画像上で実現する.また,実際に手書きの草書体古文書を対象にした文字列の検索評価実験を行い,3-gramの場合に再現率0.8において適合率0.53の結果を得た.また,文書画像検索に適した形状特徴量,擬似コード生成手法の評価と考察も行った.
著者
船橋 淳一郎 松尾 啓志 岩田 彰
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-情報処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.80, no.5, pp.1113-1121, 1997-05-25
被引用文献数
5

3次元形状に対して多重解像度表現を行い, 適応的なマッチングを適用して物体の識別を行う手法を提案する. MEGIはEGIを拡張し, 任意形状の表現を可能にしたモデルである. しかし曲面を含む形状では適当な分解能を選択しなければ満足な表現を得ることは難しい. そこでMEGIを利用して, 形状の多重解像度表現を行う. ここで提案する多重解像度表現は基本要素の単調減少性を有し, 異なる解像度に属す要素の間で対応が一意に決まり, 最低解像度を根とする木で表される. 照合とこの木を根から葉方向へたどることによる類似部分の高解像度化を繰り返し, 最終的に形状全体の類似性を判定する. 最後に, 本手法の有効性を計算機シミュレーションを通じて明らかにする.