著者
瀧本 幸男 上瀧 實
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. A・P, アンテナ・伝播
巻号頁・発行日
vol.96, no.373, pp.1-7, 1996-11-21

降雪量の多い北国では、安全な道路交通にたいし車載レーダが、また雪氷中に埋れた物体や路側標識などの検知のためにミリ波の利用が検討されている。実利用のため、北海道恵庭市郊外において実際に堆積している氷、新雪、ざらめ雪に対し、屋外測定により得られた伝搬遅延時間から50-75GHz帯における屈折率を求めた。この結果、雪の屈折率は密度の関数として直線近似式で与えられる。また電力が1/eとなる侵入の深さを求め、氷や新雪と比べざらめ雪は約1桁小さいことがわかった。さらに、実際に深さ50mm程度の雪氷に埋まった金属埋設物に対する検出の可能性の実験を行い、雪や新雪に比べざらめ雪では困難なことが確認された。
著者
楊 広宇 松本 哲也 竹内 義則 工藤 博章 大西 昇
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. IE, 画像工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.112, no.473, pp.151-156, 2013-03-04

本研究はカメラで撮影した文書画像中の湾曲・射影歪を除去することにより文字情報を取得する手法を提案する.提案手法では,画像から文字候補を取得後,文字候補間の重複関係により行ごとに組み分け,4次多項式を用いてテキストラインの湾曲を近似する.そして,文書左右エッジを使って推定した複比と消失点により縦方向を推定し,画像をグリッドに分割する.その後,各グリッドの射影変換行列を計算することにより補正を行う.実際に撮影した文書画像50枚(英語文書画像:30枚,日本語/中国語文書画像:20枚)を用いた実験により,提案手法の有効性を確認した.
著者
上嶋 勇祐 井上 中順 篠田 浩一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. PRMU, パターン認識・メディア理解 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.112, no.441, pp.185-190, 2013-02-14

この研究では、大量のインターネット映像の中から、対象のイベントを検出するイベント検出を目的とする。ここでの「イベント」は、「誕生日会」や「乗り物のタイヤ交換」など、いくつかの動作や物体の組み合わせで構成される事象を指す。イベント検出を対象とした多くの研究では、局所特徴抽出と特徴量のモデル化による手法が用いられている。特徴量の中でも、動作を表す時空間特徴量がイベント検出に効果的であることが示されているが、カメラの動きに対して頑健でないという問題がある。本論文では、この問題に対し、オプティカルフローによるカメラの動き推定とその補正を適用した時空間特徴量を提案する。この特徴量を含む、相補的な特徴量をそれぞれGMM supervectorによってモデル化し、SVMの入力として用いることでイベント検出を行う。TRECVID2012 Multimedia Event Detectionタスクで、Mean Normalized Detection Cost O.5296となり、参加17機関中3番目の精度であった。
著者
岡島 亜希子 松井 龍之介 畑 浩一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ED, 電子デバイス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.112, no.303, pp.31-35, 2012-11-12

金属回折格子の表面近傍を相対論的速度まで加速させた電子ビームを走らせると電磁波放射が得られることは、スミス・パーセル(SP)効果として1950年代から知られている。Urata等が非線形的にSP放射が強まる(超放射)ことを報告して以来、様々な観点からSP超放射の研究が広くなされてきた。とりわけテラヘルツ(THz)自由電子レーザー(FEL)として知られるチューナブルかつテーブルトップ型のTHz放射源を実現するものとして期待されている。SP超放射を得るためには、電子ビームと誘起された表面波の相互作用による電子ビームのバンチ化か重要な役割を果たすとされている。我々は簡素化PIC-FDTD法を用いて、THzの高周波プレバンチ電子ビームによるSP超放射特性の数値解析に取り組んでいる。このモデルでは電子バンチがガウス分布関数で与えられる電荷密度分布を持った単一の粒子であると仮定し、電子バンチの運動を二次元平面に制限している。電子の加速エネルギーが同一であっても、電子ビームのプレバンチ周波数を変化させることによりチューナブルなTHz-SP超放射を得ることができる。我々の知見は、次世代のチューナブル、テーブルトップ型のTHz-SP-FELの開発に新たな道を切り拓くだろう。
著者
須崎 泰正 三富 修 東盛 裕一 岡本 浩 近藤 康洋 界 義久 岡本 稔 門田 好晃
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会総合大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.1996, no.1, 1996-03-11

スポットサイズ変換LDはレンズなしでファイバなどと高効率で結合できるため光軸の無調芯化などモジュール化、光表面実装に有望である。我々は、これまでバットジョイント構造を有するスポットサイズ変換LDで良好な結果を報告してきた。今回、pn-BH構造を有する素子においては電流狭窄構造のドーパントによる屈折率差が結合効率に大きな影響を与えることを計算により示した。また、実際に試作した素子において、n型電流狭窄層の位置の検討を行うことで良好なLD特性と高結合効率が同時に得られたので報告する。
著者
亀田 弘之
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会ソサイエティ大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.1995, pp.225-226, 1995-09-05

言語は、思考のための媒体(内言語)であるとともに、意思疎通のための媒体(外言語)でもあり、思考の素材としての知識を記述し、伝達内容(メッセージ)を記述・伝達するために用いられる。このことから、思考能力を向上させるためには、言語に関する能力を高めることが重要である。筆者は思考過程の解明を目指すとともに、自然言語処理技術の高度化を目的として、未知語獲得に関する研究を行っている。本稿ではこのうち、動物に関連する漢字2文字未知語の意味推定システムを、さらにより一般的なものとすることができるような拡張する方法についての検討結果につて述べる。
著者
左文字 克哉 高木 康文 林田 圭司 大島 直樹 朴 康司 米津 宏雄
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ED, 電子デバイス
巻号頁・発行日
vol.95, no.37, pp.31-36, 1995-05-18

InP-on-Siヘテロエピタキシーの最大の問題点は格子不整合が8%と大きいことである。そこで、InP-on-Siとほぼ同じ格子不整合を有するInP-on-GaPにおいてInPエピ層の成長様式と貫通転位発生の関係をRHEEDとTEMを用いて調べた。その結果、InP層は1〜2MLで二次元成長から三次元成長へ移行した。また、貫通転位は3〜4MLで発生した。この結果は、貫通転位が三次元成長島の拡大または合体の過程で発生することを示唆する。したがって、エピ層の三次元化を抑制することで貫通転位の発生を低減できると考えられる。そこで、InP-on-Siに対して、格子緩和後も二次元成長を維持する歪短周期超格子(SSPS)を導入し、エピ層の三次元化を抑制することを試みた。その結果、エピ層は二次元的に成長し、貫通転位密度の明らかな低減がみられた。
著者
江端 佑介 川村 秀憲 鈴木 恵二
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. AI, 人工知能と知識処理 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.109, no.439, pp.7-10, 2010-02-22

YouTubeを始めとする動画共有サイトが隆盛である.これらのサイトは,ただ動画を共有するだけでなく,ユーザ同士でコミュニケーションを取ったり,動画にコメントを付与したりするようなSNSとしての機能を持ち合わせている.中でも近年,動画に付与されたコメントを用いた研究が広く行われているほか,YouTubeにて提供されているAPIにコメントを収集する機能が存在するなど,コメント機能に対する注目が集まっている.本研究では,「タイトル」や「タグ」などを始めとする動画に付与できる情報の中で,動画を視聴したユーザが付与できる唯一の情報がコメントであることを鑑み,コメントには動画の特徴を表す情報が存在するとの仮定のもと,コメントの特徴を用いた関連動画の提示手法を提案した.具体的には,一つの動画に付与された最大1000件のコメントを一つの文書としてみなし,tf-idf法を用いてコメント文書毎の特徴ベクトルを算出した.また,あるユーザが視聴した動画コメントの特徴ベクトルを合成したコメント傾向ベクトルと,他の動画の特徴ベクトルとの類似度を計算し,関連動画として提示した.
著者
水木 敬明
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. WBS, ワイドバンドシステム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.114, no.472, pp.179-186, 2015-02-23

裏面が同一の模様のカードを何枚か用いると,安全な計算(Secure Multi-Party Computation)を実現できることが知られており,現在まで数多くのカードベース暗号プロトコルが考案されている.ほとんどの既存プロトコルは,表面についても同一の模様のカードを複数枚必要とするため,残念ながら市販のトランプカードをそのまま利用することは出来ない.ただしその例外として,1999年のNiemi-Renvallのプロトコルがあり,これは市販トランプカードで実行できる.本稿では,このような市販トランプカードを用いたプロトコルの改良に取り組み,効率的なANDプロトコル,XORプロトコル,及びコピープロトコルを提案する.
著者
福本 一朗 織田 豊 佐橋 昭
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MBE, MEとバイオサイバネティックス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.105, no.304, pp.1-6, 2005-09-15
被引用文献数
1

2004年は中越大震災やインド洋大津波などの大規模な自然災害に見舞われた年であった。ただ新潟県においては6400名の死者を出した1966年の阪神淡路大震災の教訓を生かせたために、地震の二次被害も少なく、死者が46名に止まったことは不幸中の幸いであった。しかし筆者の避難所救護活動の経験からも、ライフラインの廃絶した孤立都市での医療安全に関しては、ハード・ソフトともにこの10年ほとんど改善が見られなかったと言わざるを得ない。本研究では大災害時における病院・診療所・避難所などにおける医療活動が必要最低限確保できるための医療安全システムに要求されるスペックを考察するとともに、抗堪性の高い医療機器を作り上げるための基礎研究を行うとともに、バイタルサイン計測装置・避難所救急医療電子カルテ装置・診療情報伝送システムなどを開発することを目的とした。本研究はさらには最低限の供給が望まれるessential drugとその常備方法などのハード面および、緊急時医療福祉通信システムや災害時の高齢者福祉システム・医療従事者リクルーティングシステムや緊急時食料・備品の配布システムなどのソフト面に到るまで総合的な大災害時医療安全システムについての調査検討と行政と市民に対する提案に繋がるものである。
著者
首藤 晃一 入江 一成 熊谷 智浩 西尾 弦一 辻 久雄
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. CS, 通信方式
巻号頁・発行日
vol.97, no.427, pp.9-14, 1997-12-11
参考文献数
4
被引用文献数
14

ホームユーザ、中小ビジネスユーザに対しオフィスと同様なLAN環境を提供する地域情報ネットワークシステムにおけるグループ管理サーバ(GMS)とローエンドカード(LEC)の開発について述べる。地域情報ネットワークシステムは、今後の普及が見込まれるパソコン通信サービスのためのアクセス系通信基盤としての役割を担い、地域社会に新たなコンピュータ通信の利便性を生み出すことを目的としている。本稿ではセンタ側に設置され情報の一括管理とネットワーク監視を行うGMSと、ユーザ宅に置かれインタフェースの変換と接続パソコン端末の自動検出を行うLECについて基本設計と評価結果を報告する。さらに、実用化に向けシステムの保守・運用性向上のため必要なGMSにおけるパケットフィルタリングテーブルのダイナミック更新について述べる。
著者
高取 祐介 武尾 英哉
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ITS (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.112, no.148, pp.7-12, 2012-07-18

本稿では,車載センサを用いた出会い頭衝突防止システムにおいて,後方車両検出用センサおよび前方2車両検出用センサを用いた場合の性能解析を,丁字路を模したミクロスコピック交通流シミュレーションにより行っている.流入路に到着した車両が優先道路を走行する車両の位置等の情報を完全に把握できる確率を車両情報完全把握確率と定義し,性能指標として用いる.シミュレーション結果より,後方車両検出用センサを利用するケースは前方2車両検出用センサを利用するよりも高い車両情報完全把握確率を達成すること,また,前方2車両検出用センサは高交通量・低システム普及率の段階において車両情報完全把握確率の向上に寄与することが定量的に示されている.
著者
岡田 昭宏 川原 亮一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NS, ネットワークシステム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.103, no.9, pp.17-20, 2003-04-10
被引用文献数
11

インターネットにおけるトラヒック特性は,インターネットの利用形態などの影響を強くうける.従来,インターネットにおけるトラヒックはwebベースのHTTPによるトラヒックが主流と考えられていた.そして,その前提のもとでネットワークの設計,運用がおこなわれてきた.本稿では,先ず,インターネットのトラヒック測定から,ファイル共有ソフト間のトラヒックが主流を占めていることを示し,HTTPとの比較においてトラヒック特性を分析した.次に,ネットワークの運用・設計に関わるいくつかのトラヒック特性を分析した.ここでは,統計多重化の効果が期待できること,自己相似性の度合いは高くないことを示した.最後に,トラヒックの1日周期の変化について分析し考察した.
著者
沢村 一 高橋 武久
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. AI, 人工知能と知識処理 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.104, no.548, pp.25-30, 2005-01-10
被引用文献数
1

我々は以前の論文[15]で多値議論の論理LMAを形式化した.これは知識表現言語として、拡張注釈付き論理型言語EALPを用い、不確実情報下におけるエージェント間議論を可能にするものであった.本論文では、このLMAを東洋論理を特徴づけるテトラレンマ(四句分別)に特殊化することを考える.そしてその表現能力や応用可能性を確認する.このために、LMAを、次のような東洋的、文化的な議論に適用する : 死刑制度の是非に関する多値議論、西洋と東洋の多元的な議論.これらを通して、西洋的あるいは東洋的議論の融合、表象をもたない議論の可能性について論じる.
著者
内田 浩司 高山 洋一郎 藤田 孝之 前中 一介
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MW, マイクロ波 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.104, no.536, pp.39-44, 2004-12-13
被引用文献数
2

マイクロ浚帯で使用する1トランジスタ集中定数化2周波整合GaAsFET電力増幅器の設計・試作を行った.本電力増幅器はスイッチを使用せず,集中定数素子による簡単な回路構成により同時に2周波の整合を行うデュアルバンド増幅器である.整合目路の基本設計にはチェビシェフ・フィルタ形インピーダンス変換回路の設計理論を用いた.ドレインバイアス回路には複数の並列共振回路を用いたマルチバンド増幅器用のものを新たに提案した.試作した電力増幅器の特性から,マルチバンド増幅器の小型化・高性能化に有用な回路構成および設計方法であることを確認できた.
著者
関口 博之 英保 茂
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会総合大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.1997, 1997-03-06
被引用文献数
1

楽器の演奏が通常の身体運動と大きく異なる点は、動作(例えば鍵盤打鍵)の終了時刻が予め決められていることである。このため鍵盤楽器の演奏では打鍵に先立ち、打鍵位置への指移動等の準備動作が必要になる。この動作は譜面上には記載されないため、正しい動作の習得は容易ではない。また打鍵音から良し悪しを決める試行錯誤的方法では練習効率の向上は望めない。筆者らは、与えられた音符列データに対する最も理想的な運指動作を練習者に提示するシステムの構築を目指している。この動作は仮想空間における、鍵盤楽器と手のモデルを用いたシミュレーションにより導出する。本システムの実現には、実際の演奏における手・指の動作解析、運動特性を正確に反映した手・指モデルの作成が不可欠である。今回本研究のべースとなる、鍵盤楽器演奏シミュレーションシステムを作成した。以下、本システムとシミュレーショシ例にっいて述べる。
著者
タイ タッチ バオ 森野 博章 相田 仁 齊藤 忠夫
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SSE, 交換システム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.99, no.506, pp.37-42, 1999-12-16

スケーラビリティのある多段接続網を用いた大容量可変長パケットスイッチのアーキテクチャを検討している。本稿では、パケットの分散入力の原理を導入し、再ルーティングの原理を用いた多段接続網を提案した。提案スイッチは複数段のノンバッファ単位スイッチで構成され、Shuffle Patternで多段接続され、リングトポロジーで繋いで、入力ポートをこのリング状に分散させる。スイッチに入力されるトラヒックは均等に各段に分散され、単位スイッチの利用効率の向上を図って、従来の再ルーティング型パケットスイッチよりも少ないハードウェア量で目標のパケット損失率を達成できる。また、不均一なトラヒックの場合でも、均一なトラヒックの場合とほとんど変わらない性能を示す。
著者
山本 淳二 花岡 誠之 矢野 正
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NS, ネットワークシステム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.107, no.146, pp.19-24, 2007-07-12
被引用文献数
1

移動通信システムにとって使い勝手の良い6GHz以下の帯域については,第3世代携帯電話や無線LANを始めとして稠密に利用されており,深刻な電波の逼迫状況が生じている.電波の利用状況は時間や場所に応じて異なっており,逼迫している電波をより有効かつ効率的に活用するため,複数の電波利用システム間における電波の高度な共同利用の実現が求められている.報告者はこれまでに複数の無線システムを統合するコグニティブ無線システムについて無線環境認識技術やコグニティブ無線を実現するためのシステム構成について検討してきた.本報告では,基礎実験システムにIP-TV電話を接続し,コグニティブ無線システムの基礎通信システムの通信特性の測定結果を示す.測定の結果,無線LANは通信悪化時に各種測定値の変動が大きいが,通信状態の復帰時に測定値の復帰が早く,WiMAXは802.16-2004と802.16eのどちらも通信悪化時の変動が小さい代わりに測定値の復帰に時間が掛かることが判った.