著者
田中 智規
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SITE, 技術と社会・倫理 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.75, pp.25-30, 2008-05-23

これまで、サプライヤ・システムの実態把握は、アンケート調査や個別ヒアリングから分析する方法が取られてきたが、多数の企業を一度に、客観的に評価することが困難であった。本稿では、特許情報の分析によって、サプライヤ・システムの実態を客観的に把握することを試みた。特許情報という客観的な情報に基づいて、サプライヤ・システムの実態が把握できれば、将来の動向を予測することが可能になり、企業の経営戦略、技術戦略において、より有効な戦略的企業連携を模索することができるようになるだろう。
著者
奥山 拓矢 土屋 達弘 菊野 亨
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. DE, データ工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.105, no.337, pp.7-12, 2005-10-10

ゴシップアルゴリズムは, P2Pオーバーレイネットワークで用いられる, 高信頼性, 且つスケーラブルなブロードキャスト手法である.本研究では, P2Pオーバーレイネットワークの代表的なトポロジーとして, スケールフリーネットワークに着目し, そのネットワークトポロジーでの, ゴシップの耐故障性を向上を目的とする.先ず, 各ノードがその周囲のノードのメッセージ伝搬状況を推測し, 状況が悪い場合にメッセージの再送を行う手法を提案する.さらに, スケールフリーネットワークで優れた通信コスト効率が確認されている決定性ゴシッププロトコルと, 提案手法を組み合わせる事でコスト効率と耐故障性の両面に優れたプロトコルを提案する.スケールフリーネットワークのモデルを用いて, 提案するプロトコルと従来プロトコルの比較実験を行い, その結果を示す.
著者
田中 浩也 田中 克己
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. DE, データ工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.103, no.191, pp.169-174, 2003-07-10

デジタルスチルカメラや携帯電話内蔵型カメラの普及に伴い,多くのユーザが写真画像を大量に撮影し保存するようになった.そのため蓄積された写真画像を高度利用するためのさまざまシステムが検討されている.筆者らは,近い位置で撮影した写真画像をリンクで互いに繋ぎ合わせる方法に基づく「ハイパーフォト空間」の提案を行ってきた.ハイパーフォト空間は,写真を空間的にリンクで結びつけるだけの比較的簡易な機構であるが,ユーザが短時間で擬似3次元空間を制作できる点が特徴である.ハイパーフォト空間はまた,個々のユーザが「写真」と「リンク]を用いて,現実のある空間を再構造化した結果と見なすことができる.そのため制作されたハイパーフォト空間を分析することで,ユーザの主観的な解釈を経た現実空間の状態を把握し,建築や都市分析に応用することが可能と考えられる.そのような展望に基づき,本稿では幾何構造に基づいてハイパーフォト空間の特徴を抽出する方法をまとめ,それらの手法を用いたハイパーフォト空間分析の基礎的な実験結果を示す.
著者
米澤 朋子 山添 大丈 内海 章 安部 伸治
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. HCS, ヒューマンコミュニケーション基礎 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.107, no.308, pp.5-12, 2007-11-04
被引用文献数
2

本稿では,遠隔視線検出技術により共同注視とアイコンタクトを用いぬいぐるみ型ロボットと人の視線コミュニケーションを実現したシステムを紹介する.ロボットは,1)ユーザがロボットの周辺を見ているときは,同一箇所へ顔を向け,2)ユーザがロボットを見たときは,目があったことを表すため身振りやうなずきといったジェスチャと音声を用いるといったように,ユーザの視線に応じて反応するよう設計された.遠隔視線検出は,単眼カメラにより顔特徴認識を行い,目の画像から3D眼球モデルを導出することで,非装着型を実現している.被験者実験の主観的/客観的評価により,i)ロボットの興味が想定される対象への被験者の共同注視行動,ii)ロボットの共同注視行動に喚起される,被験者のロボットへの興味,iii)被験者とのアイコンタクトに応じたロボットの反応に喚起される被験者のロボットへの好意,をそれぞれ確認した.
著者
松山 早希 大坊 郁夫 谷口 淳一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. HCS, ヒューマンコミュニケーション基礎 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.111, no.464, pp.73-78, 2012-02-27

われわれは、いつも同じ自分を表出しているのではなく周囲の状況や対人関係に応じて自分を変化させ異なる自分を多面的に表出している。その背景には、自己の可変性によって適応的な関係を築きたいという動機が考えられる。本研究の目的は、相互作用の相手のパーソナリティによって、表出される自己が普段とどう異なるか、また普段の自分からの変化が大きいほど、会話満足度や親密度を高めるかを検討するものである。本研究では、実験は男女大学生、同性同士2者間で12分間の会話実験を行なった。会話は親密になるように自由な内容で行われた。本研究では、外向性に着目し対象者の外向性を高群・中群・低群に分け、ペアを組み合わせた。分析の結果、変化の程度が大きいほど、相手との親密度が高まることが明らかとなった。また会話相手の外向性や表現力、自己抑制の社会的スキルが、変化の程度に影響していた。自己変容の適応的な対人コミュニケーションにおける可能性について考察する。
著者
土屋 隆司 松岡 彰彦 後藤 浩一 荻野 隆彦 中尾 寿朗 竹林 一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ITS (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.103, no.673, pp.21-27, 2004-02-24

近年、利用者の置かれた状況を考慮してサービスを提供するコンテクストアウェアサービスへの関心が高まっている。我々は、利用者の移動行程と現在位置を照合しつつ、利用者の置かれた状況に即した案内情報を提供する、コンテクストアウェアな旅行者案内システムを提案する。本研究では端末として携帯電話を、位置検知装置として自動改札機を使用し、実運用可能な鉄道旅客向け情報配信システムを実装し、評価した。本稿ではこのシステムのコンセプト、システム構成、および小田急線のフィールドを用いた実証実験での評価結果についても報告するとともに、今後の公共交通利用者向け案内システムの満たすべき要件、課題等について議論する。
著者
ティン ティ ティ 濱 裕光 鳥生 隆 ティン パイ
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. PRMU, パターン認識・メディア理解 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.112, no.441, pp.239-244, 2013-02-14

本論文では、公共空間において持ち主不在の不審物やじっとしていて全く動かない人を検知するための埋込み型背景モデリング技術を提案する。ここでは統計的背景を埋め込むことにより、2変量背景モデルを強化した多変量背景モデルをべースとした新しい背景差分アルゴリズムを導入する。さらに、論理的、統計的解析を行い、関西国際空港、学内キャンパスで撮影されたビデオやPETS 2006データセットを用いて実験を行い、提案手法の有効性を確認した。
著者
堀内 貴司 千葉 靖伸 浜本 武 宇津呂 武仁
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NLC, 言語理解とコミュニケーション (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.102, no.200, pp.93-100, 2002-07-09

本論文では,WWW上の報道記事サイト等から日本語および英語など,異なった言語で書かれた文書を収集し,多種多様な分野について,分野固有の固有名詞(固有表現)や事象・言い回しなどの訳語対応を半自動的に獲得する枠組を提案する.特に本論文では,言語を横断して内容的に関連した日英報道記事を収集する手法について述べ,さらに,言語横断関連報道記事検索により自動収集された日英関連記事対から,半自動的に訳語対応を獲得する手法を提案する.評価実験においては,評価用記事集合に対して言語横断関連報道記事検索の性能を評価した後,言語横断関連報道記事検索の性能と訳語対応獲得の性能の相関について分析した結果について詳しく述べる.
著者
前花 晋作 金城 寛 上里 英輔 山本 哲彦
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NC, ニューロコンピューティング (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.106, no.102, pp.85-88, 2006-06-09

本論文では,遺伝的アルゴリズム(Genetic Algorithm: GA)で学習するニューロ制御器(Neurocontroller: NC)を用いて,四輪車両のライントレース制御を行なう.四輪車両はdriftlessシステムと呼ばれる非ホロノミッタ系である.四輪車両のような非ホロノミック系を制御する方法として,時間軸状態制御法などのchained formへの変換を必要とする制御方法が提案されてきたが,chained formへの変換を用いる方法には,初期値に限界があるなどの問題点があった.そこで本研究では,chained formへの変換を必要としないGAで学習するNCによる制御システムの設計を行なう.
著者
大枝 真一 天野 恵理子 山西 健司
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. IBISML, 情報論的学習理論と機械学習 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.113, no.286, pp.123-130, 2013-11-05

試験は学習者のスキルを測る手段として用いられる.したがって,試験の各設問には解くために必要なスキルが設定されており,学習者がそのスキルを習得していなければ各設問に正答する事はできない.その設問とスキルの関係は関係行列としてQ-matrixと呼ばれ,見識者によって定義されていた.先行研究では,試験結果からNon-negative matrix factorization(NMF)を用いてQ-matrixを自動的に抽出する試みがなされている.しかしながら,それらは学習者のスキルの時間変化を考慮していなかった.教育過程による学習効果をより深く理解するためには,時間とともにどのように潜在的にスキルが習得されていくか解析することが非常に重要である.本研究ではNMFをオンライン化することにより,蓄積された試験結果からQ-matrixを抽出するとともに,時間変化する学習者の潜在スキル状態も抽出することを試みる.また,論理値で構成される行列を因子分解するBoolean matrix factorization(BMF)とNMFとの抽出結果の比較を行う.計算機実験の結果,学習初期から終期の試験結果から学習者の潜在スキルの習得過程を可視化することが可能であることがわかった.
著者
原 賢 武藤 健一郎 知加良 盛 関 良明
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ISEC, 情報セキュリティ (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.111, no.285, pp.123-128, 2011-11-07

クラウドサービスの普及にともない,遠隔からシステムを安全に制御するためのプロトコルであるSSHを一般のユーザが利用する機会が増えると考えられる.一方,SSHのように暗号アルゴリズムを用いたプロトコルにおいては,暗号の危殆化に対する対処が必要である.そこで,SSH接続時に危殆化した暗号アルゴリズムの利用を避けるよう,ユーザへ設定変更を働きかけることを検討した.一般ユーザでも実行可能であり,かつ有効な対策行動を探索するため,SSH接続時の使用暗号アルゴリズムの決定方法を仕様と実装の両面で確認した.その結果,クライアントの暗号アルゴリズム設定リスト内の優先順位が接続時に利用する暗号アルゴリズムを支配的に決定することがわかった.そこで,SSHにおける暗号危殆化状況を可視化するために,クライアントと接続対象サーバの暗号設定情報の取得方法を調査し,SSH接続時に考えられる全ケースについて表示内容を考案し,一部を実装したので報告する.
著者
宮城 亮太 池部 実 猪俣 敦夫 藤川 和利 砂原 秀樹
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SITE, 技術と社会・倫理 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.110, no.429, pp.17-22, 2011-02-21

クラウド環境と呼ばれる計算資源の利用形態では,ユーザが要求する計算資源を割当てることが可能である.このクラウド環境において計算資源を効率良く利用するには,実行中のサービスを常時監視し,変化する処理量や負荷に応じた計算資源割当てを動的に行う必要がある.本稿では,オープンソースのクラウド基盤ソフトウェアEucalyptusを用いた環境において,計算資源の動的割当てを行う機構を提案し,評価した.
著者
鷹野 澄
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会誌 (ISSN:09135693)
巻号頁・発行日
vol.92, no.3, pp.209-217, 2009-03-01
被引用文献数
1

日本列島は,4枚のプレートがせめぎ合う地殻活動の非常に活発な地域に位置する.そこに,大地震を経験していない大形建築物,老朽化した住宅,新耐震基準前に建てられて耐震性の低いビルなどが多数存在する.このような状況で地震災害を軽減するには,日ごろ,建物や地盤の揺れをモニタリングしてその弱点を調べて適切な対策を実施すること,また,被災直後においては,正確な被災情報の収集と,被災地域における情報の活用が重要となる.このような目的で,IT強震計と呼ばれるセンサネットワーク開発が進められている.
著者
太田 寛志 佐治 斉 中谷 広正
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-パターン処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.82, no.7, pp.1129-1139, 1999-07-25
被引用文献数
32

顔面筋に基づく顔構成要素モデルを用いた表情の認識手法を提案し, 表情の時間的変化の認識について述べる. 顔モデルは, 眉・目・口それぞれの顔構成要素の可変モデルからなる. 各モデルは数個の制御点と顔面筋の収縮方向のベクトルで構成される. 制御点の移動方向は顔面筋が収縮する方向と一致しているため, モデルの変形は実際の顔構成要素と同じ変形規則をもつ, 顔動画像にモデルをマッチングさせることで, 顔構成要素の動きの追跡ができ, 顔面筋の収縮度が求められる. 得られた収縮度を要素とする表情パターンと, あらかじめ決定されている表情標準パターンとを比較することで各表情の表出度が得られる. 表情表出度は, 顔に表れている表情のめいりょうさを示しており, 値の大小から表情を識別する. また, 表情表出度の時間的変移から表情の発生・持続・終了を検出できる.
著者
萩 浩司 牧川 方昭 飯泉 仁美
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MBE, MEとバイオサイバネティックス
巻号頁・発行日
vol.95, no.291, pp.1-8, 1995-10-13
被引用文献数
1

本研究は生体内にコンピュータならびに計測回路などの,生体内信号の直接計測に必要な一切の要素を埋め込むことを最終目標とし,今回はこのような体内コンピュータ実現に不可欠な要素である皮膚を介した情報通信の方法,電力供給の方法について検討を行った.体内と体外のコンピュータ間の経皮ディジタル通信は赤外線を用いたシリアル通信を検討し,皮下に赤外発光ダイオードおよび受光センサを埋め込むことにより体内・体外間の双方向ディジタル通信が可能であることが明らかとなった.また経皮的電力供紿に関しては皮膚表面に一種のトランスを形成することにより実現できることが確認された.