著者
八十島 誠 友野 卓哉 醍醐 ふみ 嶽盛 公昭 井原 賢 本多 了 端 昭彦 田中 宏明
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集G(環境) (ISSN:21856648)
巻号頁・発行日
vol.77, no.7, pp.III_179-III_190, 2021 (Released:2022-03-10)
参考文献数
37

本研究では,感染者の排泄物に由来する陽性反応の利用が容易な個別施設を対象に,トイレ排水を排除するマンホールでの下水疫学調査でSARS-CoV-2の回収・検出を通じて感染者の早期発見を目的としたパッシブサンプラー(PoP-CoVサンプラー)を開発し,有効性を検証した.SARS-CoV-2中等症感染者が入院する病院施設と軽症者等宿泊療養施設での検証実験の結果,PoP-CoVサンプラーにはSARS-CoV-2が残存しており,マンホール調査での有効性が確認された.またPoP-CoVサンプラーでのCt値はグラブサンプルより最大7.0低かった.本法の社会実装を想定し,111名が勤務する事業場施設で調査を行ったところ,下水から陽性反応が得られた.陽性反応の原因として無症候性感染者からの排泄は否定出来ないものの,下水疫学によって1名の症候性感染者を陽性確定日の4~5日前に発見できる可能性が示唆された.
著者
寺口 敬秀 桜井 慎一 池ヶ谷 典宏
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D3(土木計画学) (ISSN:21856540)
巻号頁・発行日
vol.75, no.6, pp.I_207-I_217, 2020 (Released:2020-04-08)
参考文献数
14

本研究は,海を見渡せるという砲台跡の立地特性に着目し,遺産を残しつつ市民へ砲台跡を開放していくための利活用方法を考究するものである.砲台跡を管理する全国27市町村へのアンケート調査では,公開していない砲台跡が約3割あり,公開している砲台跡でも遺跡劣化や草木伐採に関して課題となっていることがわかった.また,既に利活用されている全国45砲台跡を対象に,用途を公園・展望台・キャンプ場・学習施設の4種類に分け,それぞれの立地・環境特性を把握した.さらに,東京湾沿岸の19砲台跡を対象に,立地や環境特性を現地調査にて把握し,全国で活用されている45砲台跡の特性と比較したところ,観音崎第一砲台跡がキャンプ場や学習施設,腰越砲台跡が公園や展望台に適していることがわかった.
著者
上平 雄基 川村 英之 小林 卓也 内山 雄介
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集B2(海岸工学) (ISSN:18842399)
巻号頁・発行日
vol.72, no.2, pp.I_451-I_456, 2016 (Released:2016-11-15)
参考文献数
15
被引用文献数
1 1

日本原子力研究開発機構で開発された海洋拡散予測システムの沿岸海域での高精度化を図るため,気象研MOVEと多段ネストROMSを用いたダウンスケーリングに基づく高解像度海洋モデルを導入した.新システムを福島第一原発事故に適用することで,現行システムでは再現することが困難であったサブメソスケール渦の消長に伴う137Csの3次元的な混合と海洋中移行過程の解析精度検証を行った.高解像度モデルによる流速場・乱流強度等の再現性は良好であり,低解像度モデルと比較して137Cs濃度分布の再現性の向上が確認された.事故直後の福島県沖海域では,季節的な海面冷却などによって強いサブメソスケール渦が発達し,それに伴う強い鉛直流によって137Csが中深層へ活発に輸送されていた.
著者
安保 秀範 大澤 高浩 葛 平蘭 高橋 章 櫻澤 裕紀
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:24366021)
巻号頁・発行日
vol.79, no.8, pp.22-00345, 2023 (Released:2023-08-20)
参考文献数
12

Sentinel-1 SARデータを用いて,積雪深の推定方法を検討するとともに,群馬県の利根川最上流域を対象に,積雪深観測所での観測値を用いてその推定精度を検証した.本地域の森林地帯において,積雪深と斜面のVV偏波とVH偏波の後方散乱係数の関係性について検討した結果,後方散乱係数から積雪深の推定が可能であることを確認した.木が生い茂っている500m四方の斜面の後方散乱係数から4m以下の積雪深の推定精度は,推定条件などによるが20~50cm程度となり,融雪量推定のための広域な流域面積での積雪の状況を把握することなどに活用できる可能性がある.
著者
鈴木 博人
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:24366021)
巻号頁・発行日
vol.79, no.8, pp.22-00278, 2023 (Released:2023-08-20)
参考文献数
13

鉄道には,なだれ防止林という雪崩による運転支障や列車事故を防止するために設置された防災設備がある.本研究では,上越線と米坂線を対象になだれ防止林の雪崩防止効果を評価した.両線区では,雪崩発生件数は1960年代前半に減少側に不連続的変化(ジャンプ)したが,年降雪深および年最大積雪深に減少側へのジャンプがみられるのは1980年代半ばまたは後半である.一方,両線区では開業後の1930年代から設置されてきたなだれ防止林の多くは,雪崩発生件数が減少側にジャンプした1960年代前半に所期の機能を発揮し始めたと考えられる.また,雪崩発生件数のジャンプ以前では,雪崩発生件数と降積雪量との正の相関が強い.これから,雪崩発生件数が1960年代前半に減少側にジャンプしたのは,なだれ防止林の効果であると評価できる.
著者
佐野 拓真 金子 雄一郎
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:24366021)
巻号頁・発行日
vol.79, no.8, pp.22-00192, 2023 (Released:2023-08-20)
参考文献数
6

本研究では,2019年9月及び10月の台風襲来時に東京圏で実施された2回の鉄道の計画運休を対象に,モバイル空間統計を用いて運転再開時の駅を含む500mメッシュ内の滞在人口の推移を把握した.その結果,9月の計画運休では多数のメッシュで9時台から12時台にかけて滞在人口が増加したこと,10月の計画運休では各時間帯で滞在人口に大きな変化はなかったことがわかった.以上の滞在人口の動向と各路線における運転再開時刻の明示の有無及び実際の運転再開時刻を照合した結果,9月の計画運休は平日で通勤需要が多く,再開時刻明示の有無以上に運転再開の遅れが人口増加に影響した可能性が示唆された.一方,10月の計画運休は各路線で再開時刻を幅で示すなどの対応が取られたが,休日で私事需要が抑制された可能性が高く,情報提供の検証は今後の課題である.
著者
浅田 拓海 可知 宏太 有村 幹治 亀山 修一
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:24366021)
巻号頁・発行日
vol.79, no.8, pp.22-00168, 2023 (Released:2023-08-20)
参考文献数
23

市町村が管理する生活道路は,地域住民の身近な存在であるが,沿道環境や利用頻度を考慮した舗装の維持管理はほとんど行われていない.本研究では,筆者らが開発したAI技術により構築した舗装点検データに住宅立地や交通量のデータを空間結合し,生活道路の舗装をネットワークレベルで評価する方法を提案した.本方法の特長は,舗装損傷度と交通量に加えて,周辺の損傷舗装や住宅の分布に基づいた修繕の優先順位付けおよび修繕効果の推計を行う点にある.本方法を用いて,室蘭市を対象としたケーススタディを行い,従来の舗装評価方法との比較を行った.その結果から,本方法では,従来方法よりも住環境の改善効果が大きい修繕対象区間を抽出でき,さらに,シナリオ分析により地域の実情に合わせた効果の大きい修繕計画を策定できることを示した.
著者
小林 快斗 川端 祐一郎 藤井 聡
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:24366021)
巻号頁・発行日
vol.79, no.8, pp.22-00061, 2023 (Released:2023-08-20)
参考文献数
18

近年,地元に根付いた生活を重んじる「サムウェアズ」と,地域や国境を越えた自由な生き方を重んじる「エニウェアズ」の間の価値観対立が先鋭化しているとする理論が,土木計画に関わる議論を含めた総合的な社会評論に活用されている.しかしこれらの価値観の定量分析は不十分であり,その規定要因や他の心理的傾向との関連性の実証的分析も行われていない.本研究ではサムウェア性/エニウェア性を計測する尺度を使用し,それらに影響を与える個人属性や,「大衆性」「利他性」といった道徳心に関わる心理尺度との関連性を分析した.その結果,現居住地に長く住んでいるほどサムウェア的になる一方で,所得,学歴,職業,居住地域等の影響は小さいことが明らかになった.また,サムウェアズはエニウェアズと比べて道徳的である可能性が示唆された.
著者
矢嶋 宏光 小瀬木 祐二
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:24366021)
巻号頁・発行日
vol.79, no.8, pp.22-00045, 2023 (Released:2023-08-20)
参考文献数
15

各地で具体化が進むスマートシティ構想では,行動履歴などのパーソナルデータを用い行動変容を促すなどの革新的な取組みが試みられている.パーソナルデータの利活用では,データ漏洩やプライバシー侵害などのリスクへの懸念がデータ提供への消極的な姿勢に繋がっていると考えられ,新たな問題解決手段として期待が高まるこれらの革新的な取組みにとって大きな障害となりかねない.本論では,土木インフラ整備における市民合意形成の経験に照らし,データ利活用に関する不安要因と対応策についての意識調査を分析し,ELSIの観点から革新的技術の社会受容について考察した.データ漏洩等のリスクに限らず,データ利活用が社会に及ぼす影響への懸念も大きな不安要因となっていることや,不安払拭の対策として参加型のルール形成の重要性が見出された.
著者
國生 剛治
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:24366021)
巻号頁・発行日
vol.79, no.8, pp.23-00083, 2023 (Released:2023-08-20)
参考文献数
15

地震時斜面滑りの計算に使われるNewmark法では,地震動が滑り面の降伏加速度を超えることで滑り発生を規定しているが,実際には滑り直前のわずかな変位により滑り開始が一意的に決まる可能性が模型振動台実験などで示唆されてきた.そこで直前変位を表すバネを従来Newmark法のスライダーに直列接続した「バネ支持Newmark法」を開発し,その適用性を模型実験との対比により確認した.小さな滑り開始変位u0を与えることで斜面の滑り開始は従来法での降伏加速度を大きく超過する現象が見られ,模型実験でも類似の加速度超過現象が確認できた.また実測地震動を用いた現実的斜面の滑り計算により,わずか数mmのu0を考慮することで従来法に比べて降伏加速度の大幅超過や累積滑り変位の大幅低下など設計への大きな影響が示された.
著者
秋本 哲平 仙頭 紀明 上野 一彦
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:24366021)
巻号頁・発行日
vol.79, no.8, pp.23-00025, 2023 (Released:2023-08-20)
参考文献数
16

溶液型薬液を用いた改良土は,土質条件によって想定した強度が発現しない場合がある.そういった場合,配合再試験や工法自体の見直しといった時間的,経済的ロスが生じる.このような手戻りを防止するには,薬液改良土の強度発現メカニズムを正確に把握し,土質条件に応じた強度推定手法や不足強度を補う手法の開発が必要である.本研究では,これまでに実施した,供試体内に超小型間隙水圧計を埋め込んだ一軸圧縮試験の結果の取りまとめを行った.加えて,薬液改良土の圧裂引張り試験を実施し,薬液と土粒子の付着力に起因する強度が圧裂引張り強さから算定できることを確認した.また,把握した強度発現メカニズムをもとに,事前調査で取得できる土質パラメータを用いた簡易的な強度推定式を提案し,現地土の事例に適用して,その妥当性を確認した.
著者
屋比久 雄斗 松原 仁
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:24366021)
巻号頁・発行日
vol.79, no.8, pp.23-00020, 2023 (Released:2023-08-20)
参考文献数
29

微生物の代謝反応によって誘発されて析出する炭酸塩鉱物は,離散状態にある土粒子を結合し,土の強度や剛性を高める.微生物を実環境に添加する際には,周辺生態系への影響を考慮すれば,土着の微生物を利用することが好ましい.しかしながら,地盤固化に有用な土着微生物を微生物資源としてストックするための研究はあまり進んでいない現状がある.本研究では,この技術の沖縄地域での適用を指向し,当該地域の沿岸域における有用微生物を同定し,その菌叢を明らかにするために16S rRNA遺伝子解析を行った.分析の結果,試料を採取したすべての地点で有用微生物の存在が確認されたものの,固化の程度は採取地に依存することが明らかとなった.また,分子系統樹解析の結果から,地盤固化に有用な微生物は比較的近縁なDNA配列を有することが分かった.
著者
田代 怜 末政 直晃 佐々木 隆光 永尾 浩一 伊藤 和也
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:24366021)
巻号頁・発行日
vol.79, no.8, pp.22-00184, 2023 (Released:2023-08-20)
参考文献数
27

新たな液状化対策工法として,改良費用が安価かつ狭隘地においても施工可能な工法の開発が求められている.本研究では産業副産物を母材とする安価な微粒子を用いた微粒子注入工法の実用化を目的とし,高炉スラグ微粉末を用いた非セメント系微粒子注入材の開発を試みた.まず,ジオポリマーやドロマイトの固化原理に着目し,複数の微粒子を用いた供試体を作製し,一軸圧縮試験を行うことで強度特性から適した配合を模索した.最適な配合において水粉体比等の注入条件を変えた一次元注入実験を実施することで浸透性や改良効果を把握した.結果,半水石膏・高炉スラグ微粉末・酸化マグネシウムを用いた配合において1年以内では強度低下は起こらず,液状化対策に必要な改良強度を持つこと,水粉体比や注入流量によって改良効果が異なることを確認した.
著者
油谷 大樹 神野 有生
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:24366021)
巻号頁・発行日
vol.79, no.8, pp.22-00087, 2023 (Released:2023-08-20)
参考文献数
15

浅水底のUAV写真測量では,水面での光の屈折による水深の過小評価への対策として,推定された各点の水深に一定の係数を乗じる事後補正が行われている.しかし既往研究により,最適な係数(水深過小評価倍率)が条件により変動する問題が指摘され,その挙動の解明が課題となっている.本研究では,水深,波,水底テクスチャなどの条件を多様に設定したCGシミュレーションを行い,水深過小評価倍率が水深・波の増大とともに減少し,従来提案されていた値1.42からも大きく乖離し得ることを明らかにした.さらに,この傾向が生じるメカニズムについて検討し,水深・波の増大による投影点のエピポーラ線からの逸脱,局所的特徴の変化により,特に目標点が画像の外側に写るカメラが点群の座標推定に使われにくくなることを示して,対策を論じた.
著者
月岡 桂吾 坂井 公俊
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:24366021)
巻号頁・発行日
vol.79, no.8, pp.23-00005, 2023 (Released:2023-08-20)
参考文献数
36

鉄道構造物の耐震設計に位相最適化を導入するためのプロセスを提案した.提案手法ではまず,現在の一般的な耐震設計手法に基づいて構造物の設計を実施する.次に位相最適化によって構造物の構造形態の候補を複数作成し上述した設計結果と比較することで,コストや性能等の観点でパレート最適解の範囲を絞り込む.最後に絞り込まれた解の範囲の中から,予算,施工性および維持管理性等を踏まえて設計者が最適な構造形態を選定する.提案手法の有効性を確認するために,柱高さ6mのコンクリート橋脚を対象に手法を適用した.その結果,パレート最適解として複数の構造形態が得られることや,解の範囲から選定した構造形態は従来のものと比較して性能やコストの面で優位性を有している事等を確認した.
著者
中村 豊 佐藤 勉 齋田 淳
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:24366021)
巻号頁・発行日
vol.79, no.8, pp.22-00260, 2023 (Released:2023-08-20)
参考文献数
13

構造物などのヘルスモニタリング手法として,波動伝播速度や減衰定数を観測波形から直接リアルタイム計測できるCERS法がある.これをダム堤体の一部であるスラストブロックの物性値計測に適用した.対象は仙台市青葉区の大倉ダム(1961年に建設された日本唯一のダブルアーチダム)であり,竣工後50年の2011年東北地方太平洋沖地震(Mw9.0)の際にも特に被害は報告されていない.公開されたアーチ間のスラストブロック頂部および点検坑道内の強震記録により,観測点間の波動伝播速度をCERS法により直接測定し,物性の変化を検討した. その結果,Mw9.0の強震動でスラストブロックの剛性が約6割まで低下し,記録終了時には約7割に回復したことが確認されるなど,物性値の変動や減衰に及ぼす貯水位の影響等が把握できた.
著者
藤林 博明 野呂 直樹 辻 翔太 大山 理 松井 繁之
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:24366021)
巻号頁・発行日
vol.79, no.8, pp.22-00148, 2023 (Released:2023-08-20)
参考文献数
12

プレフレックスビーム(以下,プレビーム)は,プレストレスを導入した下フランジコンクリートと床版コンクリートを合成させた二重合成桁である.分割工法では工場で下フランジコンクリートにプレストレスを導入した桁を2~3ブロックに分割して現地に輸送する.近年,プレビームの長支間化に伴い,プレストレス導入時に下フランジコンクリートの分割位置付近でひび割れ発生が見られるようになった. 本稿では,このプレビームの分割工法における下フランジコンクリートのひび割れ発生メカニズムを究明し,ひび割れ防止対策として鋼桁フランジの側面に緩衝材を貼付する方法に加え,ずれ止めの角鋼ジベルを分割配置し,頭付きスタッドを併用する方法を提案した.これらのひび割れ防止対策に対してFE解析と静的載荷試験によって有効性を検証した.
著者
内山 雄介 西井 達也 森 信人 馬場 康之
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集B2(海岸工学) (ISSN:18842399)
巻号頁・発行日
vol.69, no.2, pp.I_481-I_485, 2013 (Released:2013-11-12)
参考文献数
5
被引用文献数
2 2

Oceanic response to a series of typhoon passages is investigated with a triply-nested oceanic downscaling model forced by the assimilative GPV-MSM reanalysis dataset for the coastal marginal sea off Kii Peninsula, Japan. Temperature is decreased about 2 degrees for 2 weeks during three typhoons passing by. An EOF analysis decomposes the modeled SST properly into 1) a seasonal signal as a linear trend attributed to enhanced vertical mixing and mixed layer deepening due to the seasonal surface cooling in the 1st mode, 2) coastal upwelling at several locations through the Ekman transport due to the stormy surface wind field in the 2nd and 4th modes, and 3) SSH changes caused by the meso- and submeso-scale, cyclonic cold eddies near the topography and subsequent eastward transport by the Kuroshio in the 3rd mode.
著者
松島 格也 小林 潔司 福井 浩
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D3(土木計画学) (ISSN:21856540)
巻号頁・発行日
vol.69, no.5, pp.I_511-I_521, 2013 (Released:2014-12-15)
参考文献数
28
被引用文献数
2 2

人々の交通機関選択問題を考える際,従来の非集計モデルの枠組みでは交通サービス水準や居住地環境のデータは外生変数として与えられる.しかし,人々は利用する交通行動を想定して居住地を選択していることが考えられ,この場合,個々人が享受する交通サービス水準などは自ら選択した結果である.このような内生性の問題を考慮せずに推計したパラメータはバイアスが生じる可能性がある.本研究では計量経済学における内生性について概念・手法を整理して,交通機関選択モデルにおける内生性を検証するとともに,内生性を考慮した分析手法を提案して居住地選択行動と交通機関選択行動との関係を実証的に分析する.
著者
國井 大輔 喜多 秀行
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D3(土木計画学) (ISSN:21856540)
巻号頁・発行日
vol.78, no.6, pp.II_623-II_633, 2022 (Released:2022-04-20)
参考文献数
29

過疎地域においては,路線バスの代替交通手段としてコミュニティバスやデマンド交通等の運行が行われているが,利便性と持続可能性の両立が困難な地域が少なからず存在している.そのような地域においては低廉な運賃でサービスを提供することができるライドシェアが自家用有償旅客運送という形で運行されているが,ドライバー不足等の問題でサービスの維持が困難な地域もでてきている.一方で,近年はタクシーを利活用する動きが活発化しているが,自治体の財政負担が増加傾向であるため,持続可能性が懸念されている.本研究では,公共交通サービスが具備すべき様々な条件を基に,過疎地域におけるニーズの隙間(ギャップ)の存在を明らかにする.また,そのギャップを埋めるためのライドシェア活用方策に着目し、現状課題と将来展望について述べる.