著者
岡本 駿一 中田 弘太郎 長谷川 琢磨 野原 慎太郎
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:24366021)
巻号頁・発行日
vol.79, no.6, pp.22-00277, 2023 (Released:2023-06-20)
参考文献数
27

放射性廃棄物の地層処分の安全評価では,放射性核種の岩石への収着による移行遅延を定量的に評価することが重要であり,トレーサー試験は評価方法の1つと考えられる.原位置トレーサー試験では,岩石の収着特性を直接評価できる利点がある一方で,割れ目内の流動場等の試験条件を完全に制御することは難しく,評価される収着特性への試験条件の依存性や妥当性に関する検討は十分でない.このため,本研究では,送液流量を変えた室内トレーサー試験を実施し,評価される収着特性の依存性と妥当性を評価した.その結果,岩石マトリクスの遅延係数は送液流量に関わらず同程度となり,バッチ試験の結果とも整合した.これは,原位置の試験環境が理解/制御できれば,原位置トレーサー試験においても安全評価に資する収着特性を評価できることを示唆する.
著者
羽田野 袈裟義 荒尾 慎司 野田 誠
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:24366021)
巻号頁・発行日
vol.79, no.6, pp.22-00318, 2023 (Released:2023-06-20)
参考文献数
21

底流と越流が複合したゲートは底流方式と越流方式の利点を保ちながらそれぞれの方式が有する欠点を回避できる可能性があり,流域治水の面から期待される.しかしながらその定量的な評価を目指した研究の成果で設計に耐える十分なものはないようである.本研究では,現実で重要と考えられる流れの組合せとして底流(自由流出・潜り流出)と完全越流が複合したチェックゲートをすぎる流れについて,基礎的実験により水深と流量の間の関係を検討すると共に,底流と越流の流量を既往の研究成果を利用して個別に評価しその合計の流量を見積もることを試みた.得られた合計流量の計算値と実験値との比較から,流量の計算値は一定の水理条件の範囲内で実験結果と良好に一致することが示された.
著者
齋藤 正文 花立 麻衣子 伊藤 英恵
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:24366021)
巻号頁・発行日
vol.79, no.6, pp.22-00177, 2023 (Released:2023-06-20)
参考文献数
10

周防灘は瀬戸内海における最も広い海域であり,対岸距離が長く,入り組んだ湾形状が多く全体的には南向きの海岸であるため,台風時における高潮の影響を受けやすい.本研究では,周防灘に影響を与えた過去の台風と高潮による潮位偏差を整理し,大きな被害をもたらした高潮について,経験的台風モデルと非線形長波モデルによる再現計算を実施した.さらにT9918等の実際の台風経路を基本に平行移動による台風コースを幾通りも設定し,最大規模の高潮の推算を行った.周防灘沿岸方向の潮位偏差の発達と台風経路との傾向が明らかとなり,観測値の潮位偏差を元に最大規模の確率年についても検討した.
著者
笹 健児 久保 雅義 永井 紀彦 米山 治男 白石 悟 水井 真治
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
海岸工学論文集 (ISSN:09167897)
巻号頁・発行日
vol.51, pp.1291-1295, 2004-10-08 (Released:2010-06-04)
参考文献数
7

外洋性港湾に船舶が入出港するときの安全性について, 前報では大型フェリーが着離岸するときにRollによって作業困難となる状況を定量化した. 本研究では, 港外から港内に至る入出港の全局面で発生する船体動揺を連続的に再現できる数値解析手法の構築を行った結果, 沖合観測波形, 港湾・船型データ, 操船データをもとに着離岸局面を含めた入出港時の船体動揺を実用上十分な精度で再現できることを検証した. さらに着離岸時の作業困難度を定量的に評価できる「着離岸困難度関数」を新たに定義しその有効性を検討した. さらに海域, 港湾, 船型が異なるケースにおいても船体動揺の現地観測を実施し, 入出港の困難さを支配する諸要因について考察した.
著者
有井 賢次 渡邊 学歩 武智 国加 清水 則一
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:24366021)
巻号頁・発行日
vol.79, no.6, pp.23-00002, 2023 (Released:2023-06-20)
参考文献数
22
被引用文献数
1

本研究は,既存橋梁の安全監視へのGNSS (Global Navigation Satellite System)による変位計測の適用性を明らかにすることを目的に,センサーの設置方法の工夫,長期計測の安定性,変位計測精度などを調査し,GNSS変位計測が橋梁の複雑な変位挙動把握の有効な手段になり得る可能性を考察するものである.本稿では,スタティック測位方式で取得した3次元変位データと種々のモニタリングデータとの比較により,載荷荷重に対する橋梁のたわみおよび温度変化に起因する比較的長期かつ周期的な三次元変形挙動に対して,必要な精度で計測可能であることを示すとともに,構造解析や計測データの解析結果に基づき,長期および短期の変位挙動把握の可能性に関する検討結果を報告する.
著者
楊 昊軒 貝沼 重信 鈴木 啓介 楊 沐野 豊田 雄介
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:24366021)
巻号頁・発行日
vol.79, no.6, pp.22-00288, 2023 (Released:2023-06-20)
参考文献数
27

鋼道路橋において,溶射皮膜上に塗装が塗布され,重ね皮膜になる場合があるが,その重ね皮膜の耐久・防食特性については不明な点が多い.そこで,本研究ではAlとZnの溶射と重防食塗装の重ね皮膜部の耐久・防食特性を解明するために,クロスカット傷を導入した溶射単膜,および溶射と塗装の重ね皮膜部を有する鋼板試験体を用いて複合サイクル腐食促進試験を行った.また,重ね皮膜部の膨れ性状の測定,分極特性などの電気化学測定,SEM-EDXによる断面元素分析およびXRDによる生成物の同定分析を実施した.これらの結果から,溶射と塗装の重ね皮膜では,Al溶射の重ね皮膜がZn溶射に比べて早期に劣化し,耐久性が低下することなどを明らかにした.また,塩類に曝される腐食性の高い環境におけるAlとZnの溶射と塗装の重ね皮膜の劣化機構を示した.
著者
吉本 直美 和氣 典二 三田 武 和氣 洋美
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集F2(地下空間研究) (ISSN:21856583)
巻号頁・発行日
vol.68, no.1, pp.1-10, 2012 (Released:2012-06-20)
参考文献数
7

この研究は地下空間のQOL,つまり快適性という心理的面から環境設計に役立たせる評価法の開発に関するものである.今回は,副都心線を含む東京メトロ8駅を選び,駅構内とそれにつながる通路を歩いてから2種の質問紙に回答を求めた.質問紙(その1)の結果では,快適感・利便性,不安感,視認性・気づきにくさ,まぶしさ・歩行のしにくさの4つの因子が抽出された.また質問紙(その2)の結果では,案内表示の視認性,地下空間の全体的雰囲気,運賃表・路線図の見えやすさの3因子が抽出された.また質問紙(その1)で抽出された快適感・利便性と不安感は,(その2)の全体的雰囲気との相関が高く,視認性・気づきにくさは,案内表示や運賃表や路線図と相関が高いことが示された.
著者
安藤 良徳 北島 正章
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集G(環境) (ISSN:21856648)
巻号頁・発行日
vol.77, no.7, pp.III_191-III_197, 2021 (Released:2022-03-10)
参考文献数
24

下水中に含まれる新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)を定期的にモニタリングする下水疫学調査は,感染流行の動向を集団レベルで把握できる手法として期待されているが,下水中のSARS-CoV-2の感染性に関する懸念が調査の普及を妨げる要因の一つになっている.本研究では,下水中SARS-CoV-2の感染性調査への適用に向け,VeroE6-TMPRSS2細胞を用いたウイルス培養に基づくSARS-CoV-2感染性評価法を確立した.この方法を用いて下水中の感染性ウイルスとウイルスRNAの量的関係を解析することで,PCR法によるSARS-CoV-2 RNA実測値に基づく感染性SARS-CoV-2粒子量の推定が可能になると期待される.
著者
藤原 建紀 肥後 竹彦 高杉 由夫
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
海岸工学論文集 (ISSN:09167897)
巻号頁・発行日
vol.36, pp.209-213, 1989-11-07 (Released:2010-03-17)
参考文献数
5
被引用文献数
11 4
著者
小林 渉 渡部 翔平 岩倉 成志 山下 良久
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D3(土木計画学) (ISSN:21856540)
巻号頁・発行日
vol.75, no.5, pp.I_693-I_700, 2019 (Released:2019-12-26)
参考文献数
16

わが国の都市鉄道需要予測モデルの変数には乗車待ち時間が含まれているが,現行の方法では乗車待ち時間を運転間隔の半分と設定している.これは,運転間隔の長い駅の待ち時間を過大に与えている可能性がある.本研究では,大都市圏の駅における待ち時間の設定方法の提案を目的として,運転間隔が 2.5 分から 30 分の間で列車が等間隔に運転している 26 駅で実測調査を実施した.調査の結果,運転間隔が 7.5 分以上の路線では利用者の平均乗車待ち時間が運転間隔の半分より小さくなり,運転間隔が長くなると,かい離が大きくなった.この結果は,海外の既存研究の成果とも整合する.また,乗車待ち時間を改良した鉄道経路選択モデルのパラメータ推定の結果,乗車時間と乗車待ち時間のパラメータ比が増加することを確認した.
著者
酒井 直樹 田口 仁 六川 修一
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
AI・データサイエンス論文集 (ISSN:24359262)
巻号頁・発行日
vol.4, no.L1, pp.9-18, 2023 (Released:2023-03-01)
参考文献数
6

災害時の最大のニーズは「どこで何が起きたのか」の把握である.その情報がすぐに災害対応者の意思決定に必要な情報として提供されるべきである.そのためには各種衛星に関して「いつ・どこのエリアをどの衛星で観測するか」をマネジメントする必要がある.特に,広範囲にわたる災害では必要不可欠な技術である.そのためには,各衛星の特性を知った上で,複数機体制の実現とその運用管理の一元化が求められる.緊急観測依頼から衛星データ入手までの時間を短縮する必要もある.観測の精度や手順を標準化することも求められる.SAR衛星や小型衛星を使い,AI解析技術の確立することが重要である.今後ユーザーのニーズに応じて衛星データの選択が可能となり,必要な時に入手できるようになることを踏まえ,平時はインフラのモニタリングをして情報を蓄積し,災害時にはその延長で対応できるようなフェーズフリーな利用が進むと考えられる.
著者
湯浅 恭史 中野 晋 岡野 将希
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集F6(安全問題) (ISSN:21856621)
巻号頁・発行日
vol.75, no.2, pp.I_217-I_226, 2019 (Released:2020-03-12)
参考文献数
6

平成27年9月関東・東北豪雨及び平成30年7月豪雨では,河川の氾濫や堤防の決壊などにより深刻な浸水被害が発生し,地域の医療機関も被災する事態となった.被災した病院では診療機能が制限され,入院患者を他の病院に転院させざるを得ないケースがあった.被災地域の復旧・復興のためには,住民が安心して暮らすために地域医療の早期再開が望まれるが,被災病院によっては診療再開に長期を要することがあり,医療機関の浸水リスクへの対応は地域医療の継続を考える上での課題となっている. 本研究では,徳島県内の医療機関を対象として,自然災害への防災対策の実施状況についてアンケート調査を行った.調査結果から浸水災害を対象とした避難訓練やBCP策定などの対策が進んでいないことがわかった.豪雨災害で浸水被害のあった病院に対し,初動対応から事業再開の対応についてヒアリング調査を行った.これらの結果から,浸水被害を受けた際の早期復旧を実現するために取り組むべき対策や考え方について考察した.
著者
久保 宜之 山地 秀幸 岡林 福好 新川 和之 筧 泰昌
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集B1(水工学) (ISSN:2185467X)
巻号頁・発行日
vol.75, no.1, pp.208-213, 2019 (Released:2019-12-20)
参考文献数
3
被引用文献数
2 2

平成30年7月豪雨では物部川においても記録的な出水となった.幸いにも甚大な浸水被害が発生することはなかったものの,この出水において,治水対策における事前対策の重要性や氾濫頻度が低い河川における避難行動を促すことの難しさなどが再認識された. このため,本稿では平成30年7月豪雨における物部川の出水や洪水予報等の概要,近年実施した引堤事業が進められなかった場合の同豪雨での氾濫想定,記録的な出水に至ったにも関わらず顕著な避難行動が確認されなかったことやその原因分析の端緒となる住民意識調査の結果などを報告するとともに,ハード・ソフト一体となった水害対策の重要性に言及する.
著者
塚田 文也 池内 幸司
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集B1(水工学) (ISSN:2185467X)
巻号頁・発行日
vol.77, no.2, pp.I_1381-I_1386, 2021 (Released:2022-02-15)
参考文献数
22

近年の日本における水害による死者の発生状況について詳細な分析を行い,日本の水害に対して適用可能な新たな人的被害推計手法を構築した.浸水状況を表すパラメータのうち,浸水深と水位上昇速度が死者率と明確に関係していた.浸水深については,水面が人の頭付近まで至る浸水深1.5-2m以上の領域のみで死者が生じていた.水位上昇速度については,2階建ての1階で死亡したケースで,水位上昇が速いほど死者率が高かった.水位上昇速度に基づき設定した3つのゾーンと,浸水の時間帯と年齢によってクラス分けを行い,各クラスに分析結果から得られた死者率を設定することで人的被害推計手法を構築した.構築した手法を近年の日本における水害に適用した結果,死者率をおおむね正確に推計することができた.
著者
関根 正人 柴田 祐希 小方 公美子 中山 裕貴
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集B1(水工学) (ISSN:2185467X)
巻号頁・発行日
vol.74, no.4, pp.I_1531-I_1536, 2018 (Released:2019-03-30)
参考文献数
8
被引用文献数
1

本研究では東京都23区の隅田川以東エリアに,近い将来発生する可能性が高い時間雨量100mmの豪雨が1時間降り続いた際の内水氾濫,さらに荒川が破堤し大規模な外水氾濫が発生した際の浸水予測計算を行った.これにより,豪雨,河川氾濫による浸水の発生,拡大プロセスを解明した.このエリアは浸水リスクが高くなると予想される地理的要因が存在する.そこで対象エリア東側の荒川以東エリアと,西側エリアである江東エリアを比較し浸水リスクの評価を行った.さらに今後の避難シミュレーションを見据えた検討も加えている.結果として床上浸水などの浸水リスクの高さが明らかになり,隅田川以東以外のエリアを含む広域避難の必要性についても示している.
著者
緒方 敬亮 中山 恵介 尾山 洋一 駒井 克昭 堀井 慎太郎 曽宮 雄一郎 熊本 悦子
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集B1(水工学) (ISSN:2185467X)
巻号頁・発行日
vol.76, no.2, pp.I_1267-I_1272, 2020 (Released:2021-11-30)
参考文献数
10

国の特別天然記念物である阿寒湖のマリモは減少傾向にあり,生長や球化,維持機構に関する知見の集積が急務となっている.本論文では,マリモの挙動に個別要素法(DEM)を適用し,DEMにおける弾性係数
著者
和田 清 森 誠一 遠藤 協一 藤井 孝文
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
河川技術論文集 (ISSN:24366714)
巻号頁・発行日
vol.22, pp.397-402, 2016 (Released:2022-04-01)
参考文献数
10

This study has analyzed factors for recovery of the fishway by cluster analysis and main component analysis using check-sheet data of fishway in Gifu prefecture. Directionality to connect with a repair method of construction using the result was examined. It is pointed out that the function of the fishway decreases, when the item of the damage of the structure, stream route, step of the flow, partial scour in a riverbed are one. In Ono fishway of the Yoshida River, the need of continuous flow quantity monitoring to connect it with the life cycle of fish was shown. All the fishways that an evaluation of the Yoshida River has worse are erosion control dams. The function of the fishway decreases by complex factors such as the sedimentation of riverbed material and the drifting wood. It is clarified that the function of Futamate fishway was restored by simple repair, and the improvement of the maintenance system.
著者
高鍋 彩 白木 裕斗
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:24366021)
巻号頁・発行日
vol.79, no.5, pp.22-00270, 2023 (Released:2023-05-20)
参考文献数
15

本研究は,札幌市立小学校の教員と児童を対象にした質問紙調査により,エネルギー教育の実態,及び,エネルギー教育の方法と児童の省エネ行動,知識習得等との関係を明らかにした.教員向け質問紙調査の結果,すべての学校がエネルギー教育を実施していること,エネルギー教育の必要性を感じていることが確認された.児童向け質問紙調査の回答の平均の差を検定した結果,エネルギー教育に取り組んだ教科や実践方法と児童の省エネ行動,知識,関心との間に有意な関係があることが明らかとなった.学校内の再エネの有無やエネルギー教育の時数の多寡と児童の知識・関心等の間の関係は確認できなかった.今後のエネルギー教育では,時数を増やすのではなく,副教材の利用や能動的な授業の実施など,質の向上についての検討が必要と言える.
著者
北山 響 茶谷 聡
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:24366021)
巻号頁・発行日
vol.79, no.5, pp.22-00216, 2023 (Released:2023-05-20)
参考文献数
11
被引用文献数
1

自動車排出ガス規制による大気汚染物質の排出量削減に対する効果を調べるため,2000年から2019年におけるCO,NOxおよびHCの自動車排出量を推計し,規制の有無による違い,年減少傾向,将来予測による長期傾向の分析を行った.長期規制以降の規制を考慮した場合,規制を考慮しない場合よりも排出量の削減効果がCOとNOxで数倍,HCで2倍以下の割合で大きくなる一方,台数や走行距離の変化による排出量への影響は小さかった.排出量減少傾向は,CO,NOx,HCの順に,-4.4,-3.4,-5.0%/年であり,2030年までの予測値では,-3.1,-3.0,-3.3%/年であった.CO,NOx,HCの規制削減効果は,開始の早さと段階に違いはあるが,長期的に見ると差は見られなかった.
著者
松尾 智仁 瀧本 充輝 前川 鈴世 二村 綾美 嶋寺 光 近藤 明
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:24366021)
巻号頁・発行日
vol.79, no.5, pp.22-00129, 2023 (Released:2023-05-20)
参考文献数
24

建材に使用されたアスベストは解体時等に大気中に飛散することが懸念されるため,行政等によるモニタリングが行われている.漏洩時の迅速な対応のためには,まず迅速なアスベスト検出手法が必要であるが,従来の方法には,技術者が顕微鏡観察によってアスベストを計数するため時間がかかるという課題がある.そこで本研究では,畳み込みニューラルネットワーク(CNN)を用いた位相差顕微鏡画像からのアスベスト検出手法および同手法をベースにしたアスベスト計数手法を提案する.CNNの学習には解体現場等から採取された試料および実験室で作成した試料を用いた.学習したモデルは検証データに対して,検出精度では適合率と再現率で定義されるF値が0.83,計数精度では相対誤差が11%という好成績を示した.