著者
望月 太郎
出版者
大阪大学
雑誌
大阪大学大学院文学研究科紀要 (ISSN:13453548)
巻号頁・発行日
vol.44, pp.A1-A37, 2004-03-20

Pendant les annees 1670, epoque ou la polemique des cartesiens contre leurs adversaires atteint son paroxysme, sont parus les nombreux ecrits traitant du probleme de l'ame des betes : parmi lesquels le Discours de la connoissance des bestes par le P. Ignace-Gaston Pardies (1672) et le Traitte de l'ame et de la connoissance des betes par Antoine Dilly (:t676) sont inoubliables. Le premier, representant la position des peripateticiens de cette epoque, fut critique par Bayle sous pretexte qu' <<on y trouve les raisons des Cartesiens proposees tres-fortement, et refutees tres-foiblement>> (Dictionnaire historique et critique, 'Rorarius'), mais it atteste que la situation devenait plus difficile pour ceux qui ont voulu maintenir la doctrine aristotelicienne des formes substantielles, face aux nouveaux philosophes. Le second, authentiquement cartesien en principe, denonce explicitement l'auteur du premier livre dans ses chapitres 10, 12 et 13, et essaie de prouver la justesse des animaux-machines selon les raisons a priori. Nous verrons dans cet article le detail des arguments avances dans ces deux oeuvres. Le peripateticien a raison de remarquer la perception vitale irreflechie et d'attribuer aux animaux la liberte de spontaneite (<<libertas spontaneitatis>>); et pourtant it ne pourra pas legitimement identifier son principe a l'ame materielle (I.e. forme substantielle materielle). Le cartesien, par contre, insiste sur l'impossibilite d'avoir une idee claire et distincte de l'ame des betes, qui ne pourra jamais titre creee par Dieu. Mais, si toutes les actions admirables et les apparentes connaissances des animaux sons; explicables par la mecanique, pourquoi ne dira-t-on pas, comme craignait Rohault, <<que le principe de ces connoissances est moins noble dans les hommes que dans les bestes>> (Entretien sur la philosophic)? : ce cauchemar sera realise par La Mettrie. Le machinisme des animaux, pierre de touche des cartesiens, n'est valide que tant qu'il fonctionne comme theorie combattante dans la polemique sur l'ame des betes. Lors -que le peripatetisme fidele aux donnees empiriques, mais incomprehensible, est remplace par l'empirisme scientifique du 18e siecle, cette doctrine ne sera plus qu'une arme defensive des anti-lumieres.
著者
肥後 順一 高野 光則 菊池 誠
出版者
大阪大学
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2009-07-23

天然変性蛋白質の「折れたたみとカップルした結合」の機構を、計算機実験によって解明した。計算対象(天然変性蛋白質とパートナー分子、およびそれを取り囲む多数の溶媒分子)を全原子モデルで表現し、効率的構造探索法であるマルチカノニカル分子動力学を行った。それにより、折れたたみとカップルした結合過程の詳細な自由エネルギー地形を可視化した。実験的に決定された複合体構造以外にも、短い寿命の多様な複合体構造の存在を示した。得られた自由エネルギー地形をより大きな観点から理解するために、粗視化モデルでのサンプリングを行った。複数の準安定な複合体の間の構造遷移を、競合性と協調性の概念から表現した。
著者
杉山 治夫 相馬 俊裕 岡 芳弘 小川 啓恭
出版者
大阪大学
雑誌
重点領域研究
巻号頁・発行日
1997

1.多数例の化学療法を受けた白血病患者で、治療前、導入療法終了時、地固め療法終了時のWT1値をRT-PCR法を用いて測定したところ、治療前は、全例、異常高値を示したが、導入療法後、約半数の患者で、WT1値は検出感度以下になっており、さらに地固め療法後は、約70%の患者で、WT1値は、検出感度以下になっていた。このことは、WT1 assayで、白血病のMRDを的確にモニターできることをconfirmした。2.同種骨髄移植後のAML患者のMRDをWT1 assayでモニターしていたところ、WT1値の上昇が見られたので、分子再発と診断し、分子再発の時点で、ドナーリンパ球輸注(DLT)を行ったところ、著効を呈し、通常の副作用もなかった。このことが、WT1 assayで、再発を分子再発のレベルで診断し、早期にDLTを施行すれば、DLTの有効性が増大することを示している。3.チェルノブイリ原発事故の被曝者が末梢血でのWT1値を測定したところ、異常高値をとるものが多く認められ、これらの人々の今後の経過が注目され、WT1 assayによる白血病の早期診断の可能性も出てきた。
著者
本間 正明 井堀 利宏 跡田 直登 斎藤 慎 山内 直人
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
1994

本研究の目的は、これまで日本でほとんど行われてこなかったフィランソロピーについての経済学からの理論的及び実証的研究を行うことである。営利を目的としないフィランソロピー活動の重要性は日本においても着実に増しており、フィランソロピー活動の実態を把握し、その活動原理を定式化することは今後ますます重要になると思われる。本研究ではまず第1に、フィランソロピーの分析の基礎となる理論を整理、発展させるとともに、民間非営利セクターの活動と制度について、国際比較を含めて包括的に整理した。ついで、資金供給の観点から重要な寄付に関して、理論的、実証的に分析を行うとともに、日本の現状を踏まえた税制等の実証分析を行った。これらの研究により、日本の非営利活動の国際的にみた特徴が明らかになった。また、個人や企業フィランソロピー活動の動機付け、特に利他的動機と利己的動機の違いが理論的に整理された。フィランソロピーへの資金供給として重要な公益目的の寄付に関しては、税制が一定のインセンティヴ効果を持つことが明らかにされた。さらに、最適課税論の枠組みを用いて、全体としての社会的厚生を高めるような寄付税制のデザインはどのようなものかについて、理論モデルによる分析を行い、最適な寄付控除率などを導出した。第3に、阪神大震災の義損金支出や災害ボランティアの活動も踏まえつつ、民間非営利活動に関する税制やボランティア組織の法人化などの政策志向も強い問題を検討した。最後に、これらの議論を踏まえて、税制・法政など望ましいNPO制度のあり方について政策的論点を整理した。
著者
遠藤 誠之 玉井 克人
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2018-04-01

妊娠中に母体から胎児へ細胞が移行する現象を母体胎児間マイクロキメリズムと言います。その機序により、ある割合で子供が母親由来の細胞に対して免疫学的な寛容を示すことが分かっています。その場合、その子供は母親由来の細胞移植や、母親に特異的なタンパク質に対して拒絶反応を起こしません。我々は今回、この免疫寛容誘導効率を上げるための研究を行いました。妊娠マウスに間葉系幹細胞動員因子HMGB1を投与することで、母体血中から胎児へより多くの間葉系幹細胞が移行することを期待しました。その結果、免疫寛容誘導効率を約4倍増加させることができました。
著者
青木 千帆子
出版者
大阪大学
巻号頁・発行日
2010

23527
著者
木村 康義
出版者
大阪大学
雑誌
若手研究
巻号頁・発行日
2021-04-01

パーキンソン病はいまだに確立された進行抑制治療や根本治療が無い、進行性の神経難病である。本研究では、再生誘導効果を持つペプチド(アミノ酸の短い鎖)をパーキンソン病を模した動物モデルに投与することで、治療効果を調べ、治療薬としての可能性を研究する。再生誘導効果とは、当該ペプチドが間葉系幹細胞という様々な細胞になることができる幹細胞を自分の骨髄から誘導する効果である。有効性がみられた場合は、どのような働きをもって効果を発揮しているかを解析することで、脳の機能を保つ機構の解明や他の治療薬の開発に有用な情報をもたらすことが期待される。
著者
苧阪 満里子
出版者
大阪大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2006

本研究の目的は、情動評価をとりあげ、情動のフィルターを通したワーキングメモリの機能を、脳の神経基盤を基に解明することである。本年度は昨年度に続き、ワーキングメモリの中央実行系の機能を評価するリーディングスパンテスト(Reading span test)を用いて、その遂行に及ぼす情動の効果を、行動データとともに、fMRIによる神経基盤の検討を実施した。具体的には、RSTの刺激文に情動を喚起する文を用いて情動RSTを作成した。情動には肯定的情動(positive emotion)と、否定的情動(negative emotion)の2種類の情動を用いた。この2つのRSTと比較する統制群として情動の喚起の少ないRSTを作成して、遂行成績の比較を行なった。その結果、肯定的情動条件ではRSTの遂行成績に促進効果が認められた。一方、否定的情動条件では、成績の低下が認められた。また、このような情動が及ぼす影響は、若年者だけでなく、高齢者にも同様に認められた。その結果、fMRIによる神経基盤の検討の結果、肯定的情動は、脳の帯状回の活動を高めワーキングメモリの課題遂行に必要な注意の制御機能を促進することが、他方、否定的情動は、脳の扁桃体の活動を強め、帯状回を中心とする制御機能に干渉を起こして、課題遂行を妨害する知見を得た。このよう結果から、ワーキングメモリの神経基盤の核をなす前頭前野背外側領域や前部帯状回は情動制御とかかわりを持ち、注意の制御に関わる中央実行系の統御システムが、"うれしさ"や"怒り"などの情動の修飾を受けることがわかった。
著者
森信 茂樹
出版者
大阪大学
巻号頁・発行日
2001
被引用文献数
3

14401乙第08201号
著者
入戸野 宏
出版者
大阪大学
雑誌
挑戦的研究(萌芽)
巻号頁・発行日
2017-06-30

本研究では,近年注目されているハイレゾオーディオが聴取体験に影響する機序について検討した。脳波と誘発電位を測定した実験により,以下の3点が明らかになった。(1)高周波成分が含まれている音源を聴くと,それをカットした音源を聴くときより,聴取時の脳波パワーが増大する,(2)高周波成分をフィルタで除去すると音が時間的に歪む(立ち上がりがぼやける)が,その違いはサンプリング周波数が変わらなければ聴覚皮質では検出されない,(3)サンプリング周波数を下げると音のぼやけが聴覚神経処理に内耳のレベルから影響を与える。
著者
堤 研二
出版者
大阪大学
雑誌
挑戦的研究(萌芽)
巻号頁・発行日
2020-07-30

20世紀のドイツの国土計画・地域計画において重視された「空間秩序」の概念は、戦中期日本の企画院等の国土再編成案に影響を与えたと推測される。また、空間秩序の考えを基本にしつつ、ミュンヘン学派ドイツ社会地理学が創案した「基礎生存諸機能」の概念は、ドイツにおける地域計画や地理教育の中で活かされてきた。これらについては日本における研究が進んでいない。本研究では、①空間秩序と基礎生存諸機能の概念を整理し、②それらが如何に日本の企画院等に影響を与えたのかを明らかにする。また、③ケルン貨物駅跡再開発などを対象として、日本の事例との比較を通じて、国土計画・地域計画に関する思想・手法の日欧での異同を検討する。