著者
名和 範人 鈴木 貴 小川 知之 石毛 和弘
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2002 (Released:2002-04-01)

名和と石毛が運営メンバーに名を連ねる『語ろう「数理解析」』(http://www.gifu-u.ac.jp/~tisiwata/seminar/ma_seminar.html)を通して,様々な分野の研究者との議論の場を設ける事ができた。この活動などを通して、研究分担者各員は、各々の研究分野で成果をあげ、様々な研究集会など、複数の講演機会や海外への渡航機会も得て、情報交換がより密になされるようになった。名和は、擬共型不変な非線形シュレディンガー方程式の爆発解に対して、その爆発速度と漸近挙動との間の関係性について、ひとつの結果を得る事ができた。これにより、次のステップとして、本格的にネルソン過程と呼ばれる解の背後にある確率過程と爆発速度との関係の追求に移る事ができる。また、微分型非線形シュレディンガー方程式の爆発解に対しても、漸近形に対しては、部分的に同様の結果を得た。さらに、これまでに開発した技術が、超伝導の理論に現れるような、非線形シュレディンガー方程式系の解析にも有効である事を見抜き、古典場ではあるが、クーパー対の生成とも言うべき性質を解が持ち得る事を示した。石毛は、拡散係数が大きな半線形熱方程式の爆発解の爆発集合や漸近形に関する結果や、球の外部領域における線形熱方程式の解の最大点挙動および解の微分の無限遠方での減衰評価を得た。鈴木は、自己双対ゲージ模型におけるある種の自己組織化現象や,走化性方程式系の爆発問題に関して興味深い結果を得た。小川は、自発的パターン形成のモデルである、スイフト=ホッヘンバーグ方程式や,ある電気化学系のモデル方程式などの解に現れる時空パターンについて,力学系や分岐理論を用いた解析を行った。これらの解析の一部は、すでにシュレディンガー方程式の解の解析と精神を同じくしている部分もあり、今後のさらなる共振的な発展が期待される。
著者
宮本 陽一
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007 (Released:2007-04-01)

本研究では、日本語の比較構文に生起する「より節」が目的語の数量を比較対象にする場合に、「かき混ぜ規則(scrambling)」、「数量詞上昇(Quantifier Raising)」等によって、生成された位置とは異なった位置に移動できることを明らかにした。これは、付加詞からの移動が常に排除されるわけではないことを意味している。この結果から、付加詞(特に二次述語)であっても主節と(素性照合によって)関係を結べる場合には抜き出しが許されることを明らかにした。
著者
細谷 裕 波場 直之 尾田 欣也
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2008 (Released:2008-04-01)

ヒッグス粒子の正体、余剰次元の存在の可能性、クォーク・レプトンの起源をLHC実験で探れる物理として探求した。ヒッグス粒子を余剰次元のゲージボゾンとするゲージ・ヒッグス統合理論を構成した。質量126 GeVのヒッグス粒子の存在から、余剰次元での励起粒子、ヒッグス粒子の相互作用の間に普遍的な関係(ユニバーサリティ)があることを発見した。今後のLHC実験で検証されれば、余剰次元の存在が確立される。
著者
工藤 眞由美 山東 功
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009 (Released:2009-04-01)

ボリビア沖縄系移民社会(沖縄第1移住地)では、琉球語(沖縄中南部方言)、本土日本語、スペイン語とのダイナミックな言語接触が起こっている。談話録音については、世代ごと(1世成人移民、1世子供移民、2世、3世)に、文字化を行い、報告書『ボリビア沖縄系移民社会における談話録音資料』としてまとめた。沖縄県那覇市を中心とするウチナーヤマトゥグチ的な表現形式(~シヨッタ形式、~ワケサ等)も使用されていることが明らかになった。言語生活調査については、ブラジル沖縄系移民社会(サンパウロ市)と比較した結果、ブラジル(サンパウロ)では、ポルトガル語へのモノリンガル化が急速に進んでおり、ボリビアでは日本語が維持されるバイリンガルな状況にあることが多面的な調査項目から明らかになった。
著者
川村 邦光 荻野 美穂 杉原 達 冨山 一郎 真鍋 昌賢 落合 恵美子 荻野 美穂 落合 恵美子 才津 祐美子 重信 幸彦 杉原 達
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006 (Released:2006-04-01)

日本の家族写真は、当初西洋の影響を受けていたが、独自の展開をしてきたことを明らかにした。家族写真が人生儀礼や年中行事において撮影され続け、民俗的慣行として確立され、民俗資料として有効であることも明らかにした。現在では、特に年賀状に家族写真が載せられて、友人・知人に向けて発信され、家族の共同性を確認する機能を果たしている。本研究は家族写真に関する初めてのまとまった本格的な研究であると考える。
著者
津田 葵 津田 葵
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1997 (Released:1998-04-01)

小笠原父島における新しい文化との接触、移入によるプロセス、同化のプロセスの実態とその要因の解明に向けて文献調査、聞きとり調査を中心に研究を進めた。特に、本年度は平成9年度から3年計画で始めた最終年度であるので、過去2年間にわたっての研究から明らかになった基礎的データの整理とより精密な分析、その妥当性をチェックするための実地調査に主力を注いだ。1.異なったエスニシティとの出会い異なった土地からやってきた最初の定住者達、ペリーの来航、日本人の最初の移住者の入植、開拓開始、太平洋戦争勃発、本土への強制疎開、米軍による統治、欧米系島民の帰島、返還、返還後の復興といったなかでの欧米系島民、旧島民、新島民による社会形成の様相、アイデンティティの問題、同化主義の特徴2.言語接触と言語文化共通語、母語を異にしている人々の間での伝達、米軍統治下での言語生活、返還後の言語教育、異なった世代、エスニック集団における言語使用の特徴、多言語接触によって生じる言語生活の実態の解明3.島に伝わる民謡南洋諸島から伝来されたと思われるもの、最初の日本人移住者の出身地である八丈島からのもの、小笠原独自のもの、歌詞の意味が不明でルーツも不明なもの4.衣・食・住の生活文化異文化接触による影響と父島独自の生活文化の創造とそのプロセス5.伝統的年中行事:島に伝わる年中行事、それぞれの行事の起源、社会的意味と意義
著者
清水 政明 柿木 重宜 冨田 健次 川口 健一 岩井 美佐紀 春日 淳 田原 洋樹
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010 (Released:2010-08-23)

本研究では、現在日本における学習者人口が日々増加の一途をたどるベトナム語の学習成果を客観的に測定する基準を策定するべく、その検定試験の内容・形態・評価方法を確定するための基礎的研究を遂行した。ベトナム本国において教育・訓練省が策定する海外在住ベトナム人のベトナム語能力測定基準案等を参照し、ベトナム本国との連携関係を保持しながら徐々に改良・発展させることが可能な形態を有する検定試験の制定を目標とした。

2 0 0 0 OA OSIPP newsletter

著者
OSIPP広報委員会・ニューズレター編集部
出版者
大阪大学
巻号頁・発行日
vol.2006年, no.(37), 2006
著者
鄭 聖汝
出版者
大阪大学
雑誌
大阪大学大学院文学研究科紀要 (ISSN:13453548)
巻号頁・発行日
vol.45, pp.A19-A58, 2005-03-20

The goal of this paper is to explicate the true nature of split intransitives. To achieve this goal we explored the experiential basis of the unaccusative hypothesis and arrived at the following conclusions: 1. The passive, including the impersonal passive and adversative passive, is primarily based on the activity verbs (S_a=A) and undergoes generalization accommodating change of state verbs (S_p=P) verbs as well (Cf. Shibatani 1998). 2. The causative alternation is primarily based on change of state verbs (S_p=P) and undergoes generalization accommodating the activity verbs (S_a=A)(Cf.Shibatani & Pardeshi 2002). 3. The split intransitive system in active languages is based on at least two different semantic criteria (Cf. Mithun 1991). From the results mentioned above we propose the following claims: 4. The behaviour of the intransitives is not a dichotomy as envisaged by the unaccusative hypothesis. The groupings are non-homogeneous and form a continuum rather than a dichotomy. Further, the size of each group varies from one language to another. In order to capture these facts we propose the following terms: Semantic Nominative-accusative system and Semantic Ergative-absolutive system. These terms are precisely defined and introduced drawing a systematic parallel with the casemaking systems. 5. In relation to 3 above, developing the proposal of Mithun (1991), we propose a "speaker's viewpoint" parameter related to the origination of a state of affairs. Even in the active languages, we do not find the ideal active-inactive dichotomy pattern as envisaged by the unaccusative hypothesis. We claim that the "speaker's viewpoint" parameter proposed herein varies from one language to another and therefore the so-called universal, single parameter based unaccusative hypothesis is in fact not universal.
著者
木村 文隆 伊丹 千晶 LU Hui-chen HUANG J-y
出版者
大阪大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2011 (Released:2011-08-05)

大麻の有効成分であるカンナビノイドは、逆行性の神経伝達物質として注目を受けたが、近年では、感覚皮質においてのスパイクタイミング依存性可塑性の長期抑圧を導く伝達物質として再度注目されている。一方、長期抑圧が誘導されると、入力線維はしばしば刈り込まれることが知られている。このことは、カンナビノイド投与単独でも入力線維の刈り込がおこる可能性を示している。我々は、視床-皮質投射において、発達期にカンナビノイド受容体依存性の長期抑圧が起こることを見出した。視床-皮質投射の変化を調べたところ、長期抑圧が起こっている時期に一致して軸索の退縮が起こることも見出した。外因性にカンナビノイドを投与することによって退縮が起こるかは現在検討中である。
著者
清水 正宏
出版者
大阪大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2010 (Released:2010-08-23)

生物は,細胞単位であっても自己複製,自己修復,自己組み立てといった優れた機能を発現することが知られている.そこで申請者は,生体自体が本来有する優れた特性を誘導・発現させるバイオロボットの創成を試みた.具体的には,細胞力覚(機械刺激応答)を活用して成長する筋細胞アクチュエータを開発した.ここでは,マウス由来筋芽細胞C2C12に伸展機械刺激を印可することで,筋線維への分化が促進されることを確認し,筋細胞アクチュエータを自己組織的に設計・構築することが可能となった.
著者
中根 和昭 末松 信彦
出版者
大阪大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2012-04-01 (Released:2013-05-31)

癌組織・鉄(Fe-C鋼)などの鉱物組織・高分子化合物のように、組織構成が全体の性質を決めることはよく見られる。組織の状態判別は、観察者の主観に任せられているのが現実である。判定結果は観察者の技量に大きく左右されるため、客観的な数値に置き換える手段が必要とされている。今回、組織判別に対して位相幾何学的な判定手法を用いたアルゴリズムを提案した。これは「組織構成要素の肥大による位相幾何学的性質の変化」を単純化された画像から読み取る、という原理であるが、組織形成の仕組みが同じような構造物は他にも多くある。それらにこの判定法を適用したが、非常によい結果が得られた。
著者
長峯 健太郎
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2014-06-27 (Released:2014-11-20)

我々はこれまで宇宙論的流体シミュレーションを宇宙論的なスケール(>50Mpc)の体積で実行してきたが、それではどうしても解像度が~kpcスケールを切ることが低赤方偏移ではできなかった。そのため、最近ではズームインシミュレーションが数多く行われるようになり、これによって宇宙論的な初期条件を保ったまま、解像度を上げてある特定の領域の銀河形成を解くことができるようになってきた。本研究では、新たな超新星爆発(SN)フィードバックモデルを構築し、それを用いてズームインシミュレーションを高解像度で実行することを目的としている。H27年度には、まずこのSNフィードバックモデルの新たな構築とそのテストを行った。特に超新星そのものが爆発する以前に、大質量星からの星風や輻射によって周辺の星間ガスが吹き飛ばされて、その後のSN爆発の効率が上がるという効果を取り入れるべく、星が形成されてから約4Myrの間は熱的フィードバックを受け、その後SNフィードバックが効くというモデルを孤立銀河系でテストすると共に、宇宙論的シミュレーションコードに取り込んだ。孤立銀河系においては、新しいフィードバックモデルにおいては、従来のモデルに比べてフィードバックの効率が確かに上がり、初期の星形成率が抑制されることが判明した。これは、最近Stellar-to-halo mass ratio (SHMR)のデータとして観測されている通り、low-mass haloにおいて星形成が抑制されてabundance-matching techniqueの結果とよりよく合致するという意味で、観測データにより近い方向にシミュレーション結果が向かっていることを意味する。
著者
服部 典之 玉井 アキラ
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006 (Released:2006-04-01)

18世紀英国において大きな社会問題であった「孤児問題」を、ロンドンのFoundling Hospital(孤児養育院)の流れを汲み現在も重要な慈善活動を行うCoram Foundationを調査し、18世紀イギリス文化と孤児問題の繋がりを明らかにした。また同養育院が設立された1745年前後にはフィールディングの『トム・ジョーンズ』など数多くの孤児小説が出版され、これらの小説の孤児主人公の特徴と制度としての養育院を設立させるイギリス文化が密接な関係を持つことを実証した
著者
伊東 信宏 小島 亮 新免 光比呂 奥 彩子 太田 峰夫 輪島 裕介 濱崎 友絵 上畑 史 阪井 葉子
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2012-04-01 (Released:2012-04-24)

ブルガリアの「チャルガ」は、「マネレ」(ルーマニア)、「ターボフォーク」(旧ユーゴ諸国)などのポップフォーク(民俗的大衆音楽)と並んで、1990年代以降バルカン諸国に特有の社会現象であり、同様の現象は日本の「演歌」をはじめとしてアジア各国にも見られる。本研究はそれら諸ジャンルの比較を行い、その類似と差異をあきらかにすることを目指してきた。これまでに大阪、東京などの諸都市で、8回の研究会を開催し、20の報告が行われた。2017年にはこの問題に関する国際会議を開催する予定である。そこでは上記諸ジャンルの社会的文脈を検証し、歌詞や音楽構造の分析が行われた。日本語による単行本出版が準備されている。