著者
栗原 聡 菅原 俊治
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008 (Released:2008-04-01)

局所的な情報に基づいて自律的に動作する多数のエージェントにて構成されるマルチエージェントシステムを構築する際に,システムをボトムアップに構成する手法と,トップダウンに構築する手法とを融合させる方法の創出を目的とし,両者を競合させて動的平衡状態とする方法を提案した.そして,次世代知的交通制御システムを題材として,渋滞状況予測手法と信号機制御手法を提案し,両手法を効果的な融合を実現させることに成功した
著者
山口 弘純
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2012-04-01 (Released:2012-04-24)

本研究では地下街やビル屋内での人々の位置・行動情報を,特別な測距デバイスやインフラを必要とせず,高精度かつリアルタイムに推定する技術(位置行動推定技術)と,それに基づき位置情報サービスを提供するミドルウェアの設計開発を行った.スマートフォンが備える加速度センサー・ジャイロ,電子コンパスの情報を取得し,センサーデータを活用した位置推定技術を開発実装し,イベントスペースや商業施設等を含む様々なアプリケーションシナリオにおけるシミュレーション実験ならびに実証実験を実施することでその有効性を示した.
著者
福岡 まどか
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011 (Released:2011-08-05)

この研究は、インドネシアにおいて1950年代以降に創作が始まり1960-80年代にかけて人気を呼んだコミックに焦点を当てている。伝統演劇であるワヤンの物語や表現方法と密接な関連を持つこのコミックはワヤン・コミックと呼ばれている。ワヤン・コミックの先駆者でもっとも影響力を持った作家であるR.A.コサシ(1919-2012)の作品を取り上げて、物語や表現方法の分析、実際のワヤン(影絵や人形劇)上演との関連についての考察を行った。文献調査に加えて2回の現地調査を行い、芸能上演の観察と記録、インタビュー調査などを通して伝統芸能とコミック相互の関連についての検討と分析を行った。
著者
河崎 善一郎 牛尾 知雄 森本 健志 高木 伸之 王 道洪 中島 映至 林 修吾 ARTHUR Jim MAY Peter CHRISTIAN Hugh WILLIAMS Earle HOELLER Hartmut
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2006 (Released:2006-04-01)

本研究では、オーストラリア・ダーウィン地域において、雷嵐観測網を構築し観測を実施した。稠密と広域観測装置を併用した観測網を展開し、豪気象局とも連携して、雷放電開始位置とその領域に存在する降水粒子の分布が時々刻々得られ、正負両極性の電荷が蓄積される領域の境界付近に放電開始点が多く分布し、更に稠密観測からその放電路が境界を沿うように進展し、やがて落雷に至る様子が再現された。中和電荷量推定も行い、積乱雲が世界で他に例を見ないほど高くまで成長する巨大積乱雲ヘクターにおいて、ヘクターの成長と共に中和される電荷の位置も上昇する現象が確認された。
著者
菅 磨志保
出版者
大阪大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2008 (Released:2008-04-01)

「共助」の中身は、支援者-受援者が取り結ぶ関係も含めて、単純に分解できるものではなく、現場の活動実践で重視されている価値観を尊重しながら、そこから汲みだされた概念をうまく活動実践に組み込んでいくことで、無理のない自然な関係に基づく支援関係が形成されることが分かった。また、将来志向の社会学的研究の方法論の提案として、活動実績データの分析という手法の標準化を試み、次のように整理した。(1)災害社会学の時間軸と社会的単位の枠組の設定、(2)個人のレベルと事業のレベルに分けて活動実績を整理、(3)それぞれのアウトプットと相互の関係性を分析する。
著者
森田 邦久
出版者
大阪大学
雑誌
待兼山論叢. 哲学篇 (ISSN:03874818)
巻号頁・発行日
vol.39, pp.21-31, 2005-12-25
著者
喜多村 祐里 眞下 節 武田 雅俊
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006 (Released:2006-04-01)

「痛み」の生物学的意義は、生体を侵害刺激から守るための「警告信号」であると考えられる。損傷や炎症の生じた部位の修復機構を促しながら、治癒までの期間、外界の刺激から遠ざけて効率的にかばうといった行動は「痛み」のおかげで誘発される。しかし、「痛み」が持続し慢性化することによって、脳の中の扁桃帯や前帯状回といった情動に関与する神経回路が活動し続けると、負の情動が形成されることになる。この負の情動は、「気分が落ち込む」「根気・集中力がなくなった」などの抑うつ感や、「よく眠れない」「目覚めがよくない」といった睡眠障害を引き起こし、やがて個人の社会的・生活機能をも低下させることにつながる。近年、「痛み」の研究は脳科学の進展とともにその歩みを早め、疼痛コントロールの重要性については、臨床家はもとより一般にも広く知られるようになった。本研究は、慢性疼痛における「痛み」、すなわち個人の主観的感覚に対して、「どのような治療的アプローチが考えられるのか」を模索する中で、プラセボ効果やカウンセリングといった心理的・認知行動学的アプローチの有効性について科学的根拠にもとづいた知見を得る目的で行われた。近赤外分光法(NIRS)やストレス関連物質であるコルチゾルおよびクロモグラニンの測定、また質問紙形式とVAS;visual analogue scaleによる痛みの主観的・客観的評価をさまざまな角度から行った。わずか2年間で得られた知見は、動物実験の結果や健常人による心理実験にもとづくものではあるが、このような基礎的研究を礎に大学内には「疼痛研究センター」が設立され、実際の臨床の場においてもこれらの知見が生かされるような体制が整いつつあることに、改めて大きな意義を感じている。
著者
竹村 元秀 米原 典史 小林 真之 杉生 真一 森谷 正之
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007 (Released:2007-04-01)

神経損傷ラットの情報伝達機構が大きく変化することが、神経因性疼痛発現の基礎にあることが明らかになった。ぺプチド性C線維を介したシグナリングが侵害刺激をよりシャープに上位中枢に送るが、非ぺプチド性C線維のシグナリングがそのぺプチド性C線維を抑制するといった制御に関わっている可能性を示すデーターを得た
著者
小林 敏男 金井 一頼 淺田 孝幸 高尾 裕二 関口 倫紀 椎葉 淳 伊佐田 文彦 栗本 博行 松村 政樹 平山 弘 朴 泰勲 寺川 眞穂 古田 武 前中 将之 中田 有吾
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2007 (Released:2007-04-01)

グローバルニッチ戦略とは,自社の開発技術を評価する特定顧客に対して,そのニーズに叶った製品を開発・供給していく過程で,事業として存続しうる売上規模を獲得でき,その状態を持続可能にすることによって,当該製品が属する市場において参入障壁が高い小市場を形成でき,グローバルな多地域への展開が可能となる戦略のことである。ニッチ市場は,既存市場のセグメント分析から存在論的に発見できるものではなく,特定顧客との密接な協働から形成しうる過程論的な市場である。
著者
西村 ユミ 前田 泰樹 前田 泰樹
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007 (Released:2007-04-01)

本研究は、看護場面として急性期医療の現場に注目し、そこでの実践がいかに成り立っているのかを記述することを目的とした。研究期間内においては、おもに、患者の苦痛の理解という実践に注目した。看護師たちは、観察や評価に先立って、患者の痛みの経験を理解しはじめていた。この理解は、患者の痛みに応じようとする行為的な感覚や、具体的な行為とともに成り立っていた。そして、この行為を交換することによって、看護場面における協働が達成されていた。
著者
板見 智 高安 進 園田 忠重
出版者
大阪大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1994 (Released:1994-04-01)

ヒトの毛の発育の男性ホルモン感受性の違いを分子レベルで解析するために毛組織の上皮系、間葉系それぞれの細胞を培養し、男性ホルモンレセプター、5α-リダクターゼについてmRNAレベルで解析した。手術時に得た皮膚より手術顕微鏡下に頭髪、髭、脇毛等の外毛根鞘、毛乳頭を単離し継代数4-6代に達した細胞を実験に用いた。I型、II型それぞれの5α-リダクターゼのmRNAの発現をRT-PCR法で調べたところ、I型5α-リダクターゼのmRNAはすべての外毛根鞘、毛乳頭細胞に認められたがII型の5α-リダクターゼは髭及び前頭部毛乳頭細胞で強く発現していた。男性ホルモン受容体mRNAの発現は腋毛の毛乳頭細胞で最も強く後頭部毛乳頭細胞ではわずかに認めるのみであった。男性ホルモン受容体に対するポリクローナル抗体を用いた免疫組織染色では、いずれの部位より得た毛包においても上皮系の細胞は陽性所見を示さず男性ホルモン受容体は毛乳頭細胞に局在していた。後頭部毛乳頭細胞には男性ホルモン受容体は認められなかった。以上の知見より髭、腋毛、男性型脱毛の前頭部毛の毛乳頭細胞はいずれも男性ホルモンの標的細胞であるが、II型の5α-リダクターゼは髭、男性型脱毛など強い男性化徴候を示すために必要と考えられた。毛乳頭細胞の分泌する男性ホルモン依存性の毛包上皮系細胞増殖因子について、in vitroで毛の発育作用が報告されているFGF、HGF、IGF-I等についてmRNAの発現を検討したところ、IGF-IのmRNAの発現のみが男性ホルモンにより促進されていた。また髭毛乳頭細胞と外毛根鞘細胞の混合培養では、男性ホルモンによる外毛根鞘細胞の増殖促進はIGF-Iに対する中和抗体により抑制された。これらの結果より髭組織においてはIGF-Iが毛乳頭細胞由来の男性ホルモン依存性の毛の増殖因子の一つであることが明らかとなった。
著者
篠崎 和弘 武田 雅俊 鵜飼 聡 西川 隆 山下 仰
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2000 (Released:2000-04-01)

並列分散処理の画像研究を統合失調症(幻聴有群となし群)と健常者について、脳磁図の空間フィルタ解析(SAM)をつかって行った。色・単語ストループ課題では刺激提示から運動反応までの650msを時間窓200msで解析した。賦活領域は左頭頂・後頭(刺激後150-250ms)に始まり右前頭極部(250-350ms)、左背外側前頭前野DLPFC(250-400ms)、一次運動野の中部・下部(350-400ms)に終った。複数の領域が重なりながら連続して活動する様子を時間窓200msでとらえることができたが、MEG・SAM解析のこのような高い時間分解能はPETやfMRIに勝る特徴である。左DLPFCの賦活は幻聴のない患者では健常者では低く、幻聴のある患者で賦活がみられなかった。これらの結果は統合失調症の前頭葉低活性仮説に一致しており、さらに幻聴の有る群でDLPFCの賦活が強く障害されていることを示唆する。単語産生課題(しりとり)ではDLPFCの賦活が患者群でみられ健常群では見られなかったのに対して、左上側頭回の賦活は健常群でみられ患者群では見られなかった。まとめると患者群では言語関連領域の機能障害があるために代償的にDLPFCが過剰に賦活されるが(しりとり課題)、DLPFCにも機能低下があるため(スツループ課題)、実行機能が遂行できないと推論される。このような神経ネットワークの機能障害が統合失調症の幻聴などの成因となっているのであろう。今後はネットワークの結びつきを定量的に評価する方法の開発を進めたい。
著者
中島 裕夫 本行 忠志 斎藤 直
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2011-04-01 (Released:2011-04-06)

チェルノブイリ原発事故以来、低レベル放射能汚染地域に生活するヒトの継世代的影響が懸念されている。ヒトへの影響研究の代替法としてマウスに0または100Bq/mlのセシウム137水を自由摂取させて世代交代させた子孫マウスでの発がん性、遺伝的影響を調べた。その結果、セシウム137摂取群で腫瘍増殖抑制ならびにDNA切断頻度の有意な上昇が認められたが、肺腫瘍発生頻度、小核頻度、染色体異常には対照群との間に有意な差が認められなかった。
著者
竹谷 純一 宇野 真由美 山本 貴 中澤 康浩
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2010 (Released:2010-08-23)

本研究では、溶液を塗布する簡便かつ低コストの製造プロセスによって、アモルファスシリコンの 5-10 倍もの性能を実現する画期的な次世代エレクトロニクス材料である有機単結晶界面において、その機能の源である界面の微視的電子状態を、精密な電子伝導特性や精密分光測定などの高度な計測手法によって徹底解明することと、その結果によってデバイスの更なる高性能・高機能化を実現することを計画した。その結果、新しい有機半導体材料をした上で、溶液からの結晶化により 16 cm2/Vs もの移動度を実現するとともに、移動度と密接にかかわる電荷のコヒーレンスが、分子揺らぎと相関する効果を見出し、分光法の結果ともコンシステントな統一的理解を得た。また、圧力効果の実験手法を確立し、分子構造の連続的な変化に対応した、二次元電子伝導の異常な圧力効果を検出した。
著者
今中 忠行 森川 正章
出版者
大阪大学
雑誌
一般研究(B)
巻号頁・発行日
1993 (Released:1993-04-01)

【1】HD-1株宿主-ベクター系の開発HD-1株を宿主とした形質転換系を構築することを目的としてまず、各種抗生物質に対する耐性をしらべた。その結果、カナマイシン(Km)、テトラサイクリン(Tc)、アンピシリン(Ap)、クロラムフェニコール(Cm)、カルベニシリン(Cd)に対する耐性は全くなく(5μg/ml以下)、ストレプトマイシン(Sm)に対しては10μg/mlが生育限界濃度であった。続いてこれまでに開発されたPseudomonas属を含むグラム陰性細菌に広く利用されている広宿主域ベクターや大腸菌用のベクターなどを中心にエレクトロポレーション法によるHD-1株の形質転換実験を行った。それぞれのベクターにコードされている各種薬剤耐性を獲得した細胞を形質転換体として選択した。その結果、グラム陰性用広宿主域ベクターRSF1010によってHD-1株の形質転換が可能であることが判った。細胞を懸濁する溶液としては10%グリセロールが適していると思われた。実際に、Sm耐性株(形質転換体)からプラスミドを抽出してアガロースゲル電気泳動で調べた結果、RSF1010の存在が確認できた。この結果は、RSF1010はHD-1株細胞内で独立複製可能であることも示している。種々の条件を検討した結果、HD-1株の形質転換最適条件は以下の通りである。宿主(HD-1株),定常期前期菌体:ベクター,RSF1010(Sm^r):選択圧,Sm20μg/ml:電気パルス(方形波):電界強度,5kV/cm:パルス幅,1ms:遺伝子発現までの培養時間,3時間。以上の条件で得られる最大形質転換頻度は3.3×10^<-5>transformants/viable cell、最大形質転換効率は1.1×10^5transformants/μgDNAであった。【2】アルカン/アルケン生合成経路の解明まず、生物学的にCO_2からアルカン/アルケンを合成する経路のなかで最も研究が遅れており、実際反応律速になっている可能性が高いと思われる脂肪酸からアルカン/アルケンへの変換反応について検討した。緑藻類などを用いた研究成果からは脂肪酸から直接アルカン/アルケンを合成しているのではなく、脂肪酸からアルデヒドになった後アルカン/アルケンに変換される可能性が示唆されている。そこでHD-1株が最も多く蓄積していたヘキサデカン(C16)の前駆物質であると予想されるパルミチン酸あるいはヘキサデカナ-ルを使ってアルカン/アルケンの生成が実際に起こるかを調べた。^<14>C-パルミチン酸は市販のものを利用した。^<14>C-MEKISAデカナ-ルは入手不可能であったため^<14>C-パルミチン酸から化学合成した。アルカン/アルケンの生成反応は以下のようにして行った。基質である^<14>-パルミチン酸あるいは^<14>C-ヘキサデカナ-ルを含むリン酸緩衝液(pH7.0)/1%Triton X-100をナスフラスコ内でArガス通気により脱酸素処理する。同様に脱酸素処理した細胞抽出液を嫌気性ボックス内で添加後密栓する。これを遮光した湯浴中で37℃24時間保温した。反応産物を含む疎水性画分をクロロホルム抽出し、基質のみで保温したコントロールと共にシリカゲル60TLC(ヘキサンおよびヘキサン,ジエチルエーテル,ギ酸)で展開し、脂肪酸あるいはアルデヒド画分(Rf=0.5-0.7)をアルカン/アルケン画分(Rf=0.9以上)を厳密に分けて回収した。液体シンチレーションカウンターによりそれぞれの放射活性を測定した。この結果から、微量であるが細胞抽出液を加えた場合にのみアルカン/アルケの生成が確認できた。さらに脂肪酸にくらべてアルデヒドの方がアルカン/アルケンの生成率が良いことから、細菌においても脂肪酸はアルデヒドを経由してアルカン/アルケンに変換されることが強く示唆された。現在細胞抽出液をカラムクロマトグラフィーなどにより分画して、本酵素活性(アルデヒトデカルボニラーゼ)の精製を目指している。
著者
福永 伸哉 高橋 照彦 寺前 直人 清家 章 都出比 呂志 伊藤 聖浩 禹 在柄 朴 天秀 ロラン ネスプルス
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008 (Released:2008-04-01)

本研究では、おもに1990年代以降の新たな考古資料の分析と効果的なフィールドワークを結合させることによって、古墳時代政治史を考古学的に考察した。その結果、弥生終末期から古墳後期まで、中央性を持つ政治権力が畿内地域に一貫して存在したが、その内部では主導権の数度の移動が認められ、これが「政権交替」と呼ぶべき政治変動であったという理解に到達した。そして、この政治変動の背景には、大和盆地と河内平野に基盤を置く2つの地域集団の対抗関係が存在したのではないかという仮説を提示した。
著者
島田 三惠子 鮫島 道和 保 智巳 新田 紀枝 大橋 一友 白井 文恵
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2004 (Released:2004-04-01)

妊娠中から産褥期の母親の生活リズムおよび生活習慣と、乳児の睡眠覚醒リズム等のcircadian rhythmの良否および生活習慣との関連の有無を明らかにする事を目的として行った。対象:大阪府内の研究協力病院の母親学級(参加者の合計328名に説明)と妊婦外来でリクルートし、研究参加に意思表示した妊婦75名のうち、同意書が得られたのは平成19年11月迄に出産予定の妊婦60名であった。縦断的に追跡調査できたのは産後1ヶ月の母子53名、産後4ヶ月の母子41名であった。方法:妊娠末期、産褥1ヶ月・4ヶ月の計3時点で、(1)生活習慣と生活リズムの質問紙調査、(2)睡眠表1週間記録と平行して(3)アクティグラフで睡眠覚醒リズムと活動量を4日間測定と(4)唾液を1日4回3日間家庭で採取した。同時にこの妊婦から生まれた乳児の生後1ヶ月と4ヶ月の2時点で、母親と同時に(2)乳児の睡眠表記録1週間と(3)アクティグラフ(4)唾液採取し、メラトニンを測定した。結果:妊娠出産に伴って睡眠覚醒リズムは変化し睡眠の質が悪化するが、妊娠末期から産後4ヶ月では、睡眠が分断されても最長睡眠時間は夜間にあり、睡眠覚醒のリズム周期は24時間であることが明らかにされた。妊娠末期から産後4ヶ月の期間は最長睡眠の入眠時刻が早いほど最長睡眠時間は長くなり、早寝は産後の睡眠状態の改善に役立つことが明らかにされた。また、妊娠末期に妊婦が早く寝ることによりその新生児が夜間多く眠ることが明らかにされ、ヒトにおいても母体の生活リズムを基本として胎児期に発達し始めることが明らかにされた。新生児の睡眠などの生活リズムはその後の乳幼児の基本的な生活習慣の形成あるいは生活習慣病の発症との関連が示唆されている。従って、妊娠期から規則的な生活習慣を持つこと母子の生活習慣病の発症の予防に資する重要な意義がある。今回の対象には、妊娠合併症を持つ異常妊婦は数名しか同意が得られず、妊娠中の生活リズムや生活習慣が妊娠・分娩・産褥経過に及ぼす影響については十分検討できなかったため、事例を積み重ねて今後の継続課題とする。
著者
中道 正之 安田 純 志澤 康弘
出版者
大阪大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2003 (Released:2003-04-01)

本研究では、自然・科学教育の重要性が叫ばれている今日において、動物園はその絶好の場所と捉え、動物園における人と動物の相互作用についての基礎研究を行い、「動物園行動学」という新しい研究分野を確立することを意図した。このために、来園者の行動、動物の行動、動物と来園者の相互作用を記録した。今年度は、特に実際に動物園に来て、動物を直接見ることによって、「好きな動物、見て楽しめる動物」が変わることを確認した。これは、動物園で実際に動物を見ながら楽しむことによって動物への印象が変わることを意味している。また、動物園で新築されたサルの新動物舎が、来園者にどのように評価されるのかを、行動観察、来園者へのアンケート調査で分析した。新動物舎の展示環境が見やすいことが、来園者の滞在時間を増加させること、そして、動物を見つけ出そうとする探索行動も増加することが、旧動物舎との比較から、確認できた。直接観察とアンケート調査の併用で、新動物舎の簡便な評定が可能であることを実証した。自然の中で暮らすニホンザルを近くで見て楽しむことが可能な野猿公園での来園者の意識に関する調査も、昨年度に続いて行った。来園者の関心は、おとなよりも子ザルに、動きの乏しい休息時のサルよりも、毛づくろいなどをしてかかわっているサルや遊んでいる子ザルに対して高かった。また、寿命などの生物学的な点だけでなく、母ザルと子ザルの関わりなどに注目する傾向が確認された。教育価値としての野猿公園の潜在力が確認された。