著者
菊池 和子 高橋 有里 石田 陽子 三浦 奈都子
出版者
岩手県立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2003

1.調査の同意を得た成人を対象として、(1)汎用超音波診断装置FFソニックUF-4100A(以下エコー)リニアプローブ7.5MHZによる筋肉内注射部位の三角筋部(肩峰3横指下部)、中殿筋部(ホッホシュテッター部位、クラークの点、4分3分法部位)の皮下組織厚測定、(2)身長、体重、体脂肪率測定、BMI算出、(3)皮下脂肪計(ヤガミMK-60)による肩峰3横指下部と上腕部背面の皮下脂肪厚の測定を行った。対象者数は男性174名、女性156名である。エコーによる皮下組織厚(cm)の平均は肩峰3横指下部で男性0.59±0.18、女性0.71±0.23。中殿筋部では65歳以上と18〜64歳で有意差がありホッホシュテッター部位の平均は男性65歳未満0.79±0.31、65歳以上0.58±0.28、女性65歳未満1.05±0.41、65歳以上0.76±0.29、クラークの点の平均は男性65歳未満0.85±0.34、65歳以上0.63±0.25、女性65歳未満1.16±0.42、65歳以上0.92±0.43、4分3分法部位の平均は男性65歳未満1.05±0.43、65歳以上0.68±0.30、女性65歳未満1.41±0.48、65歳以上1.20±0.68。エコーによる皮下組織厚と皮下脂肪計による値との間に強い相関関係があり、皮下組織厚を算出する回帰式を求めた。算出された数値以上に注射針を刺入する必要があると考える。2.実験動物(ウサギ)を用いて筋肉内注射用薬剤(プロゲデポー)の安全性を検証した。筋肉内に注射した結果、病巣(炎症、浮腫、筋壊死)は限局する傾向にあったが、皮下注射では広範囲に及んだことから、組織傷害性の強い油性注射液は確実に筋肉内に注射することの重要性が示唆された。3.山形大学医学部内藤輝教授(解剖学担当)の協力を得て解剖実習用遺体を用いて筋肉内注射部位の観察を行った。
著者
鈴木 克明 市川 尚 向後 千春 清水 克彦
出版者
岩手県立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2000

本研究では、教材や授業の動機づけの側面を評価して問題点を見つけ出し、授業や教材の改善作業を支援するためのツール群を開発した。J・M・ケラーが提唱するARCS動機づけモデルに基づいて、ARCSモデルの枠組みである注意・関連性・自信・満足感の4要因それぞれ4項目ずつ、合計16項目からなる「ARCS評価シート」を設計した。それを複数の大学における学生による授業評価で試用し、因子分析などの手法により信頼性と妥当性を検討するデータを収集して改良し、「ARCS評価シート」最終版を提案した。さらに、「ARCS評価シート」をWeb上で実施し、データの回収及び統計的処理を自動的に行う機能を備えた「Web版ARCS評価シート」を開発し、大学における学生による授業評価の実践場面で操作性と実用性を確認した。また、様々な領域で提案されている動機づけに関する教授方略を収集し、ARCSの4要因をもとに分類・整理した「ARCS改善方略ガイドブック」をブックレット形式にまとめた。その内容を「ARCS評価シート」での診断結果と連動させて動的に提示する「Web版ARCS改善方略ガイドブック」を開発し、その簡便性などを調査した。「ARCS評価シート」で得点が低かった項目についての改善方略を選択して表示し、問題点に特化した改善方略を組み合わせて授業の再設計を支援する機能を備えていることが好意的に評価された。以上の成果をWeb上に公開し、教材や授業のデザインに関係する実践者の参考に供した。
著者
エヴァンズ キャトリン 黒岩 幸子 三宅 禎子
出版者
岩手県立大学
雑誌
リベラル・アーツ (ISSN:18816746)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.1-17, 2008

大学の語学教育の現場では、時間的制約や学生の学習意欲の低下などの問題を抱えながらも、コミュニケーション能力の向上に重点を置いた様々な取り組みがなされている。本稿は、ビデオ撮影の手法を授業に取り入れた3ケース(岩手県立大学の第二外国語としてのロシア語およびスペイン語、同大学短期大学部国際文化学科の英語)を検証し、その効果と問題点を明らかにしたものである。3ケースともに、大学所有の施設や機器を使って、小グループの学生によるスキット作成やスタジオ収録、学生自身がビデオ機器を駆使したプレゼンテーションやビデオ番組の作成を授業の枠内で行っている。文法や語彙の理解と暗記に偏りがちな受身の語学学習とは異なり、ビデオ撮影は、学生が主体となって構想から実践まで関わる点で、ユニークな効果が見られる。第二外国語の場合は、ビデオ収録によって学習成果がビジュアル化されることが学習者への刺激となる。すでに中学・高校で6年間学んできた英語の場合は、簡単な日常会話だけでなく、テーマに即した発信型のビデオ作成も可能である。スキットやビデオ作成のプロセスでも、新しい語彙や表現の獲得、共同作業によるクラスの活性化などのメリットが見られる。ただし、ビデオ撮影は、シナリオ作成や準備などに、かなりの時間と労力を要するため、授業に導入するには、綿密な計画と教員による指導が必要である。
著者
細谷 昂 小野寺 敦子
出版者
岩手県立大学
雑誌
総合政策 (ISSN:13446347)
巻号頁・発行日
vol.7, no.2, pp.187-216, 2006-03-01
被引用文献数
3

近年農産物直売所が、関心をよんでいる。岩手県内でもあちこちの道路際に、果物や野菜を並べた直売所をよく見かける。しかし、ひるがえって農産物直売所とは何か、と考えると、答えはそう簡単ではない。いわゆる「産直」には違いないが、「産直」にもさまざまな形態がある。近ごろでは、スーパーマーケットにさえ、「産直コーナー」が開設されているほどである。さらに、農産物直売所は何を目指すべきか。農産物直売所にとって成功とは何か、となると、いっそう問題は難しくなる。農家の所得を増やすためであることはむろんだが、売れればよいかというと、問題はそう簡単ではないように思う。販売高からすれば、スーパーマーケットに到底かなわないのが多くの実情であろう。それにもかかわらず生産者側からも消費者側からも広く関心をよんでいるのはどのような特性にあるのであろうか。この稿では、まず前提的な作業として日本の青果物流通のなかでの直売所の位置づけ、その特質についてやや理論的な考察をおこなった上で、岩手県内の直売所に対するアンケート調査および面接調査の結果によってその実態を明らかにし、農産物直売所は何を目指すべきか、農産物直売所にとって成功とは何か、という問いに対する回答を模索してみたい。得られた結論はこうである。青果物直売所の成功は、売上高だけで測定されるようなものではなく、個別生産者のそれぞれの生産物の消費者への直接販売という特質が、そのことによる人格性、個別性の発揮という特質がどれだけ生かされているか、その基盤として小経営の小規模生産の特質がどれだけ発揮されているか、という観点から評価されるべきであり、さらにいえば経済的意義だけでなく、消費者との、あるいは生産者相互のパーソナル・コミュニケーション、そして地域活性化への寄与、などさまざまな社会的意義をも含めて、多面的な観点から評価されなければならない。
著者
三宅 禎子
出版者
岩手県立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

各種団体との面接調査で、バイリンガル教育、保健衛生方面での青少年教育プログラムなどに女性たちコミュニティ活動リーダーらが活躍している実態が判明した。行政側は、地元で増加するヒスパニック人口に対応する必要性に迫られ、コミュニティ活動の経験豊かなプエルトリコ人を採用する経緯などが明らかになった。特に、プエルトリコがアメリカ領土として教育環境整備が歴史的に進行し、プエルトリコ人女性には教育水準が高い人が多く、それらの女性が教育や政治的経歴を買われて行政アドバイザーなどに任用されるケースが目立つ。
著者
伊藤 慶明 田中 和世 大川 茂樹 伊藤 憲三
出版者
岩手県立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

地域FM ラジオ放送のオンデマンド放送化および検索技術の研究開発の推進を行った.ラジオ音声を対象と想定し,音声中の聞きたい区間を容易に検索できる技術の研究を推進し、地域FMでは方言などが含まれるため「語彙外の言葉」でも検索できるように,音素およびさらに細かな系列を開発し,任意の語彙での検索と性能向上を実現・成功した。さらに、様々な音声検索研究手法を公正・公平に評価するため、情報処理学会においてワーキンググループを立ち上げ、共通の音声データ、評価方法の整備を推進し研究者への公開を実施し社会貢献を果たした。
著者
首藤 伸夫 今村 文彦 越村 俊一
出版者
岩手県立大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2002

大洋を伝播して沿岸部に来襲する遠地津波の予報精度向上を目指し,本研究グループは,(1)外洋から大陸棚に入射した遠地津波の多重反射と津波エネルギーの捕捉・減衰特性の解明,(2)リアルタイム観測情報を用いた津波波源域の推定,(3)津波伝播途上における波数分散効果の解明の3点について,研究を行った.(1)では,外洋から陸棚斜面に入射した津波の伝播・減衰特性を理論的に解析した.岸沖方向に有限な陸棚斜面を想定し,沖合からの任意の入射波形に対する斜面上の津波伝播を表す理論解を求め,さまざまな入射条件において得られた理論解を整理し,特に斜面上における津波の多重反射現象に着目し,津波の捕捉・増幅・減衰特性に関する知見を得た.(2)では,従来からの地震波解析から得られる震源過程の情報に加えて,観測される津波の波形から津波波源域の空間的な諸量をリアルタイムで推定する手法を開発した.地震波解析から即時的に得られる震源要素は,震央位置,震源深さ,マグニチュード,メカニズム解である.これらの情報に加え,津波の解析を行うためには断層面の空間的な広がりを知る必要があった.従来までは余震観測により断層面の空間スケールを決定していたが,これでは津波の量的な予報には間に合わない.断層の空間スケールが発生する津波の波形に反映されることに着目し,津波の観測波形から断層面の幅と長さをリアルタイムで推定することにより,最大でも20%以内の誤差で波源推定が可能であることを示した.(3)では,特に遠地津波の予測に重要な波数分散効果を,津波発生域から遡上までのすべての伝播過程において評価できる数値モデルを開発し,日本海中部地震津波の再現を試みた結果,従来では困難であったソリトン分裂による津波増幅を良好に再現できることが分かった.
著者
安藤 広子 塚原 正人 溝口 満子 市川 尚 飯野 英親 浅沼 優子 横山 寛子 HEATHER Skirton KAREN E. Greco CYNTHIA A. Prows
出版者
岩手県立大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

わが国の看護基礎教育において遺伝遺護教育を導入・発展させていくために、看護教員のための教育プログラムの開発にあたり、国内・外の遺伝看護教育の実態調査を行った。それによると、基礎教育全体に遺伝看護の要素が盛り込まれる傾向にあること、看護学以外のコースに「遺伝カンセラー養成」等の大学院修士レベルのコースが設置されつつあった。しかし、「遺伝看護教育」とはどのようなものであり、その教育展開はどうあったらよいかを知りたいというニーズが多かった教育プログラムの内容および展開方法については、海外の研究協力者と共に国際的な視野から検討を行い、実施した。そして、臨床遺伝学の基礎と主な疾病の事例展開を中心に、E-ラーニングと対面授業を行い、websiteでの調査とフォーカスグループ・インタビューによる評価を行った。学習モニターは、全国を8ブロックに分けて募集をした看護学教員30名であった。対面授業による学習者の情報交換および交流は、遺伝看護教育のあり方を検討する上で、有意義な反応がみられた。また、学習者の要請により、本研究において作成したE-ラーニング教育内容および「国際遺伝看護教育セミナー2007&2008」の講義内容を冊子体に編集をした
著者
脇田 健一 萩原 なつ子
出版者
岩手県立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2001

本研究では、日本の環境問題や環境運動における女性の「不可視化」(invisibility)と「周辺化」(marginalization)の問題について検討をおこなった。1.「不可視化」と「周辺化」(marginalization)の概念の検討を行なった。2.この「不可視化」と「概念化」の概念を、近年の海外のエコフェミニズムの潮流、特に、マリア・ミース(Maria Mies)、C.V.ヴェールホフ(Claudia von Werlhof)、V.B=トムゼン(Veronika Bennholdt-Thomsen)らが世界システム論に影響を受けながらつくりあげたエコフェミニズムの思想との比較で検討した。そのさい、特に、彼女たちのサブシステンス概念(subsistence)に注目した。3.ミースらのサブシステンス概念をもとに、具体的な事例をもとに検討した。その事例とは、沖縄県石垣市において計画された新空港建設に対する反対運動である。この反対運動では、サンゴ礁の海を埋め立てて新空港をつくることが問題にされた。その分析では、女性の「不可視化」や「周辺化」が、この事例においても問題になっていたことを明らかにした。同じ事例をあつかったこれまでの男性研究者による環境社会学的研究においては、地元の「不可視化」や「周辺化」は明らかにされてきたが、この女性の「不可視化」や「周辺化」は問題にされてこなかった。ここには、ジェンダー・バイアスが存在していたと考えられる。4.エコフェミニズムと、日本の環境社会学におけるコモンズ論とを比較しながら理論的な比較検討をおこなった。特に、エコフェミニズムのサブシステンス概念を媒介して、コモンズ論との接点をみいだした。5.調査の過程で存在が明らかなった、土呂久鉱毒事件に関係する資料の整理をおこなった。
著者
見市 建
出版者
岩手県立大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2008

資料の収集と読み込み、武装闘争派への継続的なインタビューを通してその思想と社会的な背景を明らかにした。また武装闘争派の映像およびインターネットの利用、穏健な福祉正義党党員による出版ビジネスについての研究成果を発表した。イスラーム主義勢力はそれぞれの目的を達成するために、「市場」動向に敏感に反応し、思想やイデオロギーをVCDや書籍、ウェブコンテンツとして「商品化」をしている。報告者はイスラーム主義を広くインドネシアの社会的文脈に位置づけ、その市場戦略を詳細に分析した。
著者
首藤 伸夫 米地 文夫 佐藤 利明 豊島 正幸 細谷 昂 元田 良孝
出版者
岩手県立大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1999

1.終戦直後の開拓事業から展開してきた岩手山麓の農業は販売農家率が高く、後継者の同居率が高い。当該地帯は、被災後にも農業再建を目指す潜在力が高いと判断された。2.岩手山の約6000年前の噴火と、磐梯山1888年噴火は極めて類似しており、磐梯山での住民の対応記録の分析で学んだことは、岩手山で災害が生起した際の避難行動のために、役立つ。3.住民の郵送調査と面接調査、防災マップの収集と分析、行政のヒアリング等を行い、高齢者の避難や冬季の避難の対策、防災マップのノウハウの蓄積が重要であることを示した。4.火山活動情報が岩手山周辺の宿泊施設等への入り込み数に与える影響の数量分析、宿泊施設への聞き取り調査、雲仙普賢岳に事例を比較した総合的な考察を行った。5.災害の発生予測、被害緩和と訓練との関係の認知、予想被害の深刻さの認知、地域社会との関係の認知、避難訓練の参加コストの見積もり等が、住民の防災への対応に影響することを示した。6.災害時の通信に関しては、有効な方法をすべて調査し無線LANの優位性を示した。次に無線LANベースの情報ネットワークを構築し、その上でインターネットを利用する安否情報システムを開発した。さらに双方向ビデオ通信システムを開発し、実験で有効性を確認した。7.社会福祉分野における危機管理として、住民への直接的情報伝達におけるユニバーサルデザインの配慮が求められる。また、災害時の情報伝達システムには、ケアマネジメントとの連動、ニーズ変化等動的情報への対応、サポートネットワーク変容への視点が重要である。8.被災者の医療・看護体制に関しては、被災が予想される地域住民の健康状況及び防災調査の結果に基づき、災害弱者の避難方法、治療継続の保証を確保することに重点をおいて対策を実施した。弱者救援の組織化と慢性疾患患者の自己管理の情報提供である。
著者
小川 晃子
出版者
岩手県立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

過疎化・高齢化の進展する地域におけるICT(情報通信技術)を活用した高齢者見守りシステムの効果を、地域連携によるアクションリサーチを行いながら実証的に検証した。電話機で高齢者が能動的に発信するいわゆる「おげんき発信は、センサーなどの受動型安否確認システムや緊急通報システムに比較し、高齢者の遠慮感に配慮し、安否確認の確実性が高いことが明らかになった
著者
瀬川 典久
出版者
岩手県立大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2006

本研究では、過酷な気象環境下でも動作し、利用者が安全に利用できるセンサネットワークを構築する技術開発したことである。具体的には、(1)厳しい環境でも動作するセンサネットワークの設計手法の開発(2)発電量と消費電力を考慮したプロセススケジューリング手法の開発(3)安全に利用できるセンサネットワークプロトコルによる信頼性の向上(4)実証実験による、現実社会への適用である。この技術で、厳しい自然環境下での情報の収集が行えると考えられる。
著者
高橋 富士雄
出版者
岩手県立大学
雑誌
岩手県立大学盛岡短期大学部研究論集 (ISSN:13489720)
巻号頁・発行日
vol.9, pp.13-23, 2007-03
被引用文献数
1

骨粗鬆症の予防を目的に、特にその予防に関わりの深い食事に注目し、成長期の子供とその母親を対象に身体状況あるいは食物摂取状況等について調査した。今回は岩手県内の県南部地域のG-中学校、県央部地域のI-、J-およびK-中学校、県北部地域のN-中学校の5ヵ所の中学校の2年生とその母親を対象に実施した。得られた主な結果は次の通りである。1)全ての中学校の男子および女子生徒の骨密度は何れも良好な状況であった。また、母親ではG-中学校男女の母親、I-中学校男子の母親およびJ-中学校女子の母親の骨密度が同年齢の基準値に比べ上回った。2)調査した中学校の朝食の欠食率は2.0〜5.7%であった。同時に実施した睡眠時間等の調査から、朝の欠食や食欲がない理由として、睡眠時間が必ずしも直接的に関連するとは言えず、その他の生活面での要因が関わるものと推察される。3)「好きな料理は何か」を調べたところ、生徒は肉料理を好む割合が突出し、続いて麺類、一方、母親では野菜料理の割合が顕著に高く、続いては肉料理と魚料理である。「よく食べる菓子類」について調べたところ、生徒がよく食べる菓子類としてはポテトチップス類等のスナック菓子類、チョコレート類の割合が顕著に高く、母親ではセンベイ類、スナック菓子類、パン類、チョコレート類がよく食べられている。これらの結果より生徒と母親間では料理あるいは菓子類の嗜好に明らかな違いが確認された。4)栄養素等摂取状況の調査から、生徒とその母親、すなわち親子間においては主要栄養素(炭水化物、たんぱく質および脂質)の摂取傾向が類似するということが認められた。5)食品群別摂取状況の調査から、多くの食品群で、中学校男子とその母親問および中学校女子とその母親間の摂取充足率が類似の傾向を示していることが認められ、その他にも幾つかの興味ある結果が得られた。
著者
伊東 栄志郎 BRIVIC Sheldon BROWN Richard 戴 从容 金 吉中 會 麗玲
出版者
岩手県立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009-04-01

本研究「ジェイムズ・ジョイスと東洋文化の系譜学」は、従来20世紀ヨーロッパ文学最高峰として論じられてきたジョイス作品の東洋文化的要素を検証したものである。ジョイスの活躍した20世紀前半はアジアにおいては大日本帝国の時代でもあった。研究者は日本の帝国主義を一方的に断罪する研究が増える可能性を危惧しており、東アジア諸国の研究者たちも納得できる形で、日本や東アジア文化とジョイスとの関係を学術的かつ体系的にまとめる役割を担いたいと願い、積極的に韓国や中国の関連学会に研究発表をした。交付を受けた5年間において、国際学会発表9件、学術雑誌掲載論文8件(内3件を韓国、1件中国で出版)という成果を上げた。
著者
佐々木 肇
出版者
岩手県立大学
雑誌
言語と文化 (ISSN:13475967)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.ii-iv, 2004-01-31
著者
佐藤 智子 佐々木 肇
出版者
岩手県立大学
雑誌
総合政策 (ISSN:13446347)
巻号頁・発行日
vol.8, no.2, pp.115-133, 2007-03

1989年5月、松尾村は村制百周年記念行事の一つとして、八幡平音楽祭を開催した。招かれた音楽家は、オーストリア音楽大学のピアニスト、エリカ・ディヒラー教授と、オーストリア在住の声楽家佐藤喜美子氏で、招聘の仲介をしたのは松尾村の誘致企業であるグローバル伸和製薬の工藤忠利社長であった。松尾村の国際交流を考察するにあたっては、オーストリアという国と音楽、そして佐藤氏と工藤氏の存在が大きな意味をもつ。さらに、「国際交流は、音楽を通じて行うのが効果的であり、しかも感性豊かな子どもの時に行うのが理想的である」と主張し、中学生海外派遣事業を推進した石羽根重志村長の見識も重要である。本論では最初に、音楽と中学生海外派遣事業が、どのようにして松尾村とアルテンマルクト町を結びつけたのかを解き明かした。そして次に、友好都市提携後どのような交流へと発展していったのか、その軌跡を辿った。最後に、1994年の友好都市締結後10余年が過ぎた両町村の交流は、2005年8月20日の松尾村閉村式へのアルテンマルクト町民の参加を除いては、ここ3年間休止状態に陥っているが、その原因はどこにあるのかを考究した。
著者
小笠原 直人
出版者
岩手県立大学
雑誌
奨励研究(A)
巻号頁・発行日
1999

本研究の目的は,ユーザがリソースの質を理解することを可能とする,空間に基づくメタファーを提供するユーザインタフェースを構築することである.そのために本年度は以下の研究を実施した.1.モデルに基づく空間メタファーUIの実装前年度の研究成果である空間メタファーのモデルを,システムとして容易に設計,実装するための空間メタファーUI記述言語を開発した.前年度実装したプロトタイプシステムはVRMLをベースとした物であり,空間比喩写像の記述能力が低い物であったため,Javaを基本にした記述言語として設計した.この空間メタファー記述言語により,前年度のプロトタイプと同性能のシステムを容易に実装できたことにより,記述言語の実用性が確認された.2.空間メタファーUIの認知科学的評価1で実装したシステムを用いてユーザによる利用実験をおこなった.実験結果として,距離比喩写像,空間比喩写像空間メタファーがサービスのリソースの質の理解に有効であることを確認した.具体的には比喩写像に写像される目標領域と規定領域の組合せとして,1:サービスに関する距離比喩写像,2:ユーザに関する距離比喩写像,3:サービスに関する空間比喩写像の3つの比喩写像において,分散環境独特の情報の理解のに及ぼす効果があることが確認された.また,コミュニケーションを行う相手のユーザとサービス間に関する距離比喩写像を提供することにより,ユーザ間の総合的な距離がわかるが,実験システムではこの距離をユーザに提示できないという問題点があることが解った.3.サービス選択支援エージェントのモデルの設計2で得られた結果に基づいて,サービス空間に存在するユーザを各々のサービスのアドレス情報,TPOの情報の2つの情報を管理するエージェントとして実現し,サービス選択時に,エージェントの持つ情報と,両者のユーザの距離比喩写像で表現される距離に基づいて最適な選択を支援するエージェントモデルを設計した.