著者
三浦 郁夫 大谷 浩己 市川 洋子
出版者
広島大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

ツチガエルの性連鎖遺伝子SOX3(哺乳類の雄決定遺伝子SRYの元祖遺伝子)の卵巣決定機能を解析した。対立遺伝子W-SOX3とZ. SOX3の5'上流領域にそれぞれに特異的な2種類のエレメントを同定した。ZW雌の未分化生殖線ではW-SOX3の発現が特に高く、CYP19やFOXl2の性的二型発現開始に先んじて発現した。ZZの受精卵へW-SOX3遺伝子を導入し、生殖細胞への導入個体を得たが、卵巣分化は誘導されなかった。
著者
大村 尚 藤井 毅 石川 幸男
出版者
広島大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2016-04-01

モンシロチョウの嗅覚を利用した寄主探索や交尾後の行動・嗅受容の変化について調べた。交尾雌は処女雄より匂いに対する反応性が高く、植物模型にキャベツ葉の匂いを賦香すると着陸頻度が増加した。雌の触角嗅覚感受性は交尾前後でほとんど変化しなかったため、交尾雌での行動の鋭敏化は、嗅受容に関する中枢神経系での変化に起因すると推定された。寄主探索をおこなう雌は幼虫糞の匂いを弱く忌避する傾向があり、交尾雌よりも処女雌において忌避反応は顕著であったが、活性物質の特定には至らなかった。雌成虫の遺伝子発現を調べ、触角での発現量は極めて少ないこと、胸部・卵では十数種の遺伝子が交尾後に過剰発現することを明らかにした。
著者
陸田 秀実 田中 義和
出版者
広島大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2011-04-01

申請者は,既往研究において,海洋の流れ・渦・波エネルギーによって柔軟に変形(曲げ,せん断,引張・圧縮)し,デバイス内部に分極(電圧)が生じ,電気エネルギーを生み出すことができる「柔軟発電体」と称するものを開発した.本研究では,この柔軟発電体の変形特性,発電性能を踏まえて,カキ筏のような垂下式弾性浮体ユニットに,複数の弾性圧電デバイスを組み込んだ新しいタイプの海洋エネルギー発電装置を提案・開発することを目的とした.その結果,室内実験およびフィールド試験を通して,本デバイスおよび発電装置の有用性が確認された.また,実用化に向けた設計ツールの開発および設計指針を示した.
著者
道端 齊 植木 龍也 宇山 太郎 金森 寛 広津 孝弘 大井 健太
出版者
広島大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1999

海水中にはバナジウムやコバルト等わが国ではほとんど産出しない希少金属(レアメタル)が溶解している。これまでに化学的に合成された吸着剤を用いて、これらのレアメタルを海水から捕集する試みは数多くなされてきた。しかし、海水には多くの金属イオンが溶解しているため、目的のレアメタルだけを選択的に分取するのは必ずしも容易ではない。研究代表者のグループはホヤが海水のバナジウム濃度の1,000万倍(10^7)ものバナジウムを高選択的に濃縮することに着目し、その濃縮機構の解明で得られた成果をレアメタルの分取に展開することを計画した。本研究では、ホヤのバナジウム濃縮細胞(バナドサイト)の細胞質から抽出した濃縮のカギを握る12.5kDa、15kDaと16kDaの3種類のバナジウム結合タンパク質(Vanabin)の解析を進めた。その結果、それらをコードするcDNAの全長のクローニングとその解析によってVanabinは{C}-{x(2-4)}-{C}という特徴的なモチーフの繰り返し配列を持ち、金属イオンと結合し易いシステインを約20%も含むタンパク質であること、NMRによって主にαヘリックスから成る新規のタンパク質であること、Vanabin 1モルに約20原子のバナジウムが結合し、その結合定数は10^7Mであることを見出した。さらに本年度の研究により、12.5kDaのVanabinは約10原子の四価バナジウムと結合することが判明した他、15kDaのVanabinは鉄イオンや銅イオンとは選択的に結合しないこと、銅イオンは競争的にバナジウムの結合を阻害することが判明した。一方、この研究期間内では特異的金属結合部位の特定には至らなかったが、現在理化学研究所と共同でVanabinの立体構造の解明を進めつつあり、その結果によっては早晩特異なホヤのバナジウム濃縮機構の解明と応用が期待される。
著者
西岡 みどり 住田 正幸 大谷 浩己 奥本 均 上田 博晤 近藤 育志
出版者
広島大学
雑誌
一般研究(A)
巻号頁・発行日
1985

1)わが国で最も普通のトノサマガエルとダルマガエル、著しい体色変化をするアマガエル、特殊な色素細胞をもつアオガエルを主材料として、正常の体色と色彩突然変異について、形態学的、遺伝学的研究を行なった。2)トノサマガエル群では、褐色または緑色の正常色彩、配偶子の放射線照射によって得た9系統の色彩突然変異、野外で発見されたアルビノの10系統、その他黒色眼と灰色眼突然変異について、遺伝と色素細胞の微細構造について調べた。特にアルビノについては、次の重要な新知見を得た。(i) アルビノには遺伝子座の異なる5群があり、第1群は4種類の対立遺伝子によって支配される。(ii) 各アルビノは、外観および黒色素胞内に含まれるプレメラノソームに明らかな違いがある。(iii) 2遺伝子座でアルビノ遺伝子が同型接合になった12種類のアルビノを作り、各アルビノ遺伝子の表現の優劣を明らかにした。(iv) アルビノのトノサマガエルと正常のダルマガエルとの間の戻し雑種について、遺伝子型とランプブラシ染色体の組成との対比,および連鎖と転座の利用によって、各遺伝子の染色体上の位置を推定した。そのほか、オリーブ色と青色の各突然変異遺伝子座のある染色体を推定した。3)アオガエルでは、変態後黄色素胞の一部が下方に移動して、紫色素胞となり、退化した黒色素胞の代りをすることを確かめた。4)トノサマガエル、アマガエル、アオガエル、ツチガエルの黒色眼または灰色眼突然変異が、単一劣性遺伝子によって支配されることを確かめ、それぞれの色素細胞の異常を電顕観察によって明らかにした。5)トノサマガエル、ニホンアカガエル、ツチガエルを用い、色彩突然変異体と正常個体との間の前後キメラを作ったところ、前部が正常のものでは、それの色素細胞が癒着面を越えて後方に移動するが、特に虹色素胞が著しい移動をすることが確かめられた。
著者
小林 文男 柴田 巌
出版者
広島大学
雑誌
広島平和科学 (ISSN:03863565)
巻号頁・発行日
vol.22, pp.201-234, 2000

In August 1999, Hiroshima and Nagasaki observed the fifty-forth anniversary of the atomic bomb dropping. As usual, the Mayors of Hiroshima and Nagasaki each delivered the Peace Declarations at the Peace Memorial Ceremonies. Needless to say, Hiroshima and Nagasaki have appealed for the total abolition of nuclear weapons and the creation of lasting world peace since that fatal day. The purpose of this paper is to verify how Hiroshima and Nagasaki's appeals which are showed in the ""Peace Declarations 1999"" move the foreigner on the results of inquiries for 35 Chinese students in Chiba Institute of Technology. The findings of our survey are as follows: [1] Only 8.6% of students were in favor of both of them. [2] one-fifths were for Hiroshima Peace Declaration. [3] 37.1% were for Nagasaki Peace Declaration. [4] Over 30% of students (34.3%) were in favor of neither of them. This time, among students, 28.6% ( [1] + [2] ) rated Hiroshima Peace Declaration ""good"" or ""excellent"", while 45.7% ( [1] + [3] ) rated Nagasaki Peace Declaration in this way. Certainly, Nagasaki's rate was superior to Hiroshima's rate, however, the Hiroshima's point is the second hightest in the last five surveys (49.5% in 1991). By cotrast, the Nagasaki's point was the lowest in the past (down 25.7% from 1998). Most striking of all, 34.3% of Chinese students were in favor of neither of Hiroshima and Nagasaki. This point is the worst in the last surveys. Why they were against Hiroshima and Nagasaki Peace Declaration in 1999 ? The reasons are as follows: (1) These Peace Declarations didn't mention of Japan's War Responsibility. They believe that Japanese should not victimize oneself just because of atomic bomb, and they demand that Japanese should remember ""Nanjing Massacre"" and other sad incidents occured during Sino-Japanese war(1931-45) . (2) They question whether the total abolition of nuclear weapons equals to a peace of the world. They hope Hiroshima and Nagasaki will appeal to all nations states not only to abolish nuclear weapons bu
著者
村澤 昌崇
出版者
広島大学
雑誌
大学論集 (ISSN:03020142)
巻号頁・発行日
vol.37, pp.309-327, 2005
被引用文献数
3
著者
入江 崇 福士 雅也 坂口 剛正 酒井 宏治
出版者
広島大学
雑誌
挑戦的研究(萌芽)
巻号頁・発行日
2019-06-28

センダイウイルスは、ヒトに病原性、遺伝毒性を持たず、蓄積された基礎研究成果に基づいた様々な性能改変が可能であり、iPS細胞作製用ウイルスベクターとしても広く利用されている。本研究では、我々の保有する様々なSeV株、変異クローン、組換え変異体などを基に、他のウイルス増殖に対して単独または相互干渉作用を示すウイルスを探索し、干渉性能をレポーターウイルスなどを作成して詳細に評価するとともに、ベクターの半生化や性能の改良を行う。これらの検討は、当初は培養細胞系を中心に行うが、マウス実験系での評価も行う。
著者
谷山 茂人
出版者
広島大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2004

本年度は、パリトキシン(PTX)による食中毒に関速して生物界における有毒種の分布と毒蓄積機構の解明を推し進める目的で以下のとおり実施した。(1)平成17年度に引き続き、長崎県、宮崎県、徳島県および山口県産ハコフグとウミスズメ計130個体の毒性を調べたところ、約40%が有毒であった。また、山口県を除く採捕海域または隣接海域にはOstreopsis属渦鞭毛藻が分布し、各培養株と魚類の毒の性状はPTXと類似しており、魚類の毒化に本藻の関与が示唆された。(2)平成17年度の知見を踏まえ、フィリピン・ビサヤス諸島産魚類46検体の毒性スクリーニングを継続して行った。まず、32検体は水溶性の遅延性毒性を示し、特にパナイ島産魚類の毒性は強く、その多くはPTXと類似した性状であった。一方、同試料10検体から抗シガトキシン抗体に対して陽性である毒性が検出され、一部の試料には複数の毒因子が含まれていると考えられた。(3)PTX標準品の高速液体クロマトグラフィー分析において、0.1%ギ酸を含む20%または80%アセトニトリル溶液2種類を移動相とし、そのリニアグラジエントによって濃度0.1μ/g以上の高感度な検出が実現した。本法はイオントラップ型および飛行時間型質量分析にも応用可能であった。一方、本分析の前処理法には限界ろ過法は不向きであり、精密ろ過法が適していた。また、Oasis【○!R】MAX(Waters, USA)を用いた固相抽出法は、PTXの簡易精製に極めて有効であった。現在、Ostreopsis属渦鞭毛藻(培養株)の部分精製毒を本手法に基づき分析しており、その構造情報を得つつある。また、有毒な魚類についても同様に分折中である。以上、最終年度となる本年度はPTXの高感度な検出法と簡易な前処理法を確立し、PTX保有生物に関する新たな知見が見出された。
著者
石坂 昌司 中川 真秀
出版者
広島大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2018-04-01

エアロゾルを足場とした雲粒の発生過程は、気候変動予測における最大の不確定要素である。大気中には多種多様な微粒子が混在しているため、微粒子集合系の平均値解析では現象の解明に限界があり、個々の微粒子を直接観測可能な分析手法の開発が強く望まれる。本研究では、特に気候への影響が大きく、従来のレーザー捕捉法が適応できない黒色炭素粒子に着目し、単一の黒色炭素粒子を空気中の一点に非接触で浮遊させ、雲粒の発生を再現する新規計測法を開発する。これまでに我々が開発したドーナツビームを用いるレーザー捕捉法では、ロウソクの燃焼により発生した煤を一旦、固体基板の上に捕集し、マイクロマニピュレーターを用いて固体基板から黒色炭素微粒子を気相中に持ち上げ、レーザー捕捉空間内に導入する必要があった。2019年度は、燃焼によって発生した黒色炭素微粒子を固体基板に捕集することなく、そのままレーザー捕捉し計測するための実験手法の改良を行った。線香の燃焼によって発生した煙(黒色炭素微粒子)を光学顕微鏡のステージ上に設置した反応容器へ直接導入し、気相中において観測することに成功した。また、黒色炭素微粒子のオゾンによる不均一酸化反応を誘起するため、オゾン発生装置を設備備品として導入した。オゾンの発生量は、原料ガスの種類(空気または酸素)及びガスの流量に依存する。ヨウ化カリウム水溶液にオゾンガスを通過させ、遊離したヨウ素を酸化還元滴定することによりオゾンを定量し、実験条件の検討を行った。
著者
中原 好冶
出版者
広島大学
雑誌
広島大学マネジメント研究 (ISSN:13464086)
巻号頁・発行日
vol.2, 2002-03-20

本論文は, 「こんなに経済的に豊かな日本で, どうして「終わり良ければすべて良し」という福祉が実現できないのであろうか」という問題意識からスタートしている。自ら祖母の介護を通じてみた在宅介護・家族介護・特別養護老人ホームで暮す人達・老人病院の現状は今の日本がこの分野において, 決して豊かになっていないということを示していた。むしろ私たちは, 人生のまさに最終局面で大きな不安を抱えている, というのが現実ではなかろうか。このような中で, 2000(平成12年)年4月から高齢者福祉の分野で介護保険制度が導入された。この制度は果たして日本の高齢者福祉をもっと充実させ, 本当に人生の幸せを実感できる老後を保障できるのであろうか。我が国の高齢者福祉政策は, 家族介護を中心とした日本型福祉社会論と, 1980年代半ば以降の福祉費抑制政策によって特徴づけられる。介護保険制度もその延長線上にあると考えられ, そのことは広島県におけるサービス需給の状況や, 将来計画である「ひろしま高齢者プラン2000」を見てもわかる。また, 保険者である広島市の介護保険財政の状況も, 公費負担という観点から見ると43億円の減である。実際に広島県の施設サービスの現状分析を, 老人福祉施設指導台帳・老人保健施設台帳をもとに行っていった。特別養護老人ホームでは, 職員一人当たりの入所者数で2.5倍, おむつ交換の回数で6倍, 食費で2倍, 職員給与で3倍の格差がみられた。また老人保健施設においては, 職員一人当たりの入所者数で3倍, おむつ利用者の割合で14倍, 食費で1.6倍の格差がみられ, 1年以上の入所者数や家庭への退所率においても施設ごとに大きな格差がみられた。本来はこうした施設間の格差の解消や, サービスの質の向上に努め, どこの施設に入居しても安心して暮せることや, 家族の満足度を高めていくことが求められていたはずである。介護保険導入後もサービスの質の向上についての取り組みは遅れており, 第3者評価の促進や実地指導の強化が求められている。次に, 在宅サービスについてである。(財)広島市福祉サービス公社の分析を通じて明らかになったことは, 介護保険が導入されて, 在宅サービス特に訪問介護の分野で実際に起こっている現象は, 訪問介護だけでは採算が合わないということである(福祉サービス公社の場合は1.6億円の公費投入でしのいでいる)。収益を目的としない公的な福祉サービス公社においてすらこのような状況であり, ましてや新たに進出した民間企業の状況はよくない。その結果, ホームヘルパーのパート化がおこり, 「1回あたりの派遣時間」の低下によるサービスの質の低下も心配される。こういった高齢者福祉の問題は日本固有の問題ではない。福祉先進国と考えられるスウェーデンとドイツの場合, 在宅サービスを充実させることによって, 問題に対応している。スウェーデンにおいては, 痴呆性老人グループホームの大量増設やケア付き住宅の整備によって昔は施設と呼ばれたものがグレードアップされた結果, 理想的な在宅介護が可能になった。これらの国の例をみても, これからの高齢者福祉は在宅サービスの充実と痴呆性高齢者対策といっても過言ではない。痴呆性高齢者については, 広島県内における介護サービス利用者は57,033人なのに対して, 痴呆性高齢者は約38,000人いるものと推計される。痴呆の進行度にもよるが, この数字は2020年には倍増するものと予想されている。痴呆性高齢者に対するケア, サービスの質を高めていくことは今後の大きな課題である。そのため, 広島市内のグループホームを中心に実地調査を行った。さまざまな形態のグループホームがあり, 設置主体も多様であるが, 基本的に数が少なすぎる。グループホームの実地調査を通じて得られた課題は, 介護保険の不公平(介護報酬の低さ), 増設に向けた政策補助のあり方, グループホーム入居者の自己負担が施設サービスの倍である, 入居者の重度化の問題, 等である。これらの解決に向け, また増設に向けた政策が必要である。
著者
小林 亮 中垣 俊之 三浦 岳
出版者
広島大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

真正粘菌が鉄道網のような輸送ネットワークと等価なネットワークを形成する能力があることを実験的に示し、その数理モデルを構築することによって、ネットワークの新しい設計手法を提案した。また、卵割初期における空間的配位の決定や、肺や血管網の分岐構造の形成において、情報がどのような機序で働いているかを記述するモデルを提案した。これらの研究を通して、生物の構造形成と情報を結ぶしくみを記述する数理的手法を開発した。
著者
宮内 栄治
出版者
広島大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2009

乳酸菌の腸管バリア保護メカニズムとして、腸管上皮細胞(IEC)への直接的作用と、バリア機能低下誘導能を有する炎症性サイトカイン産生抑制について詳細な検討を行なった。これまでの研究により、乳酸菌テイコ酸のD-alanine残基量がバリア保護効果に関係することを明らかにした。そこで、D-alanine残基量およびバリア保護効果を高めることができる菌培養条件の検討を行なった。その結果、菌培養培地中にL-alanineを添加することにより、テイコ酸D-alanine残基量が増加した。また、本条件で培養した菌のバリア保護効果を、Caco-2細胞単層膜で検討した結果、L-alanine添加培地で培養した菌は、通常培地で培養した菌よりも高いバリア保護効果を示した。この結果から、乳発酵食品製造において、L-alanine添加により乳酸菌のバリア保護効果を高めることができることが示唆された。これまでの研究により、炎症状態にあるIECがCD4+T細胞からのIL-17産生を誘導することを明らかにした。そのメカニズムを解析した結果、炎症IECはCD40を発現しており、CD40シグナルが活性化されることによりIL-6を高産生することが示された。そこで、炎症IECをCD40 agonist抗体で刺激し、その培養上清中でCD4+T細胞を培養した結果、IL-17産生が有意に誘導された。マウス腸管上皮Colon-26細胞を用いた実験により、乳酸菌は、IECのCD40発現をmRNAレベルおよびタンパクレベルの両方で抑制することが明らかとなった。これらの結果から、IEC上のCD40発現抑制を介して腸管Th17細胞を抑制するという、乳酸菌の新たな腸炎抑制、腸管バリア保護メカニズムが示された。
著者
桂 紹隆 TILLEMENS To STEINKELBER 稲見 正浩 本田 義央 小川 英世 HAYES Richar TILLEMANS To STEINKELLNER エルンスト KRASSER Helm ERNST Prets MUCH T.Micha ERNST Steink
出版者
広島大学
雑誌
国際学術研究
巻号頁・発行日
1996

インド原典からの「仏教論理学用語辞典」編纂の為の国際共同研究の最終年に当たり、昨年に引き続き仏教論理学の重要なインド原典のうちPramanavarttikalamkaraのコンピューター入力を完了した。本研究の主要なパートナーであるウィーン大学のチベット学仏教学研究所でもダルマキールティのHetubinduに対する複数の注釈のコンピュータ入力を完成している。今後の課題は、引き続き重要な仏教論理学テキスト、例えばTattvasamgrahapanjikaを入力し、広島大学文学部のホームページなどから一般に公開することである。ウィーン大学チベット学仏教学研究所から刊行予定の「仏教論理学用語辞典」は3部から構成される。第1部は、仏教論理学の主要な綱要書であるNyayabindu,Nyayapravesa,Tarkasopana,Hetutattvopadesaなどから集められた仏教論理学用語の定義集であり、これは既に完成している。第2部は、上記定義集には収められていないが重要と考えられる仏教論理学用語を理解するために必要な文章を綱要書以外の多数の仏教論理学テキストから集めたものである。記載項目は過去数度にわたる共同研究参加者の会合によって決定しているが、全ての項目について必要な情報が収集されるには到っていない。従って、近い将来その完成を目指している。第3部は、以上の資料にもとづいて、特に難解な仏教論理学用語の解説を試みるものである。その一部は、1997年11月広島市で開催した「第3回国際ダルマキールティ学会」において、各共同研究者が発表したものである。本研究の最終報告書には、1998年12月に共同研究者全員がウィーン大学に集まり検討を加えた第1部と第3部の一部を収めて公表する。なお、本研究参加者は、今後も機会を見つけて集まり、密接に連絡をとり、第2部を含めた本格的な『仏教論理学用語辞典』をウィーン大学チベット学仏教学研究所より刊行する予定である。
著者
前野 弘志
出版者
広島大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

第一に,2010年にレバノン南部の都市ティール郊外の地下墓で発見された呪詛板の解読と研究成果を,レバノン文化省考古総局が発行する学術雑誌に掲載した(現在印刷中)。第二に,呪詛を含む魔術がなぜ「効く」と考えられたのか,その理論を,ギリシア語魔術パピルスを史料として,実証的に明らかにした。第三は,ローマにおける戦車競技の持つ豊穣呪術的機能とローマ国家の起源との関係を明らかにした。