著者
前田 啓朗
出版者
広島大学
雑誌
広島外国語教育研究 (ISSN:13470892)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.81-90, 2003-03-31

This study is intended to elucidate gender differences of learning strategy use and learning achievement by Japanese EFL learners. Though much research has addressed the strategy area, few studies have addresed the learners' kinds of strategies and degrees of their use. Especially, gender differences are relatively ignored in research, although they are a socially important factor. Therefore, this research is intented to elucidate general tendencies according to gender and to derive suggestions for instruction from the aspect of Aptitude Interaction Theory. Data were obtained for 1,584 students from 38 high schools. Questions dealt with in this analysis were 36 items. A Otest and items from the STEP test measured learning achievement. Basic statistics are shown for fundamental study. Multi-group Confirmatory Factor Analysis using Structural Equation Modeling is used to examine the models shown in a preceding study, to compare models under several restrictions, and to estimate means of factors and correlations among factors. Data indicated that learning achievement and correlations among strategies and achievement can be interpreted at the same degree between male and female learners. However, only the factor mean (strategy use) differs remarkably: controlling for proficiency female learners use more strategies than male learners do. Pedagogical suggestions regarding this result are stated for classroom instruction in relation to Aptitude Interaction Theory.
著者
ハーティング アクセル 吉満 たか子 岩崎 克己
出版者
広島大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

本研究の目的は,ドイツ語と日本語の依頼のEメールの構造を比較することである。本研究のために,ドイツ人と日本人の学習者によって書かれた200のEメールを実験デザインによって収集した。そして形式的,構造的,言語的特性に基づきEメールを分析した。本研究の質的な結果に基づいて,ドイツ語学習者が目標言語においてより適切に依頼を書く手助けとなる教材を作成した。
著者
小笠原 道雄 那須 俊夫 アルカン M. 深田 昭三 ボールスマ J.P. 森 楙 相原 和邦 小倉 康 マンザーノ バヒリオ U 武村 重和 山口 武志 唐川 千秋 羽生 義正 鑪 幹八郎 二宮 皓 MANZANO V.u ALKAN M KARSTEN S KOPPEN J.k KOPPEN J.K. ALKAN M. KARSTEN S. BOORSMA J.P. 伊藤 克浩 草間 益良夫 細田 和雅 小笠原 道雄
出版者
広島大学
雑誌
国際学術研究
巻号頁・発行日
1993

(森楙)テレビゲームがメディア・リテラシーの無意識的な形成という潜在的な教育的役割を演じている点を明らかにすることを目的に調査研究をした。(1)学生を対象に質問紙調査を行ない、テレビゲームとコンピュータ・リテラシーとの関係を調べた。その結果、知識レベル、行動レベルいずれでも、リテラシー形状には、性別、専攻、子供時代の遊びなどの要因が大きく関わっていることが分かった。(2)テレビゲームの内容分析をした。その結果、ゲームの内容が男性中心主義で、暴力を多く含んででいることが分かった。(森楙・深田昭三・ボールマス)コンピュータのイメージやビデオゲームの過去経験がコンピュータへの態度に及ぼす影響を学生について調べた。5つの尺度からなる質問紙を作成した。これらの尺度は、コンピュータやビデオゲームの使用頻度、コンピュータに対する態度、コンピュータのイメージ、などである。質問対象は学部学生633名であった。コンピュータとしてのイメージで一番多かったのはプログラミング・モデルであり、ついでメイン・フレームまたはワードプロセッサー・モデルであった。分析の結果、コンピュータにたいする態度は、「親近感」と「難しそうだという感じ」という2つの因子を含み、パス解析の結果、コンピュータのイメージは「難しそうだという感じ」を規定し、過去におけるビデオゲームの使用は、間接的にであるが、両方の因子に影響することが分かった。(山田武志)最近の、コンピュータを使った数学の教授-学習過程に関する理論的考察を行なった。一般的考察のあとコンピュータ利用によるマニピュラティーブの特徴と役割を吟味した。このようなマニピュラティーブの特徴として相互作用機能の顕著さが明らかになった。この機能は子供にたいしコンピュータの有効な使用により「推論-証明」という問題解決活動の機械を提供し、また、数学的概念の多様な表現を準備すると思われる。現行の指導要領から、数学教育においてもコンピュータや電卓等の有効な活用が本格的に盛り込まれるようになった。もちろん数学教育においては、コンピュータの構造やプログラミング言語の理解がねらいでなく、それを一種の知的道具として活用しながら、数学的な概念や考え方の理解を図ることが意図されているといえる。従来、説明やシミュレーションといった形態で活用されがちであったコンピュータの新しい分野を開拓すべく、本研究では、コンピュータに基づく教具の特徴について、表記論的な立場から検討を加えた。その結果、多様な表現を同時に提示するというコンピュータの機能によって、表現間の翻訳が推進され、そのことがひいては数学的な意味の構成にも貢献することを指摘した。さらに、方法論的な視座から、コンピュータが「仮説-検証」型の問題解決的授業の構築に貢献することを指摘した。(カルステン、コッペン)オランダの教育界におけるニューメディアを使った色々な新しい試みを報告し、新しい試みについていけない教師の問題を指摘している。技術習得の速さは教師たちよりも児童・生徒の方が勝るので、教師たちはニューメディアにたいし恐怖さえ感じている。ここで提案として、教師のこの方面での技能開発と、一般社会におけるコンピュータの使用基盤の拡大を挙げている。(マンザ-ノ、二宮)オランダを含む数カ国のインターネットを中心とする新しい教育システムの活用の実情を、文献からのみならず直接訪問して得られた情報をもとに、比較教育学的立場から、考察を行なった。なかでも「国際教育及び情報源ネットワーク」(I*EAR)並びに「ヨーロッパ学校プロジェクト」(ESP)を検討対象とした。結論として、今や電子ハイウェイが教育刷新のイニシアティーブをとっている感を強くするとしている。(相原和邦)日本文学の研究者として、日本の文学作品(特に明治期の)にみられるヨーロッパ絵画との関係を探ることを通して、イメージを通した異文化との接触による作家(とくに夏目漱石)の内面的変化の過程を考察した。漱石が最も深い共感を示しているのはターナーで、その作風は、「草枕」、「文学論」等で言及されているほか、言語による女性描写のぼかし・幻化の手法に生かされている。本国際共同研究を機会に、今後の異文化理解に関する研究の手掛かりを得ることができた。
著者
原 正幸
出版者
広島大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

日本人の音感覚、特にある種の自然音(例えば、風の音、虫や鳥の鳴き声等々)に対する感覚には季節との繋がりを感じ取るというような独自性が見られることがしばしば指摘されて来た。その原因として既に四半世紀以上も前のことになるが、大脳生理学者角田忠信によって大脳機構説、即ち西洋人の場合そのような自然音は雑音として大脳の非言語半球において処理されるのに対して日本人の場合は有意味な音として大脳の言語半球において処理されるという特異性の存することが科学的に実証されることが主張され、この解釈は世間にも広まることになった。しかしながら、この大脳機構説は当時小学生であった彼の子供には当て嵌まらなかったという彼自身の証言がヒントとなって、本研究代表者はある種の自然音に対する日本人の嗜好は大脳の機構の特異性によるものではなくて、文芸的伝統によって培われ間主観的に形成されて来た文芸的美意識によるものであると考えるに至った。本研究ではこの考え方を古典的文芸作品に基づいて実証すべく、「万葉集」、「古今集」を始めとする和歌集、「源氏物語」全五十四帖および「平家物語」、松尾芭蕉全発句および紀行文「奥の細道」等々のような日本の代表的な古典的文芸作品における音感覚を精査・分析することを通じて、日本人の音感覚の独自性は文芸的な美意識の伝統と、家屋の構造および生活形態(旅、隠居、男女の離別等)によって育まれてきたものであることを解明した。
著者
坂田 桐子 淵上 克義 高口 央 前田 和寛 迫田 裕子 川口 司寛
出版者
広島大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

本研究では,フォロワーの自己概念が個人的自己・関係的自己・集合的自己のどのレベルにあるかによって,選好されるリーダーシップや有効なリーダーシップ行動が異なることを実証的に明らかにした。また,変革型リーダーシップ,リーダー・メンバー交換関係,リーダーの懲罰行動,自己犠牲行動という多様なリーダーシップ行動に焦点を当てることによって,フォロワーの自己概念を変化させるリーダーシップのあり方を示した。
著者
森 久美子
出版者
広島大学
雑誌
研究紀要 (ISSN:13454730)
巻号頁・発行日
vol.61, pp.161-168, 1987-03-25
著者
中田 高 渡辺 満久 鈴木 康弘 後藤 秀昭 徳山 英一 佐竹 健治 隈元 崇
出版者
広島大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

近い将来M8クラスの巨大地震が発生すると予測される南海トラフ沿いの海域を対象に、高い分解能の立体視画像を用いて地形解析を行ない、地震発生源となる活断層の位置・形状、連続性を詳細に解明した。これをもとに活断層と歴史地震との対応関係を検討し、これまで連動型・非連動型として概念的に把握されていたプレート境界型巨大地震像に対して、発生場所や地震規模の予測精度向上に資する基本的な資料を整備した。
著者
多和田 眞一郎
出版者
広島大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

沖縄語の通時的研究は、その共時的研究に比して、遅れていると言わざるをえないという認識の下に、(音韻史に関して)その基盤構築・整備のための研究を進めてきた。その目標の八割ぐらいは実現できた。ハングル資料・漢字資料に関してはほぼ達成できたが、いくつかの仮名資料及びアルファベット資料に関しては、後日を期すものが生じた。作業は継続し、相応のまとめをする予定である。ハングル資料「語音翻訳」「漂海録」に関しては、影印・翻刻を初め、本文・語彙索引及び分析にいたるまで、今回の研究で最終的なものが示せた。漢字資料に関しては、『琉球譯』の分析が保留となったが、本文の検討と語彙索引の作成によってある程度の成果が得られた。その他の漢字資料「中山伝信録」「琉球入学見聞録」等については、ほぼ完成したものが得られた。仮名資料に関しては、辞令文書・碑文記を中心に研究の骨格となるものが示せた。が、本文入力は終了しながら語彙索引作成・分析にまで到れなかったものが、いくつか存在する。その最たるものが『沖縄對話』(1880)である。進行中の語彙索引が完成すれば、研究の進展に寄与すること大である。アルファベット資料に関して言えば、「クリフォード琉球語彙」を基に研究の基盤が整備された。「チェンバレン琉球語彙」と称して収録した「チヤンバレーン氏増訂琉球会話」の語彙索引は、有効な資料となろう。『ベッテルハイム琉球語文典』から抜粋した「ベッテルハイム琉球語彙」の語彙索引も今後作成されるので、合わせて利用すれば相当の効果が得られる。報告書(1)・(2)を基に、前述の保留資料も整備して、『沖縄語の歴史(音声・音韻)』としてまとめる構想を持っている。研究の更なる発展を目指す。
著者
浅川 学
出版者
広島大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

最近,西日本を中心にハコフグ科魚類の喫食による食中毒が頻発している。本食中毒の症状はパリトキシン(Palytoxin: PTX)中毒の症状に酷似しており、食品衛生学上、大きな問題となっている。そこでPTXの起源生物であるOstreopsis属渦鞭毛藻の分布を調査するとともに、その培養株の毒産生能を調べた。宮崎県、徳島県、長崎県、高知県沿岸より大型海藻(約200g)を採取し、20-100μm画分の付着生物等を採取した。付着生物は、光学顕微鏡を用いて観察し、Ostreopsis属の有無を調べた。宮崎県および長崎県産Ostreopsis属の天然の単一株については、ESM培地を用い、培養温度20℃、光強度を40μmol photon/m^2/s^1、明暗周期を12時間明/12時間暗の条件下で培養を行った。次に、得られた培養藻体から調製した試験液をマウス毒性試験および溶血活性試験に供した。宮崎県産および長崎県産Ostreopsis属の培養藻体からマウス毒性(いずれも1.0×10^<-4>MU/cell)が検出された。さらに、Ostreopsis属の培養藻体はマウスおよびヒト赤血球に対して遅延性の溶血活性を引き起こすとともに、後者の活性は、g-ストロファンチンによりほぼ完全に抑制された。これら培養株の毒の性状は、既報のPTX様物質と類似しており、宮崎県産および長崎県産Ostreopsis属はPTX様物質産生能を有していることが確認された。各試料から予備精製した有毒成分を今回確立したPTX分析用LC/MSシステムで分析したところ、いずれもPTX類似物質であることが明らかとなった。また、食中毒を引き起こしたハコフグ科魚類とPTX様物質の産生能を持つOstreopsis属は同地域に存在しており、ハコフグ科魚類は,Ostreopsis属渦鞭毛藻を起源生物として食物連鎖により、PTX様物質を蓄積する可能性が示唆された。
著者
吉中 信人
出版者
広島大学
雑誌
廣島法學 (ISSN:03865010)
巻号頁・発行日
vol.28, no.4, pp.45-65, 2005-03-21
著者
平川 幸子 中山 修一 相原 玲二 永田 成文 NU Nu Wai
出版者
広島大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2004

本研究は、テレビ会議システムを日本の高等学校に設置し、環境問題などの地球的な課題に関する問題解決型の教材を開発し、外国の高等学校との間で実際に教材を用いた実験を行って、その効果を実証することを目的に、平成16年度から18年度までの3年間で研究を行った。日本では広島県立安芸府中高等学校が実験に協力し、その姉妹校であるハワイのメリノール高校とオーストラリアのベド・ポールディング高校がカウンターパートとして参加した。教材の開発と実験は、平成17年9月に地球温暖化(3年生中心)、18年1月に平和(2年生中心)、平成18年9月に地球温暖化(3年生中心)をテーマに3回行った。最初の交流では、手作りのタイムマシンなどを使って映像的には盛り上がったが、生徒の思考力を高める問題解決型の交流を行うことはできなかった。また、第2回の平和に関する交流では、フロアの生徒への準備が不足していたため、具体的にイラクでの戦争などの話になると十分に理解することができなかった。生徒の「英語能力を高めなければ」「世界の情勢を知らなければ」という意欲を高めることに役立ったことがアンケート調査から実証されたが、問題解決型の学習教材としては不十分であった。この反省を踏まえ、第3回の教材開発では、温暖化防止のためのサマータイムの導入の是非を、コスト、リスク、対費用効果などの基本概念を踏まえて代表チームがディベートを行い、フロアの生徒やオーストラリアの生徒にどちらの意見に賛成するかの意見を表明させる形式を取った。また、日本側の生徒にも十分な準備を行い、基礎知識と英語能力を身に付けさせた。その結果、既にサマータイムを導入しているオーストラリアの状況を質問してその答を自分の意見の理由に取り入れたり、コストや対費用効果などの考えを加味したりして、生徒の視野が広がり、思考が深まったことが実証できた。
著者
NISHIOKA Midori SUMIDA Masayuki OHTA Shigeru SUZUKI Hiroshi
出版者
広島大学
雑誌
Scientific report of the Laboratory for Amphibian Biology (ISSN:03863166)
巻号頁・発行日
vol.9, pp.53-96, 1987-12
被引用文献数
3

Speciation of three allied genera, Buergeria, Rhacophorus and Polypedates, distributed in the Far East, was biochemically examined by the electrophoretic method. Electrophoretic patterns of 16 enzymes extracted from the skeletal muscles and livers and three blood proteins were analyzed in 257 frogs belonging to 14 populations, including one of Buergeria buergeri, four of B. japonica, two of Rhacophorus arboreus, two of Rh. schlegelii, three of Rh. viridis, one of Rh. taipeianus and one of Polypedates leucomystax. These frogs had 25 loci in total. While 10 enzymes, ADA, ADH, AK, CK, Fum, α-GDH, GPI, ME, MPI and PGM, and three blood proteins, Ab, Prot-C and Hb, had a single locus, the other six enzymes, AAT, IDH, LDH, MDH, Pep and SOD, had two loci. At each of the 25 loci, there were 3&acd;33 phenotypes, 10.6 on the average, produced by 3&acd;17 alleles, 7.5 on the average. The mean proportions of heterozygous loci per individual in each of the 10 populations of Buergeria and Rhacophorus which were 5&acd;58 in sample size were 4.0&acd;23.0%, 12.0% on the average, when examined at the 25 loci controlling 16 enzymes and three blood proteins. These 10 populations were 24&acd;68%, 44.8% on the average, in mean proportion of polymorphic loci per population and 1.28&acd;2.12,1.64 on the average, in mean number of alleles per locus. Genetic distances were estimated from gene frequencies by the method of NEI (1972,1975). Those among different populations of B. japonica, Rh. arboreus and Rh. schlegelii were 0.003&acd;0.270,and those among different subspecies of Rh. viridis were 0.277&acd;0.865. The genetic distances among four species, Rh. arboreus, Rh. schlegelii, Rh. viridis and Rh. taipeianus, were 0.301&acd;0.854,while those between Buergeria buergeri and four populations of B. japonica were 2.045&acd;2.243. The genetic distances between Polypedates and Buergeria and between Polypedates and Rhacophorus were 3.073&acd;4.572 and 1.183&acd;1.445,respectively. The genetic distances between Buergeria and Rhacophorus were very large, being from 2.782 to unlimited number owing to nonexistence of common alleles between them. A dendrogram was drawn for the species and populations of Buergeria, Rhacophorus and Polypedates on the basis of genetic distances by the UPGMA clustering method (SNEATH and SOKAL, 1973; NEI, 1975).
著者
松川 寛二 定本 朋子 梁 楠 中本 智子 加島 絵里
出版者
広島大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

日常生活で行う軽度~中程度の随意運動でみられる心循環調節にとって,運動筋受容器反射よりも高次中枢から発するセントラルコマンド(central command)によるfeedforward制御が重要である。特に,屈曲運動において,このcentral commandによる心循環調節は強く現れる。一方,覚醒状態のヒトや動物では,筋機械受容器反射および筋代謝受容器反射は抑制されている。睡眠あるいは麻酔に伴って生じる高次中枢活動の低下は筋機械受容器反射および筋代謝受容器反射を促通し,この筋機械受容器反射の修飾には脳内5-HT1A受容体が関わる。
著者
星 正治 山本 政儀 遠藤 暁 高田 純 吉川 勲
出版者
広島大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2001

セミパラチンスク核実験場近郊住民の被曝の影響調査に関して、文部科学省の科学研究費補助金で平成7年度より継続した研究を行ってきた。本研究は平成13年度と14年度にわたって行われた研究である。この研究は平成6年に原医研が改組されその際に研究テーマの一環として組み込まれ、その後平成14年度の改組においても引き続き推進することが認められた。セミパラチンスクでの被曝の特徴は、1.外部と内部被曝をほぼ半分ずつ含むこと、2.線量的にドロン村で1Gyと大きいこと、それから3.数週間から数ヶ月の低線量率被曝であることである。今回の調査では、従来通り、プルトニウム、セシウムなどの土壌汚染の測定、人体の骨や臓器の汚染、人の歯を使った外部被曝線量評価、煉瓦を使った外部被曝線量評価のうち相互比較を進めるための準備を進めてきた。これらから、たとえばドロン村では1Gy相当の被曝があったことを証明した。また人体影響の調査も進め、甲状腺の検診、血液中の甲状腺ホルモンの測定、血液の染色体異常の検出、個人被曝線量の評価のための準備なども進めた。甲状腺の検診では放射線の感受性があるとされている結節を多く検診し、リンパ球については小核と染色体異常を観察している。また平成14年9月にはセミパラチンスクで開催された放射線量評価の国際会議を開催したことが特筆される。主催はセミパラチンスクの放射線医学環境研究所と医学アカデミーであり、ドイツ、ロシア、イギリス、フィンランド、アメリカ、インドなどの代表が参加した。広島大学は会議を主導し、従来の被曝線量評価があまりにも違いが大きいのでこれを国際的に解決する目標を提案し承認された。放射線被曝の線量評価は疫学調査と合わせて低線量率被曝のリスクを求めることにある。したがってこの直接的にリスクに影響する。
著者
児玉 康弘
出版者
広島大学
雑誌
研究紀要 (ISSN:13444441)
巻号頁・発行日
vol.46, pp.1-13, 2000-03-31

歴史の教科書の記述には, 不自然な箇所が散見される。その最大の理由は, 新しい歴史解釈と古い歴史解釈が混在して叙述されているからである。世界史の教科書では, 特にイギリス近現代史の部分で, 新旧の解釈が無理に継ぎ合わされて論理的に矛盾をきたしている叙述が見られる。従来の「イギリス市民革命論」に対して, 「ジェントルマンの帝国支配論」が有力になりつつあるからである。両者は本来, 対立する歴史解釈であり, 前者をベースとする記述の中に, 後者の解釈の一部が添えられているため, 教科書記述に基づいた授業構成が困難になっている。そこで, 小論では, この問題に対応するために「解釈批判学習」の意義と必要性について述べたい。その際, 事例として「ウォルポールの辞任」を取り上げた新しい単元構成の在り方を示していく。
著者
田中 久男
出版者
広島大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005

フレドリック・ジェイムソンの地政学(Geopolitics)という文化研究概念を援用して、人種(民族)と地域との構造化された複合的な絡まりを究明することによって、アメリカ文学におけるエスニシティ表象の特徴をかなりの程度明らかにすることができた。
著者
平川 正人 吉高 淳夫 市川 忠男
出版者
広島大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1996

ユーザインタフェースは従来の文字主体のものから視覚情報を用いたものに移り変わってきている.更にマルチメディア技術の進歩は,音や動画なども交えた,よりユーザ親和性に優れたインタフェースの提供を可能にしている.ただし対話メディアに複数のメディアを活用するだけでは真に使いやすいシステムとは言えず,コンピュータ処理の質的改善が欠かせない.本研究では,そのような目標に向けたひとつのアプローチとして,コンピュータに社会性を持たせるための基礎的研究を行った.社会性の提供に向けては,まず人間の置かれている“状況"というものをコンピュータが把握する必要がある.そこで状況についての検討をおこない,意味内容の違いから状況を3つのレベルに分類した.さらに,状況認識に基づいた情報管理・アクセスのための基本的枠組みを提案した.また,画像ならびに音声が提供し得る意味について詳細な検討をおこなった.各種メディアデータとして得られる情報を統合し,より高度な状況理解を実現するための研究を進めた.実際に音声,音,映像から各種の特徴データ抽出実験を行なった.さらに,音と映像以外の状況認識の手だてとして,物理的位置の利用可能性について検討をおこなった.位置認識デバイスにGPSを用いた実験の結果,位置情報は状況認識にあたって極めて有効に機能することを確認した.一方,人間とシステムの関係に注目するだけでなく,人間と人間の間で交される対話の過程への状況の利用促進を図ることを目標に,物理的に同じ場所を共有する人間同士の間での情報交換を支援する機能を開発した.プロトタイプシステムの構築を行い,提案した手法の有効性を確認した.
出版者
広島大学
雑誌
RIHE
巻号頁・発行日
vol.86, pp.88-89, 2006-03-01