著者
浅田 健太朗
出版者
広島大学
雑誌
広島大学大学院教育学研究科紀要. 第二部, 文化教育開発関連領域 (ISSN:13465554)
巻号頁・発行日
vol.50, pp.207-214, 2002-02-28

This article intends to consider the origin of the notes, "半音"(Han-on; it means half sound) in the scores of Shōmyō. Also, it clarifies via what course it led for " 半音" to be used for the scores of Shōmyō. "半音 ", which was devised as the note to the closed syllable in Sanskrit language in the Ancient Chinese time was inherited to the research of Sanskrit in Japan and it was diverted to the scores of Shōmyō after that. It is estimated in the late Heian era.
著者
西田 宗弘 畠中 憲之
出版者
広島大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

超伝導系で起こる現象の多くは、量子化された渦電流である量子渦の運動に支配される。この量子渦が対を形成すれば、一種の移動可能な人工分子が実現する。本研究では、量子渦対が生じ得る系として、超伝導/強磁性/超伝導伝送線路と一次元超伝導干渉素子列を考案し、量子渦対の運動の詳細を明らかにした。これにより、強磁性層の磁区構造やラチェット効果を用いて量子渦対の運動制御が可能と分かり、新規量子機能デバイス実現への可能性が開かれた。
著者
平内 健一
出版者
広島大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2009

本年度は蛇紋岩を用いた摩擦実験を行い,沈み込み帯プレート境界における蛇紋岩の存在状態とその流動特性に関する研究をさらに進める目的で,以下のとおり実施した.1.実験はユトレヒト大学設置の熱水回転剪断装置を用いて行い,温度20^~500℃,有効法線応力200MPa,間隙流体圧200MPa,滑り速度0.1^~30μm/sの条件で行った.試料は厚さ約1mmの蛇紋石と石英の混合粉末試料を断層模擬物質(ガウジ)として用いた.2.結果:試料は,温度300^~500℃の条件において,初期の最大摩擦強度後(変位1^~2mm),定常状態に至るまでに著しい歪弱化を示した.弱化の程度は,温度の上昇および滑り速度の低下に伴い増加する傾向が見られた.また,薄片観察の結果,弱化は滑石を伴うboundary(B)shearの発達に起因して起こり,B shearの層厚が増加(最大70μm)するに従ってガウジ全体の摩擦強度が減少していくことがわかった.3.結論:本実験は,前弧マントルウェッジにおいてシリカに富んだスラブ由来の流体が供給されれば,蛇紋石とともに滑石が形成される可能性を示唆する.滑石の生成は不均質で断層境界に平行なB shearとして存在し,著しい歪弱化を引き起こす.定常摩擦強度値は温度と滑り速度に関係するが,これはそれぞれの実験中に溶解したシリカの生成量の違いによって説明できる.滑石は蛇紋石よりも摩擦強度が非常に弱いため,沈み込みプレート境界近傍に形成される薄い滑石層がプレート境界全体のレオロジーを支配すると思われる.
著者
三好 美織
出版者
広島大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

科学的素養の内実は、科学そのものの知識のみならず、現実社会で必要とされる問題解決や科学的手続きに関わる能力と態度をも含むものであり、それらを総合的に運用することのできるコンピテンスとして捉えられる。学校教育において科学的素養を育成するために、小学校から高等学校まで方向性を一にした一貫性あるカリキュラムの作成、評価規準の具体化、実際的で多様な文脈を基盤とした児童・生徒を主体とする探究的な学習活動の導入、及び教員に対する情報提供と支援が必要である。また、学際的な学びを実現するため、既存の教科の枠組みをこえた新たなカリキュラムを検討する必要がある
著者
藤井 宝恵
出版者
広島大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2008

易感染症患者は食事からの感染防止を目的とした食事制限が行われるため、本研究は、給食以外の患者の摂取希望の高い食の提供方法について、細菌学的に検討した。その結果、市販食品の衛生状態は製造メーカーで異なり、加熱可能な食品の細菌数は、食品の中心部温度が90度以上となる電子レンジ加熱により低減した。また、果皮の平坦な果物の除菌は水洗で十分であった。調理前の手指を低細菌状態にするには、石鹸洗浄後に手指を乾燥させた方がよい、等を確認した。
著者
武田 敬 佐々木 道子
出版者
広島大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2011

(1) これまで立体化学的に極めて不安定なため発生が不可能と考えられてきた鎖状ニトリルのα-キラルカルバニオンの発生および炭素求電子剤による捕捉 (er = 90:10)に成功した.(2) ヒドロキシアリルシランの Brook 転位を経る SE2'型のプロトン化反応を利用し,電子求引性置換基 X が隣接位のキラルカルバニオンのラセミ化に及ぼす影響を半定量的に評価する方法を開発した
著者
マハラジャン ケシャブ ラル
出版者
広島大学
雑誌
地誌研年報 (ISSN:09155449)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.1-27, 1995-03

Nepal is an agricultural country. Her economy is based on it and her most people depend on agriculture for their livelihood. But, despite the much efforts by government to develop the agriculture, it has not changed much for about half a century. Rather, the development efforts have resulted in environmental hazards and degradation of the daily life of the common people. Even the national parks aimed to conserve the forest and attract the tourists have end up in depriving the local people of their means of living. This, in addition to the population increase has caused the people to migrate in order to make their ends meet: migration from Northern hills to tarai region, the Southern plains in search of land and agriculture related jobs, and from rural areas through out the country to towns for various job opportunities. Neither the tarai nor the towns have enough capacity to absorb the immigrants. Thus, often the migrants wander from place to place and from job to job, creating additional problems to the already existing ones in each region. They have no choice but to encroach in the virgin forests in the tarai and to squatter and form slums in the towns, both of which could become a serious problem in the near future.
著者
岡村 寛之
出版者
広島大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

本研究課題では組み込みOSに対する信頼性評価に関する数理的・統計的手法の確立を行った.Android のようなオープンソースプロジェクトで開発される OS の利用には,設計・実装前のテストと信頼性評価が重要であるがその手法が確立されていない.本研究課題ではプロジェクトのバグトラッキングシステムとプログラムソースから得られる大量のメトリクス情報から定量的にソフトウェア信頼度を算出する手法の確立および支援ツールの構築を行った.
著者
レヴィ アルヴァレスC 町田 宗鳳 中坂 恵美子 材木 和雄
出版者
広島大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

ヨーロッパの統合が進行するにつれて、各国において移民若しくはマイノリティに対して「差別」と「排他」のメカニズムが徐々に弱まっていると言える一方、各国の固有の事情によって、そうした流れに対する抵抗も多く存続している。こうした状況をマクロとミクロの両面から分析した結果は、本年度書籍として出版される予定だが、今後の日本における移民政策にも大いに役立つと期待できるであろう。
著者
西別府 元日
出版者
広島大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011-04-28

奈良時代の交通システムの要である駅家制が衰退した平安時代中後期にも、国司による任国内の交通機能が維持されていた。公的な旅行者が朝廷から派遣されると、国司は、任国内の地方豪族や、国司の政務執行機関である国衙に出仕する役人(在庁官人)に、命令を下し、旅行者に食事と宿泊施設の提供(これらを供給という)を命じた。こうしたシステムを駅家雑事という。この駅家雑事を担う人びとは、食事を提供し宿泊をする施設を提供することによって一定の権益を獲得したものと考えられる。その実態については、史料的制約もあって、明確にしがたいが、こうした施設が恒常化することによって「宿」の原初的施設が誕生したと考えられる。
著者
友田 卓爾
出版者
広島大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1995

第一章から第五章で、ロンドン民衆の動向に視座を据えて革命の政治過程を跡付けたが、レベラ-ズ運動の中核的な担い手となったセクト(分離派)を中心に総括すると以下のとおりである。革命初期のロンドンの大衆行動は、反主教請願『根と枝』と反ストラフォードのデモを軸にして展開した。運動の担い手はthe middle and poorer sort of the peopleであった。中産市民層のデモは「マ-チャント」を主体とする「穏やかなふるまい」であり、もっとも目立ったリーダーはベン(John Venn)であった。一方、下層民衆のデモはサザァクの「トレイズマン」、従弟、「若者たち」のほかに運搬夫、荷馬車の御者など種々雑多の職種の人々を含み、かれらは武器を帯びていた。しかし、それは無秩序な性格のものではなっかた。群集を指導したリーダーたちの中には、のちのレベラ-指導者リルバーンがおり、また主教廃止キャンペーンの最前線にはセクトの人々がいた。かれらは、かれら自身の独立会衆をもつ自由、信仰に対する寛容(良心の自由)を国家から確保せねばならなかったからである。分離して「職人説教師(mechanic preacher)に従うという行動は、自覚されたにせよ、されなかったにせよ、教会・国家・社会のかれらの上位者からの独立を主張するものであり、階級的な挑戦であった。国家と教会の一体化をもって基本的な国家体制と考える人々の目には、国教会の廃棄は国家の解体の危険を胎むもの、社会秩序を破壊するもの、と映った。そうした危惧は、レベラ-ズの登場を予見するものであった。革命の高揚期に彗星のごとく現われて消え去ったレベラ-ズは、多様な成分からなる矛盾を内包した運動体であった。レベラ-ズ運動の最大の矛盾は、世俗政党の設立をめざしながら、セクトに依存しセクトを組織的基盤とした点にあった。セクトは「良心の自由」の保証をもとめて軍隊に参加し、軍隊急進運動の担い手となったが、かれらは結局宗教上の見地からしか自由を捉えることができなかったからである。
著者
宮崎 誠一 東 清一郎 村上 秀樹
出版者
広島大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2006

自己組織化形成したシリコン量子ドット上にNi薄膜を形成後、水素プラズマ処理を施してNiシリサイドナノドットを形成すると共に、このNiシリサイドナノドットが極薄シリコン酸化膜を挟んでシリコン量子ドット上に配置したハイブリッドナノドット構造を作成し、フローティングゲートメモリへの応用研究を推進した。ハイブリッドナノドットMOSデバイスにおいて、パルスゲートバイアス印加により、電荷注入放出過程を調べた結果、シリコンナノドットの離散化したエネルギ-準位を反映した多段階の電荷注入・放出特性が得られると共に、Niシリサイドの深いポテンシャル井戸を反映した、良好な電荷保持特性が得られた。
著者
祖川 浩也
出版者
広島大学
雑誌
広島大学マネジメント研究 (ISSN:13464086)
巻号頁・発行日
vol.4, 2004-03-19

広島大学大学院社会科学研究科マネジメント専攻平成15年度(2004年3月)修士論文要旨
著者
岩永 誠 坂田 桐子
出版者
広島大学
雑誌
Memoirs of the Faculty of Integrated Arts and Sciences, Hiroshima University. IV, Science reports : studies of fundamental and environmental sciences (ISSN:13408364)
巻号頁・発行日
vol.24, pp.75-85, 1998-12-28

In 1990s, concerns to paranormal phenomena are mentioned to be greater among young Japanese people, which phenomena were new types of religion, supernatural powers, an afterlife, a personality stereotype by blood-typing, and ghost stories at school by comics and films. The present study aimed to investigate interests and paranormal beliefs and the effects of personal factors on the paranormal beliefs, using 321 undergraduates. Degrees of interest and belief concerning to 10 supernatural phenomena were lower than those in the previous studies. From the results of multiple regression analysis, affecting factors were different among four types of paranormal phenomena. Beliefs in existences of ghost and reincarnation and superstition were mainly affected by external attribution such as fate, fortune, and anti-scientism. On the other hand, level of anxiety affected only beliefs in existences of undefined creatures and cultures. Time perspective, however, affected none of supernatural phenomena.
著者
佐藤 一精
出版者
広島大学
雑誌
萌芽的研究
巻号頁・発行日
1996

本研究では、究極的にはパン様食品の教材化を目指し、まず学校の授業や家庭で簡便に作れるような電子レンジ加熱を利用したパン様食品の好ましい調製法の確立と、そば粉やはったい粉などの添加により嗜好性、栄養性、物性等に優れたパン様食品調製の可能性の検討を目的として検討を行った。得られた成績は以下の通りである。1.発酵パンのロールパンに準じて調製したドウを、電子レンジ加熱により膨化させ、続いてオ-ブン加熱操作を行い焼成した。オ-ブン加熱のみのものをコントロールとして膨化率を比較検討した結果、少量の重曹とヨ-グルトの添加で、嗜好性も、フレーバーも良好なものが得られた。大学生男女各17名で行い7段階の点数で評価した官能検査においてもその重曹とヨ-グルト添加のものに最高点が与えられた。2.本研究費で購入したクリープメーター物性試験システムを使用して硬さを測定し焼成後の変化を見たところ、やはり少量の重曹とヨ-グルトを添加して調製したものが最も硬化し難いことが判明した。3.はったい粉やそば粉の添加効果については、上記の最良の条件のものに50%まで小麦粉に置き換えて添加して調べたが、まだ検討は継続中である。そば粉の場合は、添加量に比例して膨化が促進され、10%添加のものが比較的良好であった。また、はったい粉の場合は、添加割合が多いほど膨化率は減少したが、10〜25%添加割合のものは、嗜好性も、フレーバーも良好であった。以上、十分実用に供しうると思われるパン様食品の調製法を確立することができた。この教材としての応用についても展望が開けたが、実践方法等の検討は今後の課題である。
著者
木村 昭郎 兵頭 英出夫
出版者
広島大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009

セミパラチンスク旧ソ連核実験場周辺住民の被曝様式は、広島の被爆様式とはまったく異なっていることから、悪性腫瘍の発生様式も異なっている可能性がある。本研究では、セミパラチンスク核実験場周辺住民のMDS・白血病の症例数をさらに増加させ分子遺伝学的特徴を明らかにする。特にAML1/RUNX1遺伝子変異、及びAML1/RUNX1変異と協調してMDS・白血病発症に関与していると考えられるN-RAS,SHP-2,NF1,FLT3の遺伝子変異、さらにP53変異について解析する。次に被曝線量を導入して、線量、性別、被曝時年齢等の効果について原爆被爆者との比較を行い、被爆様式の違いによる差異を明らかにすることを目的としている。そこでセミパラチンスク市のカザフ放射線医学環境研究所、市診断センター、市救急病院と連携して、セミパラチンスク核実験場周辺住民のMDS・白血病症例のスライド標本と患者情報収集を継続している。一方原爆被爆者のMSD・白血病については、MDS/白血病(芽球が5%以上認められるMDSと三血球系統の異形成を伴った白血病が含まれる)の遺伝子解析が進んでいる。最近集計したMDS/白血病248例にしめるAML1/RUNX1点変異陽性率は、原爆被爆者13/36(36%)に対して非被爆者35/212(17%)と、被爆者では有意に高頻度であった。このことからAML1/RUNX1の点変異は放射線誘発のMDS/白血病にかなり特徴的な遺伝子変異であることが明らかになった。この点からはセミパラチンスク周辺の被ばく住民と広島の原爆被爆者では被爆様式は異なっているが、MDS/白血病を発症する主要な分子遺伝学的メカニズムは共通していると言える。
著者
熊丸 尚宏 藤原 照文
出版者
広島大学
雑誌
萌芽的研究
巻号頁・発行日
1996

これまでのICP発光分析法でも予備検討を踏まえて、酸分解などを行わず、まず手始めに固体試料のままでPbを定量する方法を検討した。Pbの含有量既知の試料として、NIESやNISTの「環境標準物質」を取り上げ、これを紛砕して使用した。その結果、これらをサンプルキュベット反応容器に取り、徐々にこの温度を上昇させ、最終的には約850℃に保ちながら炭化と灰化を連続的に行って、有機物を完全に揮散させ、その後、急激に温度を約2500℃まで上げてPbを気化させ、そのままオンラインでICP-MS装置へ導入する手法が確立できた。固体試料の直接定量において最も煩雑で精密さを要する操作は、その試料の秤量である。数mgの試料を直接秤取するには、特殊なミクロ天秤を用いる必要がある。ここでは灰か段階までには、ほぼ完全に揮散し、かつ目的成分の気化段階には影響を与えない有効なリン酸水素アンモニアを固体希釈剤として用い、約2倍程度に試料を希釈して通常の化学天秤でも容易に秤取できる方法を開発した。本研究の最大のポイントは、固体試料を、短時間にしかも完全に分解することが出来るか否かにある。通常は、試料を硝酸-硫酸ーリン酸などを用いて分解を行うが、これらの酸はタングステン製サンプルキュベットを腐蝕させるので、使用できない。ここでは、これまでの酸分解用の試薬に代わる分解試薬を検索した結果、(CH_3)_4NOHが好結果を与えることを見い出した。この添加剤は、灰化してもなお分解・揮散することなく残存する成分による干渉を防ぎ、気化段階における目的成分化学種を同一に揃えて気化させるマトリックス修飾剤としても働くことを明らかにした。また、検出器としてICP-MSを使用することにより、^<207>Pbと^<208>Pbの同位体比の測定も可能となった。
著者
鈴木 明子 一色 玲子
出版者
広島大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

生活実践への自己効力感の下位項目「数的処理」「分析的思考」等 と家庭科布ものづくり学習への好意度との間に小中学生で相関がみられ,小学生では一般性自己 効力感の因子項目と同好意度との間にも相関がみられたことから,布ものづくり学習への好意度 が増せば,生活実践への自己効力感や一般性自己効力感の向上につながることが示唆された。ま た中学校の二つの授業を分析することによって,製作過程で思考を深める場面を設定することが,「技能への自信」等の生徒の自己評価を高め,製作活動への好意的意識をもたせることに効果的 であることが明らかになった。