著者
奥田 太一 松田 巌 柿崎 明人 松田 巌 柿崎 明人
出版者
広島大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

スピンを分離して電子状態を測定するスピン分解光電子分光法は従来のスピン分析法が非常に非効率であったため,測定に長時間かかるにも関わらずエネルギー、角度分解能を落として測定せざるを得なかった。そのためこれを用いた物質の磁性研究は必ずしも十分行えていなかった。本研究では新しく高効率のスピン分析器を開発し、その検出効率は従来の100倍に向上し、エネルギー角度分解能を格段に上げたスピン・角度分解光電子分光測定が可能となった。
著者
楠戸 一彦
出版者
広島大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

本研究は、ドイツ中世後期の「トーナメント」に関する諸問題の中でも、特に「トーナメント規則」に焦点を当て、次の点を明らかにした。(1) 15世紀後半に南ドイツ(ラインラント、シュバーベン、フランケン、バイエルン)において統一的なトーナメント規則が作成された。(2) トーナメント規則の内容は、現代スポーツの規則に見られるような「勝敗の決定方法」ではなく、トーナメントへの「参加証明」と「資格証明」であった
著者
開發 一郎 山中 勤 近藤 昭彦 小野寺 真一
出版者
広島大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2001

1998年から2002年までの河川水文データーの内、2001年と2002年のデータはまだ補正解析を要したので、1998年から2000年までの河川水文データを集中的に解析した。その結果、4月から10月までに流出が見られ、降雨に対する流出のレスポンスは明確であり、3月・4月には降雨-流出や凍土融解-流出という寒冷乾燥地域の水文特性を把握した。また、既存資料によるセルベ川流域の流出解析と水収支計算から降水量の約60%が蒸発散であった。自動水循環ステーション(WaCS)モニタリングを2002年6月から開始し、データ処理と現象解析を実施したが、2002年末からWaCSの電源系の故障のため解析に耐えうるデータがその後十分取得できなかった。2002年夏のデータ解析から、降雨に対応して4月から11月までの間が地中水循環の活発な時期であり、2003年8月には流域内の河川・湧水の集中水文調査(土壌ほかの一般調査を含む)から、降水量の多かった2003年の河川流量は2002年に比べて源流域で3倍,流下距離が30kmの下流域で数十倍であったことや流下距離が10km以前の河川は地下水流出域,それ以降は地下水涵養域であることおよび主流路に対して30km付近では周囲からの地下水が流出している場となっていることが示唆された。セルベ川とトーラー川の地表水・地中水の水質分析と同位体比分析の結果から、セルベ川流域の浅層地下水の平均対流時間が約1.3年でトーラー川のそれは約30年であることが分かった。モンゴル国自然環境省の自然環境モニタリングステーションのトーラー川流域からモンゴル全土にかけての土壌水分と地表面植生のルーチンデータの時空間解析を行い、降水量の植生への影響を明らかにし、今後の衛星リモートセンシングのための基本解析結果を得た。
著者
斎藤 祐見子
出版者
広島大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

脳に高発現するMCHR1は摂食・うつ不安に関与するGタンパク質共役型受容体(GPCR)である。分子薬理学的手法により以下のことを明らかにした。I. MCHR1の新しい調節部位の同定(1)MCHR1の細胞内第2ループに存在する高度保存領域DRYはGタンパク質活性化に直接関わる。(2)MCHR1のHelix8領域はGq共役性が鋭敏となる機能亢進型表出に関与する。II. MCHR1結合因子の同定:GαのGDP-GTP交換反応を促進することによりMCHR1のシグナルを抑制するRGSタンパク質を3種類同定し、それぞれMCHR1における相互作用部位が異なる可能性を見出した。
著者
相原 玲二 岸場 清悟 近堂 徹 西村 浩二 田島 浩一
出版者
広島大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

移動するコンピュータから複数の相手端末に対し同報通信を行うことができる移動透過マルチキャストとして、IPモビリティ通信方式から得られるIPアドレスなどのネットワーク情報を積極的に活用する移動透過アプリケーションレイヤマルチキャスト通信方式を提案した。研究代表者らが過去に提案している移動透過通信方式を、マルチキャスト通信が可能となるよう拡張し、その具体的な実装設計、プロトタイプ作成および性能評価を実施した。
著者
池田 大樹
出版者
広島大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2009

【研究目的】睡眠短縮(5時間睡眠)時において、自己覚醒が起床直後の睡眠慣性と日中の眠気に及ぼす影響を検討した。【研究方法】自己覚醒習慣のない労働者15名(平均年齢40.5歳,27-49歳)を対象に実験を実施した。実験は、参加者宅での3目間の生活統制(5時間睡眠)と1日の実験室実験からなっていた。生活統制期間は就床前と起床後に主観的・行動的眠気を測定した。また、実験室実験時は、1時間おきに主観的・行動的・生理的な眠気を測定した。なお、生活統制期間中は、毎朝目覚まし覚醒あるいは自己覚醒した。その後、再びもう一方の覚醒方法で自宅での3日間の生活統制と実験室実験を実施した。【研究結果】睡眠短縮により、起床直後や日中に強い眠気が認められた。一方で、自己覚醒すると、目覚まし覚醒した時と比べて、起床後や日中の覚醒度(ヴィジランスパフォーマンス)が高かった。このことから、自己覚醒は覚醒維持能力を高める可能性が示された。【意義】夜型化が進む現代社会において、人々の睡眠時間は減少している。特に労働者の中には、残業や交代制勤務などにより睡眠時間を十分に確保できない者も少なくない。そのようななか、睡眠不足はQOLの低下だけでなく,労働意欲の減退や就労場面での健康と安全を阻害する問題につながる。これに対して、本研究の結果から、自己覚醒は睡眠時間が短い場合でも睡眠慣性や日中の眠気予防に有効であることが示された。
著者
佐藤 大志 釜谷 武志 佐竹 保子 大形 徹 川合 安 柳川 順子 釜谷 武志 佐竹 保子 大形 徹 川合 安 柳川 順子 林 香奈 狩野 雄 山寺 三知 長谷部 剛
出版者
広島大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

本研究では、『隋書』音楽志上・中・下の本文校訂と訳注作成を行い、その訳注の検討を通して、南北朝末期から隋王朝へと各王朝の音楽及びその制度が整理・統合されていく過程を明らかにした。南朝では梁王朝によって雅楽が整備され、陳王朝を経て、隋王朝の雅楽改革へと影響すること、北朝では中原以外の楽が中原の楽と融合しつつ隋王朝の雅楽や燕楽に吸収されてゆく過程などを辿り、南北朝から隋へと至る宮廷音楽の変遷を解明することを試みた。
著者
松尾 裕彰
出版者
広島大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2005

昨年度に行った研究で、健常人においてアスピリン以外の非ステロイド性抗炎症薬であるロキソプロフェンナトリウムやジクロフェナクにもアスピリン同様に小麦製品摂取後の血中グリアジン濃度上昇作用があること、および、非ステロイド性抗炎症薬のなかでもシクロオキシゲナーゼ2を選択的に阻害するメロキシカムはその作用がほとんど無いことを明らかにした。本年度は、血中に検出される小麦グリアジンの性状および生物学的活性を明らかにする目的で以下のとおり実施した。健常人3名にアスピリン(1000mg)を投与し、30分後にうどん(小麦粉120g)を摂取させ、試験前及び食後0,15,30,60,120,180分に採血を行った。食後60分の血清から70%エタノールによりグリアジンを抽出し、ゲル濾過HPLC(TSKgel-2000)により解析した結果、分子量約3万をピークトップとするブロードなピークが認められた。すなわち、グリアジンは抗原性を有する高分子の状態で吸収され血液中に存在していることが示唆された。また、血清を直接ゲル濾過により分析すると、分子量3万のピークに加え免疫複合体と推測される分子量10万以上のピークが認められた。次に、血清中に検出されるグリアジンの抗原としての活性を、小麦依存性運動誘発アナフィラキシー患者由来好塩基球を用いて評価した。その結果、健常人の血中に存在するグリアジンは好塩基球からのヒスタミンを遊離する活性をもつことが明らかとなった。さらに、小麦依存性運動誘発アナフィラキシー患者の小麦負荷試験時の血中に存在するグリアジンは、同様に好塩基球からのヒスタミン遊離活性を有することが示された。以上の結果は、非ステロイド抗炎症薬の服用が食物抗原の吸収を促進することを示唆するものである。従って、非ステロイド抗炎症薬の服用は食物アレルギーの症状誘発やアレルゲンへの感作段階における危険因子であると考えられた。
著者
友澤 和夫 岡橋 秀典 石丸 哲史 加茂 浩靖 鍬塚 賢太郎 加藤 幸治
出版者
広島大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

本研究では、知識経済化の下で成長しているビジネスを取り上げて、それらの成長ダイナミズムを明らかにするとともに、立地や人的側面の把握を試みた。その結果、「ものづくり」の伝統がある地域では、知識の創造や導入により第2・第3の創業がみられ、それらが成長ビジネスとなっていること、およびそれを支える地域的ネットワークの存在が確認された。一方、地方圏ではこうした地域は少なく、知識経済化のもう1つの特徴であるアウトソーシングを支える企業・業者の成長に負っていることが示された。
著者
倉地 暁美
出版者
広島大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2007

米国では多文化教育の研究成果は膨大にあるが、(1)多文化的な感受性(multi-cultural sensitivity)を有し、文化の多様性に柔軟に対応できる教師は極めて少数であり、(2)そうした少数の教員の文化に対する態度がいつ、どこで、何を契機に形成され、周囲のどんなサポートを得てそれを維持し続けているのか、(3)彼らの学生は日本をどのようにイメージし、日本語学習に何を求めているのかを明らかにすることは、日米両国の学術交流やグローバル時代の人材育成・教員養成のあり方を模索する上で有益である。そこで本研究では、前の科研で実施した国内での調査結果を踏まえ、米国の大学で日本語教育に携わる教師に対する民族誌的インタビュー、授業観察、学生への質問紙調査を実施し、(1)文化中心主義に基づく偏見やステレオタイプ形成の危険性を認識し、文化の多様性に柔軟に対応できる教師が、いつ、どこで、何を契機にそのような態度を獲得し、(2)現在どのような職場環境の中でそれを維持しているのか分析した。一方、本研究では、フィールドワークの過程、及び結果分析の段階(調査対象者に対するインタビュー、授業観察、学習者に対する質問紙・面接調査の過程やデータ分析の段階)において、いかに調査者の背景、哲学、価値観が分析・考察に反映しているかをより鮮明にするために、研究協力者と研究者が相互にインタビューを行い、お互いの背景や文化観、価値観がどのようなものであるのか、研究者自身の認知枠や文化観及びその背景を明らかにするための新しい研究手法として「3者間インタビュー」を考案し、その第一段階の施行を試みた。本研究は質的研究におけるより有効な手法を開発・提案すると言う点においても創発的であり、研究領域を超えた新しい研究方法の開発は、学術的にも大きな意味をもつものと考えられる。
著者
山脇 成人 岡本 泰昌 山下 英尚 高見 浩
出版者
広島大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2005

脳血管性うつ病(vascular depression: VD)の認知情報処理に関連する脳機能障害と部位を明らかにし、病態に基づいた治療法を開発することおよびVDの存在が脳卒中後のリハビリテーションにおよぼす影響を明らかにして脳卒中患者のリハビリテーションの予後を改善させることを目的として以下のような検討をおこなった。1)脳卒中患者の障害部位と抑うつの臨床症状の特徴との関連、2)VDの長期予後についての検討、3)機能的MRIを用いたVDで認められる機能障害についての検討、4)脳卒中後うつ病とリハビリテーションとの関連。その結果、1)両側の基底核が障害されていた患者ではApathy Scale(意欲低下の程度を示す)の得点が有意に高く、左側前頭領域が障害されていた患者ではZung Self-Rating Depression Scale(抑うつ期分の程度を示す)が有意に高値で,あった、2)VD群ではnon-VD群と比較してうつ病相期間(平均2.6年対1.3年)、入院回数(平均1.1回対0.4回)ともに有意に多く、経過観察期間中に認知症を発症した割合(18%対4%)も有意に高かった。3)言語流暢性課題を用いた。血管障害の有無で比較すると、有意な差は認めなかったが、これまでのうつ病相の回数で比較すると複数回のうつ病相を経験した患者では前帯状回の活性が低下していた,4)脳卒中患者では抑うつ、意欲低下の程度と機能障害の程度と相関していた。以上の結果より脳卒中患者では障害部位の違いにより認められやすいうつ病の症状に違いがあり、左側前頭領域が障害されていた患者で典型的なうつ病症状が、両側の基底核が障害されていた患者で意欲の障害といったより器質的な症状が認められやすいこと、VDではうつ病自体の長期的予後が低く、持続的な器質性の認知障害をきたしやすいこと、老年期うつ病患者の認知機能の低下や脆弱性には血管障害の存在とともにうっ病の再発の多さが関連していること、脳卒中後のリハビリテーションの進行に抑うつが影響を及ぼすことが明らかとなった。
著者
水上 千之
出版者
広島大学
雑誌
廣島法學 (ISSN:03865010)
巻号頁・発行日
vol.24, no.1, pp.1-19, 2000-06
著者
大池 真知子
出版者
広島大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

本研究課題は、社会運動における小説の働きを、アフリカのHIV/エイズをめぐる社会運動を例に考察した。アフリカのHIV/エイズのキャンペーンでは、映画、演劇、テレビ・ラジオ・ドラマといった視聴覚を使う物語芸術が応用されている。これらは受け手の五感に作用して、主人公との一体化をもたらし、HIV/エイズ問題にたいする共感的な態度を熟成する。それに対し小説は、社会の異性愛主義言説を主人公が内面化していく過程を批判的に表象する。読み手は距離をもってその過程を追体験し、分析的かつ情緒的にエイズ問題を認識する。視聴覚に訴える映画等と言語のみを用いる小説という両物語芸術は、HIV/エイズの社会運動において補完的な働きをしている。
著者
山下 美樹 遠藤 孝夫 池田 幸夫 神山 貴弥
出版者
広島大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2004

平成17年度は、東奥義塾における教育の実態を探る為の基本的資料の発掘、並びにその収集という平成16年度の取組みの上に、さらに下記6項目についての資料収集を行った。1.昨年度収集した外人教師ジョン・イング(JHON ING)以外に、東奥義塾草創期からその衰退期にいたる外人教師に関する資料。2.昨年度からの継続として、弘前第二小学(現和徳小学校)の教員の質を裏付ける履歴書、並びに諸資料の発掘。3.弘前第二小学の教員によって組織された「自他楽会」と称する読書会、勉強会にかかわる諸資料の収集。その中には、約600冊に上る「書物」の一覧表、貸出簿等が含まれている。4.地元新聞「東奥日報」における、学校記事を含む明治期の教育関係関連記事に関する全資料。5.明治10年から18年に西津軽郡山田小学校で学んだ成田らくの授業ノート(算数、理科)。6.藤崎村における外人教師ジョン・イング(JHON ING)の動向。特に青年教育(農業指導)に関する資料の発掘。これらの資料は、直接的に、また間接的に東奥義塾における教育の実態を明らかにするものである。なお、本研究成果は平成18年度中に下記8章で構成される図書として広く公に資する予定である。1.福沢諭吉がめざした日本の近代化-窮理に託した福沢の願い-2.藩校「稽古館」から東奥義塾へ-全国にあった文化の原点-3.東奥義塾での革新的な動き-自然科学の授業はかくあるべし-4.天覧授業(授業再現)-明治天皇を仰天させた5人の塾生-5.東奥義塾生海を渡る(留学の記)-私費による留学-6.文学社会(総合学習の精神ここにあり)-これぞ福沢のめざした近代の精神-7.自由民権運動への流れ(東奥義塾党)-東奥義塾の光と陰-8.東奥義塾が果たした役割-地方には地方の意地があり、それが革新的な教育を生む
著者
鳥越 兼治 竹下 俊治 大塚 攻
出版者
広島大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2004

エコミュージアム構想の中で,コア施設を竹原市の広島大学水産実験所と江田島市の環境館を選び,それぞれの場所における里海として隣接する場所を選択して活動を実践した。・水産実験所をコア施設とした活動は水産実験所の前の海でウミホタルが採集可能であることから,ウミホタルの採集・観察・発光実験と一連の活動が5月から11月までの期間が可能である。・水産実験所は近くに里海として活用する場所が多様であり,そこへの移動手段の船があることで,自然景観や生態系などを中心としてさまざまな利用形態が可能である。・水産実験所での活動は教育施設として学校関係には広くオープンであるのでコア施設として有効であり広く小・中・高の各学校の生徒に体験学習の場として場所と情報を提供可能であるが,研究主体であるので地域の紹介所としての機能は持たせにくい。・環境館をコア施設とした里海の活動は環境館自体が地域の生涯学習サポート施設であるから,多様な活動を支援できる体制があり,エコミュージアムといっても良いので多様なものが提供できる。・環境館は地域住民が積極的に参加し利用しているので,里海の保存・活用の活動が可能である。しかし,まだ地域全体が博物館という考え方は浸透していないので,地域活性の一つとして先ず地域住民に理解を求める必要がある。・環境館を中心にした周辺フィールドを整理しディスカバリー・トレイルを構築しておくことで,情報を発信することにより地域住民だけでなく他の地域(特に都市)の住民にも体験を提供できる。・里海の活動は産業とも関連している。活動の一部はボランティアだけでは解決できないこともあるので,活動を計画するならば何らかの組織を構築する必要である。
著者
森山 美知子 岡 美智代 大津 美香 宮薗 夏美 宇佐美 しおり 佐野 眞理子 岡田 俊 木原 康樹 岡田 彩子
出版者
広島大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

医療人類学的研究手法を用いて、糖尿病、慢性腎不全、心筋梗塞、慢性心不全、COPDの患者学習支援型教育プログラムと補助教材を作成し、臨床試験を実施した。まず、フィールド調査を行い、患者のセルフマネジメント行動の習得に向けたプログラムの構造と内容を決定し、動機づけ、行動の維持、生理学的データの改善とQOLの向上に向け、プログラムの展開方法を決定した。臨床試験では、介入群においてセルフマネジメント行動が強化され、各種指標が改善した。
著者
小路 淳
出版者
広島大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2008

陸域起源物質が河口域の魚類生産に与える影響の時空間変動を評価するために,太田川河口域において物理・生物調査を実施した.周年調査によりスズキが生活史初期に河口域に広く分布することが明らかとなった.スズキ仔稚魚は2月下旬から5月末にかけて河口域の優占種となった.胃内容物調査と安定同位体比分析の結果から,春季の上流域では河口域における魚類生産に対する陸域起源物質への貢献度が高まることが明らかとなった.
著者
松井 富美男
出版者
広島大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2001

当初の目的に従って、アングロサクソンの生命倫理との相違点を際立たせながら、ドイツ生命倫理の特徴を明らかにした。ドイツの生命倫理は現在二つの根本問題で揺れている。一つは安楽死問題、もう一つはヒト胚問題である。これらは別問題のように見えるが、生命操作への可能性を含む点で共通しナチズムを髣髴させる。安楽死はオランダやベルギーで合法化され、フランスもこれに同調する勢いである。このような隣国の動きは少なからずドイツにも影響を与えている。しかし自己決定権を拠り所にした安楽死容認論は必ずしもドイツ生命倫理の趨勢ではない。ドイツでは安楽死問題に関しても、「生命」の意味を根源的に問い直すことから議論が開始される。他方、ヒト胚研究に関しては、国益と理念の板挟みになっているというのが実情である。「人間の尊厳」は、ドイツ国民の歴史的誓いとしてドイツ憲法にしっかりと根を張っている。そしてこの理念をより具体化したものが「胚保護法」である。このようにドイツの生命倫理は、アングロサクソンのように生命功利主義に偏ることなく、「人間の尊厳」の理念に立ち返りながら生死問題を論じている。本研究においては、こうしたドイツ生命倫理の実情を明らかにするために、初年度はドイツの生命倫理研究所やセンターに赴いて資料収集にあたり、主要文献を訳出して図書や雑誌等々で紹介した。次年度以降は、各種の学会や研究会において「人間の尊厳」の原理的根拠について自らの考えを披露しそれを論文にまとめた。
著者
向田 一郎 下村 義治
出版者
広島大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1999

JMTR温度制御中性子照射を用いて10^<-2>〜10^<-1>dpaの照射量の範囲で詳細な実験が行われた。本研究では、さらに損傷欠陥形成の初期過程を調べるために、より低照射量(10^<-4>〜10^<-3>dpa)の温度制御中性子照射を京大原子炉で行い、その結果より純銅中の損傷欠陥形成過程を調べることを目的とする。試料は公称純度99.9999%の純銅を用いた。また、残留ガスの効果を調べるために超高真空中で熔解することによりガス除去を行った試料を同時に照射した。温度制御中性子照射は京大原子炉水圧輸送照射管において300℃にて行った。試料は放射線冷却の後、電解研磨を行い透過電子顕微鏡試料とした。純銅においては、電子顕微鏡観察の結果、転位周辺の格子間原子集合体の集合、微小なボイドおよび積層欠陥四面体(SFT)が観察された。照射量の増加に伴ってボイド・SFTの数密度は減少した。この数密度は未処理試料と残留ガス除去試料での差はない。また、ボイド・SFT共に照射量の増加にしたがって成長するがボイドの成長はSFTに比べて著しく大きかった。これらの結果より中性子照射中にボイドが移動して合体することにより成長すると考え、照射試料の焼鈍実験を行った。その結果、直径3nm程度のボイドは250℃で移動することがわかった。合計37個のボイドを観測し、その内8個のボイドが移動した。最大で23.9nm移動していた。また、移動方向はfccの[110]方向に近い方位に移動していた。焼鈍実験による結果を踏まえてさらにボイド動的挙動高温その場観察を行った。試料は加熱ステージに装填し、300および350℃においてその場観察を行った。純銅中に形成されたボイド(サイズ:3〜16nm)の観察を行った結果、10nm以下のボイドは300℃以上において移動することが確認された。ボイドが移動する際には円状に白く観察されるボイドが楕円状に変化して長手方向に一次元運動をして移動する。このコントラストの変化はボイド周辺の原子の構造緩和によると考えられる。さらに大きなボイド(サイズ:16nm)は楕円状の構造緩和は起こさないが、観察中に3つに分裂してそれぞれが移動できるサイズに変化することが観察された。これらの観察結果より、10nm以下のボイドは移動することが可能であり、照射中にボイドが移動・合体をすることによりボイド数密度の減少およびボイドサイズの増大が起きていると考えられる。