著者
小林 芳規 佐藤 利行 佐々木 勇 沼本 克明 月本 雅幸 鈴木 恵 原 卓志 山本 真吾 山本 秀人 青木 毅 本田 義央
出版者
広島大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010

醍醐寺蔵宋版一切経6,102帖に書き入れられた角筆情報を加えた目録出版を期し,その精査を基に,日本に伝来した宋版一切経の角筆点の発掘と東アジア言語文化の交流と影響関係を考察することを目的とする本研究は,2010~2012年に7回の現地調査を行い,書誌事項と共に角筆点の有無を再調査し,新たに521帖を加え約8割に角筆書き入れ帖を認めた。又,神奈川県称名寺蔵宋版一切経からも角筆点を認め,新羅写経の角筆仮名の解読を進めた。
著者
清水 浩士
出版者
広島大学
雑誌
中等教育研究紀要 (ISSN:09167919)
巻号頁・発行日
vol.36, pp.97-110, 1996-03-11

図書事務のコンピュータ化は数年来の希望であったが,校内LANが設置されることに伴い,93年9月より図書室委員会において検討が始まった。コンピュータ導入の意義,現状の図書館業務の分析,コンピューター化にあたっての要件設定等が検討されハードウェアとソフトウェアを定めた。94年度は夏休みを中心に図書館内の図書にバーコードを貼り,95年度の夏休みには残りの図書にバーコードを貼る作業が完了した。コンピュータ設備は年々拡張され,図書館内に貸し出し返却用端末が1台,図書事務室にサーバー1台と業務用端末が1台稼働している。また,その図書館システムが校内LANの一部を構成し,校内各所から図書館システムにアクセスが可能になっている。現在,校内各所から分担して蔵書をコンピュータに登録する作業がおこなわれており,図書の貸し出し,返却業務は95年度2学期から仮運用を開始した。
著者
藤田 耕之輔 李 克己 伊藤 純樹
出版者
広島大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1998

環境ストレスによる阻害を軽減した植物生産システムを確立することを目指し、リアルタイムで環境ストレスを評価し、診断する方法について一連の研究を実施している。今回は、栄養ストレスを取り上げ検討した。すなわち、歪みゲージ式変位計により測定した茎・果実の径変化を主体に、これと光合成、転流、水分状態などとの相互関係について調査した。実験は、供試植物として水耕栽培した第1花房果実肥大期のトマト(品種 桃太郎8)を用い、処理としてリン(P)無添加を行い、茎径および果実径、光合成など各種のパラメータについて平行して測定した。その結果、(1)光合成速度は低P処理後12日目に低下したのに対し、(2)茎径は処理後6日目に、果実径では9日目にそれぞれ低下した。一方、窒素(N)ストレスについてもほぼ同様の実験を行った。その結果、Nストレス処理(N欠如)によって、(1)茎径は処理後1日目に影響がみられ、昼間の収縮が小さく、夜間の肥大速度も低く、(2)果実には処理の影響は認められず、(3)葉の光合成速度は処理3日後に低下し、(5)葉の水ポテンシャルは7日目に低下した。以上の結果を総合すると、茎径を歪みゲージ式変位計で計測することによって、他のパラメータより早期にNおよびPストレスの影響を計測しうることが判明した。また、栄養状態がトマトの果実生産へ与える影響は、ソース・シンク関係から次の様に理解される。Pストレスは光合成能(ソース)よりも果実肥大(シンク)をより早期に阻害するのに対して、Nストレスはソース能を阻害するがシンクに対する影響は小さいものと推定される。
著者
小川 景子
出版者
広島大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2010

本研究はレム睡眠中の急速眼球運動に伴う脳活動と夢内容との対応関係を検討した。その結果、急速眼球運動の数が多いほど夢が印象的になり、運動野の賦活を反映する脳活動は、夢の活動性・奇異性と関連することが示された。さらに、急速眼球運動数は日中の新規運動学習課題の成績と正の相関関係を示した。この結果より、レム睡眠中の急速眼球運動はレム睡眠中の脳活動をより活性化することで、夢の内容をよりありありと鮮明にし、日中の新規学習課題の成績向上にも関与する可能性が示唆された。
著者
大池 真知子
出版者
広島大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010-04-01

HIV/エイズに関する社会運動の一環として、アフリカで草の根の女たちが書いている文章を分析し、HIVの経験を女たちがいかにとらえ、書くことでいかに自己と社会を変革しているのかを考察した。ライフストーリーの聞き書き集では、語り手と書き手にギャップがあるため忠実な再現は困難であり、むしろ創作的な要素を含む「クリエイティブ・ノンフィクション」の手法が有効だと分かった。女たち自身が書くライフストーリーでは、母親が子どもに宛てて書く家族の記録「メモリーブック」が、家族が生き抜くのに有効であることが分かった。
著者
三好 美織
出版者
広島大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2013-04-01

本研究では,これからの社会を生きる児童・生徒が,理科教育において身に付けるべき科学的教養の内実と,理科の授業においてそれをいかに育成していくか,具体的な指導方略と習得状況を評価するための方法,評価規準を検討した。理科教育において科学的教養を育成し評価するにあたり,学習内容に則して科学的教養の具体を設定すること,知識,能力,態度などを総合して発揮することのできる文脈の中で,問題解決や探究活動など児童・生徒の実際的活動を通して科学的教養の育成を図ること,などが求められる。今後の課題として,教師の指導能力の向上のため,学習課題や実践事例の収集など,教員の支援体制の構築が必要になると考えられる。
著者
桜井 直樹 元村 佳恵 寺崎 章二 村山 秀樹
出版者
広島大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2000

振動法の基本である第2共鳴周波数の振動モードが分かり、弾性値と粘性値を計算する理論的背景が証明された。つぎに、レーザードップラー(LDV)の手法で、果実の軟化を弾性値と粘性値から評価するプログラムを作成し、計測の自動化が実現できた。この結果、0.1秒で1個の個体を計測する高速化に取り組むことが可能となった。細胞壁多糖類の分析結果から、果実が軟化するとき果実細胞壁のペクチンの分解が粘性の低下を、キシログルカンの分解が弾性の低下を引き起こしていることが推察された。リンゴ6品種を用い、従来の破壊法とLDV法を比較し、4品種については極めて高い相関があることが分かった。また、臭化メチル処理で内部褐変が起こると、LDVでその欠陥を検出できることが分かった。セイヨウナシは収穫直後から追熟させると、キウイと同じように2段階の軟化を示すことが分かった。セイヨウナシは低温保存すると、最終的には1段階の弾性低下を示すようになる、2週間低温保存した場合最も評価の高い肉質(メルティング)になるが、LDVではその変化を捉えることができなかった。そのため、新しい物理的測定法(AMC法、Acoustic Measurement of Crispness)を考案した(特許出願)。プローブを果肉に貫入させそのときに生じる振動を検出し、フーリエ変換した。AMC法でいわゆるシャキシャキ感を数値化できることが分かった(特許出願)。この手法で、セイヨウナシ、メロンなどの肉質のトロミ感を数値にできることが分かった。次に数値化したAMCのパラメータとLDVの振動スペクトルの対応を、主成分分析及び重回帰で行った。その結果、LDVで得たスペクトルデータから、AMCで得られるシャキシャキ感が推測できることが分かり、LDV法が単に果実の弾性・粘性だけでなく、果実の肉質の精妙な変化も検出できることが分かった。
著者
齋藤 健一
出版者
広島大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2009

本研究では,貴金属ナノ構造の局在プラズモンを利用し,光と強結合する無機ハイブリッドナノ構造を検証する。この背景には,申請者がこれまで行った以下の研究内容が関係する。すなわち,single-molecule-Ramanに相当する分子数1-4個のラマンスペクトル測定を可能にした,巨大な表面増強効果をもつ金ナノ構造体を創製した。この増強効果をシリコンナノ結晶の発光の強度増加に活用する。高効率で紫外~光の三原色領域で発光するシリコンナノ結晶の波及効果は大きく,ICチップへのシリコンフルカラー発光デバイスの搭載や,生体に優しいバイオマーカー(量子ドット)としての利用がある。それらの実現には,発光効率の増加が重要である。本年度は,レーザーアブレーションで生成した金なの構造体を増強基板に用い,同じくレーザーアブレーションで生成した発光性Si量子ドットの発光スペクトルの増強効果を検証した。測定は,溶液中に分散したSi量子ドットの発光スペクトルを顕微分光測定にて検証した。すなわち,顕微分光測定により単一金ナノ粒子を探し,顕微鏡直下で金ナノ粒子近傍のSiの発光スペクトルを測定した。その結果,Si量子ドットの発光強度は,金ナノ粒子が存在することで10^3-10^5増強されることが明らかとなった。特に,巨体金ナノ球上に低次元ナノチェーンが存在する,メデューサ型金ナノ粒子が,巨大な増強効果を与えた。この増強効果は,可視領域の広範な領域で増強効果を与えたが,波長により増強される領域が強いところと弱いところがあることが明らかとなった。
著者
尾川 僚
出版者
広島大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2011

本研究課題では、長い期間をつうじた複数の経済主体の競争におけるインセンティブの問題について、ゲーム理論、オークション理論を用いて分析した。特に、競争の主催者側の視点に立って、競争参加者の努力をうまく引き出すような競争の仕組みがどのようなものになるか分析する枠組みを作り、望ましい設計のもつ性質を提示した。
著者
平賀 博之
出版者
広島大学
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2008

断熱膨張による雲の発生に関する実験は,教えにくい内容,生徒の理解しにくい内容の一つであると感じてきた。今回考案した方法は,透明なポリエチレン袋に高感度のデジタル温度計を入れて輪ゴムで口を閉じ,それを真空保存容器内に入れて,容器内の圧力を下げるというものである。容器内の圧力低下につれて,透明なポリエチレン袋の中の空気が膨張し,同時にその中に入れた温度の示度が下がることが,視覚を通して直感的に観察できる。この方法によりこれまでより,断熱膨張の現象に対する理解度が上昇することがわかった。また雲の発生に関する内容については,この実験を基に段階的に論理的な思考を通して学ぶことができる指導モジュールを開発した。主な内容は,(1) 真空保存容器のポンプを引くと,内部の気圧が下がる。(ポンプを引くことは空気を上昇させることと同じ意味になる。)(2) 容器内に口を閉じたポリエチレン袋やゴム風船を入れてポンプを引くと,ポリエチレン袋やゴム風船の内部の空気が膨張し,温度が下がる。(3) ポリエチレン袋に少量の水と線香の煙を入れて口を閉じたものを,容器内に入れてポンプを引くと,袋の中の空気が露点に達し,雲ができる。この指導モジュールはビデオ教材,ワークシート,指導案からなり,これらを活用して雲の発生に関する学習を進めるものである。これらを1枚のDVDに収録した。また,開発した指導モジュールによる授業実践を行い,教材に対する評価を行ったところ,これまでの教材に比べて生徒の理解状況が向上すること,生徒の学習に対する満足度が高まることが明らかになった。なお,教材の教育課程上の実施時期の都合で授業実践並びに教材に対する評価が3学期になったため,発表は平成21年度におこなう予定である。
著者
西本 政文
出版者
広島大学
雑誌
広島大学マネジメント研究 (ISSN:13464086)
巻号頁・発行日
vol.3, 2003-03-20

広島大学大学院社会科学研究科マネジメント専攻平成14年度(2003年3月)修士論文要旨
著者
倉地 曉美
出版者
広島大学
雑誌
広島平和科学 (ISSN:03863565)
巻号頁・発行日
vol.23, pp.73-93, 2001

In order to realize a just society in the new century, it is crucial for university students to cope with prejudice and their own xenophobia. Through the 19901s, this author has been addressing the importance of the new concept of intercultural learning as a means of realizing a just society. Intercultural learning only takes place when people of various cultural backgrounds interact with each other independently in order to overcome their own cultural prejudice. Students must actively participate in the creative process of producing new cultural values through intercultural dialogue with people from different cultural backgrounds instead of teaching and transmitting static aspects and homogenized images of cultural knowledge. This forces them to acquire mutually respected cultural values and behavioral styles for cultural adaptation. In order to facilitate this reciprocal cultural learning, it is important to educate transcultural mediators who can guide the passive and negative culture learners into intercultural dialogue. Using this concept, the author developed several courses to educate transcultural mediators. In this paper, the author analyzes how a college student copes with her initial xenophobia against overseas students and what the student learned by engaging in ethnographic fieldwork and case conferences required of her in an intercultural education course.
著者
大久保 隆志
出版者
広島大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

これまでの捜査の行き詰まりを打破し,新たな展望を見出すためには,従来の捜査手法を超えた新たな捜査を検討すべきであると言われている。しかし,これを我が国の刑訴法と整合的に接合するためには,新たな捜査と従来の捜査の適法性の共通基盤を見出す必要があるところ,その基盤は,結局のところ,従来から議論のあった「自己決定」と「利益衡量」の在り方に収斂されるように思われる。そうすると,新たな捜査は,自由な「自己決定」を害することなく,適正な「利益衡量」に支えられた捜査であることが前提となる。その意味において,「自己決定」と「利益衡量」とが,捜査を支える「指導理念」の中核的概念であると考えられる。
著者
楠戸 一彦 中村 哲夫 鈴木 明哲 崎田 嘉寛 孫 喜和
出版者
広島大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010

本研究は,1946年に「対日アメリカ教育使節団」の一員として来日したC.H.マックロイ(1886-1959)の実践と理論が中国と日本に与えた影響について,まず中国で活動した時期(1913-1926)における実践と理論を中国の国立文書館や大学図書館及びアメリカの公立図書館と大学図書館で調査を実施した。次いで,調査結果に基づいて,マックロイの体育思想の中国と日本への影響について考察を進めた。これらの研究成果については,学会で発表すると同時に,学術誌に投稿し,『研究成果報告書』を作成した。
著者
山中 雅之
出版者
広島大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2010

超新星爆発は一般的に、爆発後数週間の明るい時期が「光球期」と言われ、この時期に観測を行うと膨張大気のより外層について制限を与えることができる。Ia型超新星においては、極大絶対光度と減光速度に強い相関関係が認められ、一様な観測的特徴を示すことで知られている。このような特性を用いて、宇遠方超新星の観測から宇宙膨張は加速しているという重大な研究成果が得られている。しかしながら、爆発メカニズムや爆発する元の天体については決着がついておらず、その正体に制限を与えるような観測的研究が期待される。初年度は、広島大学宇宙科学センター付属東広島天文台にてかなた望遠鏡を用いて超新星の明るい初期に時間的に密な観測を実行した。本年度においては、爆発から200日以降の最大高度より100倍暗いフェーズにおける大口径望遠鏡を用いた観測研究を遂行した。このような爆発からおよそ一年経過した時期においては、超新星の膨張大気は光学的に薄くなり、噴出物質全体を見通した観測が可能となる。すなわち、爆発構造の最内層構造について幾何学的・物理学的に制限を与えることが可能である。私は国立天文台所有8.2m「すばる」望遠鏡での公募観測における観測提案を行い、2010年4月と2011年5月に超新星の非常に暗い状態での観測に成功した。対象となった超新星は、広島大学かなた望遠鏡、県立ぐんま天文台1.5m望遠鏡などを用いて初期に集中的に観測を行った極めて明るいIa型超新星「SN 2009dc」である。SN 2009dcは極大光度がIa型超新星としては異常に明るく、減光速度も遅く、またスペクトルにおいて炭素の吸収線が卓越した特異な超新星であることが明らかになっていた(Yamanaka et al.2009,ApJ,707L,118)。すばる望遠鏡の観測においては、このような描像に加え超新星の内部構造において、予期されぬ減光と本来外側に分布するはずのカルシウムが鉄より内側に分布していることを明らかにした。このような発見は特異なIa型超新星に強い制限を与える観測結果であり、現在論文を準備中である。
著者
井内 太郎
出版者
広島大学
雑誌
広島大学大学院文学研究科論集 (ISSN:13477013)
巻号頁・発行日
vol.61, pp.73-90, 2001-12-28

In March of 1996, the symposium was held in the Institute of Historical Research of London University. The theme of this symposium was 'Eltonian legacy'. G.R.Elton was the authority of the study of Tudor dynasty who died in 1994. His famous book was Tudor Revolution in Government (Cambridge, 1953) in which he emphasized on the radical change of the administration in 1530's and tbe important role of T.Cromwell in this change. Since then, there had been the controversy of his theory. One of the purposes in the symposium was to locate his study in the history of British historical study. What was the Eltonian legacy? In this article, I'll examine the Eltonian legacy on the basis of the argument of this symposium and the recent study of Tudor dynasty in the view of the history of administration, parliament, politics. The conclusion is as follows ; We can't accept his theory as it is, which is the objection to be critisized. But the attractive point of his argument is the sharp critical mind and new point of view. His capacity to examine materials is the point in which he should be appraised, too. One of the subjects for further study of Tudor dynasty is to relate his study of the central government with the new study of local government to define the state formation in early modern England.
著者
村松 潤一 井上 善海 盧 濤 原口 恭彦 奥居 正樹 加藤 厚海 秋山 高志 上林 憲雄 三崎 秀央 柯 麗華
出版者
広島大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

発展著しい中国には早くから日本企業が進出し、製造業を中心とした産業集積が形成されてきた。本調査研究は、そうした産業集積に焦点をあて、メーカーとサプライヤーがどのような関係を構築しているか、また、その基盤としての組織内マネジメントがどのようになされているかについて現地調査した。その結果、日系企業間での強い結びつき、また、日系企業の人的資源管理はプロセスコントロールを重視していることが明らかとなった。