著者
松田 宣子 高田 哲 石井 美由紀
出版者
神戸大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

本研究の目的は、子ども虐待への保健師の支援スキルの開発である。第1段階は、支援スキルの初期に行うアセスメントツールを、保健師に活用してもらい、評価・検討をした。第2段階は、近隣保健所・市町に過去、現在に保健師が支援し、よい方向に向かった事例の調査を行い、分析し、支援スキルの介入に組み込んだ。第3段階は、開発した支援スキルを保健師が活用し、その結果、ほとんどの者から「有効である」と評価が得られた。
著者
加納 亜由子
出版者
神戸大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2012-08-31

本研究の目的は、近世後期豪農の非相続人(当主の弟)の家族役割を再検討することである。先行研究で「一人前として扱われない」ながらも「当主の代理・補佐」的な立場であった可能性があると指摘されている点に着目し、一次史料に基づいて再検討を行った。その結果、当主の弟は、「家」内部では「当主の代理・補佐」的な役割を果たすことが可能であったが、公的行為の主体になることはできないかったことを明らかにした。近世社会における非相続人の家族役割とその限界を具体的に明らかにし得たことで、これまで当主を中心に語られてきた近世の家族役割の見直しが進むことが期待される。
著者
寺内 直子
出版者
神戸大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

この研究は、日本の宮廷音楽・雅楽が、海外においていかに発信・受容され、定着、展開しているかを分析する、音楽学的、文化人類学的考察である。本研究は、海外の雅楽を1)日本からの「渡航型」と2)現地在住者による「滞在型」に分け、国際的に活躍する日本の雅楽演奏者やプロデューサーに聞き取りを行うとともに、日系移民の多いハワイ、ロサンジェルス、日系移民が少ないニューヨーク、ケルンでフィールドワークを行い、海外における雅楽実践を、実践者の活動と意識、聴衆の反応、実際の音楽内容、演出等の観点から分析し、その展開のメカニズムと社会的意義を学術的に分析した。
著者
高島 康弘
出版者
神戸大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2005

ES細胞から間葉系幹細胞を誘導しえたこと、この間葉系幹細胞は神経上皮細胞由来であることから、試験管内のES細胞の分化メカニズムと生体内の発生過程が同じであるのかを明らかにすることを目的として研究を行った。神経上皮特異的に発現している遺伝子であるSox1遺伝子にCreリコンビネースをノックインしたマウスを作成した。このマウスと、Rosa-stop-YFPマウスと交配することで、Creが発現すると、YFPが発現し、ひとたびCreが発現した細胞は、理論上Creを発現し続けることができるマウスを作成することに成功できた。このマウスを解析したところ、胎生期においては、YFP陽性すなわち神経上皮細胞由来のPDGFRα陽性の細胞が存在し、その細胞は多分化能および増殖能力を有しES細胞由来の間葉系幹細胞と同じ能力および形態の細胞であった。以上のことから、少なくとも胎生期において、神経上皮由来の間葉系幹細胞が生体内で存在することを証明しえた。次に出生後のマウスにて神経上皮由来の細胞が存在するのかを解析することにした。同様にSox1CreマウスとRosa-stop-YFPマウスを交配した。まず、間葉系幹細胞の存在が報告されている骨髄で解析をすることにした。出生直後のマウスを用いた解析からは、骨髄内にわずかではあるが、間葉系幹細胞が存在する、という所見を得た。この発生過程が、神経から直接関間葉系に分化するのか、Neural crestを経るのか、という問題に関して、PO-Creマウスを用いて、同様に行った。このとき、Sox1-Creマウスと同様にNeural Crestからも同様にできることがわかり、少なくともNeural Crestも神経上皮と同様の能力を持つということが分かった。
著者
三浦 伸夫
出版者
神戸大学
雑誌
国際文化学研究 : 神戸大学国際文化学部紀要 (ISSN:13405217)
巻号頁・発行日
vol.28, pp.67-103, 2007-07

In the first half of the fourteenth-century Oxford many scholars developed the theory of motion in medieval cultural context. The most important figure among them is Richard Swineshead. His opus mains, "Book of Calculations", had a great influence into many scholars in Paris, especially Oresme. They discussed the spaces moved by mobile. For their discussion they used mathematical technique, summation of infinite geometrical series, by adding proportional parts infinitely. In the early sixteenth-century many Iberian students visited Paris to study theology under Scottish John Major, and learned also Aristotelian physics as students of faculty of arts. Some of them developed further the mathematical devices. The most conspicuous figure of this school, Alvaro Thomas, who was born in Lisbon probably during the second half of the fifteenth-century, wrote a voluminous treatise "Book of the Triple Motion" at Paris in 1509. This is a kind of sophism treatise popular in Oxford in the fourteenth-century and perhaps used as a textbook of logical reasoning at the faculty of arts. In this article, first, an overview of the contents of the book is presented and the mathematical techniques used there are discussed. This book elucidates the Mertonian theory of motion discussed in Swineshead's treatise, but went over that text, for he had focus upon pre-infinitesimal calculation. Secondly, novelties introduced by Thomas are discussed, that is the summation of infinite geometrical series of Oxford school. His impressive originality in the theory of series is that even if the exact numerical value was not known, he believed that he could evaluate it by estimations of upper and lower values which had been already known. He also calculated series by dividing it into two series which were easily calculated. However it is reasonable to think that he might use geometry in working his mathematics even if his description was rhetorical. He did not show general rules for solving series. And he usually did not use geometrical figures. His intuitive technique appeared in the later Iberian scholars and had an influence even upon Latin America.
著者
三浦 伸夫
出版者
神戸大学
雑誌
国際文化学研究 : 神戸大学国際文化学部紀要 (ISSN:13405217)
巻号頁・発行日
vol.25, pp.65-106, 2006-01

Arabic Mathematics has been characterized as algebra. Compared with this, Arabic geometry had not influence on the later mathematics, and has not been studied so much. However without this geometry, no solution of cubic equations has not completed in Arabic mathematics. We sketch here the synopsis of the geometrical works of Abu Sahl al-Quhl (second half of the tenth century), "one of the most eminent mathematicians in Iraq", and investigate the origin and development of his geometrical ideas. Thirty three mathematical works are attributed to him, and almost of them are geometrical. His ideas were from Archimedes, Euclid and Apollonius. The opus magnum of the last one is indispensable for al-Quhl's works, and in the field of conic sections he contributed much. He completed the lacuna of the Greek mathematics, and developed it further. For showing this aspect four treatises are presented with partial translations. "On Tangent Circles" investigated Apollonian circle problems further, and "On the Trisection of Angle" solved the famous problem by Apollonian conic sections. "On the Motion" was a unique treatise in Arabic mathematics, for it dealt with infinity which had been avoided in Greek mathematics. "On the Perfect Compass (an instrument to draw conies by continuous moving)" gave an idea on the new classification of curves, which anticipates the seventeenth-century European mathematics. The problems and method which he used seems to be analytical and purely Greek, and he might be called as the last Greek-style mathematician. The atmosphere where he studied shows that Arabic science developed under a kind of patronage, and the manuscripts containing his treatises shows that Greek geometry was well established at his times. In conclusion, geometry flourished in Arabic world of the tenth century, and its results were over the Greek ones, and might be compared to the early modern mathematics in Europe.
著者
堀尾 尚志 居垣 千尋 佐々木 圭一 牧 大助
出版者
神戸大学
雑誌
神戸大学農学部研究報告 (ISSN:04522370)
巻号頁・発行日
vol.15, no.1, pp.117-122, 1982

Among the steering modes of farm tractor, the crab-steering has hardly been taken up in production and also in research. That mode of steering may be unapplicable to manual operating that has made familiar with normal mode of steering for long time, but because the vehicle with that mode can always hold its body in a certine direction, that type has a profitable property for the automatic guidance in field operation, and positional relation of sensor and implement is one-dimensional problem and attaching point of sensor to body is unrestricted. This type vehicle can not turn, but travelling of field operation necessitates no turning in many kinds of operations except at head land. At head land, it may be solved to change steering mode. The authors aspect to the property of crab-steering and aimed to develop the automatic guidance system with this steering mode. In this paper, the stability of relay-control system of automatic guidance was considered with describing-function method, and the results of tracking tests with trial vehicle were discussed and considered by means of time varying Fourier coefficients of tracking pass.
著者
堀尾 尚志
出版者
神戸大学
雑誌
神戸大学農学部研究報告 (ISSN:04522370)
巻号頁・発行日
vol.18, no.2, pp.197-206, 1989-01

試作したクラブ・ステアリング車を用い,自動操向実験を行なった。アスファルト路面にペイントで描いた白線を目標経路とし,これを1対の反射型赤外線光電センサとマイクロ・コンピュータにより信号を処理しトラッキング・エラーを検出した。自動操向実験は,解析結果を検証するため波長と振幅を変えた正弦波目標経路に対して,また実際の状況を想定してステップ関数の立上り部分をランプに置き代えた形の目標経路に対してそれぞれ行なった。
著者
赤澤 輝彦 梅田 民樹 岩本 雄二
出版者
神戸大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009

電磁流体力学(MHD)を応用した海水油分離装置は,理論的な研究がほとんど行われていなかった.このため分離性能の向上が難しい状況であった.本研究で我々は,海水が電解質であると考えるイオン(移動)モデルを提案した.分離装置の磁場中での働きを明らかにするため,このモデルの数値計算を行った.さらに,この分離装置をもつ試験プラントを作成し,実験的に理論モデルの妥当性を明らかにした.これらの結果から,分離装置の改良法について提案を行った.
著者
下吉 美香
出版者
神戸大学
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2011

1.研究の目的物事を「たとえ」を使って表現することは,その物事の本質,しくみをしっかり理解しているということである。また,私たちは,新しい概念を獲得したり,目に見えない現象を概念として獲得したりする時,「たとえ」を用いて表現することが少なくない。つまり,「たとえ」は人の理解を促す効果があると言える。よって,科学概念を「たとえ」を交えながら,他者の合意を得られるように説明しようとすることは,思考を深化させたり,拡張させたりする可能姓をもっていると仮定し,その効果を検証することを本研究の目的とした。2.研究の方法「電気」「宇宙」等,主として,目に見えない科学現象を含む単元で「たとえ」表現をとりいれる場を設定した。また,それ以外の素材を題材としている単元についても,「たとえ」表現を積極的に用い,自分なりの考えをまとめたり,他者の合意を得ることができるような説明をしたりし,科学概念の構築をはかっていくようにした。そして,「たとえ」表現を用いた子どもの様相から,その実際的効果を検証した。3.研究成果(1)意図的に「たとえ」表現を用いていくように支援していくことの必要性「電気」に関する基礎的研究(2011,06)において,3学年では,「カミナリ⇔ビリビリする,稲妻」「花火⇔明るい」など,これまでの経験から表面的に受け止めている傾向がみられた。しかし,6学年では,「魔法使い→量を変えられる」をはじめとし,量の変化,2極性,電流,抵抗といった性質に迫っていく傾向がみられた。これらより,生活経験,既有知識の量が,表現に関係するとともに,学習経験が大きく寄与するとも言える。よって,意図的に「たとえ」表現を用いていくように支援していくことの必要性は明確であると結論づけた。(2)単元終末段階への「たとえ」表現導入の有効性前回調査(2011,06)と比較し,第2回調査(2011,10)では,全体の語彙数,電気の概念をとらえた表現が増加し,単元内での学びに基づきながら表現されているものであった。また,「電気」の生み出され方について,単元の終末時に,電気の利点や特徴等の概念を総合的にとらえた表現が見られ,総合的な概念形成にも有効にはたらくことが示された。これらのことより,単元終末段階への「たとえ」表現の導入は,学習支援として一定の効果があると結論づけた。(3)科学的思考力の深化,拡張を支える「たとえ」表現の効果第6学年を対象とした「宇宙」に関する調査(2011,10)において,月の満ち欠けの周期やその原理について,「機械」「数列」「ボタン」等にたとえ,順序や規則性があることや,継続して変化することを表現し,概念の獲得へ向かっていることが確認できた。また,「太陽」「月」「地球」の位置関係について,「家族」「メリーゴーランド」「シーソー」等にたとえ,互いに関連し合うような生活事象や,距離がありながらも互いに影響し合っている状態を表現し,空間認識の獲得へ向かっていることも確認できた。さらには,宇宙の壮大さ,美しさを「魔法」「宝物」「美術」にたとえた表現もみられた。これらの様相より,「たとえ」表現は,子どもの自然観をゆさぶり,科学的思考の深化,拡張を支えるものとして,有益に機能していくものであると結論づけた。
著者
簑原 俊洋
出版者
神戸大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2008

本研究によって政治外交史の分野からは検証が限定的であった戦前日本の暗号解読情報がいかにして政策決定に反映されたかについて一つの光を当てることがた可能となった。これにより、戦前の日米関係が再構成され、新たな視点で太平洋戦争への道を考察することができた。これを踏まえ、アウトプットとしてはプレゼンテーションによる研究成果公表に専念した結果、内外において数多くの報告機会を得ることがでた。その都度、有意義なコメントをフィードバックしてもらったため、今後の課題として残る単著の出版においてこれらを活かしたいと考えている。この他には、編著として英語論文を一つ、そして邦語論文を一つ公表することができた。
著者
柴 眞理子 小高 直樹 宇津木 成介 魚住 和晃 萱 のり子 米谷 淳 菊池 雅春
出版者
神戸大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2000

本研究の目的は、舞踊,音楽(ピアノ),書という異なる芸術分野に共通する基本的感情検証と、日・韓・中の異文化間比較によりその基本的感情が文化を超えて共通であることを確かめ,それと同時に,それぞれの芸術や文化に固有な感情表現についても明らかにすることであった。そのために、3つの評価実験を行い、その結果、次のような知見を得た。舞踊・音楽・書(漢字・かな)の3つの分野に共通する感情は「美しい」「きれい」「なめらか」「力強い(強い)」のみであった。3つの分野のうち,舞踊と音楽間では,例えば「楽しい」「悲しい」「こわい」など多くの感情が共通しているのに対し,書は他の2分野と共通する感情が少なく、いわゆる「快・不快」の感情を表現(伝達)しにくい。しかし、かなの書では「悲しみ」の感情は表現(伝達)されており,かなの表現性(表現力)が漢字とは異なる点があることも示唆された。異文化間比較では、各舞踊刺激、音楽刺激を視聴させ、その感情にふさわしい書をマッピングさせるという方法をもちいた。その結果、舞踊の場合のほうが音楽に比べ,「異文化的」な評価が少ない傾向がみられた。また,漢字とかなについては、漢字の方が,「文化差が小さい」ように見える。この点については、かなが我が国に固有の表現媒体であること,したがって舞踊なり音楽なりの感性的印象を評価する場合,漢字を用いるほうが「文化的共通性」を生み出しやすいことが推察される。以上のような知見と同時に、本研究を通して「感性評価の異文化間比較」は,単に,学術的な研究の対象となるばかりではないことを再認した。たとえば日本の芸術作品の海外における評価が日本的な感性による評価と一致するものかどうか,換言すれば,日本において高く評価される芸術的表現が他文化において同一基準で評価されるかどうかという,実際的な場面にも応用が可能であろうと思われる。
著者
永安 朋子 高 宜良 中井 久夫
出版者
神戸大学
雑誌
神戸大学医学部紀要 (ISSN:00756431)
巻号頁・発行日
vol.57, no.3, pp.219-239, 1997-03
被引用文献数
1

精神分裂病はしばしば,長期,多様,変化に富む疾患である。本論文は再発なく数年から十数年に及ぶ緩慢な回復過程をとった症例全3例の自験例について初診以来の全経過を追跡展望するもので,そのため症状の推移を明確に図上に同定しうるグラフ形式を開発した。横軸には時間を,縦軸には症状をその特異性を初め主観的要素を一切排除し無差別的に発来の順序に配列し,持続的症状及び遷移的症状の軌跡と散発的症状とを抽出することができた。これを用い,症状を使用薬薬物量及び対人交流改善と生活圏拡大とに対応させた。第第1に,律速因子は強い打撃力を持つ持続的症状であるる。他方,遷移的症状は移行期を意味する。最重要な因因子は睡眠であり,睡眠が改善することなく回復が実現現した例はない。睡眠,夢,不安・恐怖は3つ組となってており,この解消が回復につながり,この3者が悪循環環を構成して破局に至るのが再発と考えられる。特に第第1例(青年男子)では専ら機会的な全不眠とほとんどど持続的な悪夢である。第2例(中年女子)では不安に始まり心気症状に終わる約2時間の発作的な病的挿間である。第3例(青年男子)では律速因子は幻聴の裏に潜む性的少数性の自覚にからむ葛藤である。第2に,治癒的変化は必ず反作用すなわち揺り戻しを伴う。精神(中枢神経系)に成立した病的な疑似的ホメオスタシスが身体の正常なホメオスタシスとのずれ回復困難を構成している可能性が抽出された。
著者
増本 浩子
出版者
神戸大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

スイスの作家フリードリヒ・デュレンマット(1921-1990)は初期から一貫して、世界を人間理性では理解できない「迷宮」として描き出しているが、後期になるとさらに、人間は世界どころか自分自身のことさえ正しく理解できないのではないかという問いを立てる。晩年の作品『素材』は文学的素材の歴史を語ることで作家の人生を語るという特異な自伝であるが、これはそもそも「本当の人生」を描くものとしての自伝を書くことは不可能であるとデュレンマットが考えているからである。作家が頭の中で考え出した文学的素材の歴史を語ることによって人生を語るという自伝のあり方は、「考えたこともまた現実の一部である」という認識に基づく。
著者
片山 裕 白石 隆 清水 展 中野 聡 リヴェラ テマリオ アビナーレス パトリシオ
出版者
神戸大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2007

2007年4月から2010年3月の3年間に及ぶ海外学術調査であり、フィリピンにおいてマルコス政権の独裁体制に参加したテクノクラートへの聴き取り調査と、当時の資料を発掘・データベース化を行った。インタビューは、合計16名を対象に、延べ36回にわたって実施された。インタビューは映像・音声・文書の形で、デジタル化された発掘資料(シックスト・ロハス文書、アーマンド・ファベリア文書)とともにフィリピン大学付属図書館で保管され、しかるべき時期に一般に公開される。
著者
中井 善一 塩澤 大輝 田中 拓
出版者
神戸大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2011-04-01

本課題では,高輝度放射光のX線回折を用いたコンピュータトモグラフィ(DCT)法を開発し,アルミニウム合金およびステンレス鋼多結晶体の結晶粒の形状を三次元的に同定した.その結果,SPring-8の偏向電磁石を利用した汎用のビームラインでも,結晶粒の形状および位置を三次元的に同定することができた.各結晶粒の塑性ひずみを同定するため,結晶方位の拡がりを測定した.この結晶粒方位の拡がりは,転位構造と関連した結晶粒のモザイク性と関連しており,塑性ひずみの増加とともに結晶方位の拡がりが増加した.また,疲労過程中の損傷の蓄積もDCTによって測定することができた.
著者
柏崎 隼
出版者
神戸大学
雑誌
若手研究(A)
巻号頁・発行日
2014-04-01

本研究は、細胞を物理的に二分する細胞質分裂のメカニズムについて、in vivoライブイメージングとin vitro再構成系の両方を駆使して包括的かつ詳細に明らかにすることを目的とする。平成29年度は分裂酵母のゴーストを用いた収縮環の収縮機構について、これまで成功している収縮環の単離に焦点を絞り、収縮環の構成因子や微細構造の解析を行った。効率的に収縮環を単離するため、単離方法を改良した。臨界点乾燥法や急速凍結レプリカ法による微細構造解析を進めている。グリッド付のカバーグラスを用いることで、蛍光顕微鏡で観察した場所を電子顕微鏡でも観察する光学-電子相関顕微鏡法による単離収縮環の観察について検討した。また、収縮環中のミオシン分子の配向を超解像顕微鏡により明らかにするため、光活性型の蛍光タンパク質を用い、配向がわかるように遺伝子工学的に改変したミオシンを発現する分裂酵母株を作製し、超解像顕微鏡観察を行った。細胞質分裂において、隔壁形成に重要な役割を担う細胞内小胞輸送に関わる因子の変異株についての解析も行った。この変異株では細胞形態に異常がみられるが、エンドサイトーシスやエキソサイトーシス関連因子の局在を調べたところ、細胞膜タンパク質のリサイクリング経路に異常がみられることがわかった。細胞質分裂にも異常がみられるが、細胞膜タンパク質のリサイクリング経路と細胞質分裂の関係についてさらに解析を進めている。
著者
中井 宏
出版者
神戸大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2010

自動車運転技能については、経験が長いはずの高齢ドライバーほど不安全な運転を行っていることが明らかとなった。40歳代から運転技能の低下傾向が示され、高齢ドライバーの交通事故防止には、中年期からの対策が必要と言える。また民間バス会社の事故記録を分析したところ、経験年数が3年以内の乗務員が全体の事故の約40%を占めることから、経験の短い乗務員に対する対策が重要であることが示された。船舶操船者の技能については、乗船中の感情傾向を自己理解のための教材と、ストレッサーに対するコーピング例を示したリストを作成した。
著者
木下 秘我 福本 巧 蔵満 薫
出版者
神戸大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2013-04-01

2014年5月と11月の2回にわたり、茨城県つくば市にある放射光科学研究施設(PF)において、走査型蛍光X線顕微鏡を用いて測定を行った。酸化ストレスが原因で線維化が進展すると言われているNASHによる肝硬変と、酸化ストレスが関与しないと言われているB型肝炎による肝硬変について鉄分布のマーキングを行ったところ、NASHの方は偽小葉辺縁に鉄が集積する傾向があり、B型肝炎の方は一定の分布を示さなかった。この結果より、酸化ストレスが関与するNASHでは、繊維化の進行は偽小葉より開始する可能性があることが示唆された。