著者
三輪 高喜 山本 純平 志賀 英明 能田 拓也 山田 健太郎 張田 雅之
出版者
金沢医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

感冒後嗅覚障害は中高年の女性に多く発症するが、その理由は明らかにされていない。嗅細胞は常に変性と新生を繰り返す特異な神経細胞であり、中高年の女性は嗅神経の再生能力に何らかの特徴があるのではないかと思い、嗅神経の再生と女性ホルモン、神経成長因子との関係を知るため本研究を立案した。その結果、卵巣を摘出した雌のマウスでは、同世代の無処置マウス、雄マウスと比べて、嗅神経障害後の再生が遅れることが判明した。一方、臨床研究として、感冒後嗅覚障害患者のエストロゲン値を測定したが、閉経後の患者が大部分を占めたため、嗅覚の回復とエストロゲン値との間に有意な関係は見いだせなかった。
著者
福島 哉香
出版者
日経BP社
雑誌
日経トップリーダー
巻号頁・発行日
no.405, pp.52-54, 2018-06

神奈川県内で回転寿司店「ジャンボおしどり寿司」を12店舗展開するエコー商事(横浜市)が4月2日、東京地方裁判所に民事再生の適用を申請した。負債総額は約15億円だった。何が問題だったのか。地元出身の人に尋ねると、ジャンボおしどり寿司は知名度があり、なじみ深いという。会社は破綻したとはいえ、店は営業を続けている。そこで記者は5月、平日と休日の午後1時半頃、日野本店(横浜市)に行ってみた。平日の昼過ぎは全100席に対し、埋まっていたのは1割程度。一方、日曜日は、待合席も満席の混雑ぶりだった。
著者
五十嵐 博和
出版者
北関東医学会
雑誌
北関東医学 (ISSN:00231908)
巻号頁・発行日
vol.18, no.2, pp.99-150, 1968

群馬県一農村における第1次の腰痛アンケート調査によりみいだした腰痛者約600名より腰痛現症・既往の者男女計274名を抽出して, 腰痛による労働日数の損失及び腰痛時における支障の程度を観察し, 腰部X線所見と対比した.これらの結果より腰痛の程度及びそのdisabilityを判定評価した.<BR>1) 腰痛の持続日数は男女とも約5分の4は1週間以内である.1ヵ月以上常時と称するものは男女の約3分の1にみられる.<BR>2) 年間の腰痛日数は通算1週間以内は男女23.0%24.0%で, 4ヵ月以上年間におよぶもの男45.2%, 女35.3%で男に多い.<BR>3) 腰痛に関連した日常生活における支障の程度は年令とともに高度となる傾向がある.腰痛者の60才以上は男の歩行, 女の歩行と草むしりに支障の程度がより高い.一般に疹痛の大なるものほど日常生活におけるdisabjlityは高度である.<BR>4) 腰痛者の約60%は医療をうけていない.そのうち約半数は自宅療法をおこなっているが, 残りの半数は全然放置している.<BR>5) 受診者27A名のX線所見は変形性関節症男55.8%, 女3&2%でもっとも多く, 次いで骨粗癒症男19.2%女265%である.椎間板に異常のあるもの男6.7%, 女7.6%, またX線所見のないものは男17.3%, 女29.4%である.<BR>6) 労働年数が多くなるに従って変形性関節症が高度となるが, 年令因子を除外出来ない.<BR>7) 高令者ほど骨に所見を有するものが多い.男女とも若年者に骨に所見がなくともdjsabilityの高度なものがある.変形性関節症と骨粗霧症の病変度とdisabilityは必ずしも平行しない, 比較的若年に骨粗霧症の所見を有するものはdisabilityは高度になる傾向にある.女の50代は骨の所見の有無にかかわらずdisabiIityは比較的高度である.<BR>8) 一般に骨に所見のある場合の方が障害を訴えるものが多い傾向にある.但し高度の障害のあるものが必ずしも骨の所見の有無とは関係がない.<BR>以上のことより本調査地区における農村住民の腰痛症は日常生活の障害の大きいものに, むしろ骨所見がみられず, 労働過重によっておこるいわゆる腰痛症が多いように考えられ, また労働過重によって骨の老化を早めているようにも推測される.また, 老人へと職域の拡大に伴って, 生理的現象に労働が拍車をかけることにより病変が進行する変形性関節症及び骨粗霧症が多いこと, さらに, 女の50代に腰痛愁訴が少なくない.これらのことより今後さらに労働条件, 食生活心理学上及び社会的機構からも, その要因を追究分析して, これを排除し, 農村の近代化とあいまって農村衛生の保全に尽すべきであろう.<BR>群馬県一農村で昭和39年5月の腰痛調査で発見した腰痛現症者, 既往者約600名より男91名女162名計253名を抽出して, 轡部, 大腿部後面, 足背部のいつれも両側の皮膚温を測定し, また右足関節部までを4℃の水に30秒浸し, 後にその皮膚温が1℃上昇に要する時間を計測して, 腰痛の有無, 冷えの有無との関連において, 以下の2.3の知見をえた.<BR>1 轡部, 大腿部後面, 足背部のいつれも両側皮膚温は50才頃より男女とも年令とともに上昇する傾向にある.<BR>2寒冷負荷に対する回復時間は男女とも年令とともに延長する傾向にある, 男がより著明である.<BR>3腰痛現症者は圧痛点, 筋硬結, 脊椎打痛, ラセーグ等の他覚症状の多いものほど男女とも回復時間は延長する傾向にある.<BR>4自覚的冷えを訴えるものは女の比較的若い年令層に多い.<BR>5 男女とも冷えを訴える群は然らざる群よりも腰痛者が多い.<BR>6 男女とも30才から59才までの冷えを訴える群では, 腰痛者の皮膚温は両側青部で腰痛のないものより0.1℃から0。4℃低下している。<BR>以上のことより群馬県西部における一農村住民の腰痛症には寒冷曝露とは無関係ではなく, 男女とも中年層に寒冷によって腰痛が誘発される傾向が窺われた.また女の50・40代に自覚的冷えの訴えが多い事実より今後女の冷え症及び婦人科的原因による腰痛を疫学的に解明する必要がある.
著者
島田 玲子 山口 真希 木村 靖子 川嶋 かほる
出版者
一般社団法人 日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.46, no.2, pp.114-120, 2013 (Released:2013-10-18)
参考文献数
21
被引用文献数
3

家庭内における味覚嗜好の伝承の実態を把握するため,4種に味付けしたひじき煮を用いて家族の嗜好の類似性を調査すると同時に,調査票による食生活調査を行った。69家族,277名の回答を検討した結果,おいしいと感じるひじき煮の親子間の一致率は,他人同士よりも高かったが,約半数の家庭では味覚嗜好が伝承していないことが判明した。嗜好の一致は,父子間,母子間ともに認められたが,母子間により強く認められた。三世帯同居家族内の親子の一致率は核家族内の一致率より低く,三世代同居家族の方が味覚嗜好が伝承しやすいとはいえないことが分かった。また,味覚嗜好が一致している親子と一致してない親子の食生活調査の結果を比較したところ,一致していない親子の方が市販の惣菜類への評価が高く,家庭外の味への慣れが,嗜好の伝承に負の影響を与えている可能性が示唆された。その他,味覚嗜好の自己評価や好きな食品などには,一致親子と不一致親子に差は見られなかった。
著者
きく子
出版者
日本幼稚園協會
雑誌
幼兒の教育
巻号頁・発行日
vol.28, no.11, pp.45, 1928-11
著者
古永 真一
出版者
首都大学東京
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2017-04-01

本申請研究では、これまでの申請者の研究成果をふまえつつ、バンド・デシネがフランス語圏においてどのように研究されてきたのかという問題について、記号論やナラトロジー、映画学、精神分析、社会学、さらにはアダプテーションやホロコーストといった重要なテーマによるバンド・デシネ研究を調査してその要諦を明らかにし、バンド・デシネ理論の多様な変遷を再構成することによって、マンガ研究やフランス文学研究におけるバンド・デシネ研究の意義を明らかにすべく調査を行った。具体的には、「ホロコーストとマンガ表現」、「バンド・デシネとアダプテーション」と題した二本の論文を執筆して発表した。
著者
木村 吉次
出版者
一般社団法人 日本体育学会
雑誌
日本体育学会大会予稿集
巻号頁・発行日
vol.67, pp.91_1, 2016

<p> 学校運動会の歴史的変遷を明らかにする上において学校運動会がアジア・太平洋戦争の戦前と戦後においてどのような変容を遂げたのかということがひとつの重要な関心事である。運動会は昭和の15年戦争の敗戦を境にして日本の政治的経済的社会的変化と教育体制の再編を経験する中で一時的には中断したこともあるが種々の課題をかかえながらも生きのびて今日にいたっている。本研究は、愛知県南設楽郡千郷(ちさと)尋常高等小学校の昭和6(1931)年から同30(1955)年までの運動会について考察した事例研究である。学校運動会の歴史は学校により地域によりさまざまな差異をもって展開しているので、これを単純に概括して把握することはできない。ここに事例研究をつかさねなければならない理由がある。本研究では千郷尋常高等小学校が「大運動会記録」綴に残した資料を分析し、それをさきに研究した愛知県大野尋常高等小学校や茨城県菅間小学校の事例と比較しながら小学校運動会の戦前と戦後の変容を考察した結果を報告する。</p>
出版者
龍南會
雑誌
龍南
巻号頁・発行日
no.176, pp.359-360, 1921-02-11
著者
三根谷 徹
出版者
The Linguistic Society of Japan
雑誌
言語研究 (ISSN:00243914)
巻号頁・発行日
vol.1965, no.48, pp.13-22, 1965-11-30 (Released:2013-05-23)
参考文献数
14

Though the terminology of the Yfin Ching has been widely used in the studies of Ancient Chinese, it is already proved that the phonemic system on which Yiin Cbing is based is not the same as that of Ancient Chinese, reconstructed through the study of fan-cb'ieb of Cb'ieb Yiin切韵.The writer estimates that Yiin Cbing is a reflex of the tradition of the Buddhists' circle that was different from the Confucianists' standard pronunciation. He attempts a solution of this problem by the peculiar correspondence of the tones in the Sino-Vietnamese as shown on p.16.
著者
早乙女 忠
出版者
一般財団法人 日本英文学会
雑誌
英文学研究 (ISSN:00393649)
巻号頁・発行日
vol.47, no.1, pp.29-39, 1970

In Shakespeare's sonnet 146, the poet, using the conventional means of distinguishing between soul and body, addresses his "poore soule" and tries to wake it up ("Then soule live thou upon thy servants losse .../Within be fed, without be rich no more"). We may say that this sonnet arises from the 'story' behind The Sonnets, even though it seems to have no direct relationship with it. For some reason he has to say, "Why dost thou pine within and suffer dearth/Painting thy outward walls so costlie gay?" (Italics mine) These lines are adapted from the Biblical passage in Matthew 23:27, (according to The Bishops' Bible)" Woe unto you Scribes and Pharisees hypocrites, for yee are like unto painted (AV whited) sepulchres, which indeed appeare beautiful outward, but are within ful of dead mens bones, and of all filthinesse (AV uncleanness)." Shakespeare blames his soul emphatically by introducing Christ's denunciation of hypocrisy in his verse. Although sonnet 146 consists in the process of such self-criticism and tragically determined resolution, it is free from any curse upon the body which is found in sonnet 129. The first two quatrains consist of four interrogative sentences and each sentence is shortened one by one (the first is four lines long, the second two, the third one and a half, and the fourth half). At first the poet reasons fully and lastly asks a pointblank question somewhat ironically. The third quatrain is in the imperative mood. Its style is plain, forthright and proverbial and forms an antithesis like "Within be fed, without be rich no more." And Shakespeare concludes the poetic doctrine of 'salvation without the Saviour' by remarking in the last couplet "So shalt thou feed on death, that feeds on men,/And death once dead, ther's no more dying then." Sir Walter Ralegh's "The Lie" is another example of the poetry of resolution based on the Platonic principle. The determination and self-persuastion in the first and last stanzas make the cynical and radical cry of the main part of this poem sound pathetic and real. Moreover, "Grow rich in that which never taketh rust:/What ever fades, but fading pleasure brings," the third and fourth lines of Sir Philip Sidney's Plantonic poem, beginning with "Leave me o Love," are also the expression of the poet who determines to live afresh. (We may point to the verbal similarity between Sidney's poem and Shakespeare's sonnet 146.) Fulke Greville and John Donne write extraordinary poems of determination based on Christian-Platonic doctrine. The poetic elevation generated by the Neoplatonic idea in Milton's early peoms is seen in one of his great epic. Compare "the deep trnsported mind may soare/Above the wheeling poles, and at Heav'ns dore/Look in ...' in "At a Vacation Exercise in the College" with "my adventrous Song,/That with no middle flight intends to soar/Above th' Aonian Mount ..." in Paradise Lost. The latter shows his literary ambition-the writing of the Christianized epic-and is, as is shown, based on the youthful passion for Platonism apparent in the former. A common theme of the antithesis between soul and body was, in short, brought to life by the poetic structure of determination. On the other hand, by Milton and even a poet like Marvell the same poetry of aspiration was written with their variation.