著者
岩崎 賢
出版者
日本宗教学会
雑誌
宗教研究 (ISSN:03873293)
巻号頁・発行日
vol.77, no.3, pp.679-702, 2003-12-30 (Released:2017-07-14)

本稿の目的は古代アステカ人の宗教伝統の中心的要素である人身供犠に関して、宗教学的視点から新たな解釈を行い、従来と異なるより適当なアステカ宗教像を提示することにある。メキシコの歴史家アルフォンソ・カソの議論以来、研究者はアステカ人の供犠の説明として、アステカ人の神話に基づいて、彼らは人間の体を食料として捧げることで守護神である太陽神に活力を与え養おうとした、という説を採用してきた。しかし近年のいくつかの考古学的発見により、このような「太陽神の食事」式の説明はもはや支持し得ないものとなってきている。実際、この儀礼はいわゆる原初巨人解体神話という神話的主題、および建築儀礼との関連において理解されるべきである。筆者はここで「食べる」と「建てる」という二つの概念を鍵として、アステカ宗教と供犠の新たな理解のあり方を探りたいと考えている。
著者
九後 汰一郎
出版者
素粒子論グループ 素粒子論研究 編集部
雑誌
素粒子論研究 (ISSN:03711838)
巻号頁・発行日
vol.110, no.3, pp.C22-C35, 2004-12-20 (Released:2017-10-02)

今年2004年はYang-Millsの記念すべき論文が発表されてから50年になる。この機会にゲージ理論の発展の歴史を振り返り、ゲージ理論をめぐっての考察を行う。
著者
宗岡 克政 井川 真理子 栗原 典子 木田 次朗 三上 智子 石原 勇 内田 淳子 塩屋 桐子 内田 直 平澤 秀人
出版者
一般社団法人 日本老年医学会
雑誌
日本老年医学会雑誌 (ISSN:03009173)
巻号頁・発行日
vol.45, no.5, pp.511-519, 2008 (Released:2008-12-05)
参考文献数
33
被引用文献数
2 6

目的:紫色蓄尿バッグ症候群(PUBS)は膀胱留置カテーテル使用中に蓄尿バッグが紫色に着色する病態である.便秘と関連したトリプトファン代謝異常と尿路内細菌増殖によるアルカリ環境下でのインジゴ生成が,発現機序として提唱されている(トリプトファン―インジゴ仮説)が,PUBSの発生状況や発生機序に関して,さらなる検討が必要であると思われた.方法:認知症病棟において発生した6例(男性3例,女性3例)のPUBSに対して生化学的,細菌学的検査を行い発現機序について検討した.結果:経過中3例で抗生剤使用後に,1例で自然経過中にPUBSの消失がみられた.全例で慢性の便秘がみられた.1例は経口食物摂取不能例での発生であった.PUBS発生中の6例のうち,アルカリ尿が4例で,尿中インジカン陽性が4例(うち擬陽性1例)でみられた.PUBS消失後,4例の尿pHはすべて中性化し,尿インジカンは陰性化した.一方,尿細菌培養結果では,PUBS発生中にEnterococcus faecalisがMorganella morganni(3例),Pseudomonas aeruginosa(1例)とともに検出されたほか,Klebsiella pneumoniaeとCitrobacter属の単独感染がみられた.PUBS消失後では検出菌種は変化したが,無菌化した例はなかった.アミノ酸値では,トリプトファン値に一定の傾向がみられなかった一方,血中および尿中α-アミノ-n-酪酸値がPUBS消失後の4例全例で減少していた.PUBS自然消失例では,血中タンパクの増加がみられた.また,尿中インジカン定性結果,尿pHおよびアミノ酸値は,新鮮尿とバッグ内尿で差異がみられた.結論:今回みられた所見は「トリプトファン―インジゴ仮説」を支持するものであったが,矛盾する結果も少なからずみられ,当該仮説では説明のつかない病態のあることが示唆された.また,あらたに注目すべき点として,一定の菌の常在化,α-アミノ-n-酪酸の代謝およびタンパク合成能低下がPUBS発生要因として示唆された.
著者
早川隆著
出版者
角川書店
巻号頁・発行日
1983
著者
井村 隆介
出版者
日本地球惑星科学連合
雑誌
日本地球惑星科学連合2018年大会
巻号頁・発行日
2018-03-14

住民への聞き取り調査によって,奄美大島における1960年チリ地震津波波高を明らかにした.奄美大島では情報の得られたすべての地域で1m以上の津波があったことがわかった.奄美大島本島の南西部や西部の沿岸においても奄美大島本島北部地域同様に3m-4mの津波があったこと,奄美大島南部の加計呂麻島俵で最大波高を記録していたこと,が新たに明らかになった.

3 0 0 0 OA 官報

著者
大蔵省印刷局 [編]
出版者
日本マイクロ写真
巻号頁・発行日
vol.1886年03月17日, 1886-03-17
著者
鍋島 憲司
出版者
東京大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2007

人々が都市で活動を行う結果,交通量が多く危険が発生しやすい地点というものが存在する.そのような地点を発見する手法を,実際の交通条件を反映した都市モデルと,マルチエージェントシステムと呼ばれるアルゴリズムを利用することによって開発した.また開発した手法を建築空間に応用し,どのような平面形状でパニックが発生しやすいのかを明らかにする評価手法を確立する必要がある.そのための基礎的研究を行った.
著者
大和田 建樹[作詞]
出版者
コロムビア(戦前)
巻号頁・発行日
1943-06
著者
小倉 剛 大塚 愛 川島 由次 本郷 富士弥 上地 俊徳 織田 銑一
出版者
日本野生動物医学会
雑誌
日本野生動物医学会誌 (ISSN:13426133)
巻号頁・発行日
vol.5, no.2, pp.149-155, 2000 (Released:2018-05-05)
参考文献数
21
被引用文献数
1

ジャワマングースの肛門傍洞内容物を用いた効果的な捕獲方法を検討するために, 肛門傍洞の形態の観察と肛門傍洞内容物に含まれる揮発性脂肪酸の同定を行った。本種の肛門傍洞の導管は, 肛門管皮帯内側に開口していた。肛門傍洞の分泌物貯留部は, 肛門管の左右に位置し, 直径は5mm程度で, 貯留部の一側の重量は平均約10mg/100g BWであった。組織学的には, 脂腺と考えられる発達した房状全分泌腺と, 観察頻度は極めて低かったが管状のアポクリン腺が肛門傍洞の周囲に観察された。肛門傍洞の内容物からは, 酢酸, プロピオン酸, イソ酪酸, 酪酸, イソ吉草酸および吉草酸の6種類の揮発性脂肪酸が同定された。また, 数種類の同定できなかったピークが存在した。雄の6種類の揮発性脂肪酸の構成比には一定の傾向が認められなかったが, 雌では酢酸が高い構成比を示し, イソ酪酸と吉草酸は低い構成比を示した。これらの傾向は, フィジーに移入された同種と類似していた。他の食肉目と比較した場合, 種特異的な揮発性脂肪酸は同定できなかった。今後, ジャワマングースの捕獲にこれらの成分を応用するためには, 未同定揮発性脂肪酸の同定と主要揮発性脂肪酸の季節や個体成長に伴う消長を把握する必要がある。

7 0 0 0 OA 甲陽軍鑑 19巻

著者
高坂弾正 [著]
巻号頁・発行日
vol.[8], 1000
著者
柴崎 秀子
出版者
公益社団法人 日本語教育学会
雑誌
日本語教育 (ISSN:03894037)
巻号頁・発行日
vol.158, pp.49-65, 2014 (Released:2017-02-17)
参考文献数
20

本稿では,まず,リーダビリティー研究が始まった背景とその定義について紹介し,次に,リーダビリティーを測定するツールの使い方と内容を説明した。さらに,リーダビリティー研究成果の国内外における応用例を挙げ,日本語教育においては日本語能力試験を土台にしたリーダビリティー研究の可能性があることを論じた。同時に,リーダビリティー研究はテキスト要因のみを対象とするものであり,守備範囲には限界があることも加えた。最後に,今後の可能性として,新たなリーダビリティー判定式の構築よりも,社会的応用に着目すべきであることを述べた。

7 0 0 0 OA 塩尻 : 随筆

著者
天野信景 著
出版者
帝国書院
巻号頁・発行日
vol.上, 1907
著者
三宅 弘一 島田 隆
出版者
日本医科大学医学会
雑誌
日本医科大学医学会雑誌 (ISSN:13498975)
巻号頁・発行日
vol.8, no.2, pp.150-156, 2012 (Released:2012-05-30)
参考文献数
10

Viral vectors are powerful tools for gene delivery and expression both in vitro and in vivo. Recently, many types of viral vectors have become commercially available and are easily used. It is important to choose appropriate viral vectors according to target cells and organs. In this technical note, we describe the characteristics of viral vectors and how to choose the appropriate viral vector to transduce target cells in vitro.