著者
原田 啓一郎
出版者
九州大学
雑誌
法政研究 (ISSN:03872882)
巻号頁・発行日
vol.65, no.1, pp.271-283, 1998-07-21
著者
嶋内 佐絵
出版者
THE JAPAN SOCIETY OF EDUCATIONAL SOCIOLOGY
雑誌
教育社会学研究 (ISSN:03873145)
巻号頁・発行日
vol.94, pp.303-324, 2014
被引用文献数
1

本研究の目的は,日本と韓国の高等教育における英語プログラムへの留学に関し,先行研究による国家的枠組や経済的視点を中心としたプッシュ・プル要因が提示できなかった留学動機を明らかにし,東アジア地域における新しい留学の形を留学生の視点から描き出すことである。研究方法として,日韓の名門国私立大学における9つの英語プログラムで,東アジア諸国からの正規留学生への質的調査を行い,その留学動機と留学の要因を多面的に探った。インタビュー分析の結果,留学に至るまでの要因は,既存の国家の枠組を基本にしたプッシュ・プル要因だけでなく,西洋英語圏における高等教育の優位性に基づくセカンドチャンス型やステッピングストーン型の要因など,分析枠組における「西洋英語圏」との比較軸の必要性が示唆された。また,国際化したキャンパスや事前の留学経験の中で生まれた人々とのつながりなど,ナショナルプッシュ・プル要因の多様化が見られた。さらに,これらの英語プログラムが「地域」という留学空間を含有していることでリージョナルなプル要因が生まれ,高等教育の地域化と「東アジア周遊」という新しい留学の形をもたらしていることも示唆された。このような留学生移動と多様化する留学動機を踏まえ,日韓の英語プログラムがどのようにしてその魅力を打ち出し,留学生を惹き付けて行くことができるのか,さらなる研究と議論が望まれる。
著者
片川 久美子 小林 淳子
出版者
日本地域看護学会
雑誌
日本地域看護学会誌 (ISSN:13469657)
巻号頁・発行日
vol.8, no.1, pp.5-12, 2005-09-15
被引用文献数
1

本研究の目的は,Donabedianによる質の評価とサービス・マネジメント論の枠組みに基づいて乳幼児健診に対する母親の満足感に関連する要因を検討することである.対象は,Y県内7市で乳幼児健診を利用した母親1,812名で,質問紙調査を実施した.調査項目は,基本属性,健診結果の評価(総合的な満足感,健診への期待に対する満足感と期待の差(S-E),健診への推薦度),健診過程の評価(肯定的な関わり,否定的な関わり),健診構造の評価(全体的な会場の環境,診察・相談の環境,健診の設定)である.「健診結果の評価」を従属変数としてパス解析を行った結果,母親の「総合的な満足感」が高まる要因は,母親の体調が良いこと,「健診結果の評価」に含まれる「S-E」得点が高いこと,「健診構造の評価」に含まれる「健診の設定」,「診察・相談の環境」の評価が良いこと,「健診過程の評価」に含まれる「肯定的な関わり」があること,「否定的な関わり」がないことであった.「S-E」得点が高まる要因は,第2子以降の健診であることや「全体的な会場の環境」の評価が良いこと,「否定的な関わり」がないことであった.「健診への推薦度」に影響する要因は,「総合的な満足感」であり,「S-E」は影響していなかった.「総合的な満足感」を軸として,母親それぞれの健診への目的が達成されたかどうかということや,健診構造,健診過程の側面から評価していくことが,健診利用後の満足感を評価する指標となる可能性が示唆された.
著者
榎本 亮子
出版者
北海道大学文学研究科
雑誌
研究論集 (ISSN:13470132)
巻号頁・発行日
vol.14, pp.15-36, 2014-12-20

本研究は,世界自然遺産小笠原諸島における生態系保全活動に関わる人々と動植物の関係性の変遷を追うことにより,保全の現場における「自然―文化」の協働のプロセスを描き出すことを目指すものである。小笠原諸島をはじめ生態系保全の現場では,しばしば「外来種」や「固有種」,「在来種」といった「種」の分類法に基づいて保全が行われる。本論は生物学的,生態学的にしばしば自明のものとされるこの「種」の概念に着目し,その曖昧さと生物分類上の恣意性を踏まえたうえで,「生態系」および「生態系保全の現場」をどう捉えるかについて論じた。その捉え方として提示したのが,「自然―文化」の協働のプロセスとして現場を捉える視点である。生態系保全の現場では,人間は自らを含む生態系のなかで対話的に認識を得ながら実践を進めていく。そこで生まれる関係性は,保護や駆除の対象とした「種」で境界づけられた動植物との関係性だけではない。人間は,生態系という個々の生物たちのあいだで絡み合う複雑な関係性の網の目に,予期せず埋め込まれていく。個々の人間と動植物が,生態系保全の実践を通して「自然―文化」の直接的な関わり合いの中で出会い,多様な関係性を築くことによって,現場では,ときには「種」の枠組みを越えた認識と関係性が生まれ,ときには自然遺産登録された小笠原諸島の地理的な境界を越えた「生態系」の広がりを見せる。このような生態系保全の現場は,「自然―文化」のハイブリッドであり,多様な「自然―文化」が織りなす協働のプロセスである。また,小笠原諸島は遺産現場でもある。「自然―文化」が協働で現場をつくり変化することを前提とした,「自然―文化」の協働のプロセスという考え方は,自然遺産か文化遺産かの区別なく遺産現場を捉え得る「リビングヘリテージ」の観点に通じるものである。この観点から自然遺産現場である小笠原諸島を捉えると,小笠原諸島もまた,「リビングヘリテージ」の側面を持っているといえよう。

13 0 0 0 文献継承

著者
金沢文圃閣 [編]
出版者
金沢文圃閣
巻号頁・発行日
1999
著者
TSENG Fu-Min PETRIE Dennis LEON-GONZALEZ Roberto
出版者
GRIPS Policy Research Center
雑誌
GRIPS Discussion Papers
巻号頁・発行日
vol.14, 2014-09

経済学 / EconomicsBereavement is a grieved and inevitable event in our life. For an aging society, the incidence of spousal bereavement and parental bereavement is higher than the other kinds of bereavement events. This study employs the difference-in-differences (DiD) strategy and the Taiwanese panel Survey of Health and Living Status of the Elderly (SHLSE) to evaluate the impact of losing a spouse on well-being measured by self-assessed health status, depression, and life satisfaction.The results show that spousal bereavement causes substantial depression and loss in life satisfaction. The spousal bereavement impact increases depression by 1.46 CES-D points and reduces life satisfaction by 0.71 points. The decay effect of time is not observed in this study. We also examine the demographic differences of the spousal bereavement impact and find that the gap in life satisfaction between the bereaved who received more than 9 years education and the bereaved who received 9 years or less is 1.43 points, which implies that spousal bereavement causes less impact on more educated people in terms of life satisfaction. The increase in depression for the bereaved in a larger household is smaller than that for those in a small household by 2.75 CES-D points but it is weakly significant.The self-reported health outcomes are the intermediate outcomes between spousal bereavement and societal costs such as healthcare utilisation and death. The association between self-reported health status and mortality and health utilization has been well documented by literature. Thus, our results also provide the policy insight that giving proper interventions on the onset of bereavement may cause less societal costs afterwards.http://www.grips.ac.jp/list/jp/facultyinfo/leon_gonzalez_roberto/
出版者
国立研究開発法人海洋研究開発機構
雑誌
JAMSTEC Report of Research and Development (ISSN:18801153)
巻号頁・発行日
vol.24, pp.21-22, 2017 (Released:2017-03-31)

2017年3月「JAMSTEC Report of Research and Development (JAMSTEC-R)」では2017年4月から,投稿原稿の新たな種類として「データ論文」を設ける。データ論文とは,観測データ,測定データ,分析データ,計算シミュレーション結果等の公開データに関して,データの内容・取得方法・データ形式・アクセス情報等を記述したものであり,そのデータの分析,解釈,科学的結論を含まない論文と定義される.「JAMSTEC-R」では,海洋研究開発機構において研究・技術開発に携わる者が取得・作成した電子データ,または当機構の調査機器・研究設備等を利用して取得・作成した電子データに関するデータ論文を掲載する.同時に対象データのメタデータをJAMSTEC-Rデータリポジトリで公開する.読者はデータ論文を入り口にして対象データへアクセスすることができる仕組みとなっている.データ論文種類の新設にあたって,編集プロセスの課題を洗い出し,読者にデータ論文がどんなものかを示して執筆の助けにするため,JAMSTECの吉光淳子さん・大林政行さんに試行的なデータ論文の執筆・寄稿を依頼した.本号の「JAMSTEC-R」には,査読を経て採択されたデータ論文が掲載されている.今後のデータ論文執筆の参考にしてくだされば幸いである.2017年4月からのデータ論文の新設が,データ公開の促進やデータを生み出す研究者・技術者に対するインセンティブにつながり,オープンサイエンスに貢献することを期待している.末次 大輔JAMSTEC-R編集委員会委員長国立研究開発法人海洋研究開発機構

2 0 0 0 OA 軍事叢書

著者
滝本潔 著
出版者
滝本潔
巻号頁・発行日
vol.体育編, 1902
著者
相馬 拓也
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
E-journal GEO (ISSN:18808107)
巻号頁・発行日
vol.10, no.1, pp.99-114, 2015 (Released:2015-10-08)
参考文献数
30

モンゴル西部バヤン・ウルギー県では,イヌワシを用いて騎馬で出猟する「騎馬鷹狩猟」の伝統が数世紀にわたり伝えられてきた.しかし現在,イヌワシの飼育者は同県全域で100名を下回り,急激な観光化とともに伝統の知恵と技法の喪失に直面する文化変容の過渡期にある.本研究は長期滞在型のフィールドワークにもとづく「鷲使いの民族誌」「牧畜社会の現状」「鷹狩文化の持続性」などの,著者のこれまで得た知見を統合し,カザフの騎馬鷹狩文化を保護・継承してゆくための脆弱性とレジリエンスについて考察した.その結果,騎馬鷹狩の成立条件には,(1) イヌワシの営巣環境の保全,(2) 牧畜生産性の向上,(3) 出猟習慣の継続,の実践が不可欠であることが浮かび上がった.騎馬鷹狩文化とは,「環境」「社会」「文化」が有機的に連結したハイブリッドな無形文化遺産であり,とくに牧畜社会の暮らしの文脈に成立の多くを依存する特質をあきらかにした.
著者
虫賀 幹華
出版者
JAPANESE ASSOCIATION FOR SOUTH ASIAN STUDIES
雑誌
南アジア研究 (ISSN:09155643)
巻号頁・発行日
vol.2014, no.26, pp.7-25, 2014

古代インドの祖先祭祀として理解されるシュラーッダおよび同儀礼で祀られるピトリたち<i>pitaraḥ</i>はそれぞれ「祖霊祭」「祖霊」と訳されてきたが、それらの概念が十分に考察されているとは言いがたい。本稿では、紀元前3世紀から後3世紀頃にかけて編纂されたスートラ文献およびその補遺文献のうち、シュラーッダに関する記述を収録している28のサンスクリット語文献を選び、祖霊という語で曖昧にされてきたシュラーッダの対象を具体的に提示した。時代が下るにつれ、「ピトリたち」すなわち〈父・父方の祖父・父方の曾祖父〉だけでなく、彼らの〈妻たち(母・父方の祖母・父方の曾祖母)〉、〈母方の祖父たちとその妻たち(母方の祖父母・母方の曾祖父母・母方の高祖父母)〉も祭祀対象として規定されたことが明らかとなった。本稿の後半では、母方親族への祭祀の発展過程を示し、それと「指定女の息子<i>putrikāputra</i>」の義務との関連性を仮説的に提示した。
著者
長谷川 秀 寺崎 修司 大田 和貴 植田 裕 伊東山 剛 三浦 正毅
出版者
一般社団法人 日本脳卒中学会
雑誌
脳卒中 (ISSN:09120726)
巻号頁・発行日
vol.39, no.2, pp.107-112, 2017 (Released:2017-03-24)
参考文献数
9

当院における動脈瘤性くも膜下出血(SAH)患者の予後と在宅復帰率の現状について検討した.2010 年1 月から2013 年12 月までに当院に搬送されたSAH 患者253 名のうち,当院で外科治療を行った183 名を対象とした.臨床データは熊本型脳卒中連携クリティカルパスから得た.年齢は中央値64 歳,女性はそのうちの70%だった.入院時のWFNS グレードはI–III が72.7%で,Fisher CT 分類はグループ3 が86.3%を占めていた.症候性脳血管攣縮は19.9%にみられ,16.6%は脳梗塞に陥った.GR とMD は73.2%で,在宅復帰率は73.1%だった.在宅復帰に関して,80 歳以上,WFNS グレード,症候性脳血管攣縮,脳梗塞,水頭症が独立した決定因子であった.在宅復帰率に影響を与える脳血管攣縮,脳梗塞,水頭症に対する急性期病院での集学的治療と継続的な回復期リハビリテーションが重要と考えられた.
出版者
日経BP社
雑誌
日経ベンチャ- (ISSN:02896516)
巻号頁・発行日
no.201, pp.56-58, 2001-06

ンションの入口に設置し、宅配便などで届いた荷物を一時的に保管する宅配ロッカー。五年ほど前から、新築の分譲マンションのほとんどに設置されるようになってきた。 宅配業者は、配達先の住人が不 在とわかると宅配ロッカーに荷物を預け、配達状を郵便受けに入れておく。帰宅後、配達状を見た住人が、ロッカーを開けて荷物を取り出すという仕組みだ。

2 0 0 0 OA 源平盛衰記

出版者
藤本久兵衛
巻号頁・発行日
vol.巻9-10, 1600