- 著者
-
前谷 文美
寺村 誠
山崎 昌仁
大谷 昌之
- 出版者
- 日本家畜臨床学会 ・ 大動物臨床研究会
- 雑誌
- 産業動物臨床医学雑誌 (ISSN:1884684X)
- 巻号頁・発行日
- vol.6, no.1, pp.11-13, 2015-07-31 (Released:2015-12-02)
- 参考文献数
- 17
二重エネルギーエックス線吸収測定法(Dual-energy X ray absorptiometry;DXA)にてホルスタイン種育成雌牛(n=3)の骨密度を測定した.測定部位は尾椎とし,測定機器はDCS-600EXV(日立アロカメディカル,東京)を使用した.測定した全尾椎を1椎毎に箱形関心領域(region of interest;ROI)解析し,骨密度を算出した.その骨密度の最高値を採用し,日齢との関係性を調べた.また各個体で,骨密度を測定した全尾椎の中から無作為に2椎を選び,近位骨と遠位骨で骨密度を比較した.尾椎の骨密度は日齢とともに増加し,また近位骨の骨密度は遠位骨に比べて高かった.本研究ではDXA法を用いたホルスタイン種育成雌牛における尾椎の骨密度の測定によって日齢の進行に伴い,尾椎の骨密度が増加した.また尾椎は,ヒト用のDXA測定機器に対する牛の大きさなど生体面で制限を受ける場合が少なく,育成牛だけに限らず,成乳牛でも測定できる可能性がある.しかし同一個体の尾椎でも遠近差により骨密度の相違がみられる傾向がある点から,DXA法を用いて尾椎の骨密度を測定する時は何番目の尾椎を測定に用いるかを統一しなければならないと考えられた.