著者
岩崎 允胤
出版者
日本哲学会
雑誌
哲学 (ISSN:03873358)
巻号頁・発行日
vol.1958, no.8, pp.58-69, 1958-03-31 (Released:2009-07-23)
参考文献数
26

均衡は哲学的カテゴリーであるから、その内容を普遍的に把握するとともに、真理性の限界を正しく認識せねばならぬ.たとえば、力学的概念を一般化したり、これを絶対化してはならない.あとで述べるように, わたくしは、均衡は、客観的だが、相対的で、物質の弁証法的運動の一契機である.という見方が、基本的に正しいと考える.だが、均衡概念は、しばしば、これとは異った見方によって使われている.たとえば、ワルラス、パレートに始まる一般均衡理論の場合で、わが国においては、中山、東畑、高田氏らによってつとに導入され、経済学の一派を形成しているものである.他方、均衡概念は、かつて、マルクス主義の修正という形で、ボグダーノブ、とくにブハーリンによって援用された.わたくしは、これらの理論における均衡概念を検討し、両理論の連関も考えてみたい.その検討の結果、いずれの均衡論においても、力学的概念の一般化と、絶対化がおこなわれていることが明らかとなり、マッハ主義との結び付きも示されるだろう.さいごに、均衡概念をどのように把握するのが正しいか、について簡単にでも考察してみよう.
著者
一門 惠子 住尾 和美 安部 博史
出版者
九州ルーテル学院大学
雑誌
紀要visio : research reports (ISSN:13432133)
巻号頁・発行日
vol.37, pp.1-7, 2008-07

軽度発達障害を持つ者は、環境刺激の処理、コミュニケーション、微細運動を含む様々な運動における一次的な障害や、それらより派生する二次的な障害により、学校および日常において様々な困難さを抱きながら生活を送っていると考えられている。彼らは、学業、日常動作や様々な課題において、他者よりも多くの努力や時間を必要とし、結果的に失敗に終わってしまうことも少なくない。このような経験を積み重ねることで、様々な課題に対して苦手意識を持ってしまったり、意欲の低下から課題に取り組むこと自体を避けてしまったりするような場合すらある。このような課題への取り組みを避ける行動傾向が、結果的に潜在的な発達の機会を逃してしまい、悪循環のプロセスを辿ることも容易に推測される。学校や日常における課題に対する自己効力感の低下や、他者から低い評価を下されることに起因する自己受容の難しさなどが、自尊感情の低さに繋がっていることが想像される。これまで、障害をもつ児童の自尊感情についての検討としては、吃音児において、吃音を受容できずにやりたいことをあきらめたり、話す場面を避けたりするなどの社会的不適応を示している児童が自尊感情の低下を抱えているという報告がある(Van Riper、1971)。また、太田らは、吃音児の自尊感情の因子構造が、非吃音児のそれとは異なっていることを明らかにしている(太田・長澤、2004)。一方、軽度発達障害を持つ者の自尊感情に関する検討は、軽度発達障害という概念そのものの歴史が浅いこともあるためか、極めて少ない状況にある。例えば、松本らはADHD傾向の高い児童が、そうではない児童に比べ自尊感情が低いことを報告している(松本・山崎、2006)。ADHD傾向を持つ者の自尊感情の低下を報告する同様の報告が存在する(下津・井筒ら、2006;鈴木・中野、2002)一方で、健常児と有意な差はないことも報告されている(増田・福原ら、1998)。このように、ADHDを持つ者における自尊感情に関する検討はその数も少ないほか、一致した見解が得られていない現状がある。さらに、ADHD以外の軽度発達障害を持つ者を対象とした研究状況は、ADHDを持つ者を対象にした研究とほぼ同様かそれよりも貧弱である。そこで本研究では、軽度発達障害をもつ児童、生徒および学生の自尊感情と自己効力感について検討することを目的とした。具体的には、自尊感情尺度(太田・長澤、2004)と熊大式コンピタンス尺度(篠原・勝俣、2000)を用いて、(1)軽度発達障害群(注意欠陥・多動性障害をはじめ、高機能自閉症、アスペルガー症候群、学習障害を持つ者)における自尊感情・自己効力感の様相および、(2)軽度発達障害群と対照群の間にどのような異同が認められるかを吟味した。
著者
青葉学人 著
出版者
大同館書店
巻号頁・発行日
1935
著者
ロールベツク 著
出版者
偕行社本部
巻号頁・発行日
vol.上巻, 1920
著者
三木 大史 河野 俊寛
出版者
四條畷学園短期大学
雑誌
四條畷学園短期大学紀要 (ISSN:18811043)
巻号頁・発行日
vol.47, pp.26-30, 2014-05

言語の発達に遅れがない自閉症者と定型発達者の間でコミュニケーションが成り立つ場合と成り立たない場合の違いについて、その論理の違いを説明するため、数理論理学の手法を用いた数理モデルを提示する。自閉症者と定型発達者の間のコミュニケーションの実例を挙げて、双方の論理を構築した数理モデルの枠組みで具体的に説明する。コミュニケーションが成り立つ場合と成り立たない場合が起こるのは、双方の論理から導かれる理論の相違によるものであり、それは状況と言語の間の関係から生じるものである。このことを利用することによって、両者のコミュニケーション成立のための具体的な方法を説明でき、またその新たな方法を考えることができることを明らかにする。
著者
勝方=稲福 恵子
出版者
[出版者不明]
巻号頁・発行日
2012-09

制度:新 ; 報告番号:乙2379号 ; 学位の種類:博士(学術) ; 授与年月日:2013/1/21 ; 早大学位記番号:新6253
著者
植松 すみれ 松崎 拓也 花岡 洋輝 宮尾 祐介 美馬 秀樹
出版者
人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 (ISSN:13479881)
巻号頁・発行日
vol.27, 2013

語彙化文法に基づいた日本語の構文・意味解析器を実現するために、コーパスを基に大規模な日本語文法を開発する手法を示す。日本語の構文情報付きコーパスは係り受け形式が多くそのまま語彙化文法開発には適用できないが、本手法では京大コーパス並びに関連するコーパスの情報を統合、再解釈して語彙化文法に基づく構文コーパスを構成し、日本語文法を獲得する。また実際に獲得した文法を解析に用いた際の精度により評価を行う。
出版者
日経BP社
雑誌
日経コンストラクション (ISSN:09153470)
巻号頁・発行日
no.413, pp.76-77, 2006-12-08

労災事故があった場合,建設会社などの事業者は「労働者死傷病報告」を労働基準監督署長に提出しなければならない。この報告書を故意に提出しなかったり,虚偽の内容を記載して提出するなどの報告義務違反が,いわゆる「労災隠し」だ。 報告義務違反による送検件数の推移は下のグラフの通り。建設業が全体の7割程度を占め,最近では下表のような労災隠しが発覚している。
著者
三島 わかな 長嶺亮子
出版者
沖縄県立芸術大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2012-04-01

沖縄県内の聴取の実態を明らかにした。1935年以降に受信機が普及した背景には、安定価格で高性能の受信機の供給があった。この時期、小学校では受信機の設置が顕著で、とくに離島では南洋・台湾・関西へ移住した卒業生からの創立記念品として寄附された。1930年代のネットワーク化を背景に各中央放送局が当地を題材とした番組を制作し、台湾放送協会も同様の流れにあった。地域の人材および地域の文化を発掘・振興したという点で放送局は一大拠点と言える。主要コンテンツ「子供の時間」に着目し、児童劇脚本の分析を行なった。そこでは内地・外地ともに地域の伝統が題材となり、唱歌や国民歌謡等の多様な楽種が放送劇で使用された。