著者
葦名 ふみ
出版者
国文学研究資料館
雑誌
国文学研究資料館紀要 = The Bulletin of The National Institure of Japanese Literature Archival Studies (ISSN:18802249)
巻号頁・発行日
no.04, pp.39-81, 2008-01-20

本稿は写真資料の管理と史料認識について<「憲政資料」(国立国会図書館憲政資料室)のなかの写真>を素材に検討するものである。この際、個人資料/文書(もんじよ)を中核とする、という「憲政資料」の性格に特に注意を払う。アーカイブズ界が直面している「多様な資料に同時に向き合いつつ、個別資料の特性を生かす」という問題に「憲政資料/写真」の事例から接近することが本稿の目的となる。前半(1章)では、収集/整理/目録記述などの過程に即して、管理面の課題を検討する。その上で「憲政資料」中写真には、アーカイブズ情報が豊富に含まれているが、憲政資料室の管理(特に目録記述)においては、この種の情報が十分に表現されてこなかったと指摘する。一方、後半(2章)では、史料認識面に着目する。具体的には幕末・明治期のカルト・ド・ヴィジットや肖像写真の「授受」のありようを、当室所蔵資料(写真や書簡)を用いて紹介する。以上の検討から①「憲政資料」(ひいては個人資料)からも、写真の来歴(授受、保管など)の情報が得られること、②そのような個性を生かすべく写真の管理を行う必要があることを提起する。また、憲政資料/写真の接点を探ることで得られた知見をどのように応用しうるかについても若干の展望を述べる。In this paper, the author surveys the characters of photographs as archives, and the archival information that they have, in the collections on modern Japanese political history (kensei-shiryo).The materials on modern Japanese political history held by the Kensei-shiryoshitsu,National Diet Library, consist of some 400 collections (estimated at 280,000 items) of personal papers of statesmen, Diet members, high-ranking civil and military officer's and others who played important roles from the end of the Edo Period to the present. These collections contain some 6,500 photographic prints (including albums) in total.The first half of this paper examines the archival processing of photographs, such as accession, arrangement, and archival description in the Modern Japanese Political History Materials Room. These photographs were collected together with other unpublished documents, including manuscripts, diaries, correspondence and memoranda. It is possible to get information on the history or context of the photographs.The latter half of this paper gives examples of some 750 “carte de visite'' photographs in the 19th century Japan, and analyzes the context and background of them: when and how statesmen, military officers, etc. exchanged their own portraits.However, the system of archival description in the Kensei-shiryoshitsu is rather simple and insufficient to describe the character of the photographic collection. Careful administration is needed to make the most of the characteristics of the photographs.
著者
川合 慧
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.24, no.4, 1983-04-15
著者
小林 浩子
出版者
羽陽学園短期大学
雑誌
羽陽学園短期大学紀要 = Bulletin of Uyo Gakuen College (ISSN:02873656)
巻号頁・発行日
vol.8, no.1, pp.31-37, 2007-02-01

本稿では、トリイ・ヘイデンのノンフィクション小説『シーラという子』の続編ともいえる作品『タイガーと呼ばれた子』を取り上げ、被虐待児に対するより良い教育方法を模索する。この作品では、小学校の特殊学級担任時代に教師として教育にかかわった、問題児であり被虐待児シーラと数年後に再会したトリイが、自らの「癒しの教育」がシーラに与えた影響の大きさと、それがトリイのクラスを卒業した後のシーラ自身に必ずしも良い影響を及ぼしてはいなかったことを、そしてさらなるトラウマを与えていたことを、ティーンエイジャーとなったシーラから指摘され、衝撃を受ける。しかしながらトリイは、そのショックを受け止め、シーラとさらに関わりを持ち続けることで、二人が抱えるトラウマを再認識し、そのトラウマを乗り越える新たな「癒しの教育」を見つけ出す。その過程を、トラウマからの「リハビリテーション」と「ハビリテーション」の違いという視点から考察する。
著者
三上 奈緒 角田 均 梅原 稜 北谷 優典 田中 志子 工藤 雅世 小久保 温 坂田 令 坂本 知英
雑誌
第81回全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2019, no.1, pp.27-28, 2019-02-28

これまでの研究でゲーミフィケーションを用いた「大学生のための行動変容を促すシステム」「発達障害児童のための生活訓練アプリケーション」の開発と実証実験を行った。今年度はFacebookのようなSNS形式のグループ向け生活習慣管理アプリケーションを開発した。RESTフレームワークによるWebアプリケーションとして実装、協力企業の全社員を対象に健康増進キャンペーンの実証実験を行い、利用状況をもとに効果とユーザビリティを検証した。
著者
中尾 美知子
雑誌
岩手県立大学社会福祉学部紀要 = Bulletin of the Faculty of Social Welfare, Iwate Prefectural University (ISSN:13448528)
巻号頁・発行日
vol.12, no.2, pp.41-50, 2010-03-01

本稿は、韓国の流動する人口移動を概観し、国際結婚を具体事例として定着の実態と支援策を検証することを目的とする。送り出しと受け入れ両面から描き出した流動の様態からは、在外同胞の還流が特徴として浮かび上がった。他方、農村地帯の深部に日を転じれば、フィリピン、ベトナムからグァテマラに及ぶ10カ国以上の結婚移民者の暮らしが営まれる文字通りの「多文化社会」の現出を見出すことができる。これらの現状を踏まえて韓国政府は外国人政策の基本法「在韓外国人処遇基本法」を制定した。サービス伝達体系の中枢として「結婚移民者支援センター」が整備され、就労支援を始めとする定着支援が動き出している。
著者
野津 双葉 橋本 剛
雑誌
研究報告ゲーム情報学(GI) (ISSN:21888736)
巻号頁・発行日
vol.2019-GI-41, no.2, pp.1-8, 2019-03-01

近年,ヘッドマウントディスプレイ(以下HMD)を用いるコンテンツの普及が進んでいる.現在,HMDを用いた施設や番組など広く認知が進んでいるが,個人レベルでの普及はまだ浸透しておらず,ゲーム業界でもHMDの高コスト問題が挙げられている.そこで,開発コストの低い古典的2Dゲームに着目し,HMDを用いて360度視点のゲームに変更する研究を行ったところ,画面を拡大させて視界を制限することで面白くなることが明らかになった.視界の外を見るために頭を動かす必要性を生み出したことが面白さを増加させる要因の1つであると予測したが,どのような要素がどのような面白さにつながるかなど,まだ詳しい仕組みは明らかになっていない.本研究では,画面拡大に着目し,HMDゲームのより細かな要因について古典ゲーム「マッピー」を用いて調査を行った.これにより,2DゲームのHMDゲームリメイクなどにおいて,画面拡大の比率によってどのような印象を与えるか,指標を提案する.
著者
本間 晴樹
雑誌
研究紀要
巻号頁・発行日
vol.23, pp.73-87, 1999-12-20
著者
熊田 岐子 岡村 季光 オチャンテ カルロス
出版者
奈良学園大学
雑誌
奈良学園大学紀要 = Bulletin of Naragakuen University
巻号頁・発行日
vol.10, pp.55-61, 2019-03-10

本稿では、熊田・岡村(2018)で着目した「基本的自尊感情を育む共有体験」(近藤、2010)を応用し、英語スピーキングの共有体験に関する調査を行った。「自尊感情を育む共有体験」として、英語スピーキングを場面と定め、他者とのコミュニケーションにおける英語スピーキング不安を検証した。具体的には、ペアワーク、グループワーク、クラス発表を場面として設定した。考案した項目を因子分析した結果、ペアワーク、グループワークにおいては「肯定承認」、「安心」、「忌避」、クラス発表においては「肯定承認」、「不得意」の構造を見いだした。さらに、英語スピーキング不安、対人不安傾向、自尊感情、自己受容、他者受容との関連を検討し、他者からのフィードバックが得られるグループワークが有効である可能性が示唆された。今後の展望として、他者からのフィードバックとして、信頼する人、すなわち教師がすべきフィードバックについて検討することが課題として残された。
著者
作花 一志 江見 圭司
雑誌
研究報告コンピュータと教育(CE) (ISSN:21888930)
巻号頁・発行日
vol.2016-CE-134, no.20, pp.1-6, 2016-02-27

R プログラミングを用いた数値計算法について述べる.例として非線形方程式の解法,微分方程式の解法,3D 図形描画などを挙げる.
著者
近畿大学中央図書館
雑誌
図書館だより = Tosyokan Dayori
巻号頁・発行日
no.185, pp.1-4, 2021-05-10
著者
石黒 伊三雄 池野 武行 稲川 悠子 イシグロ イサオ イケノ タケユキ イナガワ ユウコ Isao Ishiguro Takeyuki Ikeno Yuko Inagawa
雑誌
岐阜藥科大學紀要 = The annual proceedings of Gifu College of Pharmacy
巻号頁・発行日
vol.19, pp.13-22, 1969-11-30

The general nutrient component , distribution of fructose and glucose , pH, acidity and rotatory in commercial honey of 25 kinds were investigated and compared with the values in the natural honey. The general components (water, sugar, fat, protein and ash) were determined by quantitative method . Contents of fat , protein and ash were less , but sugar was obtained most content as a majority component in honey , though the values lower than natural honey were also found in several cases . The ratio of fructose and glucose were found to be 0.95 to 1.18. It seemed that fructose content was a little higher than glucose, maltose and sorbitol as abnormal components were identified from a few material by paper chromatography. Experiments not only general components but also pH, acidity and rotatory were effective that the honey is natural or not.