出版者
国税解説協会
雑誌
旬刊国税解説速報 (ISSN:09122427)
巻号頁・発行日
vol.47, no.1717, pp.6-9, 2007-03-28
著者
長谷川 康弘 桝澤 美紀 桝澤 良和 小野寺 由香 古川 宇一
出版者
北海道教育大学
雑誌
情緒障害教育研究紀要 (ISSN:0287914X)
巻号頁・発行日
vol.18, pp.183-194, 1999-02-10
被引用文献数
2

本報告は,旭川市にある障害者地域共同作業所において,通所者の作業の一環として取り入れている乗馬活動を通して障害者は何を得たかを述べたものである。障害者の乗馬は,馬,障害を持つ乗り手,そして両者を理解する介助者の三者が揃って活動されるものである。特に障害児者を乗せる馬からは生きものと運動していることを馬の表情や動きから感じ取ることができ,馬にまたがる障害児者からは表情が生き生きとした笑顔に変わったり鼻歌が出たりといった心理的な変化を観察できた。また動物が苦手な障害児者が馬には触れることができたり,馬がきっかけで他の動物に興味を持ったりしている。そして馬の存在が障害のあるなしにかかわらずあらゆる人の交流のきっかけも作っている。
著者
桜井 裕也 高田 和典 室町 英治
出版者
物性研究刊行会
雑誌
物性研究 (ISSN:05252997)
巻号頁・発行日
vol.85, no.3, pp.307-328, 2005-12-20
被引用文献数
1

コバルト酸化物超伝導体Na_xCo0_2・yH_2Oの発見[1]は、幸いにして多くの研究者の関心を集め、超伝導機構解明のための研究が盛んに行われている。これは、当初から指摘されていたように[1,2]銅酸化物高温超伝導体との関連が注目されたためであるが、他方で、誰にでも簡単に合成できるということも、研究の活性化に一役買っているように見える。現在までに、超伝導機構の解明に向けて様々な実験が行われてきたが、残念ながら多くの矛盾した結果が報告されている。少なくともその原因の一端は試料の同定がしっかり出来ていないことにあると思われる。本物質の超伝導特性は組成に大きく依存するが、そのことを明確に押えた研究は多くない。簡単に作れてしまうがゆえに、条件を精密に制御して試料を合成することの重要性が十分に認識されなかったという側面があるのかもしれない。また、ソフト化学という超伝導研究ではなじみの薄い合成法が用いられたため、何が重要なパラメーターであるかという検討が必ずしも容易でなかったという面もあるかもしれない。本稿では「化学からみた物性物理」というシリーズタイトルに鑑みて、合成と組成の関係、組成と超伝導特性の関係に重点をおいて今までの研究を概観してみたい。
著者
金子 毅
出版者
日本文化人類学会
雑誌
文化人類学 (ISSN:13490648)
巻号頁・発行日
vol.69, no.4, pp.520-539, 2005-03-31

本稿は、日本の高度成長の形成という問題を、「安全第一(safety-first)」という近代的スローガンの実践と、雇用という状況が生み出す権力関係との関連に基づき、そこで育まれる言説の構築という観点から検討するものである。労務管理を目的に導入された「安全」理念の定着に当たっては労使間での葛藤が存在しており、それはとりわけ「殉職」という死の意味付けを争点としていた。労働災害という異常な死は労使間の権力関係によって規定され、その際、企業戦略として適用されたのが、殉職を自己判断がもたらしたリスクの結果と見なす労働省の提示する「安全」理念であった。これにより当初不確定な死は正当な労災という「殉職」として位置付けられるとともに、被災現場の記憶すら去勢された数値化、記号化された「無化された死」として処理される。そして、企業が設立した菩提寺での葬儀を経て、晴れて「殉職」と公認された人々は、さらに企業主催の「殉職者慰霊」において企業の永続性を保障する「祖先」としての地位を付与されることになった。そうした言説の虚構性を見抜いた労働者たちは、雇用者による「安全」実践のシステムを逆利用した対抗的な言説を編み出すことで、労組の戦術を展開するが、相次ぐ合理化はその活動を先細らせ、構成員自体を企業に従順な「企業戦士」へと変貌させた。昭和40年代に入ると当初、対抗のシンボルと目されていた「殉職者慰霊」へ代表者の参加が見られるようになったことは、労組内部にこのような本質的な変化が生じた証である。このことから、労使間のポリティクスが企業、あるいはそれを操る国家の論理に回収された点が指摘されよう。それはまさしく成長神話の暗部が取り払われ、安全神話として確立した瞬間でもあった。言い換えれば、企業理念を縁取り、高度成長という時代のけん引役を果たした「安全」の唱導は、国策による国民統合の一つの手段であったと見なされよう。
著者
谷井 俊仁
出版者
三重大学人文学部文化学科
雑誌
人文論叢 (ISSN:02897253)
巻号頁・発行日
no.22, pp.1-16, 2005

本稿は、清乾隆朝において出版がもった社会的権威について検討する。当時の出版に権威性が付与されたのは、非営利的な自費出版が主流だったからである。すなわち著者は、自らの威信のために出版し、人々も書籍は著者の人的権威の反映として理解した。そのような観点からすれば、当時の一大事業である四庫全書の纂修には、過去の書籍・著者の権威を、乾隆帝自らが格付けするという意味合いがあったことが理解される。論説 / Article
著者
遠山 義浩 杉山 拓 伊東 雅基 村井 宏 馬渕 正二
出版者
一般社団法人 日本脳卒中の外科学会
雑誌
脳卒中の外科 (ISSN:09145508)
巻号頁・発行日
vol.35, no.3, pp.174-180, 2007 (Released:2008-08-26)
参考文献数
21

We investigated the effect of sustained administration of intrathecal nicardipine, calcium antagonist, in 16 cases to prevent post-subarachnoid hemorrhage (SAH) vasospasm. Patients with SAH of Fisher CT Group 3 (15 cases) or Group 4 (1 case) underwent direct clipping surgery and the placement of the cisternal catheter. From 1-4 days after SAH onset, the nicardipine solution (0.09 mg/ml) was continuously injected through the cisternal catheter at the rate of 2 ml/h for 4-16 days. The vasospasm was evaluated from postoperative angiography performed 1 week after SAH onset. The ratios of diameter at internal carotid arteries (ICA) C1 portion, middle cerebral arteries (MCA) M1 portion and anterior cerebral arteries A1 portion were obtained from preoperative and post-operative angiograms. Mild localized vasospasm was observed in 5 cases. The ratios of diameter at C1, M1 and A1 were 1.15±0.19, 1.13±0.23 and 1.17±0.26, respectively. No symptomatic vasospasm was observed in any of the cases. These findings demonstrated that the vaso-dilative effect of nicardipine prevented the post SAH vasospasm of intracranial arteries at C1, M1 and A1. The mild angiographical vasospasm in the 5 cases was probably due to the insufficient delivery of nicardipine solution. Following the operative manipulation of the exposure of ICA and MCA with radical clot removal, administration of nicardipine solution through the catheter in the contralateral carotid cistern and draining from the catheter in ipsilateral sylvian cistern brought the widespread nicardipine delivery to peripheral arteries. Though further improvement of this method is required, sustained intrathecal administration of nicardipine effectively prevents vasospasm following SAH.
著者
新家 憲 郭 桂芬 近江谷 和彦 松田 従三 渋谷 義樹 張 会均
出版者
専修大学北海道短期大学
雑誌
環境科学研究所報告 (ISSN:13464736)
巻号頁・発行日
vol.11, pp.89-99, 2004-12-30

雨が夏季のみ集中して降る地帯において、夏に降った雨水を地下1mに貯水し、湿害を防ぐと同時に春の干ばつ期に、この水分を毛管水として作物が利用することを試みた。このため地下水層を人工的につくる機械を開発した。高圧空気によって地下に水平空洞(貯水槽)をつくる。ここに砂を充填して人工地下水層をつくる。本報では、この充填する砂の流体的、機械的特性を調べた。これらの値は、砂を充填する装置(サンドガン)の開発に必要である。主な結果は砂の土壌水分が0%から35%d.b.に増加すると、砂のみかけ密度は1250kgm^<-3>から1600kgm^<-1>に増加した。水分が無く乾燥している時は、粒子表面は粗く比表面積は3×10^4m^<-1>〜4×10^4m^<-1>であった。しかし水分が増加して、飽和状態になると、どの砂も比表面積は、ほぼ6×10^3m^<-1>〜9×10^3m^<-1>に減少した。水分が増加するにしたがって、どの砂も空気が流れ難くなって通気係数は減少した。飽和状態の通気係数は3種類の砂で異なった。中国の川砂は粗いため、最も抵抗が少なく、最低通気係数は4kgMPa^<-1>s^<-1>m^<-1>であった。つぎに日本の海砂が抵抗が小さく、3kgMPa^<-1>s^<-1>m^<-1>であった。豊浦標準砂は粒子が細かいため、通気抵抗が大きく、2kgMPa^<-1>s^<-1>m^<-1>であった。ある含水比で粘着力が最大となった。この含水比は3種類の砂で差はなく約10%d.b.であった。粘着力の最大値は3種類の砂で大きな差はなく、約8.0kPaであった。どの砂もある含水比で付着力も最大となった。この含水比は粘着力が最大となる値にほぼ等しく約10%d.b.であった。すべての砂は含水比が上ると内部摩擦角が大きくなり、一定値になった。この傾向は通常の土壌と大きく異なった。
著者
鈴木 松三
出版者
岡崎女子大学・岡崎女子短期大学
雑誌
研究紀要 (ISSN:09168400)
巻号頁・発行日
vol.39, pp.85-95, 2006-03-25

「…雪がどっさり降ったのです。その雪の上からお日様がキラキラと照らしていたので、雪は眩しいほどに反射していたのです。」南吉はこのような日本の原風景の中で、民話的なメルヘンの世界を描いている。そして、その風景の中で重荷を背負いながら歩んで行くという悲劇性を織り込んで展開させていく。ではいったい、その悲劇性であるモチーフはどこにあったのか、そのことを作品・日記から探ってみることにする。今回はその前編として、作品「帰郷」までを対象にすることとする。
著者
宮林 幸江
出版者
宮城大学
雑誌
宮城大学看護学部紀要 (ISSN:13440233)
巻号頁・発行日
vol.11, no.1, pp.33-42, 2008-03

人間は多分に科学者のような論理〜実証モードではなく、物語モードで生きているとするナラティブセラピーに注目し、言語化も文章化にもなかなか馴じまない死別経験者の人生観を木の葉、幹として、擬人化して語らせる形で生死観の確認を促し、その結果を確認することを本研究の目標とした。方法では、まず導入ストーリーを読み上げ、寓話allegoryの作成を依頼した。次いで書かれた記述の内容分析を行った。喪失の対象者は配偶者、子供、親の15人。死後経過平均1.6年(SD1.4)。死因は自殺3人。事故死1人、病死10人、不明(死産)1人であった。回答者の平均年齢は48.5歳(SD13.0)その結果、まず1。葉の思い(推測による故人の思い)として最多のコアカテゴリーは"残される者へ"と"絶望"で7割、幹の思い(遺族自身の思い)として最も多いのは、"悲しみ・孤独"と"思慕"でそれぞれが8割を越え、3.物語の展開(今後)は"再会"が6割強近く、記述では「また一つの木になろう」、「人は生まれ死んで行く」、「土に返る」、「ずっと一緒」など輪廻転生の考えを据え心の安定を図っていた。全体に逝った人々への心情を思いやり、自らの人生観をためらいなしに綴り、9割以上の参加者が、死生観をまとめあげることに成功していた。
著者
青木 宏之
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会誌 (ISSN:09135693)
巻号頁・発行日
vol.87, no.6, pp.465-470, 2004-06-01

複素ニューラルネットワークを自然画像など多値情報の処理に応用する例を紹介する.実数値モデルを複素数値化することにより,物理量として新たに位相情報を活用することが可能となる.本稿では画像を複素ニューラルネットワークに入力する際に前処理を行い,画像をフーリエ変換処理してから振幅情報を位相情報の中に埋め込み,画像を位相情報のみで表現し処理する.三つのタイプの複素ニューロンモデルを導入することにより,モデル全体を構成するニューロン数の削減や,画像フィルタ,自然画像の連想記憶装置等が容易に実現される.
著者
島田 隆次 市井 誠 早瀬 康裕 松下 誠 井上 克郎
出版者
情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告ソフトウェア工学(SE) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2008, no.112, pp.31-38, 2008-11-12

クラスやメソッドなどソフトウェアの構成要素であるソフトウェア部品を再利用することで,ソフトウェアの品質や生産性が向上するといわれている.開発者はソフトウェア部品検索システムを用いたキーワード検索により再利用可能なソフトウェア部品を得ることができる.しかしキーワード検索を用いた再利用には,開発者が意識しないと検索が行われないなどの問題点がある.それに対して,開発者の指示なしに自動的にソフトウェア部品を検索する手法が提案されているが,その手法では入出力仕様が完全に一致するものを検索するため,入出力仕様に変更を加えれば再利用できるような部品は発見できない.そこで本稿では,そのようなソフトウェア部品も検索できるソフトウェア部品の自動推薦手法を提案する.提案手法では,ソースコード中に数多く現れるコメントや識別子を利用し,自然言語に対する検索手法である LSI を応用して暖昧さを許容する検索を行うことで,多少の変更を加えれば再利用できるようなソフトウェア部品も推薦することができる.また,提案手法を実装したソフトウェア部品の自動推薦システムを作成した.Reusing software components like classes and modules improves software quality and productivity. Software developers often retrieve available components by keyword search using software component retrieval system. However the developers who will not search for components can not retrieve reusable components. To address this issue, software component retrieval technique without developer's instruction was proposed. However developers can not discover available components that need change using the technique because it searches components having same input and output specification to requested one. In this paper, we propose the automatic software component recommendation technique that can retrieve such software component. Proposed technique vaguely retrieves reusable components including the ones that requires small modification to reuse based on the LSI technique using comments and identifiers in source code. In addition, we have developed the automatic software component recommendation system that implements the proposed technique.
著者
松尾 大
出版者
美学会
雑誌
美學 (ISSN:05200962)
巻号頁・発行日
vol.29, no.3, 1978-12-30

Nach Cicero dient der Topos (locus) zur Erfindung der einer Sache (res) entsprechenden Gedanken und Worten. Er ist in zwei Arten eingeteilt, in die allgemeine Beweisformel (locus argumentorum) und in die mit Hilfe der ersten erfundene und durch Wiederholungen fixierte Aussage (locus communis). Zur zweiten Art gehoren die auf das Gefuhl gerichteten Ansprachen und die allgemein-wahrscheinlichen Satze, die uber eine ungewisse Sache nach zwei Seiten argumentieren. Bedeutete diese Zweiseitigkeit den Verzicht auf den Versuch, der Sache selbst zu entsprechen, so hatte Platos Kritik an der Rhetorik als einer Kunst, auch zu etwas Falschem zu Uberreden, recht. Aber falls der Gegenstand, mit Aristoteles' Worten, auch anders sein kann, vermag das Disputieren nach beiden Seiten noch eine Wahrheit in Anspruch zu nehmen. In der Philosophie wird diese Methode daher als ein dialektisches Verfahren verwendet, um das Wahrscheinlichere zu ermitteln. In der Rhetorik dagegen kann sie nur auf eine Teil Wahrheit Anspruch erheben, da hier beide Seiten ohne Begrundung benutzt werden. Der locus communis ist also keine blosse Wiedergabe der Sache, sondern ein Vergrosserung (amplificatio) einer schon bewiesenen Sache. Aus diesem Grunde liegt sein Hauptzweck eher in der Ausschmuckung als im Beweis. Seine Amplifikationskraft beruht in seiner Frische, die daher ruhrt, dass er uber die Besonderheit des Falls hinaus das Allgemeine zu erkennen gibt sowie auch daher, dass der eigentlich fremde Fall, auf die allgemeine Meinung bezogen, sich in uns Vertrautes verwandelt.
著者
阿部 直人
出版者
明治大学情報科学センター
雑誌
明治大学情報科学センター年報 (ISSN:09165983)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.1-17, 1992-10-01

MATLABは科学技術計算、特に数値計算を援助する会話型のプログラムです。MATLABの名前はMATrix LABoratoryから付けられました。オリジナルのMATLABはメインフレーム・コンピュータ上でFORTRAN言語で書かれLINPACKそしてEISPACKプロジェクトで開発された行列計算ソフトウェアを簡単にアクセスすることが出来ました。LINPACKおよびEISPACKは行列計算の信頼性の高いソフトウェアを代表するものだといえるでしょう。MATLABの基本的なデータ要素は行列(マトリクス)であり、変数の型の定義(整数、実数、文字変数など)をはじめ次元の宣言はする必要がありません。インタプリタ形式でプログラムが組めるので、コンパイルの必要もなく、電卓の延長として扱えます。