著者
佐伯 胖
出版者
一般社団法人日本ソフトウェア科学会
雑誌
コンピュータソフトウェア (ISSN:02896540)
巻号頁・発行日
vol.8, no.2, pp.100-109, 1991-03-15

本チュートリアルでは,具体的な対象システムの如何にかかわらず成り立つと考えられる,ヒューマンインタフェース研究の一般的な枠組みを明らかにする.このような一般的な研究の枠組みを提唱している研究として,まず,Normanの「認知工学」の概念における「行為の7段階」に基づくインタフェース分析を解説した.ここで,Normanの分析が,ユーザの観点からのものに限られているという点を明らかにし,むしろ,インタフェース問題は,ユーザ,デザイナー,さらに外界世界の三つの世界の相互作用を最適化することをめざすべきであるとの観点にたち,そのための道具のあり方を探るため,それら相互の「接面構造」の分析を示し,道具(システム)と人間との,多様な相互作用の全体システムを吟味する研究の枠組みを提唱した.
著者
斎藤 嘉代
出版者
文化学園大学
雑誌
文化女子大学紀要. 服装学・造形学研究 (ISSN:13461869)
巻号頁・発行日
vol.38, pp.1-7, 2007-01

たて・よこ方向に伸びるツーウェイ・ニットのなかでもツーウェイトリコット地の縫製について興味深いデータが出現したので報告する。通常この布地は,競泳用水着やレオタードなどの身体に密着した衣料用として使用される。高機能を持った布地は繊維メーカーとスポーツメーカーの共同開発により一般市場に流通しない布地も多い。また,縫製も難しく特殊ミシンでなければ制作できないイメージがありスポーツメーカーの独壇場といった観がある。しかし今回の縫合実験から,家庭用のミシンでの縫製が充分可能なことが分かった。縫い目として使用した直線ミシン地縫い(JIS ステッチ形式301)重ね縫い(301)3 針ジグザグ縫い(321)小型ロック3 本糸ミシン(505)で布目を変え縫合し縫い目に対する方向別引っ張り強伸度を測定し,縫い目の抵抗値を求めた。結果,縫い目方向と引っ張る方向が一致し平行になると抵抗が最大になり糸切れの危険がある。しかし,それ以外の方向では,縫い目に対する抵抗は低く伸びる縫い方をした場合と大差がなくデザインの可能が示唆された。
著者
榮樂恒太郎 新城 靖 板野 肯三
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.43, no.6, pp.1690-1701, 2002-06-15
被引用文献数
8

著者らは,Unixにおいてシステム・コールのレベルでアクセス制御の機能を強化する仕組み SysGuard を実現した.SysGuard では,ガードと呼ばれる,デバイス・ドライバと同様にカーネル内に組み込むモジュールを利用する.各ガードは,システム・コール処理の実行の前後で,付加的にアクセス権をチェックする.SysGuard の設計の特徴は,ガードが適用されるスコープを柔軟に設定できる点にある.SysGuard の実現の特徴は,カーネルの修正個所が少ないこと,および,ポータビリティが高いガードの開発を支援していることである.また,ガード開発キットを用いることにより,ユーザ空間内で簡単に開発やデバッグを行うことができる.SysGuard は,現在,Intel x86プロセッサ版,および,DEC Alphaプロセッサ版のLinuxカーネル2.2で利用可能になっている.The authors have implemented a mechanism called SysGuard which improves the access control facility of Unix at thesystem call level.SysGuard uses modules called guards that work in a kernellike device drivers.Guards are called before or after the processing of systemcalls, and provide additional access control.One of the main features of the SysGuard design isflexible setting of guard scope.The features of the SysGuard implementation are fewmodifications against the kernel, and the support fordeveloping portable guards.Moreover, by using the guard development kit, thedevelopment and debugging of guards can be easily performedin the user space, and the developed guard can be registeredeasily to the kernel.SysGuard has been available in the Linux kernel 2.2 on anIntel x86 processor and a DEC Alpha processor.
著者
粂照宣 鵜飼 孝典 西野 文人
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告データベースシステム(DBS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2006, no.9, pp.1-6, 2006-01-26
被引用文献数
1

企業などの組織では,業務上のフォーマルなコミュニティ(プロジェクト) 以外にインフォーマルなコミュニティが存在する.このコミュニティは,プロジェクトメンバが作業を円滑かつ効率的に進めるために重要な役割を果たしている.また,組織運営として,その実態を把握しておくことで,プロジェクトの状況把握,担当者への作業指示や人材・資源の投入などを効率的に行うことができる.しかしながら,このようなインフォーマルなコミュニティは,プロジェクトメンバの作業状況やプロジェクトの進捗状況の変化にあわせて,時々刻々できては消えて行くために,その実態を把握することは困難である.また,特に大きな企業では,その存在を発見することすら困難である.本稿では,様々に変化するコミュニティのある時点の状況を予定表のデータから抽出する方法を提案し,実験結果を報告する.In an enterprise organization, a lot of informal communities exist besides formal communities,like as projects, on the business. The communities are playing important roles so that the project's members may proceed work smoothly and efficiently. And the managers can understand the project status, instruct person in charge about the job and manage person and the resource efficiently by understanding the realities. However, it is difficult to understand the real status of informal community, because it may be variable by member's job change and the progress of the project. Moreover, it is difficult in an especially big enterprise even to discover the existence. In this paper, we proposes the method of express the situation of point with the informal communities from the the schedule data, and we describe the experiment result.
著者
杉本 徹雄
出版者
近畿大学
雑誌
商経学叢 (ISSN:04502825)
巻号頁・発行日
vol.54, no.3, pp.171-180, 2008-03

消費者の購買行動は多かれ少なかれ反復的である。購買行動の反復性を理解することは,マーケティング戦略を立案するうえで非常に重要である。わが国の非耐久消費財の市場において新製品の投入数は増加する一方である。しかしながら,消費者は新製品を試しに買ってみようとするものの,その後に,同じブランドの反復的な購入がなされにくくなっている。本研究では,Nicosia(1966)のモデルをはじめとする行動科学的な消費者意思決定モデルにおいて,反復購買の心理的メカニズムが理論的にどのように扱われてきたかについて文献的に考察する。