著者
小野 諭 小川 瑞史
出版者
一般社団法人日本ソフトウェア科学会
雑誌
コンピュータソフトウェア (ISSN:02896540)
巻号頁・発行日
vol.13, no.2, pp.115-130, 1996-03-15
被引用文献数
2

抽象実行とは,プログラムの様々な性質を解析するために提案された理論的なフレームワークである.これは,プログラムのデータ領域や計算動作などの意味を抽象化した有限抽象領域を設計し,その上でプログラムを不動点計算と呼ばれる手法で「実行」することにより,プログラムの性質を求める. そこで,本チュートリアルでは,プログラム解析のごく初歩的な知識を持つ読者を対象にして,抽象実行の基本概念,分類,具体的設計法、仕様記述への展望などを説明する.対象言語としては,遅延評価型の関数型言語を取り上げる.ただし仕様記述への展望は,手続き型言語における様相論理や時相論理による仕様記述をベースに説明する.
著者
平山 亮
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.56, no.7, pp.307-311, 2006-07-01
被引用文献数
1

ISO規格およびJIS規格として標準化されている情報検索プロトコルZ39.50,図書館相互貸借プロトコルILL,電子的文書交換プロトコルGEDIについて概観する。続いて,次世代の情報検索プロトコルとして米国議会図書館の標準化グループで検討が進むSRW, SRU, CQLについて解説する。また,SRWの拡張機能として策定されたXML化画像検索プロトコルについて解説する。書誌だけでなく,資料そのものも電子化して,インターネットを通じて世界中に公開されるワールドライブラリー時代において,プロトコル標準化の果たす役割が大きいことを論じる。
著者
山本 英子 内山 将夫 井佐原 均
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告自然言語処理(NL) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2002, no.104, pp.101-106, 2002-11-12

本研究では,文字認識の分野で用いられている補完類似度をテキストコーパスから事物間の関係を推定する問題に適用する際に,事物が持つ各文書における頻度を考慮した場合を考える.補完類似度は,ベクトルで表された文字の画像パターンの類似度を測ることによって劣化印刷文字を認識するために経験的に開発された尺度である.この扱うベクトルをコーパス中の事物の出現パターンに置き換えると,補完類似度は事物間関係の推定に適用できる.そこで,これまでに二値ベクトルを対象として事物間関係の推定を行った.しかし,二値ベクトルでは,Document Frequency しか考慮しておらず,Term Frequency(文書内頻度)を考慮していない.そこで,Term Frequencyを考慮した多値ベクトルを対象とした補完類似度を用いて事物間関係の推定を行った.その結果,Term Frequencyを考慮した補完類似度のほうが推定能力が高かったことを報告する.In this paper, we applied CSM (Complementary Similarity Measure) considering term frequency to estimate relationship between entities. Here, term frequency is times that certain entity appears in a document. CSM was developed experientially for robust character recognition. This measures inclusion degree of vectors expressing character image pattern. We have even estimated relationship between entities by replacing the image pattern to occurrence pattern of entity in corpus. However, we have considered only document frequency and have not considered term frequency. From experimental results, we reported that CSM considering term frequency obtained higher performance than original CSM.
著者
坂口 貴司 岡林 孝志 金森 務 井口 征士
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-情報処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.81, no.10, pp.2385-2393, 1998-10-25
被引用文献数
7

人間の身体ジェスチャには豊かな情報が含まれており, マン・マシンインタフェース, マン・マンインタフェースの有力な手段と考えられる.本論文ではオクルージョンの心配がなく外部磁界環境の影響も受けないという特長を有する運動覚センサ(ジャイロセンサ, 加速度センサ)に筋電位センサを組み合わせて, ニューラルネットワークで統合化するジェスチャ計測および認識手法を提案する.これらのセンサはジェスチャが表現している意味の強さ(例「とても」, 「やや」など, ここではバリュー情報と呼ぶ)を加速度, 角速度, 筋力情報という形でうまく検出してくれる.14種類のジェスチャ(手話動作)について認識実験を行い, 筋電位情報がバリュー情報認識に有効であること, 本手法により多様なジェスチャに関してシンボル情報だけでなくバリュー情報が認識できることを確認した.
著者
桑原 一聖 服部 哲 速水 治夫
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
研究報告グループウェアとネットワークサービス(GN) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2009, no.33, pp.109-114, 2009-03-11
被引用文献数
2

近年,Google マップ API やタイムライン API などの登場により,それらの Web サービスを用いて情報を管理・表示する研究は数多く存在するようになった.しかし,それらの情報を同時に表示し,その 2 つの関係を感覚的に理解できるようなシステムの研究は少ない.本論文では,地理位置情報と時系列情報を表示し,その関係が感覚的に理解できるように,地図 API とタイムライン API のマッシュアップによる時系列地理位置情報表示システムについて述べる.評価実験の結果,本システムを用いて時系列情報と地理位置情報の 2 つの情報を同期させて表示することにより,各 API 単体で動作するシステムより 2 つの情報の関係が感覚的に理解できるという結果を得た.Recently, a number of Web service API such as Google Maps API have been developed. And there are many systems which use these APIs. However, as long as we know, there is no system which uses both APIs to manipulate a map and a timeline. Using them together enables us to understand geolocation information along with a timeline. In this study, we propose a system using Google Maps API and TimeLine API and developed a prototype system. As the results of the experiment using our prototype, we found that handling a map and a timeline synchronously was effective for providing information.
著者
山下 和範 福崎 誠 寺尾 嘉彰
出版者
日本臨床麻酔学会
雑誌
日本臨床麻酔学会誌 (ISSN:02854945)
巻号頁・発行日
vol.25, no.7, pp.693-695, 2005 (Released:2005-11-29)
参考文献数
2
被引用文献数
1

症例は47歳, 男性. 頸椎神経根性疼痛の治療目的で星状神経節ブロック (stellate ganglion block ; SGB) を行った. 患者にSGBに関する説明を行い承諾を得た後, 血液凝固能検査で異常のないことを確認した. SGB施行1時間後までは問題なく経過し帰宅したが, その後に呼吸困難を訴えたため緊急入院となった. 頸部血腫の診断のもと, 緊急止血・血腫除去術が施行された. その後の経過は良好であったが, SGBによる一連の経過に対してクレームが発生した. 1年半にわたる話し合いの末, 示談となった.
著者
矢野 謙典 松浦 健二 緒方 広明 矢野 米雄
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ET, 教育工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.100, no.682, pp.179-186, 2001-03-03
被引用文献数
2

近年, 高度遠隔講義支援に関する研究やサイバースペース上での仮想教室の実現が注目を集めている. 我々は, "いつでも", "どこでも", "だれでも"参加できる講義・教室型の非同期仮想教室(AVC: Asynchronous Virtual Classroom)の提案を行ってきた. AVCは, ビデオ映像を中心としたマルチメディア教材と非同期コミュニケーション支援環境を併せ持つ. その特徴として, 非同期的に参加する他学習者・講師等をモデル化し, 凝人化エージェントとして学習空間に配置・行動させることで擬似的な同期学習環境の実現を試みる. 本稿では特に, XMLを用いた凝人化エージェントの行動管理手法及び, その3次元仮想教室環境下での表現手法について述べる.
著者
市古 太郎
出版者
公益社団法人日本オペレーションズ・リサーチ学会
雑誌
オペレーションズ・リサーチ : 経営の科学 (ISSN:00303674)
巻号頁・発行日
vol.51, no.10, pp.640-645, 2006-10-01

大都市は地震に対して脆弱である.この脆弱性は帰宅困難者問題のような直後期だけでなく,影響が長期間にわたる問題もある.その1つが本稿で論じる都市復興である.本稿では「事前に復興に備える」という視点で阪神淡路大震災以降,主に東京で取り組まれてきた「事前復興」の考え方を示し,その考え方に基づいて実施されている2つの訓練プログラムを紹介する.この訓練はこれまでの防災まちづくりに新たな可能性を付与するものであり,紹介と同時にその論点を提示したい.
著者
大中 政治
出版者
日本体力医学会
雑誌
体力科學 (ISSN:0039906X)
巻号頁・発行日
vol.26, no.4, pp.159-164, 1977-12-01
被引用文献数
2

三種類の比較的全身的な静的筋作業時の持久力測定 (支持カ, 静懸垂カ, 静的筋持久力) を年令11才から79才までの男女638名に実施し, その性差, 年令差について検討し次のような結果を得た。1) 静的筋持久力において負荷を最大筋力の90%より20%へと順次変化させると荷重が最大腕力の50%以上の大きい間は男子の保持時間がながく, それ貝下の軽い負荷においては女子が有意に長い保持時間を示した。2) 保持時間の性差を示すのは20才代より50才代の者であり小学生とか60才以上の高命者には性差が見られなかった。3) 年令30才以上になると瞬発的な筋力は低下したが静的な筋の持久性は種類の測定総べてにおいて漸増の傾向を示した。4) 体勢各要素と静的な持久力との関係を見ると体重が負荷となる静懸垂力を除けば比体重とか上腕囲, ベルベック指数等との関係が強く幅厚育の発達した栄養状態の良い者が持久性に優れていた。以上の如く20才代から50才代の者に性差が見られることは性ホルモンやこれに基因する体組織の差異に関係があるものと考えられる。
著者
竹内 正男
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会誌 (ISSN:09135693)
巻号頁・発行日
vol.92, no.6, pp.458-462, 2009-06-01
被引用文献数
1

ユビキタス社会や高齢化社会の到来とともに,人に優しい多様なヒューマンインタフェースの開発研究がますます望まれている.ここでは,表面弾性波や音響振動を用いたタッチパネル,表面弾性波皮膚感覚ディスプレイ,ウェアラブルデバイス用超音波通信システム,RFIDタグのための圧電を用いた電力収穫など,弾性波のヒューマンインタフェースへの応用展開について具体的事例を基に解説する.
著者
遠藤 寛一
出版者
江戸川短期大学
雑誌
江戸川女子短期大学紀要 (ISSN:09125310)
巻号頁・発行日
vol.9, pp.12-23, 1994-03-31
著者
添田 祥史
出版者
九州大学
雑誌
飛梅論集 : 九州大学大学院教育学コース院生論文集
巻号頁・発行日
vol.8, pp.37-52, 2008-03

This paper aims at reconsidering the learning activities taking place in a literacy practice context focusing on the concept of "intimate sphere". In the last years, relations of mutual support in life are taking a new turn, beyond family ties, toward the creation of a new intimate sphere. An analysis of literary practice from this point of view wields possibilities unseen by previous research. We aim to provide a new analytical standpoint for research in the field of literacy practice. According to our analysis, literacy practice appears to be an important support factor for the learner in everyday life. In a literacy practice context, intimate sphere is a "place to find an intimate other", a "place where to reconsider the value of one's life", a "place where to share feelings and experiences". Moreover, it appears that the intimate sphere which is created around literacy practice has the following four characteristics: 1. Through the right to literacy learning, it may be possible to meet the needs for friendship and solidarity, which can seldom be guaranteed by institutions. 2. Factors unrelated to practice like opportunities to chat or meet with friends may stimulate lasting participation of learners. 3. Literacy practice class seen as a "relatively safe space" implies freedom from its historical premises like norms or rules about the way practice has to be. 4. Under such point of view, literacy practice is endowed with the possibility of reform from the inside. This last point raises essential questions concerning the future of literacy practice and literacy learning research as well.