著者
渡辺 正
出版者
公益社団法人 高分子学会
雑誌
高分子 (ISSN:04541138)
巻号頁・発行日
vol.57, no.4, pp.224-230, 2008-04-01 (Released:2011-10-14)
参考文献数
7
被引用文献数
2

生活に役立つ話はあまりない。学術趣味を漂わせながらも大学の化学には直結せず,入試で満点をとっても入学後に頭のリセットを要求する。それが日本の高校化学だ。「閉じた世界」の素顔を眺め,閉じさせた原因あれこれと,「開かせる」ための方法を考える。高校化学教育を劣化させた主犯は,初中等教育に関心がないまま入試問題をつくる大学人ではないか?
著者
大賀 寿郎
出版者
一般社団法人 電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会 基礎・境界ソサイエティ Fundamentals Review (ISSN:18820875)
巻号頁・発行日
vol.5, no.3, pp.205-222, 2012-01-01 (Released:2012-01-01)
参考文献数
30
被引用文献数
1

1964年の600形電話機の実用化以降,高度成長下の社会で電話機需要は増え続けた.しかし,その流れが1973年末の石油ショックで断ち切られて諸物価が急激に上昇し,社会が大混乱に陥った.電電公社は緊急プロジェクトで大幅なコストダウンを果たしながら通話性能を向上した601形電話機を実用化した.その頃から電話機への半導体ICの導入が現実のものとなり,電話機の構成を100年振りに全面変革する研究が開始された.オーディオトランスデューサもカーボン粉粒マイクロホンや高感度電磁イヤホンに代えて小形トランスデューサが検討され,パイロット商品に導入された.1980年代に入って電電公社の電話端末独占が見直され,電話機が競争市場の家電商品となる.この時期に電電公社が発表した801P電話機「ハウディ」は最後の標準電話機というべきもので,電気通信研究所で20年来検討されてきたセラミック圧電トランスデューサを活用し,その後約10年にわたる世の電話機技術の源流となった.
著者
森 健人
出版者
独立行政法人国立科学博物館
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2017-04-01

これまで博物館の収蔵標本は概ね科学の発展のために収集されてきたといっても過言ではない。しかし,博物標本は自然物である。自然物の役割は科学的研究活動にのみ限定されるべきなのであろうか。申請者はそうは思わない。芸術,エンターテイメントを含めあらゆる文化的創作活動に対しても自然物たる博物館標本は貢献できる可能性が秘められている。しかしながら,標本の保守管理上の制約から「誰でも」「自由に」博物館の標本にアクセスできる環境を構築するためには膨大なコストが必要となり,ただちにそれを実現することは不可能である。そこで博物館標本の3Dモデルが重要となってくる。3Dモデルを活用すれば,「誰でも」「自由に」閲覧する環境を比較的低コストで整えることができる。また,「博物館標本に自由にアクセスできる環境」に慣れていない一般観覧者に対しても「確実にクリーン」で且つ「損壊の恐れがない」3Dモデルとの接触は良い導入になると考える。上記を踏まえて,本研究ではフォトグラメトリー(写真測量)を用いて効果的に博物館標本を3Dモデル化する方法を検証し,如何にして公開するかを模索するものである。博物館標本の3Dモデルを公開する方法として申請者は3種の方法を考えた。1)インターネット上での3Dモデル閲覧サイトの公開,2)3Dプリントを利用した博物館内におけるハンズオン展示,3)3Dプリントを利用した博物館外におけるハンズオン展示。1)についてはYoshimoto3D(β)として国立科学博物館HP上にデータベースを掲載した(http://www.kahaku.go.jp/research/db/zoology/yoshimoto/database/index3D.html)。2)については複数の博物館で試験的に公開を行った。3)については現在「路上博物館」という館外展示を試験的に展開している。
著者
藤田 次郎
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.102, no.11, pp.2860-2874, 2013-11-10 (Released:2014-11-10)
参考文献数
10

本稿では,胸部単純写真を用いた肺炎と抗酸菌症の画像診断について概説した.まず肺炎と抗酸菌症の画像診断を実施する際に必要な解剖学的知識として,Millerの二次小葉とAschoffの細葉の重要性を強調した.また肺の容積変化からみた肺炎のとらえ方について,胸部単純写真での評価法を示した.さらに胸部単純写真による画像パターンとその解釈を示した.抗酸菌症として,肺結核と肺非結核性抗酸菌症の画像診断の鑑別方法について示した.
著者
大隈 慎吾
出版者
日本メディア学会
雑誌
マス・コミュニケーション研究 (ISSN:13411306)
巻号頁・発行日
vol.94, pp.23-34, 2019-01-31 (Released:2019-06-06)
参考文献数
11

This paper explores polling methods that provide alternatives to randomdigit dialing (RDD) as today’s mainstream. While no readily available alternativesare identified, potentially viable internet-based alternatives are beingdeveloped. For instance, responses from sample members could be sought byrequesting them to access polling websites through their PCs or smartphonesas specified on letters sent to them by postal mail. Another idea is to usemobile phones to call or send text (SMS) messages to intended targets torequest their responses via SMS. These potential alternatives still suffer froman insufficient response rate. Such internet-based polling must be continueduntil the response rate improves. Once the rate grows high enough, these alternativepolls can be conducted in place of RDD with confidence in the IT literacyof general voters who can respond to opinion polls online.
著者
上村 隆広 花村 周寛 尾家 建生 原 一樹
出版者
大阪府立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2015-04-01

本研究は、開創 1200 年を迎えた高野山を訪れる外国人来訪者の観光動機・体験を実地調査し、高野山における外国人特有の観光体験の実態について、「観光と物語」「多感覚体験」「場所の聖性」等の視角から解明することを目的としたものである。各種調査の結果、以下のような知見を得た。即ち高野山の自然的環境、宗教的伝統、今日的実践が融合して得られる独特の観光体験が、精神性に価値を置く来訪者の高い満足度と評価につながっている一方で、インバウンド急増による「観光地化」的変化等の懸念も出始めており、高野山が観光体験の質を持続させるためには、内外の旅行者とホスト側との「対話」的関係性の増進が期待される。
著者
Yuki Hamaguchi Akane Iida Jun Nishikawa Euichi Hirose
出版者
The Plankton Society of Japan, The Japanese Association of Benthology
雑誌
Plankton and Benthos Research (ISSN:18808247)
巻号頁・発行日
vol.16, no.3, pp.221-227, 2021-08-06 (Released:2021-07-31)
参考文献数
20
被引用文献数
2

Mastigias papua, known as the golden (or spotted) jellyfish, is an epipelagic jellyfish widely distributed in the warm waters of the West Pacific. This jellyfish has a brownish body, owing to zooxanthellae, and white spots. We measured the maximum force to pierce the umbrella, which averaged 94–144 mm in diameter, to evaluate the hardness of M. papua, and returned a range of 0.14–0.45 N. Correlation analyses indicate that when the M. papua medusa grows (i.e., becomes heavier), the umbrella becomes larger in diameter, as well as thicker and harder within the size range we examined. However, a significant relationship between the hardness of the umbrellar apex and the thickness of the umbrella was not obtained. White spots are comprised of loose aggregates of mesogleal cells containing reflective granules. Since the white spots and the transparent parts were not significantly different in hardness, the spots were unlikely to strengthen the umbrella. The primary function of the spots may be the shading of solar radiation. Most of the zooxanthellae are located in mesogleal cells, and often beneath the exumbrellar epidermis. Therefore, light shading by white spots may be unnecessary for the zooxanthellae in mesogleal cells.

11 0 0 0 OA 水府名家手簡

巻号頁・発行日
vol.[1], 1800
著者
吉富 政宣
出版者
安全工学会
雑誌
安全工学 (ISSN:05704480)
巻号頁・発行日
vol.53, no.6, pp.445-454, 2014-12-15 (Released:2016-07-30)
参考文献数
11

太陽光発電システム(PVS)には,陽が当たる限り発電を止めることが出来ない性質があり,火災時には消防隊員が感電する恐れから消火活動が困難になることがある.また,PVS は屋外に設置されているため,風・雪・地震と言った自然の作用による構造事故も引き起こしてきた.このようにPVS の危害は火災と構造事故とに二大別1)できる.PVS を健全なエネルギー源に成長させるためには,少なくとも個人財産保護の観点からこれらリスクを許容可能なレベルにまで低減する必要がある.そこでこれまで期待総費用最小化原理が提唱されてきた.しかし,火災・構造事故には期待利益の無い第三者を一方的に加害する恐れがある.そこで本稿では,公衆安全優先のための無加害原則を提唱する.この無加害原則は,期待総費用最小化原理に優先させる必要があると考える.
出版者
海人社
雑誌
世界の艦船
巻号頁・発行日
no.714, pp.1-176, 2009-11

11 0 0 0 OA 清親畫帖

著者
小林清親 畫
出版者
[製作者不明]
巻号頁・発行日
vol.[3], 1800
著者
林 賢紀 瀬尾 崇一郎 阪口 哲男
出版者
情報知識学会
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.26, no.1, pp.11-28, 2016-02-25 (Released:2016-04-15)
参考文献数
21

Web技術によるデータ公開の方法としてLinked Open Data(LOD)が注目されている.しかし,既存のWeb上の情報資源の多くは人が読む利用形態に適したデータ構造のままであるなど,構造化が不十分であることが指摘されている.本研究においては,異なる性質の要素を持つ複合的な情報資源に対し,相互運用性を持ちかつ情報損失を起さずにLODを適用する方法について検討を行った.この結果,対象となる情報資源に記載されている情報を元にして,文書の構造や使用されている語彙などを分析することにより,LODへの再構成を効率的に行うことが可能であることを明らかにした.また,関連付けが可能な他の情報資源を用いて不足している情報を補うことを前提とした構造化により,人が読む利用形態に適したデータ構造に基づいていても適切なLOD の適用を可能とし利活用しやすくするための一手法を示した.
著者
岡 小天
出版者
一般社団法人日本物理学会
雑誌
日本物理學會誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.30, no.2, pp.92-94, 1975-02-05
著者
成宮 博之 中山 大地 松山 洋
出版者
The Association of Japanese Geographers
雑誌
地理学評論 (ISSN:13479555)
巻号頁・発行日
vol.79, no.14, pp.857-868, 2006-12-01 (Released:2008-12-25)
参考文献数
47
被引用文献数
3 3 1

本研究では,東京都内にある30地点の湧水における過去20年間の水温の変化について調べた。また2005~2006年の渇水期と豊水期に現地で水温,pH,電気伝導度を測定し,実験室でSiO2濃度を測定したSiO2濃度は,湧水の背後にある洒養域の広さの推定に用いた.これらと,東京都が過去に実施した調査結果とを合わせることで,1987~2006年の湧水温に関する観測値が得られた.水温の観測値を地点,時期ごとに分類し,外れ値の影響を考慮して変化傾向を求めることができるKendall検定を適用したところ,解析対象とした23地点のうち,渇水期13地点,豊水期11地点において,有意水準5%で有意な水温の上昇傾向がみられた.湧水のSiO2濃度と,渇水期と豊水期の水温差との問には有意水準5%で有意な負の相関関係がみられた。このことから,湧水のSiO2濃度が高い場合,その湧水は相対的に滞留時間が長く,また比較的広い洒養域からなるものと考えられる.そして熱容量が大きいことから気温や環境の変化に対して水温の変化が顕著に表れない可能性が示唆される.

11 0 0 0 OA 絵本太閤記

著者
岡田玉山 著
出版者
成文社
巻号頁・発行日
vol.上, 1886