著者
香山 瑞恵 永田 奈央美 高谷 知憲 高橋 正憲
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.31, no.1, pp.97-106, 2007
被引用文献数
2

教科「情報」の教科書は,平成15年度に初版が発刊され,平成17年度には改訂版が発刊されている.本研究ではこれらの教科書に関する定量的データに基づく分析から,その特徴を明らかにし,特に変化の著しい内容に関する変化傾向の定性的分析を通じて,普通教科「情報」の範囲と教授内容の方向性に関して考察した.その結果,情報Aでは「問題解決」に関する内容の記述が詳細かつ具体的になり,主体的な情報活用のための態度形成に関わる記述が増加した一方で,コンピュータリテラシーに相当する記述の本文内での扱いが減少していることがわかった.また情報Bでは,コンピュータの機能や仕組みに関する記述の精査が進み,社会における情報技術の在り方を示す内容が重視されていることがわかった.情報Cでは,情報A同様にリテラシー的記述の減少がみられ,さらに情報通信ネットワークの仕組みと適切なネットワークコミュニケーションの在り方とに関する記述が顕著に増加していた.
著者
伊藤 厚子 馬場 薫 田中 幸子
出版者
東北文化学園大学医療福祉学部看護学科
雑誌
東北文化学園大学看護学科紀要 = Archives of Tohoku Bunka Gakuen University Nursing (ISSN:21866546)
巻号頁・発行日
vol.9, no.1, pp.1-11, 2020-03

本研究の目的は、病院で看護職が受ける職員間暴力・ハラスメントの実態と抑うつとの関連を明らかにすることである。400床以上500床未満の3病院、1,107名の看護職を対象に質問紙調査を行い、抑うつ状態の評価はCES-Dを使用した。職員間暴力・ハラスメントを受けた者のうち、所属長に報告した者は32.7%であり、言葉の暴力・いじめ・パワハラを受けた者は受けたことがない者よりCES -D得点が高いことが明らかとなった。職員間暴力・ハラスメントの中でもいじめを受けた者は特に抑うつ傾向を誘発しやすいことから、管理者は職員の人間関係に注意するとともに、職員が報告や相談をしやすい環境や関係作りの必要性が示唆された。
著者
坂本 英俊 松村 道孝 佐藤 健介 山口 敏彦
出版者
一般社団法人日本機械学会
雑誌
日本機械学会九州支部講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2005, no.58, pp.9-10, 2005-03

現代社会において、けん銃による犯罪は年々増加の一途をたどっている。けん銃の犯罪において、弾丸がどのけん銃から発射されたものなのかを特定することは事件の解決において最も重要なものである。また弾丸が発砲事件において唯一の証拠となることも少なくない。現在一般的に行われている捜査は、現場から発射された弾丸と薬きょうを回収し、その弾丸の発射痕を調べ、使用された銃器を特定するという方法である。 本研究では、弾丸が対象物に垂直に衝突した場合、衝突により弾丸がどのように変形したのかを見るため、試射実験を行い、試射実験後に回収した弾丸の寸法測定を行った。また弾丸の変形解析および試射対象物の変形形状を調べることにより、変形・破壊挙動の検討を行った。さらにLS-DYNAを用いて銃弾の衝突解析を行い、試射実験後の弾丸の3D計測結果と比較検討した。
著者
今野 洋子 尾形 良子
出版者
北翔大学
雑誌
北翔大学北方圏学術情報センター年報 (ISSN:21853096)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.73-76, 2014

現在,深刻化している多頭飼育崩壊に至る過程を踏まえ,初期対応実施による飼育モデルを作成した。飼育における初期対応が後の多頭飼育を回避することになる。また,多頭飼育に陥った場合,飼養者本人だけでの対応には限りがあるので,啓蒙・勧告・相談・支援等の多様な対応をチームで行う必要があることが明らかにされた。これまでに得られた知見をもとに,対応モデルを作成した。
著者
田 栄富 王 橋
出版者
久留米大学経済社会研究会
雑誌
経済社会研究 = The journal of the Society for Studies on Economies and Societies (ISSN:24332682)
巻号頁・発行日
vol.59, no.3, pp.25-44, 2019-01-25

日本介護保険制度が実行されてから,介護費用が膨らみ,介護財政を圧迫し,第1,2号被保険者は保険料負担の増加を強いられている。今後の負担は更に重くなる。一方,介護サービス業は国民経済におけるパフォーマンスを確実に増している。投入構造で確認できた介護サービス業は粗付加価値投入であり,そのなかで雇用者所得は93.5%に達している。介護保険三施設の長期労働生産性を計測した結果,全産業平均を大きく下回っている。同部門は日本の産業部門においても有数の成長部門であり,労働・資本等の生産要素がこの部門に集約しつつある。しかし,低労働生産であり,資源配分を歪める恐れもある。また,労働生産性と賃金の間には密接な関係が確認されている。介護サービス業の低労働生産性は必然的に賃金に影響する。つまり低労働生産性から低賃金へという成り行きは従業員の高離職率,低い定着率をもたらす。結局,介護サービス業は人手不足という事態に直面する。賃金を引き上げるには,公定価格の介護報酬のもとでいかに労働生産性を上昇させるかが重要な課題である。
著者
仁平 典宏
出版者
福祉社会学会
雑誌
福祉社会学研究 (ISSN:13493337)
巻号頁・発行日
vol.9, pp.98-118, 2012

今回,東日本大震災で活動するボランテイアの数は,阪神淡路大震災よりも少なかったことが指摘され,その理由を,政府による市民セクターの抑圧に求める議論が多い.この議論形式は阪神淡路大震災時に作られたものだが,今回,単純にそれを反復するわけにはいかない阪神淡路大震災時が行政の過剰統治によって特徴付けられる開発主義の果てに生じたのに対し,東日本大震災は規制緩和と再分配の放棄によって特徴づけられるネオリベラリズムの果てに生じたものだからだ.ベクトルは逆を向いている.以上を踏まえてボランティアの停滞の背景を考える.阪神淡路大震災のパラダイムでは, ①行政の抑制,及び,② NPOの低い経営力が原因とされるが,実際には, ①行政の損壊と地域の疲弊,及び,②市民セクターの二重構造化と国内NPOの活動基盤の不全という1995年以降に形成された要素が,有力な原因として浮かび上がる.ボランティア・NPOの活性化やそれによる当事者中心の活動は,公的領域の単純な削減ではなく,その適切な補完・支援のもとで実現するものである.ボランティアNPOのポテンシャルは小さな政府を志向する方向ではなく,人々の社会権を普遍主義的な形で公的に保障していく方向に接続していくべきであるそのために,震災の支援活動で社会の亀裂を目の当たりにしてきた市民セクターが果たす役割は小さくないと思われる.
著者
大野 ロベルト
出版者
日本社会事業大学
雑誌
日本社会事業大学研究紀要 = Study report of Japan College of Social Work : issues in social work (ISSN:0916765X)
巻号頁・発行日
vol.66, pp.31-45, 2020-03

This paper re-evaluates the emergence of the so-called "leprosy literature" as a precursor to the thriving of outsider art in Japan. In the past studies on Hōjō Tamio, the central figure of leprosy literature, the irrepressible impact of the author's life situation on the evaluation of his works has been suggested repeatedly; but no particular attention has been paid to the discourse behind such an attitude, and its possible effects on the evaluation of the text. Along with the stories, diary entries, and essays written by Hōjō, this paper will take into consideration the texts by Kawabata Yasunari, his mentor, and other contemporary writers who submitted their opinions on magazines and newspapers, in order to clarify that many of them have viewed Hōjō as "peculiar," a sentiment fueled by what we could call the "hereticizing gaze." It is important to point out that such an attitude is almost identical to that welcomed Yamashita Kiyoshi and other outsider artists, who appeared on the scene after Hōjō's death.本稿は北条民雄を中心とする「癩文学」の出現を、日本におけるアウトサイダー・アートの受容を準備した現象として捉え直すものである。北條をめぐる先行研究では、作者の置かれた状況がその作品の評価に大きな影響を与えていることが繰り返し示唆されてきたが、その事実が何を意味するのかという点は十分に検討されてこなかった。本稿では北條の作品や日記、随筆に加えて、北條を文壇に導いた川端康成や、北條の作品が発表された『文學界』の同人たちによる時評、また新聞紙上で展開された評論などを素材に、北條への評価が〈特殊性〉の観念に集約される、いわば〈異端化〉のまなざしに束縛されがちなものであったことを明らかにする。さらにこのまなざしは、北條の没後に関心を浴びることになる山下清らによるアウトサイダー・アートに向けられたものとも相似しているのである。
著者
田中 敬志 小林 聡 中川 聖一
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学雑誌 (ISSN:03855236)
巻号頁・発行日
vol.27, no.3, pp.273-282, 2003-12-20
参考文献数
18
被引用文献数
1

これまでに多くの語学学習教材が開発されてきているが,その製作においては多大な時間と労力がかけられている.また,これまでの語学学習教材では,そのコンテンツが限られているため,長時間飽きずに使用を継続することは困難であり,さらに学習者が興味のあるコンテンツを選択する余地はない.そこで本研究では,学習者に興味のあるTVニュース放送をパソコンに取り込み,そのニュース放送を素材とした学習教材を教師または学習者自身で手軽に作成することができるシステムを開発した.勿論,本システムは教師や学習者が自前で収録したビデオを語学学習教材化することもできる.本論文では特に,副音声と字幕の同期手法を取り入れた教材作成システムと教材プレイヤーによって実現される各機能とシステム全体の評価について述べる.教材プレイヤーを用いた被験者実験では学習効果が得られ,それらの評価アンケートでも教材について肯定的な意見が得られた.