著者
岡嶋 裕史
出版者
関東学院大学経済経営研究所
雑誌
関東学院大学経済経営研究所年報 (ISSN:13410407)
巻号頁・発行日
vol.40, pp.13-19, 2018-03

学生の活字離れが喧伝される中で,活字で組まれたテキストで学生に知識や技術を伝える試みが成立しにくくなりつつある。こうした学生の興味を維持するために,萌えを活用した教材の開発を行っている。ゲームやライトノベルとは異なる,教材というフォーマットの中で効率的に萌えを惹起するためには,萌えに対する深い理解が必要である。萌えとは何かについては大塚,東などの先行研究が明らかにしているが,具体的にどんな要素の組み合わせで萌えを誘発することができるかについては,議論がなかった。そこで本稿では,インターネット上でやり取りされているツイートを収集,解析することで,萌えと親和性の高い用語を抽出し,萌え要素の中に組み合わせて使用されやすいものがあるかを判定する研究を行った。
著者
張替 俊夫
雑誌
大阪産業大学論集 人文・社会科学編 = JOURNAL OF OSAKA SANGYO UNIVERSITY Humanities&Social Sciences (ISSN:18825966)
巻号頁・発行日
vol.29, pp.27-48, 2017-03

“The Nine Chapters on the Mathematical Art” was the oldest book of mathematics in China before the unearthing of “Suan-shu shu.” The aim of our research is to provide a complete translation and annotation of it including annotations of Liu Hui(劉徽)and Li Chunfeng(李淳風)from the viewpoint of our previous work on “Suan-shu shu.” This is the twenty-fifth article based on our research and results in which we studied the problems 1 to 3 of Chapter 8, Fangcheng(方程).
著者
関野 満夫
出版者
中央大学経済学研究会
雑誌
経済学論纂 = The Journal of Economics (ISSN:04534778)
巻号頁・発行日
vol.60, no.2, pp.69-101, 2019-10-10
著者
大澤 稔 菊地 章子 沼田 健裕 金子 聡一郎 高山 真
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2017-04-01

この1年は「化学物質過敏症」患者のリクルーティング・ピックアップ準備の年であった。まずはpilot的に化学物質過敏症診断で高名な病院の「化学物質過敏症・環境アレルギー外来」で診断済みの患者を紹介してもらい評価の方法を探った。化学物質過敏症に伴う症状と治療(漢方薬)効果との関係にある程度の再現性が確認できたため、次に評価基準を設定する作業に入った。当初の実施計画の通りスクリーニングシートの作成を進めているが、内容としてはたいへん高名な診断ツールとして確立しているQuick Environmental Exposure Sensitivity Inventory(QEESI(R) )をベースにする方向で調整に入った。また個々の症状(頭痛・めまい他)もNSR(Numerical Rating Scale)で数値化を図ることとした。幸いこのQEESIの開発者に指導を仰ぐ機会に恵まれ、研究趣旨を汲んでいただけたため、今後連携研究者としての登録をいただく方向で準備をしている。また診断の信憑性を高めるため精神科の連携研究者の協力も今後仰ぐ予定でいる。化学物質過敏症は環境医学の領域でも大きなトピックである。この1年の間に化学、工学、看護学、衛生学を専門とする研究者のメーリングリストにも登録させていただいた。この課題に取り組むにあたり日本臨床環境医学会にも属することとなり、本研究代表者も医学の立場で情報交流をすることになり、治療実績発表の準備中である。この人事交流は本研究の大きな礎になることが予想される。
著者
山中 智省
出版者
日本出版学会
雑誌
出版研究 (ISSN:03853659)
巻号頁・発行日
vol.49, pp.67-89, 2018

<p>徳間書店のアニメ雑誌『アニメージュ』とアニメージュ文庫は,日本におけるメディアミックス,ならびにライトノベルの形成・発展に関わる出版史のなかでどのように位置づけられるのか.本稿では主に1980年代の『アニメージュ』とアニメージュ文庫を対象として,これらの実態を雑誌の誌面や関連広告,文庫本や目録などの同時代資料のほか,編集者や作家といった当事者たちの証言から明らかにしつつ,その歴史的位置について考察する.</p>
著者
西井 開
出版者
日本社会病理学会
雑誌
現代の社会病理 (ISSN:1342470X)
巻号頁・発行日
vol.35, pp.97-113, 2020 (Released:2021-11-01)
参考文献数
27

本稿は、周縁化された男性の生活体験を臨床社会学的に考察するために、性的な不満を意味する「非モテ」に苦悩する男性に焦点を当てる。語り合いグループで語られた内容を分析し、以下のことが明らかになった。まず「非モテ」男性は劣等感や疎外感を抱いており、周囲からいじめやパワハラを受けている。そのような状況下で、彼らは自分に関わってくれる女性を神聖視し始め、彼女と交際することで不遇な状況を挽回できるのではないかと考える。そのアプローチは一方的なものであり、相手を追いかけまわすなどのストーカー行為を繰り返し拒否された「非モテ」男性はさらに自己否定を深めることになる。以上の分析から「非モテ」男性の苦悩とは、被害経験を通じて抱いた劣等感や疎外感を満たすために女性に執着するようになり、その行為の罪悪感と拒否された挫折から更なる自己否定を深めていく一連のプロセスとして描き出すことが可能となった。
著者
望月 弘彦
出版者
一般社団法人 日本静脈経腸栄養学会
雑誌
日本静脈経腸栄養学会雑誌 (ISSN:21890161)
巻号頁・発行日
vol.32, no.3, pp.1137-1141, 2017 (Released:2017-08-25)
参考文献数
11
被引用文献数
2

身体計測は簡便で非侵襲的かつ経済的であるため、在宅における栄養評価に適している。身長と体重の測定が基本となるが、立位が取れない場合には工夫が必要となり、他の指標を用いた推定式が用いられることがある。脂肪量の推定にはTSFやSSF、脂肪量+筋肉量の推定にはAC、筋肉量の推定にはAMCやAMA、CCが用いられる。CCはBMIとの相関が認められており、BMIが不明な場合は代わりにCCを用いている栄養スクリーニングツールもある。握力は筋組織を機能的に評価しており、最近ではサルコペニアの診断基準の一つとして注目されている。
著者
酒井 麻千子
出版者
日本メディア学会
雑誌
マス・コミュニケーション研究 (ISSN:13411306)
巻号頁・発行日
vol.83, pp.115-133, 2013-07-31 (Released:2017-10-06)
参考文献数
21

This article attempts to examine how photographic works were legally protected in the Meiji era (1868-1912) in Japan, and to show the unique features of these protections compared to other countries. In Japan, the first regulations of photography (shashin jorei) were enacted in 1876. It was partly because many photographers had demanded protection for those who incur considerable expenses to take pictures, and because the Home Ministry (Naimusho) had intended to regulate the photographic reproduction of protected works - especially books - without any prior consent by means of shashin jorei. By contrast, in other countries, such as France, Great Britain, and Germany, scholars, courts and authorities routinely discussed the artistic nature of photography for copyright protection because they viewed some photos as "mere mechanical process and unsuitable for the protection." This article points out two characteristics of protection concerning photos in Japan. First, shashin jorei was intended to regulate photographic reproduction unlike any other country. Under similar legislation - i.e., copyright laws - in other countries, reproduction of photos was obviously considered to be in violation of the law. Also, there was no argument about the nature of works that should be protected in Japan, such as "artistic nature" in Germany. In Japan, consideration concerning the nature of copyrighted works was still pushed aside in 1880, and finally - and unconsciously - introduced in the old copyright law of 1899.