著者
梶谷 志乃
出版者
東京海洋大学
巻号頁・発行日
2010

東京海洋大学博士学位論文 平成22年度(2010) 応用生命科学 課程博士 甲第190号
著者
長谷川 大 白川 真一 佐久田 博司
雑誌
情報処理学会論文誌教育とコンピュータ(TCE) (ISSN:21884234)
巻号頁・発行日
vol.4, no.1, pp.83-92, 2018-02-20

本論文では,Pedagogical Agent(PA)が説明を行う際に用いる導管メタファ・ジェスチャが,学習者における専門用語の記憶定着,抽象概念間の関係性の理解,学習体験,および,PAの知覚に与える影響を評価する.実験は,ジェスチャ要因(スピーチ・ジェスチャ・マッチ条件vs.スピーチ・ジェスチャ・ミスマッチ条件vs.ジェスチャなし条件)を操作する1要因3水準参加者間実験デザインとし,用語記入課題,図形選択課題,およびアンケートによって評価を行った.大学生140名によるオンライン実験の結果,スピーチ・ジェスチャ・マッチ条件で,スピーチ・ジェスチャ・ミスマッチ条件およびジェスチャなし条件と比較して,図形選択課題スコアに向上がみられた.またスピーチ・ジェスチャ・マッチ条件で,ジェスチャなし条件と比較して,参加者がより学習内容の理解に努めていたことが明らかになった.これらのことより,PAの導管メタファ・ジェスチャは学習者にとって内容理解の補助になることが示唆された.
著者
高木 正則 河合 直樹 大信田 侑里 鈴木 雅実 木村 寛明
雑誌
情報処理学会論文誌教育とコンピュータ(TCE) (ISSN:21884234)
巻号頁・発行日
vol.4, no.1, pp.70-82, 2018-02-20

協調学習では,複数のグループが同時並行で学習を進めるため,教員が各グループの学習の進捗を把握するのは困難である.そのため,教員は各グループで行われた話し合いの内容や,学習課題の達成に対する各学習者の貢献度を把握することは難しい.本研究では,協調学習における各学生の学習課題の成果に対する貢献度の可視化を目的とし,協調学習時の発話に含まれる特性語の出現頻度に基づいた貢献度推定手法を提案した.実際の授業で記録した協調学習時の音声データから本提案手法により推定した貢献度と,協調学習の様子を撮影した映像を教員が閲覧して評価した貢献度の相関係数を分析し,本手法で推定された貢献度の妥当性を検証した.その結果,本提案手法で推定された貢献度は,教員が評価した貢献度の約半数と一致しており,中程度の相関があることが確認された.また,本提案手法は音声認識の精度が低くても,貢献度の推定精度が低くならないことが示され,学生1人1人の発話を正確に記録・認識することが困難な協調学習の場面で有効に活用できることが期待できる.
著者
長島 和平 長 慎也 間辺 広樹 兼宗 進 並木 美太郎
雑誌
情報処理学会論文誌教育とコンピュータ(TCE) (ISSN:21884234)
巻号頁・発行日
vol.4, no.1, pp.57-69, 2018-02-20

高等学校の次期学習指導要領では,必履修科目の中でプログラミングが扱われることになった.プログラミングの学習には,インストールの手間や予算などの理由から,Webブラウザや表計算ソフトなどの既存の汎用ツールが使われてきた.今後は教育用に適したプログラミング環境が求められている.そこで著者らはWebブラウザ上でプログラミングを学習できる環境「Bit Arrow」を開発した.本環境を用いることで,インストールが不要になるだけでなく,教員が学習状況を確認する機能や,生徒が簡潔なプログラムを記述するためのライブラリと分かりやすいエラー支援の機能を提供する.本報告では,高校で利用した授業内容を紹介し,ログの解析から判明した「文法エラーの減少」と「エラーへの対応時間の短縮」などの効果について報告する.
著者
菅井 道子 堀田 龍也 和田 裕一
雑誌
情報処理学会論文誌教育とコンピュータ(TCE) (ISSN:21884234)
巻号頁・発行日
vol.4, no.1, pp.43-56, 2018-02-20

本研究では教育用SNSを利用した協調的問題解決の特徴を検討することを目的とした.高校2年生を2つのグループに分け,124人は教育用SNS,114人は対面での協調的問題解決にそれぞれ取り組ませた.議論を円滑に遂行するためのスキルに対しての自己評価や,議論の内容,および授業成果物を検討した結果,教育用SNSを利用した議論では,発話数が対面での議論より少ないにもかかわらず,授業成果物の質は対面でのそれとほぼ同程度となり,アイデアの独創性については対面での成績よりも高くなることが示唆された.加えて,議論を遂行するために多様なスキルを使って取り組むことが示唆された.教育用SNSを利用した協調的問題解決の有効性や演習時の要件などに関して考察した.
著者
若林 義啓 栢木 紀哉 上田 千惠
雑誌
情報処理学会論文誌教育とコンピュータ(TCE) (ISSN:21884234)
巻号頁・発行日
vol.4, no.1, pp.31-42, 2018-02-20

情報処理教育において,学習者の習熟度の差に関係なく,主体的な学習を促す授業デザインを提案する.具体的には,学習者の興味・関心に着目した学習課題を設定し,習熟度に合わせた目標設定・到達度評価を取り入れた.結果として,難易度の高い課題に対しても学習者の主体的な学習活動を促し,質の保証を図ることができた.授業デザインを取り入れた実践の結果,習熟度の差にかかわらず,授業に対する満足度の高まりが確認でき,学習者自身のスキルアップの実感と習得技術の将来的な活用を意識させることができた.
著者
大場 みち子 伊藤 恵 下郡 啓夫 薦田 憲久
雑誌
情報処理学会論文誌教育とコンピュータ(TCE) (ISSN:21884234)
巻号頁・発行日
vol.4, no.1, pp.8-15, 2018-02-20

我々は,プログラミングの思考過程,文章を論理的に構成する思考過程および数学の問題解決の思考過程が,相互に関係していると仮説を立てている.そこで,プログラミングスキルや文章を論理的に構成するスキルの両方を向上させるような,数学教材を開発できると考えて研究を進めている.本稿では,プログラミングスキルと論理的な文章を作成するスキルとの関係性を,それぞれのスキルのアウトプットに焦点を当てて論じる.プログラミング力判定の指標としての大学初年次プログラミング教育科目の成績評価点および期末試験の素点を利用し,レポート課題に対する「論理力」と「言語能力」それぞれの評価点合計との相関を分析した.大学生85人を対象に評価した結果,プログラミング力と論理的な文章作成力のうち「論理力」との間で強い相関が認められた.一方,プログラミング力と「言語能力」の間には部分的に弱い相関が認められた.
著者
松山 利夫 Toshio MATSUYAMA 平安女学院大学国際観光学部
雑誌
平安女学院大学研究年報 = Heian Jogakuin University journal (ISSN:1346227X)
巻号頁・発行日
vol.16, pp.1-7, 2016-03-01

Originally didjuridu was a local musical instrument used in Arnhem Land, the northern part of Australia. It is still played in funerals, initiation rites or Corroboree.In the 1960s, through Kimberley or Balgo Hill, or directly from Arnhem Land, didjuridu spread to the central and western desert areas. It was played to attract the attention of tourists who visited tourist attractions such as Uluru and to sell art crafts representing Aboriginal culture. Around this time some white people started playing this instrument.After the 1980s, didjuridu was widely played as "an ethnic instrument" in southeastern cities.Around this period urban Aboriginal people learned how to play it. In this way didjuridu became popular among white Australians, but yet it was still played at traditional ceremonies or rituals inArnhem Land. Thus, for urban Aboriginal people, playing didjuridu assured their Aboriginality.In the 1980s it became known overseas. In concert with the New Age movement or along with the World Music Boom, it came into fashion in America, Europe, and Japan. In Japan didjuridu lovers formed some groups such as Earth Tube, Dincum OZ Club, etc.Globalized didjuridu is now under the control of Aboriginals in Arnhem Land, as they have held the Garma Festival each year since 1999, where they give lectures on didjuridu and their culture, and teach performing techniques of didjuridu, asking people all over the world to join them.
著者
鈴木 二正 西山 由真 芳賀 高洋 大川 恵子 村井 純
雑誌
情報処理学会論文誌教育とコンピュータ(TCE) (ISSN:21884234)
巻号頁・発行日
vol.1, no.4, pp.21-37, 2015-12-09

慶應義塾幼稚舎の小学2年生(児童数36名)のクラスでは,子どもたちの情報活用能力の向上を目標として,1年生のときから児童1人1台のタブレット端末を導入して授業実践を行ってきた(2013年9月~現在).学習におけるICT活用が特別なことではなく,ごく自然に,新しい文房具の1つであるという感覚を養い,ICTを思いどおりに使いこなせるようになることを期待している.タブレット端末は標準的かつ一般的な機能・アプリ等を選定し,直観的な操作・軽量性(機動力)等タブレット端末の特性を生かした学習における活用方法を模索している.加えて,共同研究者である慶應大学の学生とともにプロジェクトチームを構築し,授業記録・授業解析を行っている.一方,慶應義塾幼稚舎では10年以上前から情報科を設置して情報教育を行ってきたが,本実践により情報科の内容を精選していく必要性も感じている.本稿では,特に小学1年生時に行った計18時間の授業実践とアンケート調査等から,学習に対する児童の理解や意識の変容,学習スタイルの変容,児童のICTスキルの向上等を検討する.
著者
渡辺 博芳 高井 久美子
雑誌
情報処理学会論文誌教育とコンピュータ(TCE) (ISSN:21884234)
巻号頁・発行日
vol.1, no.4, pp.64-74, 2015-12-09

情報基礎科目において,簡単なWebサイト構築の学習を対象として,反転授業を実践した.この反転授業は,(a)事前学習は講義ビデオを用い,授業時間内に講義はいっさいしない,(b)授業はコンピュータ教室で行い,授業の最初に提示された課題に各自が取り組む,(c)事前学習に取り組んでこなかった学生は,授業中に講義ビデオを視聴するところから学習活動を開始するという形で実践した.従来の授業時間中に講義を行う方法での授業実践と比較して,課題の平均得点と修得試験の平均得点が有意に高く,我々の実践した反転授業が効果的であることを示した.
著者
鈴木 聡 笹島 康明 小方 博之 槻舘 尚武
雑誌
研究報告ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI) (ISSN:21888760)
巻号頁・発行日
vol.2016-HCI-166, no.5, pp.1-8, 2016-01-14

コンピュータを利用した学習環境において,アニメーションを伴う CG キャラクタ (身体化エージェント) を教育エージェントとして導入する試みが数多く試みられており,教育エージェントの振る舞いによる学習者への影響も検討されている.一方,身体化エージェントの社会的役割がユーザに与える影響についても議論が進んでいる.本研究では,身体化エージェントの要素として外観と言葉遣いに着目し,教育エージェントについてそれらが誘発する社会的役割が学習者に与える影響について実験により検討した.特に,マンガなどでみられる,実際にそのような言葉遣いをする人間は稀であるにもかかわらず特定の社会的役割を誘発する言葉遣いである役割語に着目し,役割語と外観の対応が学習に与える影響に注目した.学習への影響は顕著にはみられなかったものの,教育エージェントに対する印象や学習内容の把握への影響が示唆された.この結果をもとに,教育場面における身体化エージェントの設計指針について論じる.