著者
内藤 耕
出版者
日経BP社
雑誌
日経ビジネス (ISSN:00290491)
巻号頁・発行日
no.1617, pp.82-85, 2011-11-21

長らく生産性が低いとされてきた日本のサービス業。とりわけ地方の中小零細企業は地元経済の疲弊に伴い、苦境にあえぐ。なお逆風に負けず気を吐く零細企業を紹介する。八天堂個性消して売れるクリームパン 広島県三原市。JR三原駅から歩いて数分のところに4坪(約13.2m2)ほどの小さな店舗がある。
著者
中川 学
出版者
北海道農事試驗場北農會
雑誌
北農 (ISSN:00183490)
巻号頁・発行日
vol.83, no.3, pp.302-304, 2016-07

ニュージーランド(NZ)は世界最大の乳製品輸出国であり,酪農は同国の基幹産業である。環太平洋経済連携協定(TPP)が発効すれば,日本は,バターおよび脱脂粉乳については新たに低関税の輸入枠を設定し,粉チーズおよびゴーダチーズ,チェダーチーズについては16年目に関税を撤廃する義務を負う。また,プロセスチーズは,現行の関税が維持されるが,NZには輸入枠が設定され,11年目に輸入枠内で関税が撤廃される。そのため,これらの乳製品は,NZから日本への輸入が増加し,国産と競合することが予想される。筆者は,2016年4月1日から7日までNZの北島を訪問する機会を得た。そこで,統計情報および現地で入手した新聞雑誌等に基づいて,同国酪農の最新の状況について報告したい。
著者
岡崎 裕典
出版者
日本海洋学会
雑誌
海の研究 (ISSN:09168362)
巻号頁・発行日
vol.21, no.2, pp.51-68, 2012-03-15 (Released:2019-09-01)
参考文献数
83
被引用文献数
1 1

海洋深層循環は,膨大な熱と二酸化炭素などの物質の輸送を担い,10年から1000年オーダーの気候変動に中心的な役割を果たしている。本稿では,最終氷期以降の海洋循環変化のなかで,最終退氷期に一時的に北大西洋に代わって北太平洋が深層循環の沈み込みの起点となったことを示し,その成立メカニズムと当時の気候に与えた影響を概説する。また,古海洋研究の重要課題である氷期炭素リザーバー探索に向けた今後の展望を述べる。
著者
長谷川 和
出版者
日本動物学会
雑誌
動物学雑誌 (ISSN:00445118)
巻号頁・発行日
vol.62, no.6, pp.206-211, 1953-06

By heat-treatment (for 5-40 minutes at 25-34℃) of fertilized eggs of the toads, Bufo vulgaris formosus (Boulenger), four double-headed tadpoles, which lived more than 30 days, were obtained. Generally in the head portions of these animals the organs were formed doubly, while in the tail portions singly; and intermediate forms of the two portions were recognized in the trunk portions. It may be considered that these animals were produced by the division of the direction of primary invagination.
著者
峠 弘治 渡邊 直純 臼井 賢司 榎本 剛彦 濱 勇 林 達彦
出版者
日本臨床外科学会
雑誌
日本臨床外科学会雑誌 (ISSN:13452843)
巻号頁・発行日
vol.76, no.7, pp.1604-1608, 2015 (Released:2016-01-30)
参考文献数
23

症例は42歳,男性.腹痛を主訴に当院救急外来を受診.CTにて限局性の小腸炎の診断で点滴目的に入院となった.診察時,陰嚢浮腫を認めた.弟や姪が非対称性の顔面や口唇の浮腫をきたした家族歴があり,しばしば腹痛を呈していたことから遺伝性血管浮腫を疑い,補体のC4およびC1インヒビター(C1-INH)を検査した.C4,C1インアクチベーターはいずれも低下しており,遺伝性血管浮腫と診断した.遺伝性血管浮腫はC1-INHの量的欠損または機能的な減弱によって起きる遺伝性疾患である.精神的・肉体的ストレスを誘因として顔面や咽頭,腸管浮腫をきたす.稀な疾患ではあるが,急性腹症を呈する疾患として鑑別に挙げるべきである.今回,われわれは当院において遺伝性血管浮腫の1症例を経験したので若干の文献的考察を加えて報告する.
著者
竹川 佳成 松村 耕平
出版者
日本ソフトウェア科学会
雑誌
コンピュータ ソフトウェア (ISSN:02896540)
巻号頁・発行日
vol.35, no.2, pp.2_95-2_108, 2018

本研究では,1人でのライブ中継形式のレポートを支援するシステム「ポケレポGO」を提案する.ライブ中継ストリーミングサービスの普及に伴い,だれもが自分の興味・関心,身の回りの出来事を放送できるようになった.1人でのライブ中継形式のレポートにおいては,撮影後に編集ができないことや,多くの作業を同時に行うことが求められるため,放送の品質の低下や,限られた情報の伝達による信頼性の低下といった問題を引き起こす可能性がある.これらの問題を解決するために,複数業務を円滑に進めるための機能をもつシステムを開発した.提案システムのプロトタイプシステムを実装し,評価実験によりプロトタイプシステムで撮影した映像の品質は,複数人で取材をする形態の比較手法と同等であることが明らかになった.
著者
前田 春香
出版者
北海道大学大学院文学研究院応用倫理・応用哲学研究教育センター
雑誌
応用倫理 (ISSN:18830110)
巻号頁・発行日
vol.12, pp.3-21, 2021-03-25

本論文の目的は、Correctional Offender Management Profiling for Alternative Sanctions(以下COMPAS)事例においてアルゴリズムが人間と似た方法で差別ができると示すことにある。技術発展とともにアルゴリズムによる差別の事例が増加しているが、何を根拠に差別だといえるかは明らかではない。今回使用するCOMPAS 事例は、人種間格差が問題になっているにもかかわらず、そのアルゴリズムが公平であるかどうかについて未だ論争的な事例であり、さらには差別の観点からは説明されていない。本論文では、「どのような差異の取り扱いが間違っているのか」を説明する差別の規範理論を使ってCOMPAS 事例を分析する。より具体的には、差別の規範理論の中から「ふるまい」による不正さを指摘するHellman 説を適切なものとして選び、アルゴリズムに適用できるよう改良したうえでCOMPAS 事例が差別的であるかどうか分析をおこなう。この作業によって、差別的行為を「ふるまい」の問題として独立させ、一見差別の理論が適用できなさそうなアルゴリズムによる差別性の指摘が可能になる。
著者
楊 禾 衣 犁
出版者
多文化関係学会
雑誌
多文化関係学 (ISSN:13495178)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.99-110, 2009 (Released:2017-03-28)

「中国音楽の生きた化石」といわれる納西古楽は、中国雲南省にある納西族の民間音楽である。経営会社化した「麗江大研納西古楽会」は、演奏会を観光客に向けて催し、また、国内外での公演や演説によって国際的認知度が高まっている。唐代の道教の読経音楽と宋元時代の儒家の細楽が納西族に伝承されてきたこと、中原で失われた工尺譜はまだ使われていることは、国内外の研究者や旅行者に注目されている。しかし、納西古楽は漢族の音楽学者の間では受け入れられず、様々な論争が起きている。 2003年10月に発行されたC研究院主催の『芸術評論』創刊号には、音楽理論家B氏が執筆した「『納西古楽』とは何ものだ」という文章が掲載された。文章に言及された納西古楽会長A氏は名誉毀損を理由にB氏と『芸術評論』雑誌社を訴えた。本論文は、納西古楽に関する当事者各自の主張と裁判所の判断について記述し、観光少数民族音楽が、商業的伝承活動の実践家や民族音楽学家によってどのようにみられているかを探る。そして、本案の考察により、多民族国家である中国において、少数民族と漢民族同士がいかに協力し、多文化の「共生」・「共栄」を構築していくのか、また消滅の危機に瀕している伝統芸能はどのような形で、どのような方法で残されていくのかなどの課題を提起する。
著者
猪奥 徹也 井上 岳司 九鬼 一郎 今井 啓輔 山本 敦史 長 正訓
出版者
日本神経学会
雑誌
臨床神経学 (ISSN:0009918X)
巻号頁・発行日
vol.62, no.2, pp.123-129, 2022 (Released:2022-02-19)
参考文献数
30
被引用文献数
1

16歳男性.発熱,群発型けいれん重積で救急搬送,febrile infection-related epilepsy syndrome(FIRES)と診断した.発作と多発する合併症の管理に苦慮した.超難治てんかん重積状態(super-refractory status epilepticus,以下SRSEと略記)に対し,他の抗けいれん薬とともにケタミン持続静注,デキサメタゾン髄腔内投与を追加した.第170病日に人工呼吸器から離脱,月単位の焦点運動発作と中等度の運動障害を残したが自宅生活が可能となった.SRSEが遷延するFIRESにおいて,より積極的な治療の追加も選択肢となりうる.