著者
チャムノンタイ コーシン 石川 繁樹 小沢 慎治
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.37, pp.1623-1624, 1988-09-12

筆者らはこれまでに白線テープ敷設による無人搬送車の視覚誘導方式を提案してきた。本方式では搬送車の前方に敷設されている白線をTVカメラで撮像し、白線誘導路に従って走行する。本稿では、システム用に白線テープを敷設することにより行なった従来のシステムと違い、予め工場内に描かれているラインを利用することを検討した。ここでは図1で示すように通路の両端がラインで区分されている工場を想定し、視覚誘導による搬送車を走行させる方式を検討している。本稿では本方式の課題とわれわれのアプローチを示す。
著者
地挽 雅人 浅田 洸一 豊田 長隆 菊地 健太郎 荒井 智彦 平下 光輝 野上 喜史 石橋 克禮 小林 馨
出版者
一般社団法人 日本顎関節学会
雑誌
日本顎関節学会雑誌 (ISSN:09153004)
巻号頁・発行日
vol.9, no.1, pp.60-71, 1997-06-20 (Released:2010-08-06)
参考文献数
17
被引用文献数
2

MR画像におけるjoint effusion (以下effusion) と臨床症状との関連, 特に経時的変化について検討した。対象は1993年10月から96年4月までに撮影したMR画像のうちeffusionを認めた33例で, その臨床診断は顎関節症29例, リウマチ性顎関節炎1例, 陳旧性脱臼1例, synovial osteochondromatosis 1例, 下顎骨周囲炎に後遺する下顎頭萎縮1例であった。男性5例, 女性28例, 年齢は14-65歳, 平均38.9歳であった。effusionは矢状面SE法MR撮像T2画像で上または下関節腔に, 高信号を示し, かつT1画像で低信号を示すものとした。臨床症状, X線写真所見, 円板動態との関連と, このうち16例20関節は2か月から1年9か月後に経時的変化について検討した。その結果, 初回MR所見でeffusionを認めた部位は上関節腔37, 下関節腔2関節で, 溝口らの分類によると帯状17, 太線状7, 線状7, 点状8関節であった。主訴は顎関節部の疼痛が多かった。また復位を伴わない円板前方転位例に多く, 特に帯状の例にその傾向が強かった。開口度は16-54mm, 平均37.3mmであった。X線写真所見で骨変形を認めた例にやや多いが, 約半数の関節では骨構成体に変化はなかった。経時的にはeffusionが消失したもの7関節, 大きさが縮小したもの5関節, 変化のないもの7関節, 性状が変化しているもの1関節であった。この像は下顎頭が, 滑膜表面に大きな応力が加わることによって, 滑膜や関節構成組織より, 組織液や何らかの融解産物が滑液中に浸出した結果と考えられた。
著者
折橋 伸哉
出版者
特定非営利活動法人 グローバルビジネスリサーチセンター
雑誌
赤門マネジメント・レビュー (ISSN:13485504)
巻号頁・発行日
vol.2, no.6, pp.279-304, 2003

<p>タイの自動車産業は、1997年の通貨危機(アジア経済危機)を契機に、それまでの高成長から一転、まさに存亡の危機に立たされた。タイでは生き残りを掛けて各社が必死の対応を行った。それを概観すると共に、最近のタイ自動車産業の状況と課題を検証する。</p>
著者
鈴木 晃志郎
出版者
北陸3県地学・地理学会
雑誌
自然と社会 : 北陸
巻号頁・発行日
vol.79, pp.25-35, 2013-08

本研究は, 既報の富山大学人文学部基礎ゼミナール受講生・鈴木(2013 :以下「既報」と略記) で示した富山大生の意識調査の補足調査であり,同論文で実施した回帰分析では充分に明らかに出来なかった被験者の潜在的な回答傾向を因子分析によって明らかにする試みである。 先の研究では、北陸新幹線の開業がもたらす影響についての論点を14項目に整理し、それぞれの重要性を富山大生154人に4段階評価させ、14項目の回答と説明変数、北陸新幹線の開業に対する態度を被説明変数とする重回帰モデルによって分析した。結果、回答者たちは開業に伴う正の効果への期待に専ら関心を向けていることが明らかにされた。本研究はこの回答結果に因子分析を適用することにより、回帰分析では得られなかった潜在的傾向として、開業に伴う負の効果(ストロー効果や並行在来線問題)への危惧を第二因子として抽出した。回答者は負の効果にも関心を払っていたものの、重回帰モデルではそれが被説明変数と有意な関係性を持たなかったために回答結果として表れていなかったことが、本研究によって明らかになった。
著者
永迫 俊郎
出版者
鹿児島大学
雑誌
鹿児島大学教育学部研究紀要. 人文・社会科学編 = Bulletin of the Faculty of Education, Kagoshima University. Cultural and social science (ISSN:03896684)
巻号頁・発行日
no.71, pp.29-38, 2020

われわれ人間は環境を認識するさい自ずと主体を切り替えて考えているが,どうしても自分中心になってしまう.人間は落ち着く先を求めて,自分のふるさと(故郷),自分の位置,私はどうするのだということを問い続ける.そこで基盤になるのはそれまでに培った経験で,環境世界の見え方が人によって異なるのはそのためである.鹿児島大学のCOC事業に携わるなかで「島立ち」の重要性に気付き,2017年3月に知名中学生を対象に「故郷(沖永良部島・校区・字)との関わりについてのアンケート」を行った.さらに,2019年7月に大島高校の生徒に対して「郷土・故郷と島立ちに関するアンケート」を実施できた.これらの沖永良部島と奄美大島の生徒に対するアンケート結果にもとづいて,環境世界を認識する基準として「身近な地域」がどのような役割を担っているか検討してみた.その結果,住民のほとんどが一度は島立ちしている周囲の状況や,出身者の郷土会に接してきた経験が,世界認識の基準となる身近な地域と自己の関係性への考究に繫がるのであろうと指摘した.
著者
助重 雄久
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
日本地理学会発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.2015, 2015

<b> <b>Ⅰ はじめに<br></b></b> 高度経済成長期以降、多くの島々では進学や就職を契機に島を離れる若年層が増加し、人口の再生産が困難となった。この結果、幼年人口が減少して小・中学校が統廃合され、産業の担い手がいなくなり、島の経済がしだいに脆弱化する、という道のりを歩んできた。<br> このような状況のなかで、いくつかの島々では児童・生徒の民泊受け入れや、地域住民と大学生との交流促進、若年層の国内移住(UIJターン)等の事業を積極的に推進し、島外から来た「若い力」を活かして活性化を図ろうとする動きがみられるようになった。こうした取り組みは、全国の農山漁村でも実施されており横並び感もあるが、島特有の地域性を活かした特色ある取り組みを進めた結果、島に来た若者たちが活性化に関与するようになった事例も見られる。本報告ではこうした事例の考察を交えながら、「若い力」を活かした島の活性化とその課題について論じる。<b> <br> <b>Ⅱ 体験交流型民泊による将来の「若い力」の養成<br></b> </b>山口県周防大島町では2008年に体験交流型観光推進協議会を立ち上げ、体験型修学旅行の受け入れを始めた。協議会では、瀬戸内海における漁業体験やみかん畑での農業体験等の体験交流プログラムを多数用意したが、主眼は体験よりも島民との交流に置き、体験者を「また島の人たちに会いたい」という気持ちにさせるよう気を配っている。<br> 実際、民泊体験者が後日、民泊先の家族を慕って再訪するケースが増えており、中学生のなかには、山口県立大島高校への進学を希望する者も現れた。体験交流型の民泊は高校生以下が対象であるため、体験者がすぐに地域再生の担い手にはならないが、短期的には体験者が再訪することで交流人口の拡大につながる。また、長期的にみれば、島に移住し島を支える人材が育つ可能性を秘めている。<br><b><b>Ⅲ 大学生・大学院生の学びの場としての島づくり<br></b> </b>長崎県対馬市では、韓国人観光客の増加とは裏腹に、少子高齢化や人口減少が加速し、集落機能や相互扶助による地域行事や作業等の継続が困難になってきた。こうした状況下で、対馬市は島外から住民とともに意欲的に活動してくれる人材を集めて、「人口の量」よりも「人口の質」を高める方向性を打ち出した。 <br> 2010年には総務省が制度化した「地域おこし協力隊制度」を利用して専門知識をもつ若者を募り、2013年までに8名の隊員が着任した。隊員はそれぞれの専門知識を活かして、ツシマヤマネコをはじめとする生物多様性の保全、デザイン力による島の魅力創出、ネットやイベントを通したファンづくり等の社会活動に従事している。<br> また、対馬は九学会連合や宮本常一の研究フィールドにもなり、多くの学問分野にとって学術的価値が高い島である。このため、学生や若い研究者に研究環境を提供すると同時に、島づくりにも参画してもらうことを目指している。2012年には「島おこし実践塾」が上県町志多留集落で開設され、全国から集まった学生や社会人が住民とともに地域再生活動に従事しはじめた。2013年からは「総務省域学連携地域活力創出モデル実証事業」の採択を受け、インターンシップや学術研究で滞在する学生や研究者の受け入れを行っている。<br><b><b>Ⅳ 島への移住者の役割と「定住」に向けた課題<br></b></b> 対馬の域学連携事業で学生たちのリーダー的役割を果たしている一般社団法人MITのメンバーは、移住してきた若手の生態学者や環境コンサルタント、国土交通省元職員等であり、島外からきた「若い力」が、さらに「若い力」を育てながら活性化に取り組むしくみが着実に根付きつつある。また、助重(2014)で報告した周防大島への移住者の多くも、前述の体験交流プログラムにも参画しており、ここでも「若い力」が「若い力」を育てる役割を果たしている。<br> ここにあげた移住者の多くはモラトリアム的な移住ではなく「定住」を目指している。島に来てから結婚した人や、安心・安全な環境下で子育てがしたくて家族ぐるみで移住した人も少なくない。また、島内で起業したり地域産業の再生に取り組んだりして、生計を立てようと努力している。<br> しかし、都市部から転入した若い移住者のほとんどは、都市での生活への未練もあり、極端に生活水準が低下すると島での生活にストレスを感じるようになる。 移住者が真の定住者として島の活性化の一翼を担うようになるためには、ここにあげた交流事業への参画を促すだけでなく、子どもの教育環境の整備や、物品購入のためのインターネット環境整備等、生活インフラの整備も進めて、ある程度の生活水準を確保することも重要といえよう。
著者
鈴木 正男
出版者
日本人類学会
雑誌
人類學雜誌 (ISSN:00035505)
巻号頁・発行日
vol.77, no.5, pp.213-223, 1969
被引用文献数
2

人の手指を, 0℃の水で冷却すると, その皮膚温は急速に水温付近まで下がり, 数分後自然に著しく上昇し, 一定度に達すると, 再び下降して, その後は不規則波動変動を繰り返す。LEWIs (1930) によつて発見されたこの現象は, ヒトの寒気に対する適応能の測度となる。<BR>局所の寒冷に対する適応能の差が, いかなる原因に由来するのかについて, YOSHIMURA & IIDA (1950, 1952) は主として生活環境の気温に対する適応の程度にあるとし, 一方, MEEHAN (1955) は, 遺伝的なものとした。筆者は, 奄美大島高校生 (60名) 東京都高校生 (99名) 静岡県下田高校生 (20名) 同海女 (34名) アイヌ成人 (37名) 双生児 (38名) について手指皮膚温反応を測定し, 環境, 遺伝両側面から比較検討した。その結果は次のとおりである。<BR>1.女子は男子よりもいくぶん強い反応を示す<BR>2.年平均気温が, 寒冷に対する手指皮膚温反応の適応能に差をもたらす重要な因子であることが確認された。<BR>3.アイヌは, 日本人と比較して, ほとんど差がない。<BR>4.海女は, 非常に昂進した反応を示し, 環境因子の強いことが知られた。<BR>5.統計的に有意ではないが, 一卵性双生児は二卵性双生児に比較して, 各組内で類似した反応を示す。<BR>6.皮厚から推定された体脂肪量と寒冷に対する手指皮膚温反応の間には, あまり相関関係がない。
著者
水本 徳明
出版者
一般社団法人 日本教育学会
雑誌
教育学研究 (ISSN:03873161)
巻号頁・発行日
vol.84, no.4, pp.398-409, 2017-12-31 (Released:2018-04-27)
参考文献数
54
被引用文献数
5

教育の目標や知識を構築する当事者として子どもを位置づけ、その複雑性を積極的に受容するため、教師の自律性と協働性が求められている。その実現が困難であるのは、経営管理主義によって公教育経営における権力の様式が規制的規則から構成的規則に変容したからである。サール(Searle, J. R.)の言語行為論に依拠してこの権力様式の変容について検討し、公教育経営における言語行為の転換を起点とする教師の当事者性の回復について論じる。

1 0 0 0 OA 古今狂歌大全

著者
永沢三郎 編
出版者
弘文館
巻号頁・発行日
1894
著者
大野 茜子 日馬 由貴 佐藤 匡博 小泉 龍士 岩元 典子 大曲 貴夫
出版者
一般社団法人 日本プライマリ・ケア連合学会
雑誌
日本プライマリ・ケア連合学会誌 (ISSN:21852928)
巻号頁・発行日
vol.45, no.1, pp.25-30, 2022-03-20 (Released:2022-03-23)
参考文献数
14

目的:診療所における抗菌薬適正使用の推進に向けて,抗菌薬処方状況を処方医自らがモニタリングできるシステムの開発を計画中である.本研究は,システムの実現性,妥当性の調査を目的とした.方法:6つの診療所のレセプトコンピュータ内に格納されている傷病名と処方薬のデータを出力後,個人情報を匿名化した.急性気道感染症と急性下痢症に対する抗菌薬処方を集計,データ整理した後,報告書を作成し,診療所が閲覧できるようにした.結果:対象の6つの診療所全てで,匿名化したデータを取得できた.また,傷病名と処方を連結させたデータの抽出や,処方薬の集計を行うことができた.結論:診療所における,抗菌薬処方モニタリングによる抗菌薬適正使用支援確立の可能性を見出し,本システム実現化を見通すことができた.一方,傷病名の付け方は多様であり,抽出する傷病名の定義づけに関しては,さらなる調査・検討が必要と考えられた.
著者
農林科1、2学年白井勇斗、柳瀬聡子、影山雅晃、清水渚
出版者
日本森林学会
雑誌
日本森林学会大会発表データベース
巻号頁・発行日
vol.125, 2014

大島高校さくらプロジェクトとは、日本一早いお花見ができる伊豆大島の観光名所を生徒の手で作ることを目的に、平成24年度から活動を開始した長期的なプロジェクトである。<br> 私たち東京都立大島高等学校の地元、伊豆大島には、大島で育種開発された「夢待桜(ユメマチザクラ)」という、1月~2月に淡いピンクの花を咲かせる新種の桜がある。大島高校では、この「夢待桜」を全校生徒の手で接ぎ木繁殖して苗木を作り、10年後、20年後の桜並木をイメージしながら校内の通路沿いなどに計画的に植樹している。<br> これまでに、大島高校敷地内の他にも、島内の企業と連携して幅広く植樹していただくなど、私たちが育てた150本以上の苗木が有効活用されている。また、全校で取り組む活動であるため、接ぎ木や植樹の体験を通じて、多くの生徒に農業技術や環境活動に興味を持ってもらっている。<br> また、この桜の木の繁殖は、日本全国どこでも実施できる取り組みである。大島高校ではこのプロジェクトの成果を「高校生による桜の繁殖ガイドライン」として、全国の高校でも展開できるような夢のある活動にしていきたい。
著者
吉野 貴子 飯島 節
出版者
一般社団法人日本理学療法学会連合
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.30, no.5, pp.296-303, 2003-08-20 (Released:2018-09-25)
参考文献数
14
被引用文献数
3

本研究では,脳卒中外来理学療法のあり方に示唆を得ることを目的として,1)外来理学療法の長期化の現状,2)外来理学療法に対する脳卒中後遺症者の期待と理学療法士の役割意識,3)外来理学療法と通所リハサービスを併用している者と通所リハサービスのみの利用者との比較の3点について検討した。調査は在宅脳卒中後遺症者284名と理学療法士200名を対象に郵送アンケート法にて実施した。その結果,外来理学療法が長期化する傾向があること,脳卒中後遺症者の多くが外来理学療法に対して麻痺や身の回りの動作が回復することを期待していること,一方,理学療法士は,機能回復よりも身体機能やADLの維持や確認を主な役割として意識していることが明らかとなった。以上から,患者と理学療法士が外来理学療法における目的を共有することがまず重要である。そうすることによって,地域リハビリテーションにおける外来理学療法の役割が明確化し,外来理学療法が患者の生活の再構築に貢献できることが示唆された。
著者
上岡 裕美子 吉野 貴子 菅谷 公美子 大橋 ゆかり 飯島 節
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.21, no.3, pp.239-247, 2006 (Released:2006-09-22)
参考文献数
15
被引用文献数
2 1

29組の脳卒中後遺症者(患者)と担当理学療法士(PT)を対象に,それぞれが認識している理学療法目標の相違を,発症からの時期別に検討した。その結果,患者は回復期後期群では運動機能改善を目標と認識していた。維持期群は歩行・運動機能の改善と認識する者と,現状維持と認識する者の両方が認められた。一方,PTは回復期後期の患者に対して社会的役割取得および歩行改善を,維持期の患者に対しては運動機能・活動の維持および社会参加の促進を目標と認識していることが示された。いずれの時期においてもそれぞれ患者とPTが認識している目標には相違が認められ,今後,両者が確実に目標を共有するための目標設定方法について検討することが必要であると考えられた。