著者
大塚 攻 長谷川 和範 木村 妙子 三宅 裕志 近藤 裕介 飯田 健 Honorio Pagliwan Ephrime Metillo
出版者
The Malacological Society of Japan
雑誌
Venus (Journal of the Malacological Society of Japan) (ISSN:13482955)
巻号頁・発行日
vol.75, no.1-4, pp.93-98, 2017-11-27 (Released:2018-01-11)
参考文献数
39

ウロコガイ科二枚貝ベッコウマメアゲマキScintilla philippinensis Deshayes, 1856の生体がフィリピン・パラワン島で採集されたが,外套膜とその膜上の突起,足を用いてウミウシ類及びカニ類に擬態と考えられる行動が観察された。ウミウシ類型の場合,外套膜を変形させて形態を似せる。カニ類型の場合には形態的類似性だけでなく足も用いて行動も真似る。ウロコガイ上科は他の動物に共生することで知られるが,擬態に関する知見は少ないので,今後のより詳細な研究が待たれる。
著者
長谷川 和子
出版者
日本コミュニケーション障害学会
雑誌
コミュニケーション障害学 (ISSN:13478451)
巻号頁・発行日
vol.24, no.1, pp.41-44, 2007-04-30 (Released:2011-04-13)
参考文献数
8

ディサースリアについて,その動態・背景となる運動制御機構・介入の視点を概説した.発話明瞭度の改善のためには,明瞭度の低下をもたらしている発話の動態を解析し,その自動的な運動遂行過程へ介入する必要がある.その過程は知覚情報を能動的に識別するなかで遂行されるので,構音訓練のなかで適切な知覚情報をもたらし運動そのものに介入することが必要である.対象者のレベルによっては発話に必要な運動要素を実現するために対象活動の利用や徒手的な調整が行われる.医療におけるリハビリテーションの短縮化のなかで,医療と介護,他職種との連携の必要性とともに,STの専門性をさらに高め効果的で効率のよい治療を行うことが求められていると考える.
著者
中山 大成 長谷川 和範
出版者
日本貝類学会
雑誌
Venus (Journal of the Malacological Society of Japan) (ISSN:13482955)
巻号頁・発行日
vol.74, no.1-2, pp.19-26, 2016-04-13 (Released:2016-04-15)
参考文献数
12

沖縄県恩納村瀬良垣から金城浩之氏によって採集された日本産イトカケガイ科の1種をイボヤギヤドリイトカケ属(新称)Epidendrium A. & E. Gittenberger, 2005の新種として記載する。また,本種の属位を決定するにあたり,従来北西太平洋でAlora属に含められていた近似種と比較するとともに,それらの属位についても見直しを行った。Epidendrium parvitrochoides Nakayama n. sp. エンスイイトカケ(新種・新称)(Figs 8–10)殻長は3~5 mmの小型で薄く,円錐形。茶褐色。各層に胎殻は平滑で円筒形,体層,次体層とも下方に角張るが底盤を形成しない。次体層は6層内外で,殻表は縦肋と螺肋が交差し格子状の彫刻をなす。殻口は四角く外唇薄く著しい張り出しにはならない。臍孔は大きく開く。タイプ標本:ホロタイプ,殻長 5.8 mm; 殻径4.0 mm,NSMT-Mo 77925;パラタイプ1,殻長4.8 mm; 殻径 3.1 mm, NSMT-Mo 77924;パラタイプ2,殻長4.3 mm; 殻径 2.8 mm,NSMT-Mo 77923。タイプ産地:沖縄県恩納村瀬良垣,水深20~25 m。分布:タイプ産地のみからしか知られていない。付記:Epidendriumイボヤギヤドリイトカケ属(新称)はE. sordidum A. & E. Gittenberger, 2005ヒロベソイボヤギヤドリイトカケ(新称)をタイプ種としてGittenberger & Gittenberger(2005)によって創設され,従来Alora属とされていた種の幾つかがここに移された。後にGittenberger & Gittenberger(2012)はAlora属とEpidondrium属の違いについて改めて議論し,遺伝子配列の比較から系統的に隔たったものであることを示した。殻の形態では両者の区別はやや困難であるが,貝殻の全般的な形状や殻質などの違いによって区別が可能であると考えられる。これらの形質に基づいて,日本産の従来Alora属に含められていた種を再検討した結果,まず土田(2000)や Nakayama(2003)によってAlora billeeana(DuShane & Bratcher, 1965)イボヤギヤドリイトカケとして図示された種はE. aureum A. & E. Gittenbereger, 2005(Figs 1–2)に訂正される。この種と同時に記載されたヒロベソイボヤギヤドリイトカケも今回初めて沖縄から産出が確認された。E. reticulatum(Habe, 1962)センナリスナギンチャクイトカケは,貝殻の形態から本属に含めたが,本属の知られているすべての種がイボヤギ類に着生する(Gittenberger & Gittenberger, 2005)のに対して,本種はヒドロ虫類のセンナリスナギンチャクに付着する(Habe, 1962)ことから,今後の詳しい検討が必要である。Alora annulata (Kuroda & Ito, 1961)テラマチイトカケは寄主などの情報が不明であるが,原殻の形態的特徴と近年の他の文献等に倣い暫定的にAlora属に残す。Alora kiiensis Nakayama, 2000キイテラマチイトカケは明らかに異旋する大型の原殻をもつことなどから,タクミニナ科のTuba属に移される。本新種はE. billeeanumやイボヤギヤドリイトカケよりも小型で,螺層が角張りを持ち,殻口が方形であることで明瞭に異なる。ヒロベソイボヤギヤドリイトカケとは縫合が浅く,彫刻が弱いことで区別される。センナリスナギンチャクイトカケは殻形が最も近似するが,周縁が丸く,螺肋がより強くて数が少なく,格子状の彫刻を示すことで区別される。
著者
稲岡 信之 加藤 裕司 久保野 雅史 熊井 信弘 辻 弘 中村 豊 長谷川 和則
出版者
筑波大学
雑誌
研究報告 (ISSN:10091860)
巻号頁・発行日
vol.27, pp.131-146, 1988

本校では中学を卒業すると全員が高校へ上がってくるが、この生徒達と試験を受けて高校から入ってくる生徒(40数名)との間には学力差がある。本校の中学を卒業した生徒の英語力の方が低いのである。また、これらの生徒の中には英語に対する興味を失いかけている者もいる。その最も大きな原因は「高校入試」のために勉強してきたか否かであろう。 ...
著者
長谷川 和俊
出版者
安全工学会
雑誌
安全工学 (ISSN:05704480)
巻号頁・発行日
vol.56, no.4, pp.274-279, 2017-08-15 (Released:2017-08-15)
参考文献数
19

福島第一原子力発電所の事故は東日本大震災を契機に大災害に発展した.この事故が拡大した要因に関して安全文化の基本および本質安全技術に鑑みて検証した.その結果,安全優先,耐震補強,電源系の異種冗長化,非対称故障モードの活用と簡素化,原子炉施設の簡素化および影響の局限化,縮減化およびノックオン効果の回避,炉心損傷および水素ガス発生への包容性,ガス爆発への局限化,緊急対策の簡素化,異種冗長化された監視系に関して,不作為あるいは見過ごしがあった.従って,福島第一原子力発電所の大災害は安全設計の基本概念を欠いた人災であったと結論した.
著者
平井 昂宏 貝沼 関志 林 智子 長谷川 和子 青山 正 水野 祥子 鈴木 章悟 西脇 公俊
出版者
一般社団法人 日本集中治療医学会
雑誌
日本集中治療医学会雑誌 (ISSN:13407988)
巻号頁・発行日
vol.23, no.6, pp.647-650, 2016-11-01 (Released:2016-11-01)
参考文献数
10
被引用文献数
2

プロポフォール注入症候群(propofol infusion syndrome, PRIS)は,プロポフォール使用中に横紋筋融解,急性腎傷害(acute kidney injury, AKI),乳酸アシドーシス,脂質異常症などを来す症候群である。早期にPRISを疑いプロポフォール中止によって救命できた一例を経験した。症例は44歳の男性,スタンフォードA型大動脈解離に対して弓部置換術を行った。術後にプロポフォールを用いて鎮静を行っていたところ,血液生化学検査でCKが15,247 IU/lまで上昇し,AKI,乳酸アシドーシスを認めたためにPRISを強く疑った。プロポフォールの投与中止によりCKは速やかに減少し,AKI,乳酸アシドーシスも改善した。後に撮影されたCTで大腿から臀部の筋内に高吸収域を認め,横紋筋融解後の変化があった。プロポフォールの長期投与中はCK,pH,乳酸値などを定期的にモニタリングし,PRISを疑った場合は早期に他の鎮静薬への変更が必要であると考えられた。
著者
長谷川 和俊
出版者
安全工学会
雑誌
安全工学 (ISSN:05704480)
巻号頁・発行日
vol.19, no.6, pp.333-339, 1980-12-15 (Released:2018-03-31)

可燃性蒸気雲の爆発に関して,事故の概要,爆発現象および安全対策について解説した.事故発生の原因,爆発時の状況および被害因子について論じ,事故の因果関係を明らかにした.放射熱について規模効果,火炎温度,放射率などとの関連の上に議論した.爆風について一般的特性,点源爆発と分散爆発の違い,相似則によるTNT当量およびTNT収率を用いた被害予測の方法について述べた.最後に,安全対策について個々の問題を指摘しながら総括的に記した.
著者
長谷川 和夫
出版者
一般社団法人 日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.56, no.5, pp.411-417, 2016 (Released:2016-05-01)
参考文献数
20

高齢化社会の現在, 高齢者の幸福度は健康, 家族そして収入であろう. ことに高齢になると身体機能の衰退に加えて精神機能が低下し心身医学的な保健, 医療, 福祉の対応が基盤として整備されていることが必要になり, 私たち日本心身医学会に期待されている. 中でも認知症への対応は喫緊の課題であり, 薬物療法や対応するケアそして一般市民への啓発活動を行って, 虚弱高齢者を含めた地域ではぬくもりのある絆を作っていくことが求められる. 認知症ケアの国際的な主流であるパーソンセンタードケアの実施, すなわち個別的な自分史を十分に理解し, その人らしさを尊重する支え方が大切になる. さらに認知症の当事者が自分の体験を語る機会が増えているが, 患者さんや利用者の想いを取り入れていくことや, 介護する家族らを支えていくことなど, 私たち心身医療者へのなすべき責務を痛感する次第である.
著者
柳屋 光俊 続木 一夫 渡辺 隆啓 中島 康之 松田 冬彦 長谷川 和夫 松本 毅
出版者
天然有機化合物討論会
雑誌
天然有機化合物討論会講演要旨集
巻号頁・発行日
no.22, pp.635-641, 1979-09-20

Pederin, a potent insect poison isolated from paedrus fuscipes, exhibits various interesting physiological activities, such as inhibition of mitosis in HeLa cell and blocking of protein synthesis at concentrations of 1-10 ng/me. We describe here the first total synthesis of pederin. Asymmetric Synthesis of Pedaldehyde Derivatives. Asymmetric reduction of ketone 14 was examined under various conditions. The desired alcohol 13R was obtained by reduction with LiAlH_4 in ether-toluene (54: 46) at -123°in 74% e.e. The alcohol 13R was converted stereoselectively to pedamide 28 (Fig. 4,5). Synthesis of N-acyl aminoacetals. A new general method for the synthesis of N-acyl aminoacetals was developed and the method was applied to the synthesis of pederin, starting from (+)-pederic acid and (+)-pedamide.
著者
吉田 企世子 森 敏 長谷川 和久 西沢 直子 熊沢 喜久雄
出版者
公益社団法人 日本栄養・食糧学会
雑誌
日本栄養・食糧学会誌 (ISSN:02873516)
巻号頁・発行日
vol.37, no.2, pp.115-121, 1984-04-10 (Released:2010-02-22)
参考文献数
14
被引用文献数
1

有機質肥料 (OF) で栽培した露地トマト (品種サターン) と無機質肥料 (IF) で栽培したトマトの食味を比較するため官能検査を行なった結果, 各年ごとに傾向は必ずしも同じではなかった。1) 1980年度は, 3および5果房ともIF区よりOF区のほうが顕著に優れていると評価された。2) 81年度は, 3果房はOF区が優れていたが, 1および6果房ではあまり差がなかった。3) 82年度は, 3果房は明らかにOF区が優れていたが1,2,4~7および8果房には差がなかった。4) 各年とも3果房のOF区が優れていたが, これは養分吸収との関係で検討を要する。5) 色については, 官能検査で有意差が示された試料が, 必ずしも, 色調測定の結果示された傾向とは一致しなかった。
著者
池内 隆夫 上野 学 与儀 実夫 長谷川 和則 佐々木 春明 浜島 寿充
出版者
泌尿器科紀要刊行会
雑誌
泌尿器科紀要 (ISSN:00181994)
巻号頁・発行日
vol.37, no.12, pp.1677-1682, 1991-12

1)非細菌性前立腺炎および前立腺炎様症候群における肛門疾患合併率は29.7%,活動性病変合併率は15.4%であり,他の泌尿器科疾患での合併率に比し有意に高い.2)合併肛門疾患では痔疾患とくに痔核の合併頻度が高い.3)治療による臨床的有効率は非細菌性前立腺炎が71.4%,前立腺炎様症候群が58.2%であった.4)前立腺炎と痔疾患とくに痔核の合併および発症とは深い関係がある.肛門疾患を合併する前立腺炎に対して桂枝茯苓丸は有用であった
著者
長谷川 和樹
出版者
一般社団法人 日本口腔腫瘍学会
雑誌
日本口腔腫瘍学会誌 (ISSN:09155988)
巻号頁・発行日
vol.26, no.3, pp.69-77, 2014-09-15 (Released:2014-10-01)
参考文献数
13
被引用文献数
4 2

下顎骨の切除は咀嚼のみならず審美性,嚥下,構音など多くの機能に障害を生じることとなる。そのため下顎骨欠損の硬性再建を行うことは患者さんのQOLを回復するための非常に有効な手段となる。現在下顎骨の再建には腸骨,腓骨,肩甲骨など様々な部位の血管柄付骨皮弁が用いられている。しかしどの骨皮弁もそれぞれ長所,短所があり,必ずしも一つの皮弁にてすべての症例に適応できうるものではない。肩甲骨皮弁は口腔顎顔面外科領域の硬組織再建に広く用いられている骨皮弁の一つである。その栄養血管である肩甲下動静脈は二つの枝(胸背動脈,肩甲回旋動脈)に分かれ,さらに胸背動脈はAngular branchや前鋸筋枝を分岐する。そのためこの血管系は肩甲回旋動脈による肩甲骨弁,Angular branchによる肩甲骨弁,両者の血管柄を持つ肩甲骨弁,広背筋皮弁など様々な皮弁を栄養することができ,さらにこれらの皮弁を組み合わせた複合皮弁としても用いることができる。今回は当科にて行っている肩甲骨皮弁を用いた下顎再建につき,オトガイ部を含めた区域切除後の再建術式を中心として解説,さらに解剖,本皮弁の特徴,適応なども含め検討し紹介する。
著者
大野 恭太 平井 利可子 長谷川 和範 高橋 利和 大橋 一 山本 欣宏 橋本 泰樹 松森 良信 筒泉 正春 大石 哲也 辻本 大治 志村 利之
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.88, no.6, pp.1091-1093, 1999-06-10 (Released:2008-06-12)
参考文献数
9
被引用文献数
1 1

29歳の初回妊娠の女性が検診にて血小板数の異常低値を発見されEDTA (ethylene diamine tetraacetic acid)依存性偽性血小板減少症と判明し女児を出産した.この出生女児においても出生直後には母親と同様のEDTA依存性の偽性血小板減少症が認められたが1年8カ月後には消失していた.本例における母子発生の機序として抗血小板抗体の経胎盤性移行を推定して.
著者
長谷川 和也 熊坂 崇
出版者
日本結晶学会
雑誌
日本結晶学会誌 (ISSN:03694585)
巻号頁・発行日
vol.64, no.4, pp.294-299, 2022-12-15 (Released:2022-12-17)
参考文献数
34

Cryo-crystallography is usually used at synchrotron macromolecular crystallography(MX)beamlines in order to mitigate radiation damage. However, the structures determined at cryogenic temperatures sometimes hide conformational states observed at room temperature. Serial femtosecond crystallography(SFX)developed at XFELs demonstrated that room temperature structure analysis is possible even using micro-crystals. Following these successes, serial crystallography is also performed at synchrotron MX beamlines aiming at room temperature structure determination and time resolved structure analysis. In this review, synchrotron serial crystallography(SSX)performed at synchrotron MX beamlines in worldwide is summarized, and development of SSX at SPring-8 MX beamlines is introduced together with ongoing project toward time resolved experiments.