著者
片岡 大右
出版者
慶應義塾大学日吉紀要刊行委員会
雑誌
慶応義塾大学日吉紀要. フランス語フランス文学 (ISSN:09117199)
巻号頁・発行日
no.61, pp.71-99, 2015

1 回想の中の加藤周一 : 「象徴主義的風土」の案内人2 阿部良雄における「象徴主義的風土」の乗り越え3 近代文学史の神学的読解4 ロマン主義の展開としての近代文学5 ロマン主義論の二源泉(1) : 渡辺一夫6 ロマン主義論の二源泉(2) : ジャン・ゲーノ7 「人間性への信仰」8 おわりに
著者
Fumio Oosawa
出版者
The Biophysical Society of Japan
雑誌
Biophysics and Physicobiology (ISSN:21894779)
巻号頁・発行日
vol.15, pp.151-158, 2018 (Released:2018-07-18)
参考文献数
42
被引用文献数
1 3

An enormous amount of research has been performed to characterize actin dynamics. Structural biology investigations have determined the localization of main chains and their changes coupled with G (Globular)-F (Filamentous) transformation of actin, whereas local thermal fluctuations that may be caused by free rotations of the tips of side chains are not yet fully investigated. This paper argues if the entropy change of actin accompanied by the G-F transformation is simply attributable to the changes in hydration. It took almost 10 years to understand that the actin filament is semi-flexible. This flexibility was visually confirmed as the development of optical microscope techniques, and the direct observation of actin severing events in the presence of actin binding proteins became possible. Finally, I expect the deep understanding of actin dynamics will lead to the elucidation of self-assembly mechanisms of the living creature.
著者
小池 淳一
出版者
国立歴史民俗博物館
雑誌
国立歴史民俗博物館研究報告 (ISSN:02867400)
巻号頁・発行日
vol.165, pp.47-62, 2011-03

本稿は雑誌を通して日本の民俗研究の形成過程の特徴をとらえる視角を追求しようとするものである。雑誌は、長く大学に講座を持たなかった日本の民俗研究にとって重要なメディアであり、研究の対象を登録し、資料を蒐集するだけではなく、課題を共有し、議論を深めていくためにも活用されてきたことがこれまでも指摘されている。ここでは具体的に一九一三年に石橋臥波を中心に発刊された『民俗』という雑誌が大正のはじめに「民俗」研究の重要性を主張し、国文学や歴史学、人類学の研究者を軸に運営されていたことを明らかにした。さらに同時期の高木敏雄・柳田国男による『郷土研究』との差異が「民俗」を把握する方法意識の差にある点について考察した。さらに一九三二年に発刊された『民間伝承』という雑誌を取り上げ、編集発行にあたった佐々木喜善が置かれていた状況や研究上の課題、雑誌刊行を支えた人脈について考察した。ここからは掲載された論考ばかりではなく、問答や資料報告を含む誌面の構成から、口承文芸を軸に東北を基盤としつつ事例の集積と論考とを共有しようとする姿勢を読みとることができた。雑誌にはその編集発行に携わった人々の研究への構想力が結晶しており、それはこれら二つの雑誌も例外ではない。そしてこのことは、民俗研究の史的展開を考える上で重要である。これまでは長期的に成功を遂げた雑誌に注目する傾向があったが、どちらの雑誌も短命に終わったもののこれらからも汲みあげるべき問題があることが判明した。今後は雑誌を支えた読者とのコミュニケーションの近代的な特色や謄写版といったメディアを生み出す技術との関係も考慮に入れて、雑誌を民俗学史の中に位置づけていく必要があろう。
著者
九島 紀子 齊藤 勇
出版者
立正大学心理学部 ; 2014-
雑誌
立正大学心理学研究年報 The journal of psychology Rissho University (ISSN:21851069)
巻号頁・発行日
no.6, pp.35-52, 2015

This study utilized the two dimensions of maturity and sexual dimorphism as standards for female faces, in order tostudy the effects of difference of facial features on interpersonal impressions. An illustration of a prototype face was firstmade, then only the positions of the features were altered, in order to make four faces with differing degrees of maturityand sexuality. As a result of examining whether the faces were identified as faces with different impressions, it was determinedthat the five faces prepared in this study conveyed different impressions reflecting sexuality and gender characteristics,which was due only to the difference of the position of facial features, without changing the facial featuresthemselves.
著者
平塚 徹
出版者
京都産業大学
雑誌
京都産業大学論集. 人文科学系列 (ISSN:02879727)
巻号頁・発行日
vol.47, pp.211-238, 2014-03

多くの言語において,電気器具のつけ消しを表すのに,火をつけたり消したりすることを表す動詞を用いる(フランス語 allumer/éteindre,日本語「つける/ 消す」など)。これは火による照明器具について用いられた動詞が電灯に転用され,それが電気器具一般に拡張されたものと考えられる。この過程で,電灯は電気器具のプロトタイプの機能を果たしたと考えることができる。 同じ行為を表すのに開閉を表す動詞を用いる言語も多く存在する(フランス語 ouvrir/fermer,中国語「开/ 关」など)。これは,以下の機序に大きくよっている。すなわち電気器具のつけ消しをメトニミーにより電気を流したり止めたりすることで表し,それをメタファーにより電気の通り道の開閉に見立てたのである。 それ以外にも,別の意味の動詞,句動詞,接頭辞付きの動詞を用いる方法がある。エスペラントは電気器具をつけることを表すために新しい単一の動詞を用意している点で特異である。電気器具をつけるという概念はある程度抽象的であり,これを表現するには自然言語は何らかの方略に訴えるのである。
著者
熊谷 滋子
出版者
現代日本語研究会
雑誌
ことば (ISSN:03894878)
巻号頁・発行日
vol.42, pp.3-20, 2021

<p>東北方言が田舎イメージで表象され続けていることを2021年に放送されたNHKドラマから検証する。NHK連続テレビ小説は、舞台となる地域の方言を主人公が使う傾向がある。しかし、東北を舞台にすると、主人公や主要な役には共通語か「薄い」方言程度でにごし、地元の年配男女、林業・漁業従事者に東北方言を使わせる。後者に「田舎イメージ」をもたせるためである。また、使用する東北方言は濁音化とその他のわずかな特徴に単純化され、ステレオタイプ化されている。さらに、大阪を舞台にするドラマではほぼ全員が大阪方言を使用するため、大阪方言非母語話者の俳優は努力してマスターしようとするのに対し、東北方言の場合は主人公や主要な役はあまり方言を使用しなくてもよいといったことから、方言への意気込みにも方言の格差がある。多様性を唱える2000年代でもこの状況である。</p>
著者
呉羽 正昭
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
地理学評論 Ser. A (ISSN:00167444)
巻号頁・発行日
vol.64, no.12, pp.818-838, 1991-12-01 (Released:2008-12-25)
参考文献数
16
被引用文献数
2

本研究の目的は,群馬県片品村におけるスキー観光地域,とくに1970年代までのスキー観光地域が, 1980年以降どのように変化してきたかに注目して,その形成の諸特徴とそれにかかわる条件を明らかにすることである. 片品村では, 1970年代までに,規模の小さい8つのスキー場が,伝統的利用が行なわれていた共有林野のなかに開設された.スキー場の開設に伴い周辺地域では民宿が開設され,またスキー場の冬季臨時従業員といった雇用機会がうまれた.住民は,スキー場に関連した新しい就業を取り入れ,それに,夏季の農業,林業および建設業を組み合わせるようになった. 1980年代になって,スキー場ではペアリフトなどの新しい施設の建設が進み,入込客,とくに首都圏からの週末の日帰り客が急増した.一方,周辺地域では,スキー場関連産業が重要な位置を占あている.片品村では,高速道路開通による首都圏からの近接性の向上,面積拡大を可能にした林野所有形態といった条件をいかしながら,スキー観光地域は, 1980年以降大きく発展してきた.そこでは,スキー場の入込客許容量が増加し,また多種類の宿泊施設が存在することによって,スキー客の多様な需要に対応してきた.
著者
Yoshinori IIZUKA(飯塚芳徳) Sumito MATOBA(的場澄人) Masahiro MINOWA(箕輪昌紘) Tetsuhide YAMASAKI(山崎哲秀) Kaoru KAWAKAMI(川上薫) Ayako KAKUGO(角五綾子) Morihiro MIYAHARA(宮原盛厚) Akihiro HASHIMOTO(橋本明弘) Masashi NIWANO(庭野匡思) Tomonori TANIKAWA(谷川朋範) Koji FUJITA(藤田耕史) Teruo AOKI(青木輝夫)
出版者
THE JAPANESE SOCIETY OF SNOW AND ICE
雑誌
Bulletin of Glaciological Research (ISSN:13453807)
巻号頁・発行日
vol.39, pp.1-12, 2021 (Released:2021-10-13)
参考文献数
18
被引用文献数
2

In order to construct reliable deposited-aerosol database on the Anthropocene (from 1850 to 2020), we obtained a 250-meter-long ice core from the Southeastern Greenland Dome on May and June 2021, where is one of the highest accumulation domes in Greenland. The age of the ice core at a depth of 250 m was roughly estimated to be AD 1827 based on the timescale from a previously analyzed shallower ice core. The age of the sampled ice core satisfied the prerequisite conditions for constructing aerosol deposition database for Anthropocene. In addition, surface elevation, borehole temperatures, and internal stratigraphy of the ice sheet were performed, and meteorological and snow-pit observations were also conducted. Furthermore, we sampled aerosol and snow from the ice sheet for chemical and physical analyses.

9 0 0 0 OA 史籍集覧

著者
近藤瓶城 編
出版者
近藤出版部
巻号頁・発行日
vol.第14冊, 1926
著者
伊藤 俊秀 宮澤 樹 山本 恭輔
出版者
関西大学
雑誌
情報研究 : 関西大学総合情報学部紀要 (ISSN:1341156X)
巻号頁・発行日
vol.50, pp.1-10, 2020-01-30

二酸化炭素の排出が地球温暖化にどの程度影響しているかは議論の余地の残るところではあるが,現時点で商用化されている水素自動車(燃料電池車)は走行時に二酸化炭素を排出しないので,地球温暖化防止に有効であると広く認識されている.しかし,水素は,工業的には天然ガスから製造されているので製造時点で二酸化炭素が排出される.そこで,水素自動車が実質的に排出する二酸化炭素量を推計し,ガソリン車,ハイブリッド車,電気自動車が排出する二酸化炭素量と比較して考察した.ここで,電気自動車については発電時の排出量であるので,各国の電力ミックスに大きく依存する.比較考察した結果,日本の場合,水素自動車と電気自動車の二酸化炭素排出量は,現時点ではほぼ同量であるが,政府が2030年に目標としている電力ミックスで考えるとむしろ電気自動車の方が少なくなることがわかった.したがって,水素ステーションなどに膨大な設備投資を行って取り扱いが難しく非常に危険な水素で走行する水素自動車の普及を推進するより,現時点でもかなり普及している電気自動車の更なる普及を促進する方が合理的である.本稿では,最後に,水素の製造や発電の際に排出される二酸化炭素の地中への貯留手法であるCCSの現状と実現性についても言及した.