著者
細川 真由
出版者
京都大学大学院人間・環境学研究科
雑誌
人間・環境学 (ISSN:09182829)
巻号頁・発行日
vol.27, pp.201-217, 2018

第一次世界大戦後, 未曾有の大戦争を経験した世界は, 国際連盟の創設や多国間条約の締結を通じて国際平和の構築を図った. 中でも1928年に締結された「国策の手段としての戦争放棄に関する条約」(不戦条約)は, フランスとアメリカとの協議から生まれた条約であるが, 最終的には多くの国が参加し, 史上初めて「国策の手段としての戦争」を禁止した画期的な条約となった. そして, この条約の成立にはアメリカにおける戦争違法化運動が大きな影響を与えたとして, 多くの先行研究の対象とされてきた. その一方で, 不戦条約をめぐるフランス外交に関する研究はほとんど見られない. しかし, 条約成立に至る複雑な交渉過程におけるフランス政府の意図やその背景にあるものについて検討を加えてはじめて, 不戦条約の意義と限界を明確にすることが可能となる. 本論文では, 政府文書・外交文書・同時代の著作等の一次史料, および先行研究に基づき, 不戦条約をめぐるフランスの外交的背景を考察した. その結果, 不戦条約は, 従来考えられてきたような理想主義的性質とはかけ離れた, 現実主義的な交渉過程を経て成立したことが明らかとなった.
著者
細川 真由
出版者
京都大学大学院人間・環境学研究科
雑誌
人間・環境学 (ISSN:09182829)
巻号頁・発行日
vol.27, pp.201-217, 2018-12-20

第一次世界大戦後, 未曾有の大戦争を経験した世界は, 国際連盟の創設や多国間条約の締結を通じて国際平和の構築を図った. 中でも1928年に締結された「国策の手段としての戦争放棄に関する条約」(不戦条約)は, フランスとアメリカとの協議から生まれた条約であるが, 最終的には多くの国が参加し, 史上初めて「国策の手段としての戦争」を禁止した画期的な条約となった. そして, この条約の成立にはアメリカにおける戦争違法化運動が大きな影響を与えたとして, 多くの先行研究の対象とされてきた. その一方で, 不戦条約をめぐるフランス外交に関する研究はほとんど見られない. しかし, 条約成立に至る複雑な交渉過程におけるフランス政府の意図やその背景にあるものについて検討を加えてはじめて, 不戦条約の意義と限界を明確にすることが可能となる. 本論文では, 政府文書・外交文書・同時代の著作等の一次史料, および先行研究に基づき, 不戦条約をめぐるフランスの外交的背景を考察した. その結果, 不戦条約は, 従来考えられてきたような理想主義的性質とはかけ離れた, 現実主義的な交渉過程を経て成立したことが明らかとなった.
著者
砂原 庸介
出版者
日本公共政策学会
雑誌
公共政策研究 (ISSN:21865868)
巻号頁・発行日
vol.7, pp.132-144, 2008-01-25 (Released:2019-06-08)
参考文献数
13

本稿では,失敗に終わったと評価される地方分権改革推進会議の議論を参照しなから,三位一体改革を包含する地方財政制度改革の特徴を関係するアクターの「利益」の観点から明らかにする。小泉政権において行われた地方財政制度改革は,経済財政諮問会議においてマクロでの地方財政のスリム化を行う一方で,関係省庁の合意を元に地方税・交付税・補助金の三位一体の改革を行うことで,国・地方を通じた緊縮財政の実現を目指すものであった。しかし,地方財政制度改革が持つ「中央政府の財政再建」「地力分権改革」という側面を強調することは,関係者の合意に亀裂をもたらす可能性を秘めていた。交付税を縮減しつつ地方への一方的な負担転嫁を避けた改革の方策として,地方分権改革推進会議は補助事業の改革を含めた包括的な改革をふ志向したものの,関係するアクターの信認を獲得することがてぎず,同会議は改革への説得的な提案を行うことができなかった。その結果,2005年に一応の決着を見た三位一体改革は,補助事業の改革を伴わず,中央と地方の税財源の配分を変更する漸進的な改革であったと結論することができる。地方財政制度改革が漸進的なものに終わった原因は,分権会議が関係するアクターの信認を獲得できなかったことに加えて,改革に関係するアクターの信認を可能にする装置であるはずの経済財政諮問会議が一貫した意思決定を行うことができなかったことに起因すると考えられる。
著者
奥野 高廣
出版者
史学研究会 (京都大学文学部内)
雑誌
史林 (ISSN:03869369)
巻号頁・発行日
vol.62, no.4, pp.520-558, 1979-07-01

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著者
永島 和祥
出版者
社団法人 繊維学会
雑誌
繊維学会誌 (ISSN:00379875)
巻号頁・発行日
vol.62, no.1, pp.P.25-P.28, 2006
著者
宮下直編
出版者
東京大学出版会
巻号頁・発行日
2000
著者
小野展嗣編著
出版者
東海大学出版会
巻号頁・発行日
2009
著者
Juri Matsuoka Rina Minohara Yuko Furuya Kota Fukai Haruna Hirosato Naoto Ito Kiminori Odagami Tomohisa Nagata Masako Nagata Yuichi Kobayashi Koji Mori
出版者
Japan Society for Occupational Health
雑誌
Environmental and Occupational Health Practice (ISSN:24344931)
巻号頁・発行日
vol.3, no.1, pp.2021-0001-FS, 2021 (Released:2021-09-25)
参考文献数
10

Objectives: To identify what types of information were useful and/or difficult to obtain for occupational physicians during the COVID-19 epidemic, and how information should be provided to help occupational physicians in the event of future outbreaks of emerging infectious diseases. Methods: The list was developed by categorizing information about COVID-19 delivered by researchers to a group of occupational physicians after the COVID-19 outbreak. We created a survey and asked the group about the usefulness and ease of obtaining each type of information. Results: In total, 79.1–100% of the occupational physicians said that each type of information was “Useful”. Information on the nature of the virus; clinical course, testing, and treatment; infection prevention measures; regulations in Japan; immigration restrictions in Japan; and guidelines were all considered useful by more than 95%, as was information about the introduction of information aggregation websites by public institutions, academic societies, experts, and others, and sharing of case studies by information distribution group members. These last two items also had a high percentage of respondents who said that they “only obtained the information because it was distributed this way”. Conclusions: Constructing a system for automatic distribution of information that is useful to occupational physicians and difficult to obtain elsewhere may make it easier for occupational physicians to respond more smoothly to emerging infectious disease outbreaks within a company.
著者
鈴木 平光
出版者
Japan Oil Chemists' Society
雑誌
日本油化学会誌 (ISSN:13418327)
巻号頁・発行日
vol.48, no.10, pp.1017-1024,1197, 1999-10-20 (Released:2009-11-10)
参考文献数
72
被引用文献数
3 3

魚油には, ドコサヘキサエン酸 (DHA) やエイコサペンタエン酸 (EPA) といったn-3系多価不飽和脂肪酸が豊富に含まれている。これらの脂肪酸は, 心血管系疾患, がん, 炎症の予防に有効であるため, 生物学的に重要な脂質として広く認められている。さらに, 魚油, 特にDHA, の摂取は, 脳の発達, 記憶学習能, 視覚機能に影響するということが多くの研究で明らかにされている。最近では, 痴呆症や精神障害に及ぼすDHA油の予防及び治療効果が報告されている。この総説では, 魚油の健康機能についてまとめると同時に, 高齢者の知能や視力に及ぼすDHA油の効果についてのデータも紹介する。
著者
笹倉 豊喜
出版者
一般社団法人 日本音響学会
雑誌
日本音響学会誌 (ISSN:03694232)
巻号頁・発行日
vol.72, no.4, pp.207-212, 2016-04-01 (Released:2017-07-01)
参考文献数
8