著者
片倉 葵 菊竹 雪
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集
巻号頁・発行日
vol.65, pp.54-55, 2018

近年、様々な種類のお菓子のパッケージデザインを駄菓子屋だけでなくコンビニエンスストアやスーパーマーケットなど近代の商業施設で目にすることができる。お菓子のパッケージデザインは真新しさや話題性、流行を取り入れながら日々新しいものへと変わっているが、その中でも販売当初から変わらないパッケージを使用しているお菓子が存在する。なぜ普遍的なパッケージデザインが長い間売れ続け、そのデザインが現代のデザインに淘汰されず残り続けているのかという疑問に対し、何か1つの法則を定めることでロングセラー商品として現代まで伝承されるデザイン手法が確立されているのではないかという仮説を立てた。ロングセラー商品であり世代を超えて認知度の高いボンタンアメを例に取り上げ、その背景色とモチーフであるボンタンの色面積比率を算出した結果、箱の規格に関わらずある一定の面積比率を保っていた。販売当初のパッケージと変わらぬ色の面積比率がロングセラー商品として残り続けている一種のデザイン手法なのではないかと考えられる。
著者
辻 守栄
出版者
一般社団法人 日本看護研究学会
雑誌
日本看護研究学会雑誌 (ISSN:21883599)
巻号頁・発行日
pp.20210512137, (Released:2022-01-12)
参考文献数
34

目的:三次救急医療施設における人工呼吸器を装着した意思の疎通が困難な患者へのICU看護師の関わりを明らかにすること。方法:ICU看護師6名に参与観察と半構成的面接を行い質的記述的に分析した。結果:ICU看護師の関わりとして【患者を非人間化しないよう患者が辿る経過や入院前の生活を想像し,人としての尊厳と日常を守りながら命を保証する】,【医療機器を患者の身体の一部と捉えトラブルがないよう管理し,医療処置の最中でも患者のメッセージを掴み取る】,【自らの身体感覚を通して重症患者のわずかな変化を読み取る】,【自分の身に置き換えて考え,患者にとって安心・安楽となるようケアをする】など7つのカテゴリーが抽出された。結論:ICU看護師は反応がない患者を非人間化することを危惧し,患者への関心を寄せ患者の辿る経過や入院前の生活を想像しケアすることが,人として尊重する関わりとなり看護の基盤になると考える。
著者
磯谷 光毅 大沢 英一
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集
巻号頁・発行日
vol.2021, pp.1I4GS4c03, 2021

<p>近年SNSが広く利用されている中,誹謗中傷の様な攻撃的な投稿がなされる場合があり問題となっている.そこで誹謗中傷などの攻撃的な投稿についてその特性を理解した上で効果的な対策を考案することが必要である.本研究では意見が二分されるようなテーマについての誹謗中傷などの攻撃的な投稿の,発生や収束といったダイナミクスを的確に表現することができるモデルを構築しその特性について分析することを目的とする.モデルには各ユーザについて中立,賛成,賛成かつ攻撃的,反対,反対かつ攻撃的の5つの状態を定義し状態遷移に周辺ユーザの影響を考慮するよう設定した.DTWにより実際のTwitterにおける攻撃的状態にあるユーザとモデルでの攻撃的状態のユーザの推移についての時系列の距離を測った結果,提案モデルは賛成かつ攻撃的について4.493,反対かつ攻撃的について7.443であり各状態をランダムで遷移した場合の132.2,170.0と比較し類似度が高いモデルを構築することが可能であった.また攻撃的なユーザの,同意見周辺ユーザへの影響を抑えると攻撃的状態ユーザ総数の割合の累計が減少することが示された.</p>
著者
長谷川 孝治 小向 佳乃
出版者
信州大学人文学部
雑誌
信州大学人文科学論集 = Shinshu studies in humanities (ISSN:24238910)
巻号頁・発行日
no.6, pp.71-82, 2019-03

本研究は,Twitter のフォロワーに対する類似性認知が他者への不寛容性を促進させるのかを検討することを目的として行われた。インターネット調査会社のモニター127名に対するWeb 調査の結果,フォロワーに対する類似性認知が高いほど,彼/彼女らに対する不寛容性も高いことが示された。また,この傾向は,孤独感の高さや自己肯定感の低さによって,調整されていた。すなわち,孤独感が高い人や自己肯定感が低い人は,フォロワーに対する類似性を高く認知するほど,それらの人々と意見の食い違いが生じた際に,不寛容性が高くなることが示された。さらに,そのような際に,フォローを解除したり,ミュートしたりする拒否行動をとるのは,不寛容性が高い人であることも示された。これらのことから,SNSを通してコミュニケーションが円滑になる反面,そこでの同質性の追求が,他者に対する寛容性を下げることにつながることが示唆された。
著者
藤田 博
出版者
公益社団法人 高分子学会
雑誌
高分子 (ISSN:04541138)
巻号頁・発行日
vol.24, no.7, pp.441-445, 1975-07-01 (Released:2011-09-21)
著者
古屋 秀隆
出版者
日本動物分類学会
雑誌
タクサ:日本動物分類学会誌 (ISSN:13422367)
巻号頁・発行日
vol.48, pp.3-12, 2020

<p>Dicyemids (phylum Dicyemida) are endosymbionts that typically are found in the renal sac of benthic cephalopod molluscs. The dicyemid bodies consist of only 8 to 40 cells, which are the fewest in number of cells in metazoans, and are organized very simply. Typically, two or three dicyemid species are found in a single specimen of the host, and most of them show high host specificity. Dicyemid species have been examined in the benthic cephalopods collected from the Kumano Sea at a seafloor depth of 150–400 m using bottom trawl nets since 2013. Twenty-five undescribed species of dicyemids, included in five genera, were found in 15 species of cephalopods. There is a considerable diversity of dicyemids in relatively narrow range of localities of the Kumano Sea. Here current taxonomic studies on dicyemid fauna in the Kumano Sea are briefly reported.</p>
著者
中谷 丈史 石丸 優 飯田 生穂 古田 裕三
出版者
一般社団法人 日本木材学会
雑誌
木材学会誌 (ISSN:00214795)
巻号頁・発行日
vol.52, no.5, pp.285-292, 2006 (Released:2006-09-28)
参考文献数
18
被引用文献数
6 7

木材の主要3構成成分に対する各種有機液体の親和性について新たな知見を得ることを目的として,木材パルプ,ホロセルロースおよび木粉の乾燥および膨潤試料について,6種類の有機液体すなわちメタノール,エタノール,酢酸メチル,酢酸エチル,アセトンおよびジメチルスルホキシドの希薄ベンゼン溶液からの吸着性を比較して検討した。その結果,供試液体の中で,エタノール,ジメチルスルホキシドは乾燥リグニンに対して強い親和性を示した。また,乾燥試料と膨潤試料の吸着性の比較から,乾燥リグニンには乾燥セルロースやヘミセルロースと比較して,吸着サイトの新生にあまり大きなエネルギーを必要とせずに液体分子が近接できる吸着サイトがより多く存在していること,分子容の小さなメタノールの吸着には,乾燥リグニンだけでなく,セルロース,ヘミセルロースにおいても,吸着サイトの新生にあまりエネルギーを必要とせずに近接可能なサイトが存在していることが示唆された。
著者
宮崎 千展 松山 聖路 徳永 雄一 齋藤 正史 清原 良三
雑誌
第79回全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2017, no.1, pp.395-396, 2017-03-16

自動車メーカによる自動運転車両の市場への投入が近いと言われており,多くのメーカで活発な研究開発が行なわれている.また,社会的にも渋滞の緩和,CO2排出量の削減,不注意による事故の防止などの効果が期待されている.車のライフサイクルが10年程度と考えると,今後販売される新車がすべて自動運転車両であるという規制をかけたとしても,その規制後10年以上は自動運転とそうでない車両の混在環境が必ず生じる.混在環境において自動運転の車両が効率的な運転操作を行なうことで渋滞の軽減が期待できる.しかし,人間の感覚に沿わない運転操作を行なえば,人間のドライバが驚いて急ブレーキを踏み渋滞が悪化することにもなりかねないため,自動運転には人間の感覚に沿った安全な運転操作が求められる.本論文では,混在環境における渋滞の削減を目標に,自動運転車両による交差点における合流車両の進入支援方式を提案し,その評価を行なう.