著者
山本 圭介 松岡 庸洋 高尾 徹也 辻村 晃 奥山 明彦 久保 盾貴 細川 亙 角田 洋一 山口 誓司
出版者
一般社団法人 日本泌尿器科学会
雑誌
日本泌尿器科学会雑誌 (ISSN:00215287)
巻号頁・発行日
vol.100, no.3, pp.500-503, 2009 (Released:2012-02-01)
参考文献数
13

41歳, 男性.家族歴・往歴に特記すべきことなし.以前より陰茎腫大を自覚し, 排尿時痛も出現したため前医受診.陰茎の著明な腫大を認めた.MRIにて, 陰茎皮膚および皮下組織の著明な肥厚を認めた.自排尿困難のため, 尿道カテーテル留置の上, 当科紹介.病的な皮膚・皮下組織を切除し, 左大腿部より採取した分層皮弁を陰茎に巻きつけて植皮を行った.病理診断では悪性所見を認めず, 非特異的炎症性変化であった.植皮の生着は良好で, 痛みは減少し尿道カテーテル抜去後も排尿可能であった.術後6カ月現在, 明らかな再発を認めず, 排尿・性機能についても特に問題ない.象皮病はリンパ浮腫の終末像であり, フィラリア感染や外傷・治療・腫瘍・液状異物自己注入などが原因で生じる.自験例ではフィラリア感染は否定的であり, 特発性と考えられた.
著者
藤山 あやか Ayaka Toyama
出版者
滋賀文教短期大学
雑誌
滋賀文教短期大学紀要 (ISSN:09126759)
巻号頁・発行日
no.22, pp.29-38, 2020-03

ドイツ連邦共和国・ハンブルク州の基礎学校 "Glundschule" に導入されている器楽教育プロジェクト "Jedem Kind ein Instrument(どの子どもたちにも一つの楽器を)" (以下、 JeKi) について、その教育理念や概要を述べる。 現地調査(2019年3月, 同年9月)では、①ハンブルク州における JeKi の運用、②基礎学校3・4年生対象の授業見学、③ハンブルク教育省 JeKi 部門主任ガブリエラ・フスラーゲ氏および講師インタビューを行うことができた。当該プロジェクトの効果検証について、ドイツ連邦教育研究省よりストレス対応力と自己肯定感の向上が明らかにされており、特に教育環境に恵まれない、あるいは経済的に困難な家庭の子どもたちにおいて効果が高いことが示されている。これらの実態分析により、学校教育の枠組みで実施されている JeKi の取り組みから、多文化共生教育の実現を念頭に置いて展開されているカリキュラムや実際の授業展開および指導法の特質を見出し、わが国における器楽教育への適用の方向性について示唆を得る。
著者
山口 真一
出版者
総務省情報通信政策研究所
雑誌
情報通信政策レビュー
巻号頁・発行日
vol.11, pp.52-74, 2015

<p>本稿では、近年多く発生しているネット炎上の特徴と実態を、先行研究や実証分析を基に整理したうえで、名誉毀損罪の非親告罪化、制限的本人確認制度、インターネットリテラシー教育、捜査機関における炎上への理解向上といった観点から、あるべき政策的対応を考察する。</p><p>実証分析の結果、以下の5点が確認された。第一に、炎上は、2011 年以降、毎年 200 件程度発生し続けている。また、それは特に Twitter で多い。第二に、「炎上に加担したことがある」人はわずか1.5%しかいない一方で、「炎上を知っている」人 は90%以上存在する。第三に、インターネット上で「非難しあってよい」と考えている人は10%程度しかいない。さらに、「非難しあってよい」と感じている確率に有意に正なのは、「炎上に加担したことがある」人のみである。第四に、インターネットを「怖いところだ」「攻撃的な人が多い」と感じている人はそれぞれ70%以上存在する。特に、炎上を知っている人は「攻撃的な人が多い」と感じている確率が有意に正となっている。第五に、若い人ほどインターネットに対して「言いたいことが言えるのがよい」「非難しあってよい」と感じている。</p><p>また、以上を踏まえた政策的対応の考察では、プロバイダ責任制限法の炎上負担軽減効果と限界に触れたうえで、「①名誉棄損罪の非親告罪化」「②制限的本人確認制度の導入」「③誹謗中傷(炎上)に関するインターネットリテラシー教育の充実」「④捜査機関における炎上への理解向上」の4つを挙げた。そして、①には slippery slope の問題が、②には違憲である可能性とそもそも効果が薄いという問題があることを述べ、③と④に積極的に取り組むことを提案した。</p>
著者
森 憲一
出版者
文教大学湘南総合研究所
雑誌
湘南フォーラム : 文教大学湘南総合研究所紀要 = Shonan Forum : journal of the Shonan Reserch Institute, Bunkyo University (ISSN:18834752)
巻号頁・発行日
no.24, pp.31-39, 2020-03

We are surrounded by storylike information that is composed of "lines" connecting facts. However, those "lines" are not necessarily fact. Facts that are told as a storyline, rather than fragmentary one, enable audience to understand overall concept easily. It even helps them to use their imagination beyond the facts, which might make the information more valuable to them. However, in the process of forming a story, some certain facts may be omitted. It's also possible facts may get connected in incorrect orders, which leads the relation of cause and effect to be reversed. Given audience trusts Japanese TV media to provide information in a fair and public manner, it is critical to ponder on how they should convey information. This thesis, in this sense, aims to clarify difference between TV media and other media such as Social Networking Service. Furthermore, it examines objectivity of the information that TV media broadcast.
著者
井上 幸希 Yuki Inoue
出版者
同志社法學會
雑誌
同志社法学 = The Doshisha law review (ISSN:03877612)
巻号頁・発行日
vol.72, no.4, pp.881-906, 2020-10

表現の自由の領域において、Elena Kaganが提唱する動機審査の理論とはいかなるものかを概観した上で、同理論の応用可能性について検討する。故竹中勲教授追悼号 I
著者
中谷 勇哉
出版者
日本社会病理学会
雑誌
現代の社会病理 (ISSN:1342470X)
巻号頁・発行日
vol.35, pp.31-45, 2020

<p>2000年代以降、ネット右翼と呼ばれるヘイトスピーカーの台頭に代表される意見の先鋭化現象とその言説の拡散はたびたび議論となっている。そこで、本稿は「右翼的言説の拡散メカニズムを推論すること」を目的とし、ツイートの表現に焦点を当てて分析した。そのために、楽曲「HINOMARU」をめぐって起こった炎上現象に関するツイートを収集し、分析を行った。その結果、1) 炎上が4つの段階に分けられ、その段階後半では、 2) 多く共有されたウェブサイトがオンラインニュースサイトからまとめサイトに移行していること、3) その移行とともに、自分自身について用いられる中立的な表現は減少し、批判する他者を「左翼」や「在日」とする表現が増加していったことが示された。またこの分析を踏まえ、右翼的言説の拡散が、「人々が個人的な意見・信念を批判から保護する過程でネット右翼言説と接続されていく」というメカニズムによって引き起こされていると捉える。</p>
著者
広瀬 明彦 西浦 博
出版者
公益財団法人 産業医学振興財団
雑誌
産業医学レビュー (ISSN:13436805)
巻号頁・発行日
vol.34, no.1, pp.1-16, 2021 (Released:2021-05-13)

近年、許容値などを設定するための参照値あるいはPODとして、NOAELを用いる手法に変わって、ベンチマークドース法が適用される事例が増えてきている。特に食品関連の化学物質の許容値設定において、欧州食品庁やWHO・FAOの合同専門家会議での用量反応評価ガイドラインでは、ベンチマークドース法の適用がデフォルトとなることが示されている。ベンチマークドース法によりBMDLを算定する手法については、従来は実験データに最も適合する統計モデルを各評価機関が設定したモデル選択規準に従って選定してBMDLを算出していたが、近年は二値データおよび連続値データをモデル化するのに適した標準的な数種の数理モデルを平均化してBMDLを算出することが主流になってきている。さらに実験データに数理モデルを適合させる手法は、従来の頻度論的手法からベイズ推定を用いた手法に代わりつつある。
著者
宮本 徹
出版者
マテリアルライフ学会
雑誌
マテリアルライフ (ISSN:09153594)
巻号頁・発行日
vol.12, no.3, pp.130-137, 2000-07-31 (Released:2011-04-19)
参考文献数
5