著者
吉田 健一
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.62, no.3, pp.959-967, 2021-03-15

株価予測は学問的にも実務的にも重要な研究テーマであり,伝統的なファイナンスの観点から古くから研究されてきた.また近年では深層学習などデータマイニングの手法を使った研究もさかんである.本報では,日次の終値の変化と標準偏差のみを入力に用いたGradient Boosting Decision Tree法が代表的な株価インデックスであるTOPIXや日経225先物の翌日の値を予測可能であり,代表的な取引手法であるインデックス投資と比較して超過収益が得られることを示す.この結果は月次データに関して報告した代表的な株価インデックスが持つ特徴と同じ特徴(株価の分析における混合分布分析と学習期間調整の重要性)が日次データにも存在することを示している.本報では,学習期間調整の重要性は日次の方が顕著であり,また日経先物の分析結果からは限月という先物特有の要因が有効な学習期間に影響している可能性も指摘する.
著者
加藤 徳明
出版者
一般社団法人 日本高次脳機能障害学会
雑誌
高次脳機能研究 (旧 失語症研究) (ISSN:13484818)
巻号頁・発行日
vol.40, no.3, pp.297-303, 2020-09-30 (Released:2021-10-01)
参考文献数
18

脳疾患・脳外傷者の自動車運転再開・中止の判断には, 神経心理学的検査等の院内検査だけでなく, 運転シミュレーター, 実車教習を含めた包括的運転評価が勧められる。運転免許適性検査基準を満たしていることは大前提だが, 基準を満たしても同名半盲や半側空間無視, 重度の感覚障害の場合は個別の医学的判断が必要である。免許取り消し又は停止となる病気・病態の確認も重要であり, 認知症は免許取り消しになる。症候性てんかん, 低血糖症, 抑うつ状態, 睡眠時無呼吸症候群は症状の確認が必要である。失語症者は机上検査の解釈が難しく, Trail Making Test-A, Rey-Osterrieth の複雑図形, Tapping span, Vi sual Cancellation 図形「A」・「B」, Continuous Performance Test 等の利用が有効な可能性がある。包括的な評価で「運転適性あり」と判定すれば, 警察の安全運転相談 (全国統一相談ダイヤル : #8080) に連絡するように指導する。不安要素がある場合は「運転再開保留」とし, 3~6 ヵ月程度期間をあけて, 回復を待って再評価を実施する。
著者
上村 直人 藤戸 良子 樫林 哲雄
出版者
一般社団法人 日本高次脳機能障害学会
雑誌
高次脳機能研究 (旧 失語症研究) (ISSN:13484818)
巻号頁・発行日
vol.40, no.3, pp.310-316, 2020-09-30 (Released:2021-10-01)
参考文献数
6
被引用文献数
1

近年, 高齢者と自動車運転の問題, 特に認知症と自動車運転は社会的にも問題化し, 臨床現場でも様々な対応や試みが行われている。さらに 2017 年 3 月 12 日からは 75 歳以上の高齢ドライバーは 3 年ごとの免許更新時と基準行為と呼ばれる特定の交通違反を犯すと, 更新を待たずに認知機能検査を受検することが必要となった。その結果, 認知症が疑われる第一分類に判定されれば, 医師の診断を受けることが義務化された。現在, わが国では認知症と判定されれば, 現行法でも既に自動車運転が禁止されているが, どのような状態であれば運転を中断すべきか, という医学的基準や評価方法は確立されていない。認知症といっても軽度から重度まで, また認知症の原因疾患によっても事故の危険性には差異がある可能性があり, 今後さらなる医学的検討が必要である。そこで今回, 臨床現場における認知症と運転行動の関連性のほか, 現時点での課題について解説した。
著者
セーヨーサンティ 榊 剛史 内山 幸樹
雑誌
研究報告自然言語処理(NL)
巻号頁・発行日
vol.2010-NL-199, no.10, pp.1-7, 2010-11-11

ソーシャルメディアを介した情報伝搬が活発になる中で、多くの人々の個人単位での行動や心理状態が把握しやすくなりつつある。本研究は大量の口コミ分析によって得られた市場心理と日経 225 先物の推移を機械学習させ、売買予測モデルを確立した。取引シミュレーションの検証結果は日経 225 先物の動向予測において、口コミ分析が有効であることを示している。
著者
野口 孝俊 内藤 裕之 守屋 典昭 眞鍋 匠
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集B3(海洋開発) (ISSN:21854688)
巻号頁・発行日
vol.70, no.2, pp.I_990-I_995, 2014 (Released:2014-10-01)
参考文献数
7
被引用文献数
2 2

東日本大震災では,地震による被害に加え,大規模な津波により貨物やがれき等が大量に港内に流入し,航路や泊地を閉塞したため,港湾機能が一時完全に麻痺する事態となった.東京湾に東日本大震災級の大津波が来襲した際には,首都圏の機能を麻痺する被害が想定されるが,緊急避難物資輸送を行うための航路の早期啓開は必要不可欠である.本稿は,啓開を行うための海底障害物の形状,寸法,および座標などを早期に把握できる4Dソナーシステムの実用性を現地確認し,航路啓開技術としての有効性について評価したことを報告する.
著者
長田 幹彦[作詞]
出版者
ビクター
巻号頁・発行日
1930-08
著者
河野 成史 野上 大史 木村 藍 椎原 春一
出版者
動物の行動と管理学会
雑誌
動物の行動と管理学会誌 (ISSN:24350397)
巻号頁・発行日
vol.57, no.4, pp.146-153, 2021-12-25 (Released:2022-01-12)
参考文献数
34

飼育下キリンにおける四肢に関する疾患の1つである変形性関節症は、間欠的あるいは持続的な跛行がみられることがある。ヒトやイヌを対象とした保存療法として温熱療法が広く取り入れられているが、キリンでの報告はない。そこで本研究では、冬季に跛行がみられる変形性関節症(指骨瘤)のキリンにおいて、跛行の予防を目的としてウマの輸送用バンデージを装着し、無線式温度センサを用いて体表温度を測定することで、保温性および有効性を検証した。大牟田市動物園で飼育されているキリン1頭を対象とし、バンデージ装着時と未装着時の装着部位の体表温度、気温、跛行の有無を記録した。装着時は未装着時と比較して、装着部位の体表温度は高い値を示し、装着後は跛行がみられなくなった。バンデージの装着は肢の保温が可能であり、冬季に発生する跛行の予防に効果的であることが示唆された。
著者
郡 千寿子
出版者
弘前大学教育学部
雑誌
弘前大学教育学部紀要 (ISSN:04391713)
巻号頁・発行日
no.90, pp.1-8, 2003-10

青森県弘前市においては,「わ」という-人称代名詞が「私」に代替する表現形として使用されている現状がある。日本語の場合、-人称代名詞は、使用場面や相手によって意識的にせよ無意識的にせよ選択されて使用されている。言語習得時期を過ぎ、言語使用を自己判断によっているといえる成人男女において、とくに方言形である「わ」という一人称代名詞が,どのように弘前において使用されているのかについて,その実態調査をもとに考察検討したものである。近年,方言は言語の文化的側面を示したものとして,重要視され注目されているが,実際の使用者の意識はどのようなものであろうか。方言主流社会1・といわれている弘前で,年代による,また男女による,使用実態の差や使用意識の差がどのように分布しているのかを検討し,今後の言語使用の在り方について,その方向性を探ってみたい。
著者
福田 ひとみ 勝川 路子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.30, 2018

【目的「あん」は和菓子に広く使用されているが、若者世代では和菓子離れが進み、それに伴い「あん」の消費が減少し続けている。「あん」には食物繊維が含まれており、便秘を含む健康問題にも有効な食品である。新しい「あん」の利用法を提案するために「あん」の市場調査と若者世代を対象にした「あん」に関する嗜好調査を行った。<br>【方法】2017年6月にコンビニエンスストア3社の市場調査を行った。販売されているスナック菓子、チョコレート菓子、和菓子コーナーの商品の原材料名を調査した。さらに、本学食物栄養学科学生373名を対象とし、「あん」に関する嗜好調査を自己記入方式で行った。回収率は100%であった。<br>【結果】コンビニエンスストアで販売されていた商品(総数1080)の原材料表示から「あん」が含まれていることがわかった商品は、29品目で全体の2.4%であった。「あん」に関する嗜好調査では、「あん」が好きと答えた学生は98%であった。好まれた「あん」は、こしあん(全体の74%)、白こしあん(65%)、さつまいもあん(65%)が挙げられ、粒あん(34%)は好まれなかった。「あん」が好きな理由は「甘さ」、「味」、「舌触り」と答えた学生が多く、嫌いな理由は「舌触り」、「味」であった。この結果から、若者は均一でなめらかな舌触りをより好むことがわかった。また、「あん」を食べる頻度は月に1回が最も多く、午後の間食として食べていた。好んで食べる「あん」商品は大福、たい焼き、フルーツ大福であり、もちもちとした食感が好まれる傾向が見られた。これらの結果は、健康問題にも有効な食品である「あん」を若者世代により効果的に提案する条件が示唆された。
著者
林 陸郎 廣瀬 規代美 奥村 亮子
出版者
医学書院
雑誌
看護管理 (ISSN:09171355)
巻号頁・発行日
vol.11, no.6, pp.445-451, 2001-06