著者
大寺 祥佑 金沢 星慶 金沢 奈津子 木内 隆裕 中山 健夫
出版者
公益社団法人日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
pp.11025, (Released:2015-11-30)
参考文献数
28

【目的】本研究の目的は理学療法診療ガイドライン第1版の質を評価し,今後の改訂に向けて検討すべき課題を提示することである。【方法】AGREE II を用いて4人の理学療法士が独立にガイドラインを評価し,各ガイドラインの質の最終評価について合意を形成した。【結果】16件のガイドラインが評価の対象となった。領域別スコアの中央値(範囲:最小値~最大値)は,「対象と目的」54%(32~65%),「利害関係者の参加」38%(32~51%),「作成の厳密さ」35%(32~51%),「提示の明確さ」31%(26~47%),「適用可能性」9%(6~17%),「編集の独立性」19%(17~19%)であった。重要な推奨の明示に関する評価は,7段階リッカートスケールで中央値が3.0点(2.5~3.5点)であった。【結論】今後の改訂では,推奨の明確な提示や臨床における適用方法,利益相反の明示に留意するべきである。

1 0 0 0 民藝

著者
『民藝』編集委員会 編
出版者
日本民藝協会
巻号頁・発行日
no.535, 1997-07
著者
小杉 亮子
出版者
国立歴史民俗博物館
雑誌
国立歴史民俗博物館研究報告 = Bulletin of the National Museum of Japanese History (ISSN:02867400)
巻号頁・発行日
vol.216, pp.153-168, 2019-03-29

本稿では,1960年代に拡大・多発した学生運動(1960年代学生運動)について,先行研究が大規模社会変動にたいする反応や挑戦としてのみ位置づける傾向にあったのにたいし,より多面的かつ立体的な1960年代学生運動像を提示することをめざし,新たな視角として,社会運動論の戦略・戦術分析を導入する。具体的には,本稿では,1968~1969年に東京大学で発生した東大闘争における戦略・戦術を検討する。その結果,次のことが明らかになった。第一に,東大闘争では直接行動戦略がとられ,さらに,それが非暴力よりも対抗暴力を志向していったために,腕力・体力の有無と闘争での優劣や闘争参加資格とが連関するようになっていた。第二に,東大闘争終盤においては,対抗暴力が軍事的な実力闘争へと傾斜し,闘争の軍事化が見られた。第三に,1960年代学生運動の直接行動戦略が対抗暴力を志向するものとなった要因には,新旧左翼運動が持っていた実力闘争志向や武装主義と,アジア,アフリカ,ラテンアメリカにおける脱植民地・独立運動に影響を受けた第三世界主義とがあった。また本稿では,今後の展開可能性として,軍事的男性性概念の導入によって,ジェンダー的観点からなされてきた1960年代学生運動論と本稿の知見が接続しうることを示す。ジェンダー的1960年代学生運動論では,1960年代学生運動における性別役割分業や女性性の周辺化が1970年代以降の女性解放運動に与えた影響にかんする知見が蓄積されてきた。軍事的男性性という観点から,1960年代学生運動における女性参加者の動機や経験にアプローチすることによって,1960年代学生運動の軍事化とそれが運動の展開過程にもたらした影響について,さらに新たな光を当てることが可能になるだろう。
著者
山根 貴夫 宮島 綾子 八田 一葉 藤田 俊広 曽我 直弘 亀岡 信悟
出版者
日本外科系連合学会
雑誌
日本外科系連合学会誌 (ISSN:03857883)
巻号頁・発行日
vol.42, no.6, pp.952-956, 2017 (Released:2018-12-28)
参考文献数
23

今回われわれは一般的な治療に効果を認めなかった下痢型の過敏性腸症候群(irritable bowel syndrome:IBS)を有する虫垂炎患者に対し虫垂切除を行うことによりIBSの症状が改善した2例を経験した.症例1は47歳の男性,元来1日平均10回の水様便を認める下痢型IBSであった.今回心窩部痛を主訴に受診,急性虫垂炎の診断で腹腔鏡下虫垂切除術を施行した.術後より1日1~2回の普通便となりIBSが改善した.症例2は42歳の女性,心窩部痛を伴う1日平均3回の軟便~水様便をきたす下痢型IBSであった.今回右下腹部痛を主訴に受診,急性虫垂炎の診断で腹腔鏡下虫垂切除術を施行した.術後より2日1回の普通便となりIBSが改善した.医中誌で検索しうるかぎり虫垂切除により下痢型IBSが改善した報告例はなく,若干の文献的考察を加え報告する.
出版者
同朋学会
巻号頁・発行日
no.37, 1977-12
著者
末田 智樹
出版者
人文地理学会
雑誌
人文地理学会大会 研究発表要旨 2010年 人文地理学会大会
巻号頁・発行日
pp.13, 2010 (Released:2011-02-01)

従来、昭和戦前期までにおける百貨店と言えば、三越を筆頭に松坂屋、大丸、高島屋、白木屋、松屋などの呉服系百貨店が前面に押し出され、本報告の主題であるターミナルデパートに関して大きく論じられることはなかった。されど、百貨店の店舗立地を礎とした昭和戦前期までの都市商業空間の形成にとって、昭和初期に登場したターミナルデパートは欠かせない役割を果たしていた。 そこで、昭和戦前期における大阪を主軸とした日本のターミナルデパートの成立過程について浮き彫りにすることで、この時期までにターミナルデパートを成立させた要因とは何であったのか。そして、ターミナルデパートの出現が、現代に繋がる大阪の都市商業空間の原型を完成させていたのかなどをつまびらかにした。 小林一三による阪急百貨店は、大阪北部の梅田にターミナルデパートとして昭和4(1929)年4月15日に開店し、雑貨・実用本位の商品構成を基本として、「どこよりもよい品物を、どこよりも安く売りたい」の大方針のもとに、呉服系百貨店よりも明確に営業戦略として位置づけて経営を展開した。昭和7(1932)年10月8日の新聞広告には、この営業の大方針を掲げた阪急百貨店が如何にしてそれを実践できたのかが説明されている。「経費がかゝらないから」と載せたうえで、「一 広告費が少くてすむから。一 現金売を主としてゐるから。一 外売をしないから。一 遠方配達の経費も省けるから。一 阪急電車の副業であるから。一 家賃がいらないから。」といった6つの要因をあげている。これは小林自らが考案したもので、電鉄のターミナルと併設した立地展開の利点を重視した彼の百貨店構想が、ターミナルデパートとして実現したことを述べている。開業当初の阪急百貨店は、立地条件に基づく店舗展開と商品販売に成功することで、阪急電鉄の沿線客をターゲットとする沿線の市場開拓を狙った経営戦略を強力に推進できたのである。 昭和4年4月10日から建設に着手し、昭和5年12月18日に高島屋南海店が一部開設したのと同時に、同年12月1日に株主総会の承認をへて「株式会社高島屋」に変更した。これによって高島屋はより積極的に大衆消費者向けの百貨店経営へと踏み出すことになり、新店舗の南海店がターミナルデパートであっただけに、同社にとっても明暗をわける挑戦となり、オープン当時大変な話題を呼んだ。その点から考えても、大阪北部の梅田に世界で最初の阪急百貨店によるターミナル方式のデパートが誕生して間もなく、1年半ほど経過して大阪南部の難波にもターミナルデパートが姿を現し、その後高島屋よりさらに大阪南部の地域に大鉄百貨店と大軌百貨店が営業を開始し、阪急百貨店と同じ梅田に阪神百貨店(阪神マート)が生成したことで、昭和初期において大阪の北と南の地域にターミナルデパートをセンターとする現在を想像させる大都市商業空間の原型が完成していたのであった。 このように昭和戦前期までの全国におけるターミナルデパート化の状況では、小林率いる阪急百貨店が設立されて以降、大阪・東京の私鉄会社による百貨店経営や全国の新興百貨店の勃興へ大きな刺激を与え、彼こそが革新的経営者であった。東京では京浜デパートや東横百貨店の成立へと広がり、これまでの呉服系百貨店とは異なったターミナルデパートという百貨店スタイルが大いに波及し、福岡市の岩田屋や岡山市の天満屋など地方百貨店のターミナルデパート化にも多大なる影響を与えた。小林の発想から始まる昭和戦前期までのターミナルデパートの成立が、戦後期以降今日までの日本における独特の百貨店業態発展の肝心な要となったのである。
著者
王 財源 遠藤 宏 豊田 住江 河内 明 北出 利勝 兵頭 正義
出版者
社団法人 全日本鍼灸学会
雑誌
全日本鍼灸学会雑誌 (ISSN:02859955)
巻号頁・発行日
vol.41, no.4, pp.370-373, 1991-12-01 (Released:2011-05-30)
参考文献数
5

『焼山火』は中国古来より刺鍼手技のひとつとして用いられてきた補法の変法手技である。刺鍼時において, 熱感や腫れぼさ覚え, 虚証で冷え症の患者に古くから行われてきた。では果たして刺針時において皮膚表面温度・深部温度・血流量がどのように変化をするか, 古来より伝えられてきた方法を用いて観察を行なった。今回は特に中国の老中医師に指導を賜わり研究を進め, 臨床的試験の結果, 皮膚温度・深部温度に上昇傾向が認められた。特に遠位部における皮膚温度と深部温度は, 刺鍼後40分目には1.0℃以上の上昇が認められた。局所においても0.5℃以上の温度上昇が認められた。
著者
本間 宏 焼山 誠
出版者
一般社団法人 日本建築学会
雑誌
日本建築学会計画系論文報告集 (ISSN:09108017)
巻号頁・発行日
vol.375, pp.39-48, 1987-05-30 (Released:2017-12-25)
被引用文献数
1 1

About 35 % of heat generated by a human body is dissipated by convection in a normal room condition. This convective heat dissipation causes upward air stream around the body. The characteristics of free convection around human bodies were surveyed through infrared thermograms, smoke wire photographs and hot wire anemometry in this study. Male students of a normal height and weight were chosen for the experimental objectives. Experiments were carried out under standing and seated postures, and also under naked and clothed conditions. A heated rectangular model of a height of 1.6 m and a total surface of 1.6 m^2 was also included in the objectives. The results of the three methods indicated that stable free convection existed already at the ankle level. Laminar air flow enclosed the lower parts of the subjects to the height of the thighs. The range of peak air velocities was 5 to 15 cm/s in this part. The range of boundary layer thicknesses was 1 to 3 cm here. The upper parts of the subjects were enclosed by the turbulent flow, the average air velocity of which was about 20 cm/s, and the boundary layer thicknesses of which ranged between 5 and 10 cm. The measured velocities of the clothed condition concentrated in the slower part, and the measured velocities of the naked condition concentrated in the faster part of each of the ranges. The velocity of the free convection corresponds to the allowable maximum air movement for comfort in an air conditioned room.

1 0 0 0 病識と病態

著者
西園 昌久
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.549-551, 2014-06-15

病識の理解をめぐる今日の状況 筆者のように,操作的診断法が開発され,一般化する以前に精神科医になった者にとっては,病識の理解は精神科診断を進めていく上できわめて重要なことであった。操作的診断法が普及した今日でも,病識という言葉が消え去ったわけではない。米国精神医学会治療ガイドライン「精神医学的評価法」(日本精神神経学会監訳)1)の中の「精神状態の検査」の項の中に,「さらに,治療方針や適切な治療場所の選択について決まったことを伝えるために,患者の病識,判断力,抽象的な思考力についての成績を得る」と記載されている。ただ,病識の定義や意味については何も論じられてはいない。 そもそも,我々が学んだ病識の概念はJaspers K3)の説明に基づくものであった。Jaspersは,患者の疾病体験に対する態度の中で,あらゆる症状や病気全体の種類も重きも正しく理解されているのを病識と呼んだ。病の存在に対する自覚を欠くということは人格のはなはだしい歪みなしには起こらないと考えられ,病識欠如を精神病とし,病識出現を精神病の寛解とする臨床的判断がなされた。その意味で病識の統合失調症の診断上の意義は高かった。
出版者
日経BP社
雑誌
日経ビジネス (ISSN:00290491)
巻号頁・発行日
no.1908, pp.92-94, 2017-09-18

1回の充電で走れる航続距離が400kmに延びた新型EV「リーフ」。通勤やちょっとした買い物など日常生活で使う分には十分な性能だ。実現させたのは、大幅に性能が向上した車載電池だけではない。走行時に受ける空気抵抗をどれだけ減らすことができるか。
著者
Tomoya YAMADA Mituru KAMIYA Mikito HIGUCHI
出版者
JAPANESE SOCIETY OF VETERINARY SCIENCE
雑誌
Journal of Veterinary Medical Science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
pp.21-0562, (Released:2021-12-10)
被引用文献数
3

In this experiment, we studied the effects of breed differences in intramuscular adipogenic capacity on the metabolomic profiles of plasma and intramuscular adipose tissue between Wagyu (high intramuscular adipogenic capacity) and Holstein (low intramuscular adipogenic capacity) using capillary electrophoresis time-of-flight mass spectrometry (CE-TOFMS). We showed that the intramuscular fat content, intramuscular adipocyte size and the expression of adipogenic transcription factor (C/EBPβ and C/EBPα) of Wagyu were significantly higher than those of Holstein. Metabolites detected at significantly higher levels in Wagyu plasma were related to the tricarboxylic acid cycle, lipid synthesis, fatty acid metabolism, diabetes, and glucose homeostasis. In contrast, metabolites detected at significantly higher levels in Holstein plasma were related to choline metabolism, the ethanolamine pathway, glutathione homeostasis, nucleic acid metabolism, and amino acid metabolism. Metabolites detected at significantly higher levels in Holstein intramuscular adipose tissue were related to nucleic acid metabolism, amino acid metabolism, amino sugar metabolism, beta oxidation, and the ethanolamine pathway. There were no metabolites significantly higher levels in Wagyu intramuscular adipose tissue. These results indicate candidate biomarkers of breed differences in intramuscular adipogenic capacity between Wagyu and Holstein.
出版者
日経BP社
雑誌
日経automotive
巻号頁・発行日
no.126, pp.68-73, 2021-09

開発・生産コストの増加を抑えながら、どこまでボディー性能を高められるか─。これが、現在の電気自動車(EV)ボディー開発の重点課題である。マツダの多目的スポーツ車(SUV)タイプの新型EVは、複数のパワートレーンに対応できる新プラットフォームを活用してコスト増加を抑えながら、ボディー骨格の強度と剛性を高めた。これにより、電池パックを衝突時の衝撃から守る。