著者
徳橋 泰明 龍 順之助 穂坂 邦大 栄 春人 網代 泰充
出版者
日本整形外科学会
雑誌
日本整形外科學會雜誌 (ISSN:00215325)
巻号頁・発行日
vol.84, no.11, pp.1025-1031, 2010-11-25
参考文献数
11
被引用文献数
1
著者
志和 資朗 松田 俊 佐々木 実
出版者
一般社団法人 日本認知・行動療法学会
雑誌
行動療法研究 (ISSN:09106529)
巻号頁・発行日
vol.30, no.2, pp.75-86, 2004-09-30 (Released:2019-04-06)

本研究では、EMDRによって不快な記憶が脱感作されるかを、精神生理学的な指標であるP3を用いて検討した。本研究の被験者は41名(女性26名、男性15名)である。まず、重度に不快な記憶をもつ31名の大学生の被験者を3つの群に割り当てた;EMDR群(n=10)では不快な記憶を想起しながら眼球運動を行い、Image群(n=10)では視覚刺激を凝視しながら不快な記憶の想起を行い、 EM群(n=11)では眼球運動のみ行った。軽度に不快な記憶をもつ10名の大学生の被験者を低SUDS(主観的障害尺度)群に割り当て、軽度に不快な記憶を想起しながら眼球運動を行わせた。本実験では、不快な記憶に関連する人物の姓(関連刺激)を刺激に用いて脳波の測定を行った。脳波の測定回数は2回で、眼球運動あるいは視覚刺激を凝視した前後に行った。関連刺激に対して生起したP3の振幅を、眼球運動あるいは視覚刺激を凝視した前後で比較した。実験の結果、EMDR群のP3振幅が有意に低下していた。また、SUDSの値は、 EMDR群と低SUDS群で低下した。この結果は、 EMDRの有効性を示すものといえる。
著者
Menkiszak Marek
出版者
Slavic-Eurasian Research Center, Hokkaido University
雑誌
Eurasia Border Review (ISSN:18849466)
巻号頁・発行日
vol.6, no.1, pp.83-102, 2015

This paper examines the contemporary border between Ukraine and Russia as a case study of Russia’s approach to its borders. Two research questions are addressed: Firstly, what does the annexation of Crimea by Russia as well as its attempts to further undermine Ukraine’s territorial integrity in its eastern region of Donbas say about Russia’s peculiar approach to Ukraine and its borders? Secondly Whether and To what extent does Russia’s approach represent a broader pattern of Russia’s policy towards its borders? This paper is divided into three parts: the first part gives a brief account of the modern history of the Russian-Ukrainian border; the second part focuses on peculiar Russian approaches to Ukraine revealed during the current Russian-Ukrainian crisis; the third part puts “the Ukrainian case” into broader conceptual frameworks. This paper concludes that Russia’s recognition of the territorial integrity and the borders of the post-Soviet states is conditional and depends mainly on their participation in Russia-led integration projects.
著者
藤井 智 畠中 泰司 中石 睦 秋山 江里
出版者
公益社団法人日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.19, no.1, pp.64-68, 1992-01-10

在宅重度障害者を対象に, 浴室の改造やリハビリテーション機器の利用等を指導した92例について, 入浴形態, 介助の状況, 改造内容, 機器の利用状況等を調査・検討した。結果は, 1)リハ機器導入と手すり設置等の簡単な改造を合わせて行ったものが多かった。2)介助者数や入浴形態を大きく変えることはできなかった。3)手すりに掴まったり, 安定した坐位を基本姿勢とすることで, 介助量を減らし, より容易に, 安全に入浴できるようになった。4)ほぼ全例に, 介助方法などの実地指導を繰り返し行った。環境・経済的問題や家族の受け入れ等の問題から, 簡単な改造にとどまる例が多かった。しかし, リハ機器導入とともに,入浴方法の実地指導を行うことで, 介助量を軽減することができ, 新しい環境にあわせた指導の重要性が示唆された。
著者
小野 理恵 橘 一也 松浪 薫 木内 恵子 宮川 慈子 香河 清和 渡辺 高士 奥山 宏臣
出版者
一般社団法人 日本集中治療医学会
雑誌
日本集中治療医学会雑誌 (ISSN:13407988)
巻号頁・発行日
vol.15, no.2, pp.213-218, 2008-04-01 (Released:2008-11-01)
参考文献数
7

気管無形成は予後不良の先天性疾患で,長期生存例の報告はほとんどない。今回,退院に至った気管無形成患児の集中治療管理について報告する。患児は出生直後よりチアノーゼを呈し,食道挿管によって換気可能となった。気管無形成と診断し,出生当日に食道皮膚瘻造設術,食道絞扼術,胃瘻造設術を行った。術後,気道として利用している食道と気管食道瘻が容易に閉塞し,換気不全を繰り返した。鎮静や高いPEEPにより気道の開存維持を図ったが著効せず,呼吸管理に難渋した。生後52日目,人工心肺下に食道気管吻合と食道外ステント術を施行し,術後呼吸状態が安定した。2回目の術後34日目に人工呼吸からの離脱が可能となり,生後10ヶ月で退院となった。気管無形成では,出生直後の適切な蘇生処置とそれに続く姑息的手術により生存可能であるが,呼吸管理が困難であり,気道の開存を維持するために更なる外科的治療を考慮する必要がある。
著者
釣賀 一二三
出版者
The Mammal Society of Japan
雑誌
哺乳類科学 (ISSN:0385437X)
巻号頁・発行日
vol.48, no.1, pp.119-123, 2008-06-30
被引用文献数
12

これまでに北海道で試みられたヒグマの個体数推定は,その推定値に大きな誤差を含むものであった.現在,より精度の高い推定を行うために,ヘア・トラップ法を応用することが可能かどうかの検討を実施しており,本稿では検討の概要とその過程で明らかになった課題について述べる.ヘア・トラップ法を用いた個体数推定法の本格的な検討に先立って行った3カ年の予備調査では,誘因餌を中央につり下げて周囲に有刺鉄線を張ったヘア・トラップによって試料採取が可能なこと,試料の保管には紙封筒を用いて十分な乾燥をした後に保管する必要があることなどが明らかになった.さらに,分析対象の遺伝子座の選択に関する課題の整理が行われた.その後の3年間の本格調査では,ヘア・トラップ配置のデザインと構造を検討するために,メッシュ単位で29箇所あるいは39箇所に設置したヘア・トラップの適用試験を実施した.この結果については現在解析途中であるものの,ヘア・トラップを設置する場所の均一性を検証することや,ヘア・トラップの設置密度の基準となるメッシュの適切な大きさに関する検討の必要性が課題としてあげられた.<br>

1 0 0 0 OA 日東魚譜

著者
神田玄泉 撰著
巻号頁・発行日
vol.巻2, 1000
著者
Federico Grillo Rory Megginson Jenny Christie Stephen M. Francis Neville V. Richardson Christopher J. Baddeley
出版者
The Japan Society of Vacuum and Surface Science
雑誌
e-Journal of Surface Science and Nanotechnology (ISSN:13480391)
巻号頁・発行日
vol.16, pp.163-171, 2018-05-19 (Released:2018-05-19)
参考文献数
77
被引用文献数
8 9

The structure and surface chemistry of ultrathin metallic films of one metal on another are strongly influenced by factors such as lattice mismatch and the formation of near-surface alloys. New morphologies may result with modified chemical properties which in turn open up different routes for molecular adsorption, desorption and surface functionalization, with important consequences in several fields of application. The Cu/Au(111) system has received the attention of many studies, only a few however have been performed in ultra-high vacuum (UHV), using surface sensitive techniques. In this contribution, the room temperature deposition of copper onto the (22×√3)-Au(111) surface, from submonolayer to thick film, is investigated using scanning tunnelling microscopy (STM). The onset of copper adsorption is seen to occur preferentially at alternate herringbone elbows, with a preference for hcp sites. With increasing coverage, copper-rich islands exhibit a reconstructed surface reminiscent of the clean Au(111) herringbone reconstruction. Disordered, pseudo-ordered and ordered surface layers are observed upon annealing. Models for the initial adsorption/incorporation mechanism, formation of adlayers and evolution with increasing coverage and annealing are qualitatively discussed. Further, the reactivity of copper-doped Au(111) systems is considered towards the adsorption of organic molecules of interest in nanotechnology and in catalytic applications. [DOI: 10.1380/ejssnt.2018.163]
著者
宋 明見 田村 照子
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.47, no.3, pp.221-230, 1996

韓国女性の伝統衣装である韓服の乾性及び蒸発熱抵抗を測定し、これに及ぼす風の影響を調査した.測定対象は, 下着一式, 麻, 絹一重, 絹, ポリエステルの4種のチマ・チョゴリとチマ・チョゴリの上に着る冬用のコート, ドルマギである.乾性及び蒸発熱抵抗の測定には, ドライ及び発汗状態のサーマルマネキンを使用した.主たる結果は次の通りである.<BR>1) 乾性熱抵抗についてはドルマギが最高値を, 続いて絹, ポリエステル, 絹一重のチマ・チョゴリの順となり, 麻が最小値を示した.乾性熱抵抗は, 布地の厚さとの間に0.80の高い相関係数を示すが, 有風下では, 絹とドルマギを除き, 通気性による著しい低下を示した.<BR>2) 蒸発熱抵抗は, ドルマギ以下乾性熱抵抗と同様の順位で布地の厚さとの間に無風化で0.88の有意な相関を示した.有風下では, 麻, ポリエステル, ドルマギで蒸発熱抵抗が低下した.<BR>3) 韓国の伝統服の乾性・蒸発熱抵抗は, その形態や構造によってではなく, 布地の厚さと通気性によって変化すること, これは日本の伝統服, 着物の結果と同様であることが示された.
著者
田中 済 渡辺 鉄哉 沢村 峰夫 尾中 敬 山口 朝三 中桐 正夫 秋田 亨 小平 桂一 西 恵三
出版者
宇宙航空研究開発機構
雑誌
宇宙科学研究所報告. 特集 (ISSN:02859920)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.35-52, 1983-03

オリオン座の三つ星および大星雲を含む8°×8°の領域を中心波長1328A, 1484A, 1640A, 1796A, 1951Aで絶対測光した。約110個の恒星が同定され, うち62個の紫外放射フラックスが求められた。背景散乱についても有効なデータが得られた。
著者
山本 一博
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2017-04-01

量子場の非局所相関の構造と曲がった時空に現れる熱的現象の関係をより深く理解するための研究と、それをより一般の系へ拡張する研究を進め成果を得た。初めに、量子場の非局所相関のより深い理解に関しては、量子情報理論の技術を応用した観点からの研究を進め、多検出器を導入した理論模型の研究を行なった。リンドラー時空において一定加速運動する多検出器模型を導入し、量子場と相互作用する多検出器系に4次元においても揺動散逸関係の一般化であるcorrelation-propagation-relation(相関伝播関係)が成立することを示した。この成果は、リンドラー時空から見た時の平衡状態で成立するエネルギーの流れに関する関係を示すものである。この関係が慣性系から見た時に非局所相関に起因する量子放射とどのように関係するかは今後の課題である。研究成果はPhysics Letter Bに掲載された。また、量子場の非局所相関の構造をより一般の系に拡張する研究に関しては、スカラー場の場合と同様にスピノル場のミンコフスキー真空を左右2つのリンドラー時空で構成される状態で記述するための研究を共同研究者と進めた。一般的な2次元リンドラー時空のディラック場を量子化しミンコフスキー真空をリンドラー状態のエンタングル状態として記述できることを4次元の場合に対して拡張する研究を行っている。カスナー時空とリンドラー時空の量子場を関係づけることによって、ミンコフスキー時空全体を部分的座標上に構成する場の状態を用いて、ミンコフスキー真空の非局所相関の構造を統一的に明らかにする研究成果として発表する予定である。また、カスナー時空とリンドラー時空ににおいて重力波であるテンソルモードの解析解をRegge Wheelerゲージのもとで発見した。
著者
リザード ソーダ
出版者
学校法人 産業医科大学
雑誌
産業医大誌 (ISSN:0387821X)
巻号頁・発行日
vol.16, no.1, pp.91-95, 1994
被引用文献数
3

カーボンブラックは補強剤や色素として広く用いられている. しばしば, 「すす」と同じものと誤解されるが, 物理化学的性質は煤煙の「すす」と, カーボンブラックは全く異なっている. ポーランドにおける疫学的調査では, カーボンブラックの曝露を受けている作業者の呼吸器系の障害が起こる可能性を示唆する結果が得られているが, さらに調査が進められている. 西欧諸国での調査ではそのような可能性を支持する結果は得られていないが, 結論が出るまでにあと6年間の調査が必要である. 一方, 米国の調査では, カーボンブラックの作業現場での曝露で, 循環器系, 呼吸器系の疾患, あるいは悪性腫瘍のリスクは増加しないと報告されている. カーボンブラックのヒトの健康に対する影響の評価はさらに継続する必要がある.
著者
森 絵美 松本 正富
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.68, no.2, pp.2_35-2_42, 2021-09-30 (Released:2021-11-03)
参考文献数
17

本研究は,病院で広報や行事の企画運営に従事するデザイン技能を有した事務職員である院内デザイナーの配置に対する経営者評価について,利用者サービス向上に向けた業務支援の視点からみた有用性と課題を明らかにすることを目的とした.医療機関経営者を対象とした半構造化インタビューを実施し,M-GTA(修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチ)を用いて分析した結果,1)広報が充実し医療機関の特色が明確化すること,2)情報共有と業務の効率化につながること,3)内製物の質向上と継続的な維持管理に貢献すること,4)利用者に寄り添ったサービス提供ができることが,有用性として認められた.これに対し,1)人材育成の環境が整っていないこと,2)人材配置に関わる費用対効果の検証が難しいこと,3)その職域自体が未だ確立されていないことが課題として指摘された.